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一章 葵と私の始まり

5.5話(藤美 黒)

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 俺は、生徒に恋をした。
紅は、俺の恋に答えてくれた。
紅がしてくれる事は、どんなに恥ずかしい事でも嬉しく感じる。
俺は、生徒を大事に思っている。
けれど、紅を困らせる者は生徒でも許さない。

『紅以上に大事な者なんていない。だから紅、俺を側にずっと置いてくれ』



初めて紅の弟の葵くんに会ったのは食堂で紅と白銀くんが言い争いをしていた時で鈴矢くんが連れて来た。
紅や白銀くん、紫くんは普段からは想像出来ない様な優しい態度で葵くんに接してた。
鈴矢くんもいつもなら人 (この場合は紅や白銀くん)に頼み事をされても面倒くさそうに仕方なくやるのに、葵くんには葵くんの食事を自分から聞き取り行ったのだ。
後から紅が葵くんが紅の弟だと言ったので、紅達が弟だから葵くんを可愛がっているのかと思った。
葵くんは食堂に居る時ずっと仏頂面をしていたが、紅の弟という事は極道の人なのだから、なめられない為にそうしているのだろう。
例えば、紅と鈴矢くんはいつも飄々としていて、白銀くんは葵くんと同じ感じで厳しい顔をしている。
 放課後に俺の保健室に集まって話の続きをする事になった。

放課後になり俺はみんなを待っていたが生徒に呼ばれたので書き置きをして保健室を出た。
 生徒の用事 (俺への告白だったが好きな人がいると言って断った)が終わったので、保健室に帰ろうとしていると途中で緑くんに会ったので一緒に保健室に向かった。

保健室に明かりが付いていたので誰かを待たせてしまった様だ。
緑くんと二人で謝りながら入ると葵くんがベッドに座り足をぷらぷらさせながら少し寂しそうな顔をして居た。

葵くんはこちらに気が付いて恥ずかしく思ったのだろう顔を真っ赤にして近くにきて真っ赤な顔を困った顔にして『気を抜いていた』やら『忘れてくれ』と言った。
あんな可愛い事を忘れるのは無理だ。
とどめに、自分が恥ずかしいと小さくなっていく声で言われた。

俺も多分、緑くんも我慢出来ないで葵くんの頭を撫でて気を抜いていたとはどういう事か聞いた。
葵くんは『ううぅ~。』と可愛い声をだしながら紅の大事な人しかいないと思ったから気を抜いたと言った。

俺と緑くんは変な声を出したが葵くんにさん付けで呼んでもらう事になったので大丈夫だ!

その後、紅達が来て葵くんに俺達の関係を説明する事になった。

紅は葵くんをベッドに座らせたあと葵くんの膝に頭を乗せいわゆる膝枕をさせてから説明していた。

最後に葵くんが俺達の宝物と言う事で説明は終わったが、白銀くんが説明している時くらい真面目にしろと言っている途中で、葵くんに膝枕をしてもらっている紅が羨ましい!と驚くくらい清々しく言い切った。

葵くんは白銀くんも膝枕をして二人の頭を撫でていた。
鈴矢くんは疲れたら容赦なく落としていいと言ったが葵くんは自分も楽しいと答えていた。

幼馴染み組 (紅、白銀くん、鈴矢くん、葵くん)以外はみんな驚いて固まってしまったが、葵くんがどうかしたのかと気にしてきた。
 俺は葵くんに(葵くんが居ると)いつもこうなのか?と聞くといつもこうだとこたえた。
葵くんは苦労しているみたいだなと思い頭を撫でた。

葵くんは頭を撫でている俺をじっと見てきたのでどうしたのか聞いた。

「撫でるの上手いな!今までで、一番気持ちいい」

と言って俺の手を自分の頬にスリ寄せた。
葵くんの顔がふにゃりと蕩けている。

俺に緑くんと紫くんが声援を出してくれるが俺は駄目かもしれない。
可愛過ぎて死ぬかもしれないと思ったのは初めてだ。

紅に葵くんのコレを誰かに見られたらどうするのか聞いた。

「大丈夫、知ってもそいつすぐ消えるから」

と言っていた。


紅以上に大事な者はいないだが、俺達の宝物の葵くんも大事だ。
紅は、普段の葵くんを俺達以外に見せたくないのだ。
紅は、すぐ消えると言ったけどそれでも葵くんを見られたら嫌な思いをするだろう。

俺達の宝物に近く者は、誰であれ俺が忠告してあげよう。
体に教えれば分かるかな?


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