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三章 私とイズミの誘拐冒険

心配をかけてしまった

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 どんどん声が近づいて来る。
(聞いた事があるような?、、、少し遠いから良く分からないな。もう少し近くにくれば分かると思うけど)

「気をつけ、、~」
「すみ、~!~せん!」
「まぁまぁ、~。~無事で、、」
「もう~、、~。~はぐれたねぇ~」

かなり近くまで声の主達は来ていた。
(四人くらい居る?、、、やっぱり、あの声は、、、)

「ここの空間広~、、、えっ?」
「やっぱり、声の主の一人はローズくんだったか」
「おい!ローズ、誰か居るのか!」
「敵ですか?」
「いや、ローズの反応から敵では無いみたいだけど、、、ローズ、後ろがつまってるから早く出てくれないか?」
「う、うん、、、」

ローズくんは私のいる広い空間に入って来た。
(ローズくん、驚いてるな。まぁ、私がここに居るとは思ってなかったからだろうけど私も驚いた。まさか、洞窟の奥からローズくんが、、ローズくん達が現れるとは思わなかったし)

「ローズくん、こっちに来てくれるかな?私は今、そっちに行けないからさ」
「、、、セイカちゃん?」
「うん、そうだよ」

私が返事を返すとローズくんは私の所に一瞬で来て抱きついた。
ちなみに、一瞬で来たのは比喩でも何でもなく、隠密科で成績トップのローズくんは一瞬で私の目の前に来たのだ。
(ローズくん、震えてる。心配かけちゃったな)

「ごめんね?心配かけたね、ローズくん」
“ギュッ”
「、、、っ、」

ローズくんは抱きついたまま私の被っている布を強く握りこむ。
私はローズくんの気持ちが落ち着くまでローズくんの頭を撫でた。
(ローズくんを泣かせちゃったな、、、、。あー、他の三人は固まっちゃってるな)

「ローズくん、この人達は?」
「ん~?、、、オレの友達と後輩だよ~」
「おい、ローズ。そいつが探してたセイカか?」
「うん、そうだよ~」
「初めまして、吟遊科のセイカです。三人の事はそれぞれ知っていますので自己紹介は大丈夫です」
「ん~?セイカちゃん、それどうしたの~?」
「ローズ?それっていうのはなんだ?」

ローズくんは私の足を縛る鎖を見つけて言った後、みんなに分かる様に鎖のある方の私の足を見せた。

「酷いな。サイリ、取ってあげられる?」
「少し見せてみろ、、、。コレなら何とか出来る」

そう言ってサイリさんは鎖に解除の魔法をかけてくれた。

「コレで鎖は外せるはずだ」
「ありがと~、サイリ。セイカちゃん、鎖外すね~?」
「うん、頼むよ。、、、っ」
「セイカちゃん、痛いの~?」
「まぁ、1日中ずっと付けてたからね。少しアトになってるかも」

鎖は足を締め付ける様になっていた為、鎖を外す時に肌にくっついて少し痛かったのだ。
ローズくんが慎重にけど素早く鎖を外してくれたのでそこまで痛みはなかったが、真っ赤なアトが残ってしまった。

「サイリ~」
「分かっている。少しアトを見せろ」
「すみません、サイリさん」
「お前のせいでは無いのだから謝らなくていい」
<治癒(ちゆ)>

まだ少しアトは残っているけど痛みは全く無くなった。

「傷のアトは魔法で治す事が難しいのでアトは残っているが、コレなら少したてばアトは無くなるだろう」
「ありがとうございます」
「ありがとう~、サイリ。セイカちゃん何でこんな所で捕まってたの~?」

私はローズくん達に黒い狼くんの主人の事と悪性をばらまいている男の事を話した。

「この男の石化は治癒魔法では解けない。多分、呪術の類いだろうから解くなら呪術師を探さないとならないな」
「そうですか分かりました、説明ありがとうございます」
「いや、お礼を言われるほどではない」
「それで、ローズくん。何でこの洞窟の奥から出て来たの?」
「あのね~、最初にキトが瞬時ゲートで跳ばされそうになってるのをリンが助けようとしてそのリンを助けようとしたサイリがリンを掴んだ瞬間にゲートに吸い込まれて、一番後ろを歩いてたオレにゲートに吸い込まれたサイリの足が当たってオレも吸い込まれたんだ~」
「それで跳ばされた所がここだったのだ」
「まず、ローズくん達は何でここにいるの?」

なんとローズくん達は私を探す為にここに来たらしい。 
(レイガくんも来てるのか。心配してるんだろうな)

「あれ?それならローズくん達はレイガくん達とはぐれたの?」
「あ、そういえばそうだ~。一回外に出よう。キトとリンでその石の人運んでね~」
「外に出てどうするんだ?」
「んとね~、レイガ様がはぐれた時にコレを使えって言われた~」
「なんだ、コレは?打ち上げ花火の玉みたいだが?」
「コレを焚き火の中に入れると紫色の煙が出るって言ってた~」
「まぁ、外に出てレイガくん達と合流した方が良いね」

私達は外に向かった。
(黒い狼くんも心配してるよね?早く行かなくちゃ)

“ガチャ、ギィ”
「ワン、ワンワン!」
「おっと、黒い狼くん。心配させてごめんね?君の主人はこの人達に運んでもらったんだ」
「ワン!、、、ワン?」
「うわ、デカっ」
「おっきいな」
「ローズ、早くレイガ様達に連絡しろ!心配しているかもしれないだろう!」
「うん、分かった~」

レイガくん達に私達の居場所を知らせる為に焚き火に玉を入れ誰た。
(うわ、本当に紫色の煙が出た。けどコレでレイガくん達、私達の居場所分かるよね?)


この煙がレイガくん達以外にも気づかれてしまった事に私達は気づかなかった。

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