お月様のいるところ

あおい夜

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二章 お月様の大切な人

10,龍花の大切な子供たち

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 僕が隣国から帰って来たあと昨日起こった事を報告されて驚いていた。

「昨日、黒宮家に突然モンスターが出現しましたが狩り人がすぐに撃退致しましたので被害はありません」

僕は頭が真っ白になっていた。

「、、か!、、、、い花!舞花!」
「?、あ、、!」
「気が付いたか?」
「げっ、、陛下?」
「舞花、オレの名前を言ってみろ」
「月下(げっか)僕は、」
「大丈夫だ、夜達を呼んでいる」

月下が夜達を呼んでくれているみたいだ。
僕は少し落ち着いたので月下に聞いてみる。

「月下、夜達に怪我は?」
「ないみたいだ。今問題に成っている突然モンスターなどが出現する事件と夜達に起こった事は同じらしいので話を聞く為にオレのプライベートルームに王子達三人と雪の仕事仲間を呼んでいる」
「モンスターを倒したのは雪達の所か。よく考えれば黒宮家に直ぐ入れるのは雪がいる所しかないか」
「少しは落ち着いてきたみたいだな?」
「ああ、少し落ち着いてきた。迷惑をかけた」
「無理はない、愛影の事がある」
「僕は、また間に合わないかと思ったんだ。けど、無事みたいで良かったよ」

話している内に月下のプライベートルームの一つに着いたので中に入れる。

「呼び立ててすまんな。皆揃って居るか?」
「父上、まだ黒宮家の二人が来て居ません」
「二人が?まだ時間ではないからな。もう少しで来るだろう」

そう話していると雪達が来たのだけど雪は夜を抱き抱えていた。

「申し訳ありません。少し遅れましたか?」
「いや、まだ時間はあるが、、、いや、もういい!堅苦しい言葉は、ここまでだ。ここはオレのプライベートルームだ普通に話せ」
「雪、夜はどうしたの?何で抱き抱えているの?」
「父さん。実は昨日の朝から少し高い熱が出ていたんだ。その熱はボクが下げてギリギリ微熱くらいになっていたんだ。けど、昨日熱があるのにモンスターが出て来たからボクの所に向かおうと外に出たんだ。それで今朝にかなり高い熱が出てボクも頑張って下げたんだけど何とか意識があるくらいまでしか下げられなかったんだ」

つまり夜は今、何とか意識がある状態なんだと雪は話した。
シーツを少し捲り、夜の顔を見た。
夜は苦しそうに息をしているが意識はちゃんとあるみたいで何か話そうとしている。

「夜、何か言いたいのかい?」
「ぼく、はなせる、だいじょうぶ。きのう、むしがたの、もんすたーが、でたとき、ぼく、わかった」
「夜、無理して話さなくて良いよ。ボクが説明するから大丈夫だよ。ボクも昨日の事ちゃんと知っているから」
「、、、うん。わかった、ゆきにい、おねがい」
「ここからは、夜に代わってボクが説明します」

そうして雪は昨日何があったかを説明した。
雪の説明で分かった事は夜が(月の)魔法を使っていた時にモンスターが出たけど夜はモンスターの気配を普段通り普通に感じていたらしい。
そうして雪の仕事仲間に夜の本当の性別とそれを隠す理由を教えたと言っていた。

「つまりここに居る奴らは夜が女だと知っているという事だな」
「はい、陛下その通りです」
「分かった。夜の事は夜の体調が良くなってから聞く。舞花、今日は家に帰れ今ここに居ても何も出来ないだろうからな」
「、、、分かりました。陛下、ありがとうございます」
「赤星の末っ子の方は今、分かっている事を報告してから解散する」

月下の言葉に甘え僕達家族は、家に帰る事にした。


 黒宮家へ続く廊下を歩いていると、雪が突然二階のバルコニーを開けた。

「雪?どうしてバルコニーに?」
「実はボクも最初来る時は歩いて来るつもりだったんだ。けど、夜が熱のせいで力のコントロールが難しいみたいなんだ。父さんも家の庭を見れば分かると思うけど」
「そうかなら飛んで帰った方が良いね。どのくらい凄いのか気になるけど」

多分、夜の力で家の庭が凄い事になっているんだろうと思いながら飛んで家に向かった。

「、、、確かに、これは凄いね」
「うん。けど夜がまだ頑張ってコントロールをしてくれてるから、このくらいで済んでるからね」
「一回だけ凄いのがあったからね。あの時は本当に大変だったからね」
「けど、深月兄様が居たからあれでも良い方だよ」
「そうだね。けど、これは凄く綺麗だね。普通は見られない光景だからね」

僕の目に写っている光景は黒宮家の庭に色んな花が咲いている。
そう、決まった季節にしか咲かない花も咲いている。
夜の黒宮の力は怪我を治す事と心を癒す事だ。
夜の力は人だけではなく色んな生き物達やたまに無機物にさえ効果があるのだ。
なのでこの光景は夜が力をコントロールする事が難しくて夜から漏れでた力のせいで花達が咲いているのだろう。

「さ、早く夜をベッドに寝かせてあげようか。夜、家に着いたからね?」
「うん」
「ほら、クーくんが出迎えてくれてるよ」
「ぼく、かえって、きた。ただいま、クーくん」
「クーくん、置いて行ってしまってゴメンね?」
“ふるふる”
「許してくれるのかい?ありがとう」

家に着いたあと夜をベッドに寝かせた雪は力を使って夜の熱を少しでも下げ様としている。

「ゆきにい、ぼく、もう、だいじょうぶ。ゆきにいの、ほうが、たおれるから、もう、だめ」
「けど、夜まだつらいだろう?」
「雪、夜の言う通りこれ以上するとお前が倒れてしまうよ?夜はそれが嫌なんだよ」
「うん。ぼくのせいで、ゆきにい、いっかい、たおれた。ぼくは、それをまた、みたくない、から、ゆきにい、やすんで?」
「だってさ?どうする雪?」
「分かった。だけど夜、苦しくなったら言うんだよ?」
「わかった」
「まだ昼間だけど二人共疲れてるだろう?少し休みなさい」

二人は素直に頷いた。
僕達の子は二人共とても優しくて兄妹思いの良い子に育ったけど二人共たまに無理をしてしまう時があるから心配だ。

雪は僕に似たのか他人にはかなり残酷な事が出来る。
その代わりに懐に入れた者にかなり甘くなる。
雪は自分自身を簡単に犠牲にしようとする事がある。
大切な者達の為に自分を差し出す事も簡単に出来るだろう。
けれどそれをさせない為に夜が我が儘?(脅し?)を言った。

『雪兄が、もし自分を、大切にしなかったら、ぼくは、熱が出て、死にそうになっても、隠れて、出てこないから、嫌だったら、自分も大切にして、欲しい。父さんも、だよ?』

僕にもしっかり釘を差してきたけど、そのおかげで余りの事がない限り無茶をしない様になった。
雪は隠し事が多い。
仕事柄仕方ない所もあるが大切な事もあまり喋らない。
(雪は何時になったら、恋人達の事を紹介してくれるのかな?)

夜は雪と反対であまり隠さない。
例えば、夜は白羽 空兎くんが恋愛感情で好きだと普通に言っていた。
空兎くんとは僕に会いに来たあとに話をしているらしい。
あまりにも普通に話してきたから僕達は『そうなんだ』としか反応出来なかった。
けど、隠す時は隠している事にすら気付かない。
それと夜はほとんど浮いて移動しているがコレにも理由がある。
昔ある事件があった時に足と心に大怪我をしてしまった時のトラウマで足の怪我は直ったけれど心の傷のせいでたまに足にかなりの激痛が起こる為その瞬間に転ばないためにほとんど浮いて移動している。
(僕達が居る時はクーくんが教えてくれるけど僕達が仕事をしている時は連絡して来ないから心配だな)

(愛影、僕達の子が幸せに成れる様に見守っていてくれるかい?いや、愛影なら見守っているよね。僕も二人がもっと幸せになれる様に願っているよ)




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