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一章 葵と私の始まり

第7話(鈴の兄さんと私その一)

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 私は今、鈴の兄さんに怪我の手当てしてもらっている。
あの後、私の願いが叶ったのか何事もなく家に帰れた。
ただ、帰り道に誰も喋らなかったけど。
(今は少し落ち着いたみたいだけど、帰り道は本当に気まずかった!怖かったし!というか、何でこの三人が一緒に居る時に石を投げてきた!むしろ一人の時の方がまだ良かったよ!目の笑ってない人達と無言で一緒に帰るってどんな拷問だよ!)

「葵ちゃん、終わったけど痛くない?」
「すまねぇな、鈴の兄さん。元々そんなに痛くなかったからな、大丈夫だ。ありがとよ」
「少したったら夕食兼宴会だよな」
「紅達のお父上はいつもわたし達を歓迎してくれるな」
「あ~、それは白を親父が気に入ってるからだな。俺と親父は好きなタイプが似てやがるからな」
「紅、鈴矢、くれぐれも酒を飲み過ぎるなよ!明日も学園があるからな」
「分かってるよ、白。どうせ、一週間は続くだろうからな。休みの前の日に飲むさ」

兄さんも鈴の兄さんもお酒が好きで飲み過ぎる事がよくあるから白兄が忠告したんだけど、確かに白兄が泊まりに来るたびに父さんは舞い上がり過ぎて一週間くらい宴会をするもんね。
ちなみに、白兄もお酒は好きなのでよく飲むけど白兄は自分で飲み過ぎない様に注意して飲む。
葵または私の場合は嫌いではないのでお酒を進められれば飲む。
他のみんなは結構お酒に強いのに私だけ少し弱いのだ。


宴会が始まって少したった頃。
私は明日も学園なのでそろそろ抜けて寝ようかな?と思っていた。
兄さんは白兄を抱きしめながら飲んでる。
あれは父さんがお気に入りの白兄にベタベタしていたので、嫉妬した兄さんが父さんから奪って取られない様に抱きしめてるんだ。
(白兄、明日大丈夫かな?兄さんの嫉妬は凄いからな~。白兄を抱き潰さなきゃいいけど、、、無理だな絶対。白兄、がんばれー!)

寝ようと思って葵の部屋に向かってた途中で、鈴の兄さんが廊下で庭を見ながらお酒を飲んでいた。

「鈴の兄さん、部屋にいないと思ったらこんな所で飲んでたのか?」
「はは、、葵ちゃんはもう休む所?」
「ああ、部屋に帰る途中だ」
「紅達は?」
「父さんが白兄にベタベタしていたから兄さんが嫉妬して抱きしめてるぞ」
「うわー、、、白銀のヤツ明日大丈夫か?」
「オレは大丈夫ではないだろうと思ってる」
「そうだよな~、、、オレもそう思う」
「鈴の兄さんも余り飲み過ぎない様にな?」
「ああ、オレももう休もうかなと思ってた所だよ。部屋まで一緒に行こうか、葵ちゃん」
「ああ、分かった」

鈴の兄さんは立ち上がって私と一緒に部屋に向かうみたい。

「それじゃあ、オレが葵ちゃんを部屋までエスコートしよう」
「どちらかというとオレが鈴の兄さんをエスコートして部屋まで送らないと駄目なんじゃないのか?」
「いいの、いいの。オレがやりたいんだから」
「?なら、頼む」

少し話をしながら部屋に向かった。


私は今、迷ってる。
道にではなくて、兄さんを起こしに行こうかどうしようかに迷ってる。
絶対に白兄が居る。
居るだけなら別にいいけど、事情の後の姿を見たら白兄が可哀想だ。
(うーん、、、どうしようか?兄さん絶対に手加減してないだろうし)

「葵ちゃん居る?」
「?鈴の兄さん?どうしたんだ?」

私が悩んでいると鈴の兄さんが来た。
私は部屋の外に出て鈴の兄さんをみる。

「今日は白銀あんまり動けないみたいだけど、普通に歩けるみたいだから大丈夫だよ」
「鈴の兄さん、白兄に会ったのか?」
「うん、葵ちゃんが行くのは気まずいでしょ?オレなら慣れてるからね」
「すまない鈴の兄さん、助かる。兄さん達は今日、学園に行くのか?」
「それは大丈夫みたいだよ」

鈴の兄さんのお蔭で助かった。
(兄さん達、学園に行くのか。兄さんはいいけど白兄は本当に大丈夫かな?あ、そうだ!忘れてた!)

「鈴の兄さん」
「ん?何、葵ちゃん」
“チュッ”
「挨拶するのを忘れてた。おはよう、鈴の兄さん」
「ああ、じゃ、オレからも」
“チュッ”
「おはよう、葵ちゃん」

白兄と鈴の兄さんが泊まる時は二人にも挨拶をする。
ただ兄さんと違って軽いキスだけど。
(うわ~!葵の心臓凄いドキドキしてる!けど、凄い嬉しい気持ちもある。ただの挨拶だけど葵にとっては好きな人とのキスだもんね)

私はドキドキしながら兄さん達の所に鈴の兄さんと向かった。




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