お伽噺の目撃者の子孫

あおい夜

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一章 私の友達を紹介します

私は目撃者の子孫です。

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 初めまして、私はミィという者です。
あ、私の名前なんかはどうでも良いんです。
そんな事より私が通ってる学園の事を話したいと思います。

私の通ってる学園の名前は昔の学園といってお伽噺に出てくる子孫達が通ってる学園です。
そう、お伽噺に出てくる人達の、、、私の祖先は誰もお伽噺には出て来て居ません。
なのに何故か私はこの学園に通う事になりました。
私の祖先の一人がシンデレラの隣に住んで居ただけのただのモブです。
物語の何処にもこれっぽっちも出て居ません。
何故この学園に通う事が出来るのか、、、実はもしかしたらっていう事が一つだけあります。

「おい!また、シンデレラと白雪が喧嘩してるぞ!」
「マジかよ!また、喧嘩してんのかよあの二人!これで今月何回目だ?」
「十回だよ」
「は?今日は5日だよな?」 
「会う度に喧嘩するからな~、、、あの二人」

やけに後ろが五月蝿いと思ったら、どうやら喧嘩をして居るから後ろが五月蝿かったみたいです。
ちなみに、シンデレラとか白雪とかはアダ名です。
本当の名前は別にあるのですが、シンデレラの子孫の~とか白雪姫の子孫の~とか言うのが面倒だった人達が勝手に (本人の許可無く)祖先の名前やら物語の名前やらが主役達の子孫のアダ名になったらしいです。

「シンデレラのその睨んでる様な目が嫌なんだ」
「オレは白雪、お前みたいにナヨナヨした男の方が嫌だ」
「っ、シンデレラが女だったら最悪だろうな?僕、絶対にイライラして不快になるだろうな」
「なっ!、、、てめぇみたいにナヨナヨして弱っちい奴よりは良いってんだよ!ふん!」

シンデレラは白雪から離れて怒りながら何処かに向かってしまいました。
私も帰らないと (実は、もう放課後)いけないので荷物を取りに教室に向かいました。


私は何でもっと早く帰らなかったんですかね?
教室にはシンデレラが一人で居ました。
シンデレラは少し泣いているみたいです。

「ひっく、ひっく、白雪の、、、ばか、、私が女の子だったら視界にも入れたくないくらい嫌われてるなんて、、ひっく、私は本当は女の子なのに!うえぇ~!」

シンデレラが涙を流すとシンデレラの体が光った後、シンデレラくん (男)はシンデレラさん (女)に成っていました。
(面倒な事になりました。けれど、私のカバンはあの子の隣にあるんですよね)

「はぁ、仕方ないですね」

私は教室に入ってシンデレラさんの隣の席 (私の席)に向かいました。
シンデレラさんは私に気づいて少し驚いた後に泣きながら私に抱きついて来ました。
(やっぱり、こうなりますよね)

「ミィ~!」
「女の子にまたなったんですか?」
「だって、白雪が、、、うぅ~、、ひっく」
「さっきの喧嘩なら見ていましたよ」
「あいつ酷い!オレが、、私が女だったらって~!ひっく、うえぇ~ん!」
「けれど、貴女が女の子だと知っているのはこの学園では私だけなのでしょう?」
「うぅ~、そうなんだけど、、ひっく、でも~」
「確かに、あんな事を言った白雪くんは酷いです。けれど貴女も色々言っていましたよね?それならお互い様ですが良くあそこで泣かなかったですね?頑張りましたね、偉いですよ」
「うえ~、ミィ!大好き!私も悪いの分かってるの、ひっく、だけどあいつの前だと直ぐに、うっく、口から悪態が出て~、ふぇっ、ごめんなさい~、うわぁ~ん」

私はシンデレラさんが泣き止むまでシンデレラさんの頭を優しく撫でました。
(私の前では素直で可愛らしい女の子なのですがね)

「私以外に友達はいらっしゃらないのですか?相談出来る方などは?」
「居ない。私が女の子なのを知ってるのはミィ以外はかなり年上の人だし、忠誠心が高いから友達みたいに出来ない」
「何故、私はシンデレラさんが女の子になる場面を見れたのですかね?」
「分からない。私が女の子だって知らない人が居る所では女の子には成らないはずなのにミィの時は成っちゃったから」

シンデレラさんは過保護な親に女の子だと知られては可愛過ぎて誘拐や男達に惚れられたりなど色々と心配だと知り合いの魔法使い (かなり強い)に相談して成人まで男の子になる魔法をかけられました。
シンデレラさんが元の女の子に戻るのは一人の時と自分の事を女の子だと知って居る人の前だけらしいです。

「ミィは本当に不思議だよね?一人だと思って女の子に変わった私をたまたま見たんだよね?私にかけられた魔法に何かあったわけじゃ無いらしいのは魔法をかけた魔法使いも言ってたし」
「そうですね。私の場合は偶然じゃ無いですか?偶然に一人になったシンデレラさんが偶然に女の子に戻った時に、偶然にその時だけ魔法が変になり、偶然にその時に私が通りかかって、偶然にシンデレラさんが女の子に成ったのを見てしまったって事です。そうでなければおかしいでしょう?」
「そうだよね?偶然だよね?」
「ええ、そうですよ。そうでなければ説明が出来ませんでしょう?」
「うん、そうだよね」

シンデレラさんが信じて下さって良かったです。
え、偶然じゃ無いのかですか?偶然だと思いますよ。
ただ、その時に通りかかったのが私でなければそんな偶然は起こらなかったでしょう。
何故かですか?、、、こういう偶然は私の家系がそういう偶然に良く遭遇するからです。
最初に私は何故この学園に祖先の誰も物語に登場して居ないのに通う事が出来るのか一つだけ心当たりがあると言っていたでしょう?
それがさっきのシンデレラさんに言った偶然です。
どういう意味か?ですか?


私の祖先達は物語の主人公的な人達のある決定的な場面を偶然に見てしまった人達です。
例えばシンデレラさんの祖先の本物のシンデレラの決定的な場面を祖先の一人が見てしまいました。
その決定的な場面というのはシンデレラの魔法が解ける場面を見てしまったのです。

「だけど見られたのがミィで良かった。慌てて動揺した私を優しく落ち着けて友達になってくれて嬉しかった」
「そうですか?私は人気者のシンデレラさんと特に目立つ事も無い影の薄い私などが友達になって少し申し訳ありませんでしたよ?」
「人気者、、か、、、人気者なのに私にはミィしか友達が居ないんだよ?私はミィと友達になれて凄く嬉しいけど?ミィは違うの?」
「いえ、私ももちろん嬉しいですよ。私はシンデレラさんだから友達になりたいと思ったのですから。これからもよろしくお願いしますね?」
「うん!よろしくね!ミィ」
「はい、シンデレラさん」

私の祖先達はシンデレラさんだけではなく他のお伽噺の主人公的な人達の決定的な場面を目撃してしまった目撃者です。
さっきの私とシンデレラさんのお話を聞いていた方は分かると思いますが、祖先だけではなく私も物語の決定的な場面を目撃してしまう目撃者みたいです。

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