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四章 葵虐め事件の決着への道

第61話(噂が変わった?)黒、明無視点

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黒視点

一週間前に生徒達に聞いた噂は
『紅様の弟は紅様が優しいから我が儘ばかり言って紅様を困らせている』
『紅様の弟は幼馴染みだからといって優しい白銀様に、、』
『紅様の弟は紅様の弟だと言って紫様達に、、』
という葵くんが幼馴染み組に我が儘を言っているとか紅の弟な事を利用して俺達を脅しているとか無い事無い事ばかりのデタラメを噂されていた。
俺は苛ついた顔を出さ無い様に気をつけながら笑顔でその噂を誰から聞いたのかを聞いた。
その時、何でそんな事を聞くのかと言われたので俺は『一番初めの子にちゃんとした話を聞いてから俺もその子に注意してやりたいんだ』と言ったら素直に誰から聞いたかを話してくれた。
けれど最後の方の子に話を聞くとみんな誰から聞いたか覚えてないと言った。
(やはりそうやすやすと尻尾は掴ませてくれないか。だがどんな噂があるかくらいは調べておこう)


そして一週間後のあの作戦から2日たった日に新しい噂を聞いた。
その噂は
『紅様の弟が紅様達に甘えて笑ったらしい』
『笑った顔は紅様達を駄目にするほどの威力があるらしい』
『紅様の弟の笑った顔を見た奴らは倒れて、寝ても覚めても紅様の弟の笑った顔が浮かんで眠れないらしい』
『紅様の弟の笑顔は凄まじく恐ろしいらしい』
といったモノだ。
そしてその噂の元になった子の一人と今話している。

「もう一度今度はゆっくりと落ち着いて説明してくれ。大丈夫、それが分からないなら俺が一緒に考えてやるから」
「はい」

その男子生徒は深呼吸をしてからさっき混乱しながら話した事を今度は落ち着いてゆっくりと言った。

「俺は2日前に鈴矢様が退院して放課後に来ると、、えっと、その、誰かに聞いて普段は行かないあの場所に行きました」
「それで?」
「その場所には紅様と元気そうな鈴矢様がいらしてその後から白銀様と一緒に紅様と仲が良いお三人方がいらっしゃいました。オレはいや、そこに集まった奴らはみんなその豪華な集まりに少し興奮して居ました。そして少しすると、、、っ、紅様の弟とその紅様の弟と仲が良い二人が、手、てを、つな、」
「ほら、落ち着け。深呼吸してもう一度話してみろ」
「は、はい」

葵くんの話をしようとしてかなり動揺して、、いや、興奮して落ち着かなくなったので深呼吸させて落ち着かせた。
(やはりこれは、、、)

「ふぅ、、、それでその二人が紅様の弟と手を繋いで紅様達の元に来ました。紅様達と何か話した後に紅様達が弟の頭を撫でました。そ、その直ぐ後に紅様の弟がわら、笑ったんです!あの顔を思い出すと心臓の辺りが苦しくなって上手く呼吸が出来なくなるんです!けど何故かあの笑顔を忘れる事をしたくないんです!紅様の弟は紅様達を苦しめてる悪い奴のはずなのに?、、、違う、笑った顔が可愛い、うぁ、あいつは紅様達を苦しめてる悪いや、、あいつは可愛い奴?アレ?可愛い?何で?そんなはずは?」
「落ち着いてくれ。お前が凄く混乱しているのは分かったがそれは尊敬している紅達を苦しめてる悪い奴の意外な一面を見たから少し混乱して勘違いしてるだけだ。良く考えてみろ?お前が尊敬している人をそんなに苦しめてる悪い奴の事を可愛いと思うわけ無いだろう?いきなり意外な事が起きたから混乱して可愛いなんて変な事を思ってしまってるだけだ、そうだろ?」
「、、、そう、ですね。そうですよね?」
「そうに決まっている。もうその笑顔の事は忘れるんだ。そうでなければお前が辛くなるだけだぞ」
「アレを忘れる?、、、努力はしてみます」
「ああ、頑張れ」
「では、失礼しました」
「おう、気をつけてな」

話していた男子生徒は少し困惑しながらも保健室から出て行った。
実はこの話を聞くのはこれで五人目だ。
五人共同じ様な事を言って最後は困惑しながら帰って行った。
(これは相手の能力が弱まったわけでは無いだろうな。確かに噂通り葵くんの笑顔は凄まじく(可愛過ぎて死ぬほど萌える)恐ろしいモノだな。はぁ、、、紅に報告するにしてもこれはかなりヤバいんじゃないか?相手の能力が洗脳か暗示かは分からないが、それがなかったらあいつらみんな確実に葵くんに惚れてただろうな、、、これを報告した時の紅の顔が怖くて見られなくなる様な気しかしないな)



明無視点

私の所に来る生徒はかなり変り者が多い。
私自身も自分が変り者だと分かっているが私の所に来る生徒達は私と同じかそれ以上に変り者だ。
だからなのか自我が強過ぎてなのかは分からないが能力の影響を受けて居そうな奴は居ない。

「龍蓮花の弟を嫌ってる奴が最近多いけど何でだ?会った事も無い奴をどうやって嫌いになるんだ?」
「さぁ?みんな頭がおかしいんじゃないか?しかし会った事も無い奴をあんなに悪く言えるなんて恥ずかしくないのか?」
「俺は遠目にだけど龍蓮花の弟を見た事あるぜ?少し不機嫌そうな顔をしてたがかなりの男前のイケメンだったぞ?」
「私も見た事あります。隣に居た子がその弟を見た瞬間に舌打ちしたけど」

こんな感じで能力の影響を受けていなさそうだった。
私の所に来る生徒達は私の実験に興味がある者達がほとんどで私と同じで人に興味が全く無い。
そんな子達に少し変化が起きたのはあの作戦から2日後の事だった。

「私2日前にあまり人が行かない所に数人が行く所を見て何があるのか好奇心が疼いて着いて行ったんです」
「あ、俺もそれ見て気になって着いて行った」
「先輩もですか?なら、アレを生で見ましたよね!」
「ああ!俺、他人に興味が全く無いけど龍蓮花の弟は頭を撫でてあげたい!もう一度あの可愛い顔見たい!」
「私もです!あんなに可愛い子に興味無いなんて言えません!むしろ無茶苦茶すっごく興味あります!私も頭を撫でてあげたい!」
「オレはその弟を見た事無いけどお前達がそこまで言うその可愛い顔には少し興味あるな」
「噂も何か変になってましたけどアレを見てもまだ嫌いって言えるならある意味凄いと思いますね」
「アレは凄かった。ほとんどの奴、、、まぁ、俺も含めてほぼ全員が床とお友達になったからな。人の笑顔見て死ぬかと思うほどの衝撃を受けたのは初めてだったな」
「アレがいわゆる萌え死ぬってやつですね」
「だけどあいつだけ表情を変えないから少し怖かったな」

他人に興味が無いこの子達さえ葵の笑顔は衝撃的だったみたいだ。
(人にこれっぽっちも興味が無い私が可愛いと思うくらいだからな。しかし表情を変えない?)

「無表情だったって事かい?」
「先生聞いてたのかよ!けど、そうだな、、無表情ではなかった。あいつだけずっと同じ表情で笑ってた」
「笑って?」
「最初から説明すると原木と龍蓮花、、、兄の方ですよ?そいつの周りに椿と赤木と時根草と花乃宮が集まって少しすると龍蓮花弟が友達二人と手を繋いで龍蓮花の所に来たんだ」
「その辺りは私も見ました。確か龍蓮花先輩と原木先輩と椿先輩が弟くんの方を振り返った時、他の三人のうち二人は変な、、、アレは多分もの凄く嫌な人とか嫌いな人が来た時の顔をしたんですが一人だけ表情を変えないで笑っていて何か薄気味悪い感じがしました」
「そう、だけどその後に弟くんのあの笑顔を見て俺も崩れ落ちたけどもっと見たくて弟くんの方を見ると嫌そうな顔をしていた二人は俺達と同じ様に地面とお友達になっていたんですけどもう一人はずっと変わらない顔で笑っていて怖く感じました」
「へぇー、それは怖くて気色悪い奴だな。まるで感情が無いただ笑っているだけの人形みたいだな」
「あ!確かにそんな感じでした!」

その後も葵の事を話し合っていたが私は気味が悪いが良い情報を紅に報告が出来るみたいだ。
(良い情報を提供出来たら暗は褒めてくれるだろう。暗は葵の事が友達として大好きだからなその役に立ったら絶対に素直に褒めてくれる!ああ、報告するのが楽しみだ!)


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