R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉

あおい夜

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六章 昔の話

第113話(兄さん達は本気で気づいていない)

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少し前の夜

部屋に戻ろうとしていたオレはその通り道に白兄が立ち止まり何かを見ているのに気づいた。
白兄の近くまで行き白兄の視線の先をオレはたどった。

「、、、、、。」
「、、、兄さん?」
「!?あ、葵?」

白兄の視線の先には庭で誰かと電話している兄さんが居た。
兄さんは優しい顔で笑いながら電話したているので多分、出来たばかりの恋人の一人と電話しているのだろう。

「兄さんがどうかしたのか?」
「いや、、、紅が楽しそうにしているな、、、と」
「?、、、白兄と居る時も似た感じだろ?」
「わたしと?まぁ、嫌われていないのは知っているが、、、わたしみたいな口煩い幼馴染みと一緒に居ても楽しくも嬉しくもないだろう」
「は?、、、楽しそうだし嬉しそうだぞ?寧ろ、、、幸せそうだと思うが?」
「クスクス、紅はわたしと居てではなく葵と居て幸せなのだろう。わたしも葵と居ると幸せになるからな」
「は?、、、いや、オレも白兄と一緒に居るのは嬉しいし楽しいし幸せだが、、、」
「そうか!葵がそう思ってくれるならわたしは幸せ者だな!」

白兄はさっきの寂しそうな顔と異なり、心底嬉しそうに笑いながらオレにそう言った。
(いや、オレも白兄にそう言われたら嬉しいが、、、もしかして、いや、だが、、、)

「白兄」
「ん?なんだ、葵?」

オレが呼ぶと白兄は優しい笑顔でオレの次の言葉を待った。
(これは、、、聞くしかないな)

「白兄は兄さんが好きなんだよな?」
「ああ、そうだぞ?」
「兄さんと付き合いたいとは思わないのか?」
「、、、紅と、、、付き合えたら幸せだろうな」
「、、、付き合えたら?」
「紅がわたしのような口煩く鬱陶しい相手を好きになるはずがないだろう?紅がそんなわたしを嫌わずに側に居させてくれるのは、わたしが幼馴染みで葵を心底大事に思っているのを知ってるからだろうな。そうでなかったら嫌われ、嫌悪の目で見られていたかもな」
「いや、そんなことあり得ねぇ」
「クスクス、否定してくれるのか?葵は優しいな」

兄さんが白兄を嫌う事なぞ絶対にあり得ないので反射的に否定すると、白兄はオレの頭を撫でながらそう言った。
(は?本気か?白兄は本気で本当に気づいてねぇのか?あんなにあからさまな兄さんの態度に気づいてねぇのか?)

「白兄は兄さんと付き合えないと思ってんのか?」
「そうだな。わたしみたいな者が紅に好かれるとは思っていないからな。告白なんぞして今の距離感さえ失くすのは嫌だしな」
「、、、、。」
「葵?」
「ハッ!いや、その、白兄、もしも、もしもだが」
「ああ、もしも?」
「兄さんが白兄を好きだったらどうする?」
「そんなことは決してあり得ないと思うが、そうだな、、、紅がわたしももしも好きだったらか、、、それでも今と変わらないだろうな」
「何故?」
「あの紅が欲しいモノを諦めることも手に入れないこともないだろう。それなのに紅に告白さえされていないわたしはそういう意味で紅に好かれてないという事だろう?、、、わたしは紅と幸せになるのを諦めるだろうな、、、ただ、わたしは紅の事をずっと、ずっと想っているだろうが」
「、、、そうか。オレは白兄と兄さんが付き合えれば嬉しいんだがな」
「ふふ、ありがとう、葵」

白兄はオレの頭を優しく撫でたあと兄さんをもう一度見てから部屋に戻っていった。
(、、、これは、、、兄さんに問題があるな)

そう思ったオレは電話を終えた兄さんに近づいた。

「兄さん」
「葵?どうした?」
「いや、、、少し聞きたいことがあってな」
「聞きたいこと?なんだよ?何でも聞けよ」

オレに向かって優しい笑顔を向けながら兄さんがそう言うのでオレは躊躇わずに聞いた、、、コレが重大な問題になる事を知らずに。

「前から思っていたんだが」
「ん?」
「兄さんは白兄に告白しないのか?」
「告白?」
「というか、何でまだ付き合ってないんだ?」
「付き合う、、、」
「、、、兄さん?」

兄さんはオレの言葉を呆然としたように繰り返していた。

「あ~、、、白が俺を好きだという確信がねぇからだな」
「は?白兄が兄さんを好きだという確信がない?」
「ああ、白以外ならどんなことをしても落としてやる自信があるし、どんなことしても落としてやろうと思うが、、、白には、、、嫌われたくねぇからな」
「、、、白兄が兄さんを嫌うことは絶対ねぇよ」
「ハハッ、葵にそう言われると自信がつくな」

兄さんはそう言って笑っていたが、兄さんの言葉を聞いたオレはそれどころじゃなかった。
(ちょっと待て?白兄はアレで鈍感なところがあるからまだ分かるが、、、兄さんもか!?は?兄さんも!?いや、兄さんは寧ろそういうことには聡い方だろ?冗談だよな?、、、もしかして、白兄限定で鈍感というか疎くなるっていうのか?まさか、、、な?)

「、、、兄さんは白兄にどう思われていると思ってんだ?」
「ん~?白に俺が?、、、ん~、、、ダラシなくて世話のやけるブラコン野郎?」
「好かれてるとは思わないのか?」
「あ~、、、幼馴染みとしては好かれてるかもな?寧ろ、俺が葵の兄だということが白に一番好かれてるところじゃねぇか?」
「はぁ、、、白兄は兄さん自身も好きじゃなけりゃ兄さんの世話なんかやかねぇだろうよ」
「あ~、確かに白はそういう奴だよな。少しは俺自身が好きなのか」

そう言った兄さんの表情は嬉しさを噛み締めるような、何かを愛しむような顔をしていた。
(あ~、、、知っているが、兄さんは本当に白兄が好きなんだな。だが、白兄が兄さんと他とだとかなり態度が違うのに本当に気づいてねぇのか?白兄のあからさまなくらい兄さんを好きだという態度に兄さんが?)

「、、、兄さん」
「ん?なんだ?」
「もしも、もしもだが、白兄が兄さんを好きだったらどうする?」
「白が俺を?、、、そりゃ、絶対に逃がさねぇ」
「逃げないと思うが?」
「白がもしも俺を好きなら確かに白は俺から逃げねぇだろうが、他が白をほっとかねぇだろ?それで俺から少しでも白の意識が逸れる(逃れる)のは許せねぇ」
「なるほどな」

兄さんはそのもしもを想像しているのか遠くを見ている目は一切笑っていなかった。
(白兄が兄さんから意識を逸らすこともねぇと思うんだが)

「まぁ、もしも白が俺を好きなら、、、だがな」
「兄さんは白兄と好き合いてぇのになんで未だに白兄に仕掛けねぇんだ?」
「はぁ、、、あからさまに態度に出してるんだが、アイツ気づかねぇんだよな。昔から態度も変わらねぇし、世話やいて触ってくるクセに俺に意識しねぇし」
「そうか、、、(兄さんも)気づいてねぇのか」
「ああ、白は俺がアイツを好きなのを全然気づかねぇ」
「そうか、、、」

容量オーバーしたオレの頭はそのあとのことをあまり覚えていないがいつの間にか自分の部屋に戻っていた。
(そうか、、、お互い気づいてねぇのか、、、気づいて、、、お互い?気づいて?、、、)

「意味分かんねぇ」

そのあと数日間は混乱していたが、流石にこのままでは不味いと思ったオレは鈴の兄さんに相談することにした。




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