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一章 高校生活の始まり

見た目は儚げ、中身は勇敢なる者達(吟遊科)

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ある吟遊科(女)の視点

「あー、練習終わった!アッッツイ!これ被ってたら汗でびちょびちょだったなー」
「確かにそうだな。けど、お前は本当に見た目だけなら儚げで幻想的な吟遊詩人って感じなのに勿体ないな」
「お前には言われたくない!」

わたし達吟遊科は今、被り物を被っていない。
理由は暑いからという事と吟遊科の人しか居ないので『ま、いいや!』という事でみんな被り物を被っていない。

「そういえばオレ、サブ職の剣士で中級の技が使える様になったぜ!」
「私はサブ職の攻撃魔術で下級の魔法だけ、だけど省略出来る様になったわ!」
「お前ら凄いな!」
「何言ってるの?あんただって下級の治癒魔法だけど、かなりの人数を一気に回復する事出来るって聞いたわよ?」
「いやー、けど、下級魔法だからあんま意味無いしなー」

わたしはこの会話を聞いていてふと思った。
(いや、変じゃない?) 

「何であんた達、サブ職を極めてんのよ!変じゃない?わたし達吟遊科よね?」
「いや、お前に言われたくないよ!お前、守護魔術の上級魔法を使えるじゃん!」
「何言ってんの?(吟遊科の)みんなを守る為なんだから良いじゃない?」
「いや、オレ達も(吟遊科の)みんなの為にやってたら、何か使える様になっただけだから」
「そうなの?なら、問題無いわね」
「だろ?」

そうよね(吟遊科の)みんなの為なら普通よね?



ある吟遊科(男)の視点

俺達吟遊科は人気がかなり無いので他の学科の人達とパーティーを組む事が難しい。
余裕のあるパーティーに入れてもらえるくらいだ。
なので、吟遊科の中でパーティーを組む事が普通だと思うくらい多い。
吟遊科のみんなはほとんどサブ職を持っているので、吟遊科だけで組んでも特に問題は無い。
むしろ、人数が少ないので結束力はかなりある方だと思う。

「他の学科の人達ってあまり強い人居ないみたいに見えるけど、吟遊科の私達に遠慮してるのかな?」
「あー、確かに。他の学科だと俺達は、儚くて血を見るだけで倒れるんじゃないかって言われてるからな」
「なら、やっぱり私達に遠慮していつもの力を出さないのね?」
「じゃね?だってよ、本職の奴がサブ職の俺達より弱いってあり得ないだろ?」
「そうよね、私達って他の学科の人達に迷惑かけているわね」
「まーなー」

俺達の見た目が問題なのか、パーティーを組む人達は俺達に遠慮して本気を出さないみたいなんだ。
なので、吟遊科のみんなのサブ職より他の学科の人達が弱く感じてしまう。
俺達が(吟遊科の)みんなの為にこんくらい強くなれるんだから、本職の学科の人達はもっと強いはずなので、吟遊科の俺達の見た目と噂が迷惑かけているみたいでなんだか悪い気がする。

「みんなそんなに柔じゃないんだけどな」
「私達って良く見た目詐欺って言われるけど、慣れれば楽しいと思うんだけどね」
「やっぱり、俺達の見た目かー。俺自身はそんなに弱そうな感じだと思わないけど、他の奴から見たら違うみたいだからなー」

みんなの為に戦う意志は俺達吟遊科のみんなは持っているんだけどな。
他の学科の人達にも俺達吟遊科の事を知って欲しいな。



セイカ視点

吟遊科のみんなは気づいて無いみたいだけど、サブ職を持っている吟遊科のみんなはかなり強い。
本職の学科の人達よりも強いのだが、みんな気づいていない。
吟遊科のみんなは人数が少ない上に他の学科の人達から(戦闘的な理由で)人気が無いので、自分達の学科でパーティーを組む。
みんな自分の学科の人達が大好きなので、吟遊科の人達はみんなを守れるくらい強くなる様に成りたいと思って頑張っていると、何故か本職の学科の人達より強くなってしまうんだ。
まぁ、才能もあったんだろうけど一番の理由はみんなを守りたいっていう強い意志だと思う。

吟遊科のみんなは儚げな見た目だけど心はかなり勇敢な人達なんだ。

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