籠の鳥はなく

あおい夜

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一章 籠の鳥は今日も鳴かない

ゲームの主人公の相談

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 今日は学校の休みの日で部活も無い。
そんな日に俺は一人でファーストフード店に居る。
何でここに一人で居るのかと言われるとこのゲームの世界の主人公に相談したい事があると頼まれたからだ。
簡単に言うと俺は主人公が来るのを待っている状態だ。
(この状況はゲームで見た事あるぞ!確か気になる人が出来たっていう相談で初めて俺が登場する場面だ。主人公はまだ誰とも結ばれて無くてこの時点で一番好感度が高い奴が分かるやつだ。そういえば主人公は誰と結ばれるんだろう?)

「スミマセンお待たせしました蒼志くん」
「別に待ってはいない。それより相談とはいえお前が俺に連絡するとは思わなかった」
「蒼志くんだから連絡したんです」

主人公、、、鳥見 密影(とりみ みつかげ)は真剣な顔をしてそう言った。
少しすると密影は儚く可愛い系の顔を真剣な顔から少し困った顔になる。
(珍しい、、、こいつが表情を出すとは)

「お前がいつもの無表情を崩すとは、、、そんなに切羽詰まっているのか?」
「いえ、、はい、そうなのかもしれません」
「、、、ゆっくりで良い、、、話せ」
「はい!、、、その、あの、可笑しいと、、もしかしたら気分を害されてしまうかも知れないのですが、、、」
「ふん、、、嫌な話をされるのが嫌なら元々ここに来てなど居ない」
「!、、、僕、、、ある、お、男の人が気になっているんです」
「、、、それで?」
「その、気になっているっていうのは、、その、、ドキドキするというか、、その、、」
「好いているのか恋愛感情に近い感情で?」
「、、、はい」

密影は俺が気分を悪くすると思って暗い顔をする。
(まったく、、、嫌なら来てないとさっき言ったはずなんだか。それにそういう話(男同士の恋愛話)は大好きだ!、、、俺も好きな男いるしな)

「密影」
「はい」
「俺はついさっき嫌なら来ないと言ったはずだぞ?」
「あ!、、けれど」
「男に気があると言われたくらいで引くわけないだろう?」
「え?」
「俺にはそれに関して偏見は無い」
「、、、、蒼志くん」
「だいたい同性に恋をして何がいけないんだ?異性に恋してるのと感情は変わらないだろう?」
「、、、ふふ、ありがとうございます」
「?」
「気にしないでください、ただ僕がお礼を言いたかっただけですから」
「、、、?なら良いが、、、それで相談とは?」

特に変なことは言って無いと思うが何故かお礼を言われた。
(こう言ったら悪いが不細工同士の異性がキスするのを見るより見目が良い同性同士がキスするのを見る方がこちらの気分的には良いと思うんだが)

「その、相談というのは、、その気になっている人物の事です」
「ちなみに誰だ?俺が知っている者か?」
「いえ、、、僕の今の相棒です」
「ほう、、、それで?」
「その、、普段は近づくだけでドキドキして仕方ないんですが、、、部活の時は部活に集中しているので大丈夫だったのですが、、」
「だった?つまり今は無理なのか?いや、もしかして駄目になりそうなのか?」
「、、、はい、そうです」

どうやら密影の今の好感度トップは今の密影の高校での相棒の四宮 日輪(しみや ひりん)みたいだ。
(この感じだとそのまま日輪と結ばれるかもな、、、だが日輪が密影を好きかは分からないんだよなぁ。これはただの相手側(攻略キャラ)の好感度で一番誰が高いのか分かるだけでその感情の種類が友情か恋愛かは分からないからなぁ)

「誰かに相談しないと爆発しそうなんです。まだ日輪くん、あ、僕の今の相棒の事です。その、日輪くんには僕がいつもと違う事はまだバレていません、、、昨日は少し変だと思われてしまいましたが」
「昨日?、、、どうしてだ?」
「その、、、いつも部活が終わったら一緒に帰っているんですが、、、その、」
「、、、お前が意識し過ぎて変な事でもしたか?」
「いえ、その、、、昨日は部活の仲間達と一緒に帰ったのですが途中からどんな女性がタイプかという話になりまして」
「、、、その質問でお前が変な事を答えるというヘマはしないだろうから、、、お前の相棒が答えた好きなタイプとお前では全然違うタイプだったというところか?」
「、、、はい、そうです。日輪くんが好きなタイプは言いたいことはハッキリと言う芯が強い女性がタイプらしいです。見た目は可愛らしく守ってあげたくなる様な人が好きだそうです」
「、、、、。」

日輪の好きなタイプを聞いて俺はある事を確信した。
(それメチャクチャ密影の事じゃね?密影は芯が強く見た目に反してハッキリとものを言うタイプの上に見た目は可愛らしく儚げで守ってあげたくなるタイプだ、、、、これはもう向こう(日輪)も惚れてるだろ?惚れてないとしても意識してないって事は絶対無いだろうが、、、日輪の奴はかなり鈍いからな、、、)

「、、、密影」
「はい」
「告白する気はあるのか?」
「え?」
「今すぐにではなくてもだ、そのうち告白したいか?」
「、、、僕は告白したいです。けれど、、、けれどそれで友達にもなれなくなるのは嫌です、、、そう思うと告白出来ないかもしれません」
「、、、。」

密影の気持ちは痛いくらい分かるので蒼志がゲームで言っていた言葉を使う事にした。
(素直に言葉で心配だと伝えられないが、これなら少しは密影の気持ちも軽くなると良いのだが、、、)

「まぁ相談くらいはいつでものってやる。告白するかしないかは自分で決めろ。俺はお前が後悔しないと言うならどちらでも良い」
「自分で、、、告白はしたいですが、、、けど、、嫌われるかも知れないのは、、、」
「ふん、したいのなら勝手にしろ」
「、、、、。」
「、、、お前が悲しまないならどちらでも良い(ぼそっ)」
「蒼志くん!」
「、、、コホン、、、その、、、い、一応お前の事は嫌いじゃないからな、、、辛いなら話し相手くらいはいつでもしてやる。告白もしたいならその相談にものってやるが怖いなら話しくらいなら聞いてやる、、、お前の事は嫌いじゃないからな」
「蒼志くん!ありがとうございます!僕も蒼志くんの事を大好きですよ!」
「、、、ふん!べ、別に大好きとは言っていない嫌いじゃないと言っただけだ」
「ふふっ、それは蒼志くんにとっての大好きだと僕は知ってます」
「、、、、ふん、、、お前の事は嫌いでは無いのは本当だからな」
「はい、僕もです。それと本当にありがとうございます。これからも相談をしても良いですか?」
「ふん、さっきも相談くらいしてやると言っただろう、、、いつでも連絡すると良い」
「はい!ありがとうございます蒼志くん」

普段は無表情の密影が凄く可愛らしい笑顔を浮かべていた。
(、、、さすが守ってあげたくなるランキング一位の密影の笑顔は可愛いな。日輪もこの顔を見れば直ぐに落ちるんじゃないか?、、、俺の好きな奴(真人)には恋人がいて100%無理だがな)

この話が終わってからは密影と一緒に買い物をしたり俺と密影が見たかった映画を見たりして一緒に過ごした。(あれ?これデートじゃね?)
そして家に帰るとスマホに密影と真人からの連絡があった。

『蒼志くん今日は色々と付き合っていただきありがとうございました。
また近いうちに連絡します』

密影からの連絡に俺は『勝手にしろ』と送った。

『蒼ちゃん、今日は何処か行ってた?家に行ったけど誰も居なかったから心配。
連絡待ってるからな!』

真人からの俺を思ってくれている様な嬉しくなる連絡には『用事があった。これくらいで心配するなバカ』と素直でない返事を送った。

“ブッブッ”
『心配するって!
心配させたお詫びに明日はオレとデートしてくれよ!
決定な!』
「デートってあいつは、、、」
『ふん!仕方ないから明日は付き合ってやる。
あとデートではなくただのお出かけだろうがバカが』

そう送り返しからスマホを置いて風呂に入った。
(あいつには彼女が居るだろうになにがデートだ、、、冗談でもあまり使って欲しくないな、、、嬉しく思った後に絶望が襲ってくるからな)



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