籠の鳥はなく

あおい夜

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一章 籠の鳥は今日も鳴かない

部活は籠の鳥

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 部活に着き軽いミーティングをした後それぞれ練習を開始する。
俺も真人も練習する為に腰から羽根を生やして籠の中を飛ぶ。

俺の部活は籠の鳥だ。
何を言ってるか分からないと思うので説明する。
籠の鳥と言うのはこのゲームの世界ではかなり人気の高いスポーツで文字通り籠の中を鳥の羽根を生やして飛び回る事だ。

このスポーツは六人と控えの二人で対戦する。
このスポーツの説明を簡単にすると時間内に対戦相手を鳥籠(誰も入れて無い時は手のひらくらいの大きさ)に閉じ込め自分達の陣地に多く置いた方の勝ちになっている。

スポーツする場所は大きな鳥籠で半径が五百メートルと少しあり高さがその倍以上あるバカデカイ場所だ。

そして腰に生えている羽根は自前だ。

そう、このゲームの世界の人間はみんな羽根が生えている。
前世を思い出した時はテンションが上がっていて羽根を生やしてから思いっきり羽根を触ったり動かしたりした。
羽根は自分の意思で生やす事が出来るがいつもは普通の人間と同じく腰には羽根は生えていない。
何処にしまってあるのか不思議だがゲームとはそういうものなのでその疑問は直ぐにしまった。
それと羽根で空を飛べるが距離はそんなに飛べない(走ってるのと同じ感覚なので疲れる)のだ。

話が逸れたがこのゲームの世界での人間は少し普通とは違う力を持っている。
羽根が生えている以外にも歌声や声に特殊な力がある者や目の見え方が普通の人とは違ったり羽根そのものに特殊な力があったりする。
その特殊な力を使って籠の鳥というスポーツをするのだ。

このスポーツには役割がありそれは“親鳥”“雛鳥”“鳴き鳥”“狩り鳥”“守り鳥”“偵察鳥”という。
親鳥はリーダーみたいなもので仲間の鳥達(籠の鳥というスポーツをする人間の事)に指示をする役割だ。
雛鳥は色々出来る鳥の事で親鳥の指示で色々な鳥(それこそ親鳥や狩り鳥など)になる事がある役割の者の事だ。
鳴き鳥は声に特殊な力を持った者がなる鳥で多いのは声で相手を混乱させたり歌声で相手を寝かせたりする事が出来るので相手の足止めなどに使われる役割が多い。
狩り鳥は鳥籠に鳥を入れる者の事で簡単に言うと攻めての者の事だが仲間が相手側に捕まった時は救う事もする役割でもある。
守り鳥は羽根に特殊な力を持った者がなる事が多い役割で巣(自分の陣地)に来た鳥籠を相手側に取り返されない様に特殊な力を使って守る鳥の事で多いのは風を操って壁を作ったりする事が多い。
偵察鳥は相手側の鳥が何処に居るのか偵察して探し出したりする役割で気配を消すのが上手い者が多い。

このゲームの世界の主人公の中学時代の仲間はこのスポーツの天才と言われていてそれぞれの高校にスカウトされて通っている。
ちなみに主人公は偵察鳥で俺は鳴き鳥だ。

「どうした?蒼(あお)ちゃん?」
「、、、、何でもない。それよりさっさとウォーミングアップを終わらせるぞ、、、真人」
「おう!」

考え事をしていたら真人が気づいて話しかけて来たのでこの後は真剣に練習する事にする。
ちなみにさっきの会話で分かると思うが真人は俺の事を“蒼ちゃん”と呼んでいる。
(真人が真剣に練習している姿はいつもよりもよりカッコいいんだよな)

ふっとした瞬間いつも笑っている顔から真剣な顔になりツリ目が特徴のジャニ系のイケメン顔は少し怖いくらいの美形になるのは俺が大好きな顔で俺だけが知っている秘密だ。




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