お伽噺の目撃者の子孫

あおい夜

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一章 私の友達を紹介します

私の友達はみんなの憧れの的です

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 私の友達はシンデレラさん、浦島くん、桃さんの三人だけです。
ええ、少ないですよね。
けど、本当にこの三人しか私の友達は居ないのです。
何故、友達が居ないのか?ですか?
まず理由の一つは、私の影が薄いせいでほとんどの人 (人じゃない人も居ます)が私に気が付きません。
そしてもう一つの理由は、私が友達を元々作ろうと思ってないせいです。

友達を作ろうと思ってないのはそこまで欲しいと思ってない事と、この学園には物語の主人公かその物語に出てくる祖先を持つ人達しか居ません。
私はこの学園で唯一物語に一切登場していない祖先を持つ者です。
簡単に言いますと有名人と友達になって目立つのはちょっとっという感情です。
それだけが理由では無いのですがそれより、今日は他の人から見た私の友達たちの姿を話します。


まずはシンデレラさんです。
シンデレラさんは知っていると思いますが過保護な親のせいで普段の性別は男の人です。
中身は大変可愛らしい女の子なのですが今は違います。

「キャア!シンデレラくんよ!相変わらずクールでカッコいいわ!」
「ちょっとツンとして冷たいけど、そこが良いのよね!」
「プリンセスの中で一番憧れられてる物語の子孫ですもの、素敵なのは当たり前よね!」
「お近づきになりたい!」
「けどシンデレラくんは人嫌いって聞いたわ。私達が近づいたらシンデレラくんに不愉快な思いをさせてしまうかも知れない」
「だから私達、シンデレラくんファンクラブはシンデレラくんを遠くから見守っているのよ!何か合った時は直ぐに助けられる様にね」
「はい、会長!」

有名人の子孫達が通うこの学園の中でシンデレラさんはとても有名です。
女の子達にもモテますが、シンデレラさんは本当は女の子なので複雑でしょうね。
女の子達の憧れの物語の主人公の子孫なのだからか、恋愛話では何かと話題に上がります。

「お、シンデレラくんが来たぞ」
「相変わらず静かだよな」
「シンデレラくんはクールなんだよ!喋ると辛辣だけどそこもカッコいいだろ!」
「そんな事はここに居るみんな分かってんだよ。オレ達が何の集まりか忘れたのか?」
「オレ達はシンデレラくん友の会の集まりです」 
「そう!オレ達はシンデレラくんと友達になりたい者達の集まりだ。今日もファンクラブの者達に負けずに話しかけるぞ!」
「はい!部長!」

この様にシンデレラさんは男の子達にも人気がありますが、本当は繊細で人見知りの女の子のシンデレラさんが男の子達と友達になれるはずがありません。
ですが、この男の子達がシンデレラさんに話しかける事が出来る事はあまりありません。

「シンデレラくん!少し話を、」
「またあんた達!シンデレラくんは人嫌いなのよ!シンデレラくんに迷惑かけないでよ!」
「はあ?またお前らかよ!オレ達はシンデレラくんと友達になりたいってだけで迷惑かけてねぇだろ!」
「存在自体が迷惑なのよ!シンデレラくんは人嫌いって言ってるでしょ?話しかけるだけでも迷惑なのに何が友達よ!」
「お前らがそうやってシンデレラくんから人を遠ざけるから、シンデレラくんは一人寂しい思いをしてるんだろ!人嫌いってだけで友達に成りたくない何て思うわけ無いだろ!」

この様にシンデレラさんのファンクラブの遠くから見守っていたい女の子達が友の会の男の子達を妨害するからです。
ちなみに、シンデレラさんはいつも近くでやられるそれをかなり面倒くさそうな顔で見ています。
それとシンデレラさんは男の子に成ると心も少し男よりになるそうです。
そこに騒がし、、、賑やかな集団が近づいて来ました。
その集団の中心には白雪くんが居るのでしょう。
何故、白雪くんが居ると分かるかというと、その集団の中心を守るかの様に男達が囲んで居て、女の子達が白雪くんに話しかけながら白雪くんの通る道に石一つ無いくらい綺麗にしているからです。
白雪くんのファンは結束力があり儚い見かけをしている白雪くんに過保護です。
傷一つ付けない様にいつも守っています。

「おい、白雪が来たぞ!」
「え?シンデレラが居るのにか?」
「ヤベェ!近づいて来るぞ!」
「もうシンデレラは気づいてるんじゃねぇか!」

シンデレラさんが白雪くんに気づいて嫌そうな顔をしてます。
シンデレラさんと白雪くんは知らない人が居ないほど仲が悪いと有名で会った瞬間に喧嘩します。

「ちっ、朝から嫌な奴に会った」
「それはこっちのセリフだよ、シンデレラ」

口喧嘩が始まり少しするとイライラしながらシンデレラさんがそこから去って行きます。
また一人になって後悔しながら泣くのでしょう。
白雪くんと喧嘩した後のシンデレラさんに着いて行く人は誰も居ません。
白雪くんも少し一人になりたいと言ってファンから離れて何処かに行きます。
私は朝から泣いて居るであろうシンデレラさんを慰める為にシンデレラさんが居そうな所に向かいます。
何故かは分からないのですが、私が居そうだと思う所に探している人は居るので人探しには苦労した事がありません。



シンデレラさんが居そうな教室に向かっている途中で白雪くんを見かけました。
(またですか)

「クスクス、シンデレラは朝から嫌そうな顔をしてこっちを見ていたな。最後は少し傷ついてたみたいだな。もっと傷つけばいいのに」

白雪くんがシンデレラさんと喧嘩したあとに一人になるのはよくある事です。
そして私はその白雪くんをよく見かけてしまいます。
白雪くんが何でシンデレラさんに対してあんな態度なのかも知ってしまいました。

「もっともっと傷ついて、人嫌いが悪化してずっと一人で居ればいい。クスクス、僕がシンデレラが本当は女の子だって知ってる何てシンデレラは知らないんだろうな」

そう、白雪くんは何処で知ったのかは知りませんがシンデレラさんが本当は女の子だと知っています。
白雪くんはシンデレラさんを一人ボッチにしたいみたいです。
それが何故か知った時は何で私は目撃者なのだろうと思いました。

「男も女もシンデレラに関わらなければいい。ずっと一人で居ればいいんだ。そしたら成人したあとに僕がちゃんと迎えに行ってお嫁さんにしてあげるからね。シンデレラは僕だけを見れば良いんだ。お嫁さんにした後はちゃんとずっと幸せにしてあげるからね。愛してるよシンデレラ迎えに行くのが楽しみだよ。それまで邪魔者は排除しないとね」

聞いて分かる様に白雪くんはシンデレラさんの事を愛してます。
シンデレラさんも白雪くんを好きなので私がシンデレラさんにそれを伝えれば付き合う事になるでしょうが、、、白雪くんの話を聞いて分かると思いますが、白雪くんはヤンデレドSのヤバい人です。
とてもシンデレラさんに話せません。
付き合う事になった後、シンデレラさんの姿を見た者は居ないとかになるのは嫌ですから。


シンデレラさんは学園では憧れの的です。
ですが危ない人にも狙われている (実は白雪くん以外にも居ます。筆頭は白雪くんですが)ので白雪くんの意見に賛同するのは嫌ですが、あまり人に関わらず人と距離を置いた現状維持が一番良い様な気がします。
幸いにもシンデレラさんのたった一人の友達の私の言うことは何でも聞いてくれます。
シンデレラさんを狙ってる危ない人は狙っている事を伏せて、あまり近づかない方がいいと言ってありますので大丈夫だと思いますが少し心配です。
白雪くんの事はシンデレラさんが好きな人でもあるので近づかない様には言ってませんが、一番危ない人なので一応何も無いか見ています。
(目撃者の私には見る事が一番の情報になりますからね)

私はシンデレラさんが居るだろう教室に向かいました。
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