お月様のいるところ

あおい夜

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二章 お月様の大切な人

12,白兎が、お月様を知った日

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 オレが夜月に会ったのはオレが120歳くらいで夜月が80歳くらいの時だ。
 夜月は父親と城に来ていたが父親は人に呼ばれ夜月は王族専用のプライベートルームで父親が帰って来るのを待っていた時にオレがその部屋に入ってしまったのだ。
オレはこの時、第三王子の待っている部屋と夜月の居る部屋を間違えてしまったのだ。

「お前は誰だ?第三王子の知り合いか?」
「君、部屋を、間違えてる。ここに、王子は、来ない」
「え!すまない、オレが間違えたみたいだ。すぐに出る」
「別にいい。君、ウサギ、みたいだね」

それはオレがよく言われる言葉なので反射的に返した。

「色が似ているだけだ!オレは似ていない!」
「フフ。君、ぼくより、年上みたいなのに、可愛いな。バカにしている、訳じゃないんだ。ただ、君は、ローブを着てる、ぼくを、変なふうに、見ないし、素直に、謝るから、素直で、可愛いなって、思ったんだ」
「お前はオレより年下みたいなのに、やけに落ち着きをはらっているがな。それにオレは君という名前ではない、白羽 空兎という名前を持っている」
「白羽家の人だから、白いんだ。空兎さんか、それだと、クーくんと、被ちゃうな」
「クーくん?」
「うん。この子」

いきなり大きな青いクマのぬいぐるみが出てきた。
しかも動いている。

「凄い魔力を感じる?まさかそのぬいぐるみは、、、神付きか?」
「うん。名前は、クーくん、だよ。兎さん」
「兎さんとはオレの事か?」
「うん。兎さん、名前に兎が、入ってるから、兎さん。空兎だと、クーくんと、被るから、兎さん」
「まぁいい。お前は何と言うんだ?」
「ぼくの名前、兎さんには、まだ言えない。王様達との、約束だから、まだ言えないんだ、ゴメン」
「何を言っている。陛下との約束なら破る訳にはいかないだろう。お前、そのぬいぐるみの主みたいだからクマ付きと呼ぶぞ」

クマ付きはローブで顔は見えないがとても嬉しそうに返事をした。

「うん。ありがとう、兎さん」

オレはそのあと王子の待っている部屋に向かう為にその部屋を出た。
王子のいる部屋に向かったが王子は陛下に用事があるらしく陛下の所に居ると言うのでオレは王子を迎えに行った。



「失礼しました。陛下」

使用人が出てきたので陛下のいる部屋が分かった。
オレは部屋に入ろうとノックをしようとした時。

「これで普通に話せるだろう。ローブを取ってもいいぞ」
「うん、分かりました。王様」

陛下とクマ付きの声が聞こえた。
どうやらさっきの使用人が扉をきちんと閉めなかったみたいだ。
部屋の中が少し見える。
悪いと思ったが少し覗くとローブを取ろうとしているクマ付きが見えた。
(クマ付きは陛下に用事があったのか?ローブを被らないとならない理由とは何だ?あ、クマ付きがローブを抜い、、、だ、、、)

「夜月、お前は名前の通り夜の月だな」

オレは無意識に陛下がクマ付きの名前を言っているのを聞いていた。
(クマ付きは夜月と言う名前なのか、、、オレは女も人も嫌いだが、あいつの事は最初から嫌ではなかった。あいつは、、、夜月は美しいな)

「夜の体調はもう良いのか?」
「ああ、雪が治してくれたんだよ月下」
「舞花、お前は本当に親バカだな」

オレは夜月に一目で心を奪われた。
話を聞いて見ると夜月は男として生まれている事になっているらしい。
確かにあの顔だと隠さなければ女だとすぐに分かるだろう。
あとは雑談になったので分からない事は明日調べる事にした。

次の日にオレは黒宮家の事を色々な方法で調べた。

「なるほどな、これなら陛下達が夜月の事を隠すのも分かる」

調べて分かった事は黒宮家の者達はほとんどが殺されている。
特に女だと攻撃する力も守る力もほとんどないので女だと知られるとすぐに殺される事が特に多いみたいだ。

「しかし夜月の母親は30年前に殺されているみたいだな。どのように殺されたかは分からないが夜月はとても悲しんだだろうな」

オレはもっと強くなりたい。
夜月を守る為に悲しんだりしない様に守りたい。

次にいつ会えるか分からないが夜に浮かぶ美しい月にオレはまた会いたいと思った。





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