上 下
14 / 167
番外編、良かったら読んで下さい

可愛く愛らしい恋人 その八

しおりを挟む
紅視点

俺に抱っこを要求した葵が可愛すぎてヤバかったがそのあとの行動と言動に違和感を感じて菫を起こしている紫を指さして葵に紫が誰か分かるか聞くと葵は小さい頃に使っていた一人称である“ぼく”を使い答えた。
葵の異常をほとんど確信して白と鈴を呼ぶと二人も葵の異常に気づいたみたいだったがそこで暗を呼ぶ黒の叫び声を聞いた。
(なんだ!?)

「黒?」
「暗李に何かあったのか?」
「黒先生があんな風に叫び声をあげるのは初めてじゃねぇか?紅も聞いた事ねぇだろ?」
「白、鈴、行くぞ」
「「ああ!」」

葵を抱き抱えながら白と鈴と一緒に黒の側に行くとそこには焦った顔をした黒と顔を青くした明無先生がいた。
(黒も珍しい顔してるが明無先生がこんなに顔色を変えるのは異常だぞ!なにが、、、あそこで丸くなっているのは暗か?)

「黒、どうした?」
「、、、紅?」
「なにがあった?明無先生があんなに顔色を変えるってことはよほどの事なんだろ?」
「あ、、、ああ、、、暗、暗が、、」
「暗がどうした?」
「むか、昔に、子供の頃に戻って、怖がって、怯えて」
「黒!落ち着け!ゆっくり息を吸え!そして吐け!」
「え?息を?、、、、スー、、ハー、、、すまない、落ち着いた」

いつも比較的に冷静な黒がここまで取り乱すのはかなり珍しい事だ。
(さっきの叫び声からしても暗に何かあったみたいだが)

「で、何があった?」
「はぁ、、、暗をそろそろ起こそうと思い起こしたその瞬間だ」
「ああ」
「、、、暗が目を覚ますと突然震え出した。何事だと思い声をかけると暗は部屋のすみに行ったんだが、すみで体を丸めた暗は小さい声でずっと言っていたんだ」
「何を」
「それが、、、“ごめんなさい”“お父さん、ごめんなさい”“怖い、痛い、怖い”“誰か助けて”“ここどこ?黒どこ?怖い”とずっと言っているんだ。小さい頃みたいに大人のとくに男が怖いみたいでな、、、俺の事も起きた時は目の焦点が合ってなかったみたいで俺だと分かって無いみたいでな。それと男が多いこの空間が怖いらしく震えているんだ。精神も小さい頃に戻ってしまったみたいに」
「いや、黒、精神も子供の頃に戻ってる。葵もそうみたいだからな」
「は?なら暗は明無の事も分からないのか?」
「いや、それが葵の反応では何となく誰かは分かってるみたいなんだよ」

俺と黒が話していると明無先生が真っ青な顔をしながら暗に近づいていた。
(明無先生?、、、暗は明無先生が近づいても大丈夫なのか?大人の男が怖いんだよな?)

「、、、あ、暗、、、私が分かるかい?、、、近づいても大丈夫かい?」
「、、、あ、あ、、、明?」
「ああ、そうだよ」
「明!」

暗は明無先生に気づくと明無先生に抱きつくように飛び込んだ。
(んん?)

「明!明!怖い、怖い、明、、、はなれないで」
「もちろん!私が暗を手離すはずが無いだろう!」
「だって、さっきまでいっしょじゃなかった、、」
「ゴメン!暗が怖がるかと思って」
「明がいっしょじゃない方が怖い、、、黒は?黒はどこ?黒?」

暗は明無先生に抱きつきながら黒を必死に探していた。
(あれはヤベェな)

「黒さっさと暗の所に行ってやれ」
「あ、ああ、すまない」

黒は暗の所に行くと明無先生に抱かれた暗の頭をゆっくり撫でながら暗を落ち着かせていた。

「暗、暗、俺だよ。遅くなって悪かったな?もう大丈夫だからな?」
「黒、黒、、、はなれないで」
「ああ、離れないよ。明無も俺も暗の側に居る」
「、、、うん」

暗が落ち着いてくると俺の近くに緑が近づいて来た。
(ん?緑?なんか元気がねぇな)

「、、、紅先輩、、、暗は大丈夫ですかね?」
「まぁ大丈夫だろ。さっきよりは落ち着いてきたみたいだからな」
「、、、そうですね、、、葵には近づいても大丈夫ですか?怖がらないですか?」
「、、ああ、なるほどな。葵は大丈夫だ暗とは違ってそういうトラウマはねぇからな。それに」
「それに?」
「暗の奴お前を探してるみたいだぜ?」
「え?」

緑は暗のトラウマを刺激しないように暗から離れていたみたいだが、少し落ち着いた暗はキョロキョロと誰かを探していた。

「誰か探してるみたいですけどボクじゃ無いですよ。葵か菫を探してるんじゃないですか?」
「そりゃどうかな?暗はお前にかなり懐いてるんだぜ?誰かに甘えたい時はその懐いてる奴を探すんじゃねぇのか?」
「、、、そうですかね?」
「緑!」
「ほら、暗はお前をご指名みたいだが?」
「、、、、うん!紅先輩、ボクは、ボクは暗の所に行きますね!」
「ああ、行ってこい!暗が待ってるぞ?」
「はい!」

キョロキョロと誰か探していた暗は緑を見つけると緑に両手を伸ばし緑の名を呼んだ。
それを見た緑はさっきまでの暗い表情が嘘の様に満面な笑みで暗の所に走って行った。
(可愛い奴)

「クスクス」
「なに笑ってんだ白?鈴もニヤニヤしやがって」
「いや~?ナニって言われてもな?」
「クスクス、、、そうだな鈴矢。ただ微笑ましいと思っただけだが?」
「微笑ましい?それでなんでそんな笑ってんだ?」
「いや、緑はいつも慕ってくれてる暗が今は自分も怖がるだろうと思い暗から離れたが明無先生と黒先生のやり取りを見て寂しくなってしまったのだろう?そこが緑の可愛い所だが、その緑を慰めている紅を見れたのは嬉しい事だと思っただけだ」
「白銀は紅の見たことがない姿を見て惚れ直したのかも知れないがオレはただ好きな奴には相変わらずアマアマで優しいな~っと思っただけだぜ?」
「白は良いが鈴は死ね」
「イヤン!紅くんったらひど~い!」
「うるせぇ!」
「静かにして欲しかったら葵ちゃんをオレに抱かせてくれ」
「駄目だ」
「ケチ!ブラコン!心狭い!」

鈴の文句は無視しながら小さくなった一人の菫の方に行く。
(菫の方は何もねぇと良いが)



しおりを挟む
感想 189

あなたにおすすめの小説

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...