お月様のいるところ

あおい夜

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二章 お月様の大切な人

8,雪天使は、お月様が心配

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 今日はいつも通りに仕事が出来そうにない。
理由は分かってる。
ボクの妹の夜月が熱を出したからだ。
ボクの妹(弟という事に成っているけど)は体が強くない。
普通に散歩していても気分が悪くなる事も良くある。
しかもその子が今日の朝に高熱を出したので心配でならない。
(父さんは陛下と隣国に行っていないしやっぱり心配だな)

「雪さん?どうかしましたか?」
「ああ、弟が熱を出していて少し心配でね」
「確かあまり体が強くないって言っている弟さんですよね?なら、少し心配ですね」

彼は 時見 真(ときみ まこと)といって目が良い。
彼に見えない事はないんじゃないかと思うくらい目が良い。
彼は少し可愛らしい顔をしているから良く外でナンパに合うので心配になる。
彼は見るのが専門なので腕っぷしは強くないのだ。

「チィーっす!はようございます!何を話してんすか?」
「お前、遅刻だぞ!また男女遊びをしていたんだろう!」
「違います!オレ、アンタ以外はもういらないって言ったじゃないすか!」

こいつは 神剣道 麗師(しんけんどう れいし)と言う。
ボクの恋人の一人だ。
剣の達人で真剣に戦っている時はその絶世の美男子の顔がよりカッコ良くなる。
ボクと付き合う前は男女遊びをよくしてた。

「雪さんの弟さんが熱を出したので心配だなって話をしてただけですよ先輩?」
「お前も居たのかよ」
「僕が真君と一緒にいない方が変でしょう?可愛い真君がまたナンパされたどうするんですか!」

彼は 森木 庵(もりぎ いおり) 真君の恋人だ。
少し特殊な育ちなので世間知らずだが彼の使う魔法はとても強くてボク達の仕事の助けになっている。
優男みたいな顔をしているがとても真面目で良い子だ。

「みんな楽しそうだな。何かあったのか?」
「いえ。あの二人はいつもの喧嘩です」
「喧嘩はよくないと思うが?」
「あの二人の喧嘩はコミュニケーションですから大丈夫です。けど、雪さんの弟さんが熱を出したので心配しているって話をしてたんです」
「雪の弟君が?それは心配だな。確かお父上は今日、陛下と隣国に行っていていないのではなかったか?」

彼は 赤星 陽光(あかほし ようこう)と言って名前で分かる通り最高位の貴族の一人だ。
ボクの上司であり、もう一人の恋人だ。
容姿は良い(最高位の貴族は、何故かみんな顔が良い)が、余裕のある飄々とした人の様に見える顔をしている。
彼自身は真面目で少し熱い性格をしているのでそのギャップに始めは驚く人達が多い。

「何かあったら連絡してくれると思うから大丈夫だよ」
「けれど心配だろう?今日はもう帰ってもいいが?」
「今は駄目だろう?突然あらわれる魔物やモンスターの事がある」
「確か会合から最重要依頼として来たからな」

ボク達の仕事は狩り人(かりびと)が基本で請負人(うけおいにん)から依頼を受けてモンスターの討伐や依頼人の護衛や犯罪者を捕まえる手助け等をしている。
だいたいはモンスターの討伐等が多い。
ボク達のチームはかなり特殊なうえ強いので重要な事を任されるのが多い。
今回の依頼もそれだ。

「まぁ、速く解決して帰りたいけどね。そうもいか、、」
“ブッブッブッ”
「ゴメン、ロールが来たみたい」
「弟さんか?」
「多分、ちょっと見てみるね?」

ボクは携帯を開けてロールを見てみた。

〝あるじ、きけん、モンスター、きた〟

クーくんからのロールにそう書かれていた。
ボクは血の気が引いた顔をして速く行かないといけないと思った。

「雪?どうした?顔が真っ青だぞ!」
「雪サン?ちょっと、携帯見せてもらうっすから」

ボクの恋人達が心配している。
けどボクは窓のドアを開けて夜の所に行こうとしていた。

「雪さん?どうかしましたか?もしかして飛んで行くきですか!」
「雪さん、飛ぶのは見つかると駄目だって言ってましたよね?」

若い二人も心配しているがボクは窓から出ようとしていた。
そしたら恋人達が聞いてきた。

「雪、このあるじとは君の弟君の事でいいのか?」
「マジかよ!モンスターって今、依頼受けてるヤツだよな!」
「先輩どういう事ですか?説明して下さい」

部屋の中に戻されたボクは弟が危ない事を説明した。

「真君、雪のいや、黒宮家を見てくれ」
「はい!」
「皆も黒宮家に急ぐぞ!」

真君は視ているので庵君が背中に乗せて黒宮家に向かう。

「黒宮家にモンスターがいます!虫型モンスターです!」
「虫型!最悪だ!」
「どうしてだ、雪」
「夜、、弟は、体は強くないけど父の血を引いているから少しは戦えるんだけど虫型が死ぬほど嫌いで怖いって前言ってたんだよ!」
「え、なら、弟さんヤバくないっすか?」
「ああ、とてもね。しかも今日は熱を出して寝ていたのに!」

そんな事を話して黒宮家に向かっていると目の前に突然、夜が表れて抱きついてきた。

「?、っ夜!」

ボクは夜を抱き返した。
夜は少し震えていた。

「夜、怖かった?もう大丈夫だからね?」
「ん。怖かったけど、雪兄。アレ、気配する?」
「いや、気配は感じないよ」
「ぼくは、いつも通り、感じた。ぼくが、変なのか?」

夜はボク以外が居るのを分かっているからいつもの可愛らしい夜の声ではなく声変わり前の男の子の声で喋ってた。

「夜、その時いつもの魔法を使ってた?」
「階段、降りる時に、使った」
「なら、夜の魔法に隠し事は効かないんじゃないかな?」

夜はボクの言葉で理解して頷いた。
夜は喋るのが苦手でたどたどしく喋る(とても可愛いとボクは思う)けど、喋るのが苦手なだけで理解するのは速いし頭の良い子なんだ。

「雪サン、そいつ誰っすか?」
「もしかして、その子が雪の弟君か?」

ボクの恋人達に夜の事を説明しないといけない。
夜にもボクの恋人達と仕事仲間を紹介しないと。
だけどその前にモンスターを倒さないと!





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