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六章 昔の話

第97話(待ち合わせ場所にも居た)

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 兄さん達の待ち合わせ場所に向かう途中もオレを探している奴等の何人かとはち合わせしようとしたが、人の気配がする度に隠れたので特に問題なく兄さん達との待ち合わせ場所の近くまで来れた。
(兄さん達は居ないみたいだがあれは、、、)

「おい、紅様達がさっきまでここに居たのは間違いねぇのか?」
「ああ、俺も紅様達がさっきまでここに居たのを見てる」
「ならまだ近くに居るよな?」
「ええ、絶対に見つけるわよ!」
「勿論だ!紅様のあの麗しいお顔を間近でで拝見するんだ!」
「白銀様の美しく綺麗な存在もよ!」
「鈴矢様のカッコ良さも匂いも感じたい!」
「よし!探すぞ!」

どうやら兄さん達との待ち合わせ場所には兄さん達のファンが兄さん達を探しているみたいだ。
(兄さん達は何処かに避難したのか?それとも隠れてるのか、、、さっきまで居たとアイツらの誰かが言っていたが、、)

「おい!あれ紅様の弟じゃね?」
「え?どこどこ?」
「ほら、あそこ!」
「あ!本当だ!」
「ちょっと、そこの紅様の弟くん!」
「チッ」

少し考え込んでいたら見つかってしまったので舌打ちをしたあと直ぐにその場を離れた。
(人が来ない場所って何処だ?入学したばかりだからよく分からねぇ。とりあえず適当に逃げて隠れるか)

「あ!ちょっ、待ってくれ!」
「話を聞きたいんだ!」
「待って!」

オレが走り出したのを見て追いかけて来る。
オレは曲がり角があったのでそこに走り込もうとしたその時後ろから抱きしめられ何処かに引っ張り込まれた。
(っ!、、、ん?この感じは)

「兄さん?」
「おう、ちょっと静かにしてろよ葵」
「、、、。」

オレを追いかけて来た奴等が通り過ぎるのを見たあと兄さんは息を吐きながら喋った。
(抱きしめる力が強くなった!少し苦しいんだが)

「ハアー、、、悪いな葵」
「いや、それはいいがんだが。それより力を少し抜いてくれ、少し苦しい」
「おっと、悪い。大丈夫か葵?」
「ああ」
「それより紅、何時までわたしの葵を抱いている?わたしにも寄越せ」
「おい、白に、」
「はあ?俺の葵だけど?」
「わたしの葵でもあるだろう。わたしも葵を抱きしめたいのだから寄越せ」
「俺ももう少し抱きしめてたいから嫌だ」
「ズルいだろう!わたしも葵が足りないんだ寄越せ!」
「嫌ったら嫌だ!」
「おい、兄さ、」
「可愛い葵をお前だけで独り占めするな!わたしも葵の癒しが欲しいんだ寄越せ!」
「兄さん達、ちょっ」
「俺もまだまだ葵の癒しが足りねぇんだから渡すか!」
「はぁ、、、うわっ!」
“グイッ”
「おいおい、お前ら葵ちゃんが困ってるぜ?」

オレを兄さんから奪う様に抱きしめ口喧嘩しだした兄さんと白兄を止めてくれたのは鈴の兄さんだった。
(助かったが鈴の兄さんに抱きしめられるのは心臓に悪いな)

「あ!鈴!俺の葵を返せよ!」
「だからお前らの可愛い葵ちゃんが困ってるぞ?」
「あ!すまない葵。少しストレスがたまっていてな」
「あ~、、、わりぃな葵。俺も少しイライラしててよ」
「いや、それはいいんだが、兄さん達はここに隠れてたのか?」
「おう、今日のアイツらはヤベェからな」
「アイツらに見つかったら最後、追い剥ぎの如く毟り取られるだろうな」
「そうだな、今日は何時もより激しいからな。それより何で葵ちゃんは追いかけられてたんだ?」

鈴の兄さんにそう聞かれたのでさっきまでの事を兄さん達に説明した。
(それより鈴の兄さんは何時までオレを抱きしめてるんだ?何時もはここまでしっかり抱きしめないってのに)

「あ~、、、わりぃな。俺達の事に葵も巻き込まれたのか」
「すまないな葵。わたし達も何時もこうではないのだが、何故かたまにアイツらが目の色を変えわたし達を追いかけて来るのだ」
「最初は知らないで何時もの様に対応してたんだが、、、あの時は凄かったぜ」
「上半身裸にされそうになったからな。無理やり服を引っ張るから制服のボタンが全部飛び散り失くなったほどだったからな」
「え?白、お前上半身裸にされたのか?」
「いや、裸にされそうになっただけでその前に直ぐ逃げた」
「ふぅん、、、なら別にいい」

兄さんが少し不機嫌になったのが分かった白兄は少し戸惑いながらもそう答えた。
(好きな奴(白兄)が裸に剥かれたかもしれねぇと思ってムカついたんだろうが全く伝わってねぇな)

「ところで今誰も居ないみたいなんだけど、、、早く帰らねぇ?」
「あ?お、本当だ。なら、早く帰るぞ?今日は俺も疲れた」
「そうだなわたしも疲れた」

鈴の兄さんが外の様子を見てくれ誰も居ない事が分かったので誰かが来る前に家に帰る事にした。
(ったく、今日は疲れた)





現在

少し昔の事を話した所で菫が質問してきた。

「えっと、白銀さんは裸に剥かれそうになったんですか?」
「まぁ、、、そうだな。全力で逃げたが」
「あの頃は凄かったよな。俺達を見つけたら目の色変えて追いかけて来るからな、、、あれは獲物を狙う目だった」
「何時もそうだったわけじゃないんだけどな、、、たまに凄い時があるだけでな」

兄さん達三人は遠い目をしながら話していた。
(うん、確かにあれはないよね、、、たまにその時に兄さん達に遭遇するとズボンのベルトまで取られそうだったからね)

「えーと、葵ちゃん達はそのまま家に帰ったの?というか無事に帰れたの?」
「いや、、、無事には帰れなかったな」
「アレは尊い犠牲だった」
「感謝するしかなかったなアレには」
「、、、アレか、、、思い出させるなよ」
「え?え?何があったの?」
「あ~、、、とりあえず門の前までは誰にも会わず無事に高校を出られそうだったんだが」

アレがなかったら無事には帰れなかっただろうから私もアレにはとても感謝してる複雑でもあるけど。
(あの頃はまさか教師にまで兄さん達のファンが居るとは思わなかったもんね)




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