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六章 昔の話

第101話(オレ(私)の刺青の意味)

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現在

今私は菫達に髪を洗ってもらいながら昔の話をしていた。
(二人とも髪洗うの上手いな)

「その日は夕方になるまで目を覚まさなかったな」
「へぇ、やっぱり紅さん達はその頃から過保護だったんだね」
「むしろどんどんパワーアップしてるんじゃないのか?いや、絶対にしてるな」
「はは、、まぁ、、、昔っからああだったが確かに前より色々出来る様になったからか、、、パワーアップはしてるな」
「だろうな」
「うん、そうだろうね。所でお客様、痒い所はありませんか?」
「お客様の髪はとても綺麗で我々も洗いがいがありますよ」
「フッ、、、気持ちいいぜ?お前ら二人とも上手いな」
「え?本当?それは嬉しいな」
「だが、本当に葵の髪は綺麗だな。長くてサラサラしていて洗ってるこっちも気持ちいいぞ」 
「そりゃあ良かったよ」

確かに葵の髪は長くてサラサラしていて綺麗なので私が葵じゃなかったら触って感触を確かめたかっただろう。
(自分だとよく分からないんだよね)

「話は戻るが、葵は次の朝には背中の痛みはなくなってたのか?」
「この刺青綺麗だけど彫った時はかなり痛かったんだね」
「ああ、翌朝はだいぶ楽になったが痛みはまだあったな。だが熱は引いてたな」

暗に言われて話の続きを話す事にした。
(あの日は兄さん達の刺青を初めて見た日だからよく覚えてる)



高校時代

熱を出した翌朝、オレは一人で目を覚ました。
ちなみに兄さん達はオレが目を覚ました夕方まではオレの部屋に居たが母さんの安静にしていろという一言で部屋に帰っていった。

「っ、少し痛みはあるが、、まぁ、大丈夫だろ」

昨日よりましだが起きた瞬間にズキッとした痛みが背中から感じた。
(これなら動けるな。しかし早く起きてしまったな、、、先に風呂に入るか。汗で体がべとべとだ)

「っ、、、あまり大きな動きはしねぇ方がいいな、、、風呂の準備するか」

風呂の準備をしてオレは兄弟で使っている風呂に向かった。



風呂の脱衣場に着いたオレは風呂に入る為に服(着物)を脱いでいたが途中で背中の刺青がどうなっているのか気になり全身が写る鏡の前に後ろが見える様に達振り向いた。
(ああ、綺麗に出来てるな、、、兄さん達のはどんな感じなんだろうな?)

「カッコいいんだろうが、、、見てみてぇな」

背中の刺青を見たオレはそのまま風呂場に向かった。

“ガラガラ”
「っ、、、湯気でも少しいてぇな、、、はぁ、風呂には入らず汗だけ流すか」

温かな湯気だけで背中に痛みが走ったので風呂に入る事を諦めるシャワーだけにしようとシャワーを浴び様としていた時だった。

“ガラガラ”
「お!葵!先に入ってたのか!」
「兄さん?、、白兄も鈴の兄さんも?」
「おう、汗を流しにな」
「葵もか?」
「葵ちゃん、背中は大丈夫か?」
「ああ、まだ少し痛みが残っているから汗を流すだけだ」

入ってきた兄さん達はシャワーを浴びようとしていたオレの所に来た。

「兄さん達は大丈夫なのか?」
「ん~?俺ら?俺らは完璧に大丈夫だぜ?」
「葵、わたし達が体を洗ってやるから無理をするな」
「葵ちゃんは痛みがなくなるまであと2、3日くらいかかるんじゃねぇの?大丈夫か?」
「昨日よりはましだから大丈夫だ。それより、、、」
「なんだ?葵?」

オレが言い淀んだのを不思議に思った兄さんが先を聞いてきた。
(これは、、、言いづらいな。だが見たい)

「、、、兄さん達の刺青を見せてくれねぇか?」
「わたし達の刺青が見たいのか?」
「ああ、どんなもんなのか見てみてぇ。いいか?」
「ああ、もちろんだ。ほら、見てみろ」

白兄はそう言うとオレに刺青の入った背中を見せた。
白兄の刺青は椿を基準になっており椿の花の真ん中(背中の真ん中)には火を纏った紅い龍が描かれていた。
(綺麗だな、、、椿は白兄の家の象徴だから入れたんだろうが火を纏った紅い龍?、、、ああ、この龍は兄さんか)

「綺麗だな。白兄に似合っている」
「そうか?それは嬉しいな」
「じゃあ次はオレのを見るか?」
「ああ、頼む」

次に鈴の兄さんが刺青の入った背中を見せた。
鈴の兄さんの刺青も椿の花が基準になっており真ん中には獅子とその獅子が守っているかの様な眠っている青い龍が描かれていた。
(カッコいいが、、、何故青い龍?しかも何故眠っている?獅子は鈴の兄さんだろうな。椿の花は椿家に入っているから分かるが龍なのは、、、将来補佐する白兄に合わせたのか?)

「カッコいいが、、、この獅子はこの眠っている青い龍を守っているのか?」
「ああ、そうだよ。将来的にそうなりたいからな」
「そうなりたい?」
「葵!俺のも見ろよ!」

兄さんがいきなり話しかけて背中の刺青を見せてきた。
兄さんの刺青は蓮の花が基準になっており真ん中には紅い龍とその龍に巻き付かれている白兎が描かれていた。
(カッコいいが少し可愛らしいな。蓮と龍は家の象徴だがこの紅い龍に巻き付かれている白兎は絶対に白兄だな。紅い龍は兄さん自身だろう)

「これは、、、すごく、、、兄さんらしいというか、、、欲望に忠実というか、、、カッコいいが」
「そうか?で、葵のはどんなんなんだ?」
「オレのか?オレのはそんなに変わったモノじゃねぇぞ?」

そう言いながら兄さん達にオレの刺青が見える様に背中を見せた。
オレの刺青も蓮の花が基準になっており真ん中には青い龍が描かれている。
青い龍の周りには紅い色の宝珠と白銀色の宝珠と金色の宝珠が青い龍を守るかの様に描かれている。
(青い龍はオレ自身だがそれだと少し寂しかったからな、、、兄さん達の色の宝珠を入れたんだが、、、この色を見たらそれもバレてるだろうな)

「兄さん?」
「、、、葵、、、お前、かっわいい事するな!この宝珠は俺達だろ?」
「、、、まぁ、蓮と龍だけでは味気ないだろう」
「ハハハ!本当に可愛いな葵は」
「わたしの葵が可愛いのは今に始まった事じゃないが、、、これは可愛い事をしてくれたな」
「本当に葵ちゃんは可愛いよなぁ」

誤魔化したがやはり兄さん達には通用しないでオレの本心がバレていた。
(くっ、、、恥ずかしいが、、、兄さん達に甘やかされるのは結構好きなんだよな。これを入れたのは寂しかったのもあるが本当は、、、兄さん達がオレの宝だって意味でもあるんだが、、、それこそ一生離したくないほど大事な、、な)




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