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四章 学園は遠い

吟遊詩人の布を引き剥がしてはならない

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 少し眠って居たが下から凄い音が聞こえてきた。

「ん?何?何かあった?」
「みぃ?」
「あんまり休めてないけど、下が気になるし、、、イズミ、下に行ってみようか?」
「みぃ?、、、みぃ!」

私は着替えてからイズミを抱っこして下に向かった。

「ーろ!ーせ!」
「コンくんの声?」
“ガッ!”
「ん?なんか殴った音?」
「ー!」

私が階段を降りていると布を引き剥がされるコンくんが目に入った。
(なっ!)

「皆さん!もう大丈夫です!」
「コンく、、、ん」
「、、、はっ!こりゃ、上物だぜ!顔が極上なうえにその目、紫色って事はモンスター使いって事だよな?」
「ッ離せ!」

男はコンくんの両腕を片手で拘束し、顎を掴んでコンくんの顔を上げさせる。
コンくんの顔立ちは親玉が言った様に極上だ。
中性的というよりは少し女性寄りの優しく穏やかそうな顔をしていて、紫色の目は大きくてタレ目だ。
銀色の髪は腰まであり、ユルくカーブしている。
(なんて事を!早く助けなきゃ、、、コレは、、)

「おい、お前ら!他の奴らも捕まえて早く帰るぞ!」
「「「へい!」」」
「治癒術師二人もこっちに連れて来い!先に帰るぞ!」
“ドンッ!バキッ!”
“ドサドサ”
「なっ!」
「さっさとそいつらを離して消えろ」
「レイガ様!」
「二人は返してもらいましたよ。コンくんのも返して下さい」
「マナカくん」
「ちっ、何なんだこのガキどもは!てめえら、何やってやがる!さっさとガキどもを捕まえッ!」
“バキッ!バシッ!ベシッ!”
「ッ、、いってぇ!ぐっ、誰だ!」
「セイカ!」

私は近くにあった杖(多分、魔法使いの)を持って階段を飛び降りて、男達の親玉の後ろから杖で思いっきり殴った。
親玉は頭を抑える為にコンくんを離した。

「てめえか!」
「セイカちゃん!」
「ッ!」

親玉が怒りに任せて私を殴る為に拳を振り下ろした。

“ドカッ!ドサッ”
「あまり無茶をするな、セイカ」
「、、、レイガくん。ありがとう」

殴られる瞬間、レイガくんが私の前に来て庇ってくれた。
レイガくんは拳を避けたうえに親玉を一撃で倒していた。
(レイガくん、本当に強いな)

「あ、コンくん」
「へ?あ、何?」
「はいこれ、コンくんの布でしょう?」
「あ、拾ってくれたんだ。ありがとう、セイカちゃん」

コンくんが布を被るのを見てから周りを見ると、どうやら全て倒したみたいだ。
(やっぱり、みんな強いな)

「部屋に行くぞ。そこで少し話し合う」
「分かりましたわ、レイガ様」

レイガくんの部屋(男の人数が多いので二部屋とってある)に話し合う為に集まった。

「コンくん、大丈夫?」
「もう、大丈夫。心配してくれてありがと、マナカくん」
「それと、その、世間知らずで悪いんだけど、紫色って何か意味があるの?あの男が紫色のコンくんの目を見てモンスター使いかって言ってたからどうしてなんだろうと思って」
「オレも知らないから良かったら教えてくれ」

マナカくんとキトくんは色の意味を知らないみたいだ。
(まぁ、みんながみんな知ってるっていうわけじゃないから知れなくても変じゃないけど)

「あー、知らない人は知らないから大丈夫だよ。二人は色に意味があるのを知ってるか?」
「いや、知らない」
「オレも」

どうやらコンくんが説明するみたいだ。
他の人達も静かに説明を聞く体勢になっていた。
(色か、、、私の色も、、、)

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