上 下
12 / 46
一章 高校生活の始まり

天女と神様を応援する隊団長(ランジェ)

しおりを挟む
「これから、神様と天女様を応援する隊を結成します。団長はレイガ様親衛隊団長のランジェがいたします!」

私が神様と天女様を応援する隊を結成して2年と半年が過ぎた。

「洞窟探索の授業でトラブル!レイガ様とセイカさんは無事なの?」
「はい、かすり傷一つ無いです」
「レイガ様が居るのだもの当たり前ね」
「はい、中で一緒だった人から聞いた事なんですが、レイガ様は天女様を片腕に座らせる形で抱き上げていたみたいです」
「レイガ様が、セイカさんを?」
「はい」

隊員達は少しざわついたけれど無理もないわ。
私もかなり悔しいのだから。

「わ、私もその場に居たかったわ!」
「私もです!神のレイガ様が天女のセイカさんを抱き上げていたなんて!」
「その場に居たかった!私も見たかったわ!」
「本当にそうですよね!ランジェ団長」

私達、神様(レイガ様)と天女様(セイカさん)(の恋)を応援する隊としてその場面を見たかったと思うのは仕方ないでしょう。

私達は元々レイガ様親衛隊だけをしていたのだけど、レイガ様がセイカさんに恋をしているのを見た瞬間、神様と天女様を応援する隊を結成したのよ。
レイガ様はセイカさんと他の人と接する態度はあからさまに違うので、一度セイカさんと一緒に居るレイガ様を見た人は直ぐにセイカさんがレイガ様の特別だと分かるくらいにあからさまなのよね。

レイガ様がセイカさん以外の人に恋をしたなら悔しくて仕方なかったでしょうが、セイカさんならむしろ早く付き合って欲しいくらいなのよ。

何故かって?
貴方、今年この学園に入学したのね。
 なら、教えてあげるわ。
セイカさんはこの学園では天女って呼ばれているわ。本人は知らないからセイカさんには秘密よ?
彼女が天女って呼ばれているのは、神たるレイガ様の相手が幻想的で美しい雰囲気をもつ吟遊科の子でなおかつ、セイカさんは神秘的で暖かい雰囲気を持っているから天女って呼ばれているの。

セイカさんは学園の女の子にとっても人気が高いの。
セイカさんは見た目の雰囲気と違ってとっても紳士でカッコいいのよ。
例えば、女の子が目の前で転んだらこう言うのよ。
『大丈夫?少し傷ついてるね。綺麗な肌なのに、痛々しいね。歩ける?歩けなかったら私が背負うよ。あまり力は無いけど君くらい軽いなら背負って行けるから』
って言うのよ。
しかも、歩けないと本当に背負って保健室まで連れて行ってくれるの。
本当に惚れてしまうほどカッコいいのよ。
惚れるといっても恋愛感情ではないわよ?人として惚れてしまうのよ。

多分、女の子はセイカさんに少しでも接する事があったならセイカさんに惚れてしまうわ。
セイカさんが男の人でなくて良かったわ。
男の人でしたらセイカさんに惚れてしまった女の子達がセイカさんを巡って争うでしょうからね。

そうね、貴方の言う通りよ。
確かにセイカさんは心がとってもイケメンだわ。
でも、可愛い所もあるのよ?
セイカさんはお菓子がとても好きなの。
私も自分で作ってセイカさんにあげるのだけど、私が初めてセイカさんの作ったお菓子を貰った時、人生で一番美味しいお菓子だったわ。

何処が可愛い所なのか?
これから話す所よ。
そのお菓子を貰ったのバレンタインの時なの。
日頃の感謝の気持ちを込めて頑張って作ったって言ってたわ。
セイカさん私の好みの形のチョコレートをくれたの!私の好きなモノを知ってくれていたみたいなのよ!チョコレートは一つ一つが私の好みだったわ。
私は一つその場で食べたの。
先ほど言った通りとても美味しかったわよ。
けど、セイカさんは少し不安だったのか『美味しい?ランジェさんが好きそうな味にしてみたけど、嫌じゃなかった?』って聞いてきたのよ!とっても可愛かったわ!

セイカさんがレイガ様にチョコレートを渡したかって?
当たり前じゃない。
一番最初にレイガ様にチョコレートを渡したらしいわ。
何でも、一番お世話になっているからだって言ってたわ。

応援する隊っていうよりセイカさんのファンクラブみたい?
そういえば貴方にはまだ言ってなかったわね。
私達は、天女様親衛隊兼ファンクラブにも入っているのよ?

ファンクラブの団長は私じゃないの。

誰かって?
その内紹介するわ。
あら、新しく入ってくる子が居るみたい。
ほら、あの子よ。
こちらに近づいて来るでしょう?

「あ、あの、ここは天女様親衛隊兼ファンクラブだと聞いたのですが?」
「そうよ、合っているわよ」
「わ、私も天女様のファンになってしまいました!どうか入れてくださいませんか?」
「貴女はどうしてセイカさんのファンになったの?」
「最初は天女様が私のクラスに来て誰かを探していたのを見て声をかけたんです」
「そう、それで?」
「今、天女様が探している人はいないけど、もう少しで帰って来るって教えました。そしたら、時間をとらせてごめんって、しかも私の事を可愛い子って言ってくれて、それで、その可愛い子が親切にしてくれて自分が嬉しいからってお礼にお菓子を貰ったんです!天女様、とってもとってもカッコ良かったんです!」
「貴方の情熱は伝わったわ。ようこそ天女様親衛隊兼ファンクラブへ」
「はい!」

これくらいで驚いていては駄目よ。
これくらいなら可愛いモノなんだから。
けど、これでセイカさんに手を出したら分かっているわね?

まぁ、貴方は何もしないだろうけどセイカさんに嫌がらせをする人も結構いるのよ。
それをセイカさんにバレない様に処理するのは天女様親衛隊の役目なのよ。

私の願い?
私の願いはレイガ様とセイカさんが幸せでいる事よ。
誰よりもね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と

鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。 令嬢から。子息から。婚約者の王子から。 それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。 そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。 「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」 その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。 「ああ、気持ち悪い」 「お黙りなさい! この泥棒猫が!」 「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」 飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。 謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。 ――出てくる令嬢、全員悪人。 ※小説家になろう様でも掲載しております。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...