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五章 本当の問題

第90話(学園の様子)前編

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 私が兄さん達に甘やかされる事一時間後、紫さん達が学園に行っていた人を連れて部屋に来る。
(あれ?そういえば兄さん達三人以外はどこに居たんだろう?)

「紅、今帰った。それとやっぱりなかなか帰れなさそうだったから連れて来たよ」
「やっぱか。わりぃなお前ら」
「ぼくは紅の命令なら何でもするよ」
「兄上?灰炉くんもみんな今まで何処に?」
「そういやぁお前らには言ってなかったな。紫達には学園に行った奴らの迎えに行ってもらってた」
「何故?」

私は兄さんに抱っこされながら(実はさっきからずっとされてた)そう聞くと兄さんは私の頭を撫でながら説明してくれた。

「昨日学園に居た円鏡に連絡をもらったんだが色々あってなかなか帰れなかったみてぇでな?なら今日もそうなるだろうから紫を迎えにやった。それと灰炉はもしも近くに能力を持った奴がいても大丈夫な様にする為の保険で今は灰炉から離れると危ねぇ縁と炎信はオマケだな。それと緑は昨日学園に居た三人が見つけた怪しい奴の記憶を視る為に行かせた」
「ああ、だから兄さん達三人しか部屋に居なかったのか」
「おう、そうだ。で、どうだった?」

兄さんが学園に行ってた人達に話を聞こうとそう言うと白兄が兄さんから私を奪う様に取り上げてから私を抱き締めた。
(うわ!白兄、兄さんにはやっぱり容赦無いな。まさか蹴るなんて、、、兄さん痛そう)

「ぐっ~、、、白、お前なぁ」
「いつまでも葵を独り占めする紅が悪い」
「別にいいだろ!俺だってまだ葵の事抱き足りねぇんだから」
「駄目だ、次はわたしの番だ」
「あ~、、、こいつらの事は気にしねぇで話してくれ」
「うん、ぼくから言うね」

鈴の兄さんが話を進めるとみんな頷いた。
どうやら紫さんが始めに話すようだ。
紫さんが話し始めると兄さんと白兄もおとなしくなり話を聞いている。

「ただ迎えに行っただけのぼくの話は直ぐ終わるよ。ぼくが迎えに行った時みんな囲まれてなかなか帰れそうになかったよ、、、明無先生以外は」
「あ~、、、まぁ明無先生は、、な?」
「紅、別に気を使う事無いよ。明は変人だから誰も近づきたくなんてないだろ」
「暗お前身も蓋もない事を言うな?まぁ俺も同意見だがあの時は明無が羨ましかった」
「私と違って黒は思いっきり捕まって居たものね?ああもベタベタ触られては気色悪いだろうに」
「ベタベタ?」

何故かは分からないけどみんな囲まれてしかもベタベタ触られて動けなかったみたいだ、、、明さん以外は。
(まぁ明さんはね?むしろ明さんに捕まりたくない人の方が多そう。けどベタベタ触られて?好きでもなんでもない人にされたら気持ち悪いだろうな)

「黒、どういう事だ?」
「あ~、、、」
「白銀様は来なくて正解なくらいしつこかったからな」
「夕、どういう事だ?」
「ん?昨日からなんだけどよ、色々人が居なくなって、、、まぁ人が居なくなったのは俺らのせいなんだけどな。まぁそれは置いといて、人が結構居なくなったから不安に思った奴らが風紀の俺らに頼ってくるのはまぁ普通なんだけどよ、、、こういう時にイヤらしいことを考える奴らが多くてな」
「イヤらしいこと?」
「おう、まぁなんだ、、、、好きな奴に触れるチャンスだと思う奴が多くてな~、、、俺自身も結構好かれてるのを知ってるけど俺以上に剣聖のがヤバかったなあれは、、、溺れてたからな人が居すぎて」
「死ぬかと思った」
「まぁそんなんでベタベタ触られてたんだけどよ、触り方がなんてぇの?普通じゃねぇんだよ何て言うか、、、」
「ベタベタって言うよりヌットリとかだな。下手すると人が見てねぇと思って舐めてこようとした奴らもいたからな」
「え?マジで?剣聖お前、舐められそうになったの?」
「ああ」
「うわぁ、、、ならやっぱり白銀様は来なくて正解だったわ。俺が居るって気づかないで話してた奴らが居るんだけどよ、そいつら何て言ってたと思う?」
「、、、その様子だと白の事を話してたんだろ?」
「おう、そいつら『白銀様が居なくて残念ね。今、白銀様が居たらなにかと理由をつけてあの美しい肌に触れられたでしょうに』とかはまだ、、、まだましな方なんだよ!酷い奴らだと『白銀様を押し倒しても事故ですみそうなのに何で居ないんだ?あの美しい肌に口づけても大丈夫そうなチャンスだってのに!』とか言ってた奴らもいるからな!」
「、、、夕、そいつらが誰か分かるか?」
「ん?当たり前だろ?白銀様に不埒な事をしようとした奴らを俺が調べないとでも?」
「いや?そんなことは思ってねぇよ?ただそいつらの事を俺にも教えてくれ、、、俺が直々に制裁してやるから」
「お前が?、、、まぁ紅が直々にすんならこれ以上の罰はねぇだろうから良いぜ」

夕さんはそういうとカバンから紙を取り出して兄さんに渡した。
(兄さんの目一切笑って無かった。白兄の事になると嫉妬と独占欲が凄いから仕方ないんだけど、、、白兄を狙ってた人達は自業自得だから同情はしないけどね)

「あ~あ、白銀に手を出そうって奴らはバカなのか?鬼をわざわざ起こす事ねぇのによ。まぁそういう奴らは葵ちゃんに近づけるのも嫌だからさっさと居なくなって欲しいけどな」
「というかお前ら弟の事を大切にしてるくせにそういう事よく弟の前で言えるよな?」
「オレ達は確かに葵ちゃんを大切にしてるけど葵ちゃんはこんな事でどうにかなるほど弱くねぇよ」
「そうだな、白兄の事で兄さんが怒る(というか嫉妬と独占欲で怒りになる)のはいつもの事だからな。それに、、、」
「それに?」
「オレもオレの大事な白兄に不埒な事を思ってる奴らの事は許せないからな?そいつらがどうなっても嘲笑ってやるくらいだ」
「、、、葵ちゃん」
「ん?」
「白銀が死ぬから唐突にそういう事言うのはやめた方がいいぜ?」
「へ?白兄?」
「~っ、、、、。」

鈴の兄さんに言われて白兄を見ると白兄は私を抱き締めながら真っ赤な顔をして震えていた。
(え?何で?あれ?、、、白兄息してな、、)

「白兄!息をしろ!」
「、、、、は、はぁ、、はぁ、、、すまな、、は、少し、、待ってくれ」
「ああ、ちゃんと息を整えてくれ」
「白、、、、気持ちはすっっっげぇ~分かるぜ?けどすっっっげぇ~羨ましい!俺も葵に大切って言って欲しい!」
「なに言ってんだ兄さん?兄さんがオレにとって大切な兄貴なのは当たり前の事だろ?そんな当たり前な事を言う必要があるのか?」
「~っ!葵!大好きだ~!」
「そうか、オレも大好きだぞ?」
「なぁ剣聖、、、葵ってすっげぇな」
「ああ、しかも無自覚で言ってるぞあれは」

白兄がぎゅうぎゅうとさっきより力を込めて抱き締めてきてるのに兄さんが抱きついて来たので少し苦しい。
(う~んでも今引き離すのは良くないよね?どうしよう?我慢出来ないほどじゃないけど苦しいんだけどな)

「おいおい、お前らそれじゃあ葵ちゃんが苦しいだろ?少し力を緩めてやれよ?」
「おっと、悪い悪い。大丈夫か葵?」
「力を込め過ぎたか悪いな葵?これくらいなら大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ」

鈴の兄さんのお陰で息は苦しくなくなったが兄さんが抱き締めるはそのままらしい。
(白兄が兄さんを邪魔そうに見てる)

「まぁいい。話を進めてくれ」
「なら、次は俺と円鏡が話そう」
「そうですね。ではオレから話しますね?昨日のあの騒動が終わったあとの学園について話します」

円鏡さんが昨日の事を話し出した。
(昨日あのあとどうなったんだろう?変な事が起きてなければ良いんだけどな、、、無理そうだけど)



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