上 下
10 / 13
一章

再会は波乱を呼ぶ

しおりを挟む
 私と撫子が外から兄弟が居る部屋の様子を聞いて居ると何だか雲行きが可笑しくなってきた。

「ねぇ、憤怒」
「なんだ?」
「この世界の人って憤怒達が兄弟なの知らないの?」
「、、、私はあまり地上に来ないのでよく分からないが多分、知らないだろうとは思う」
「何で?」
「そうだな、、、私の兄弟達は多分だが、自分達七つの大罪が兄弟だということを言ったが無いだろう。それどころか兄弟だと臭わせることさえ言った事が無いだろうからな。私達を兄弟だと知っている魔族達などもわざわざ言ったりしないだろうから人間が知る事が今まで無かったから知らないだろうと思った」
「えっと、、、あれ?けど、七つの大罪って何回か召喚されてるんだよね?何でその時に分からなかったの?」
「?どういう意味だ?」
「え?、、うーん、、、そのね?七つの大罪って何回か召喚されてるんだよね?」
「ああ」
「その時に何で七つの大罪達の様子や雰囲気とか会話で兄弟までとは言わないけど何か親しいな?とか思われなかったの?」
「ん?、、、ああ」

私は先ほどまで撫子の質問の意味が分からなかったが、その言葉で撫子がある誤解をしている事に気づいた。
(まぁ、知らないのは仕方無い。撫子はこの世界に来たばかりみたいなものだからな)

「撫子、七つの大罪は基本的には一人しか召喚されない」
「え?」
「今回がイレギュラーなのだ。七つの大罪全員だけではなく、魔王まで召喚されたのは初代の時くらいだ。それ以降はほぼ一人で、たまに二人の時があるくらいだ」
「え?、、、つまり初代以外は七つの大罪の関係を知る機会が無かったって事?」
「まぁ、そう言う事だ。それと初代達は知っていたがその事を誰にも言わなかったのだろうな」
「あー、、、そうなんだ。なら、他の人達が知らないのは仕方無いね」
「ああ、そうだな、、、ん?」

何か雲行きが怪しくなったのを感じ、室内の方に意識を向けると勇者が何かを答えたあとに暴食が問いかけていた。

『何番目って?、、、あ!もしかして一番目は一番上って事?』
『当たりだ、勇者。つまり七番目は?オレ達の可愛い可愛い末はだーれだ?』

その問いかけを聞いた勇者達の顔が真っ青になった。
(何をやっているんだアイツらは?特に罪の無い勇者を虐めても可哀想だろうに)

「あ!憤怒どうしよう?勇者さんが、、」
「まったく仕方無い兄弟達だ」

私は撫子を両手で抱え直し、顔が見えない様に布を被せたあと、窓から部屋の中に近づき何か答えようとした勇者をさえぎって呆れた声で兄弟達に話しかけた。

「え、、あ、まさか、な、七番目は、、、ふ、ふん、」
「何をやってるんだお前達は?」

私がそう言うと当然ながら部屋の中の者達全員が私の方を向いた。
(、、、はぁ、本当に何をやっていたんだ?、、、あ、、、魔王、、、久しぶりに冷たい目ではない顔を見たな。まぁ、驚いたのだから当然か)

「、、、憤怒?」
「ああ」
「憤怒?」
「?ああ」
「憤怒、、、が、、何故?」
「?、、、、何の事だ怠惰?」
「何故、、、ここに?」
「ああ、お前達の気配がしたからだが?」
「、、、違う。封印されたと聞いたのだが?」

怠惰の言葉を聞き、何で怠惰達があんなに驚いていたのか分かった。
(これは最初から説明した方が良いのだろうな、、、まずは撫子の事からか)


ロン視点

呆れた男の声がした窓を見ると、そこには恐ろしいくらい整った顔に不敵な笑みを浮かべてる男が浮いていた。
怠惰が憤怒と呼んだので、あの男が今さっきまで話題にあがっていた憤怒だということが分かった。
(だが、怠惰の言うように封印されていたんじゃ無いのか?、、、ん?何か抱えて、、人?)

「封印はされそうにはなったが、この通り大丈夫だ。この者が私の契約者になってくれたのでな」
「それでも封印されそうにはなったのか、、、」
「まぁ、そうだな、、、色々説明するからソファーを借りるぞ?」
「、、、ああ」

憤怒はさっきまで怠惰が座っていたソファーに座った、、、抱えていた人間をそのまま自分の足の上において。
(大事そうに抱き締めてるが、、、どこの誰なんだ?)

「まず、その人間は誰だ?」
「、、、私の契約者だが、、、勇者は少しだけだが知っているのではないか?」
「、、、あの時の、、、あの地下に残った」
「そうだ、、、そこの下衆が閉じ込めて私の贄にと差し出した子だ」

憤怒がそこの下衆と言いながら大臣を見た。
(マジかよ!本当に人間のクズだなこの大臣)

「ひっ!あ、あ、し、仕方無い事だったのだ!」
「うるさい、、、私が封印されそうになった事には怒りは感じていない。私を畏れるのは仕方無い事だからな?だが、、、」
「ひっ!、、、」
「何故、この子を陥れた?この子は勇者の回復者としてお前達が召喚した者だろう?無理矢理にお前達がこの世界に召喚した者だろう?元の世界に還せない異世界からの召喚をしておいて放置どころが殺そうと、いや、殺そうとするよりも酷い、、、何故、贄になどと?」
「え?」
「は?」

憤怒が大臣を見ながら言った言葉に思わず俺と勇者が声を上げてしまった。
(回復者?異世界からの召喚?、、、それを贄にだって?)

「話を遮って悪い、、、だが、本当なのかその話は?」
「ロン、憤怒が嘘をつくはずが無いだろう?何の得にもなりはしない事に嘘を言っても仕方無いだろう?」
「わりぃ、分かってんだが、、、大臣なんて地位の奴がそんなクソみたいな事するとは思わなかったもんでな」
「普通はしないだろう、、、七つの大罪の一人を封印する事も含めてな?」

怠惰はダルそうにそう言っていたが目は冷たく怒りを称えていた。
(さっきよりは落ち着いたみてぇだが、、、いつさっきの状態に戻るか分からねぇから気をつけねぇとな)

「あの、話を遮って悪いけど、、、その子がオレの回復者?」
「、、、勇者か。そうだ、勇者の回復者で私の契約者だ。そうだな、、、まずはこの子の紹介をしよう。自分で出来るか?」

憤怒が抱いているその子にそう話しかけるとその子は頷いた。
(さて、どういう子なのかね?)



しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

夫の心がわからない

キムラましゅろう
恋愛
マリー・ルゥにはわからない。 夫の心がわからない。 初夜で意識を失い、当日の記憶も失っている自分を、体調がまだ万全ではないからと別邸に押しとどめる夫の心がわからない。 本邸には昔から側に置く女性と住んでいるらしいのに、マリー・ルゥに愛を告げる夫の心がサッパリわからない。 というかまず、昼夜逆転してしまっている自分の自堕落な(翻訳業のせいだけど)生活リズムを改善したいマリー・ルゥ18歳の春。 ※性描写はありませんが、ヒロインが職業柄とポンコツさ故にエチィワードを口にします。 下品が苦手な方はそっ閉じを推奨いたします。 いつもながらのご都合主義、誤字脱字パラダイスでございます。 (許してチョンマゲ←) 小説家になろうさんにも時差投稿します。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

モブはモブらしく生きたいのですっ!

このの
恋愛
公爵令嬢のローゼリアはある日前世の記憶を思い出す そして自分は友人が好きだった乙女ゲームのたった一文しか出てこないモブだと知る! 「私は死にたくない!そして、ヒロインちゃんの恋愛を影から見ていたい!」 死亡フラグを無事折って、身分、容姿を隠し、学園に行こう! そんなモブライフをするはずが…? 「あれ?攻略対象者の皆様、ナゼ私の所に?」 ご都合主義です。初めての投稿なので、修正バンバンします! 感想めっちゃ募集中です! 他の作品も是非見てね!

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

処理中です...