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一章 お月様の毎日
6,お月様の日常~黒の癒し人~
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“ブオーー”
「雪兄、熱くない?」
「大丈夫、気持ちいいよ、夜」
ぼくは兄の髪を乾かしている。
兄の髪はサラサラしていて触っているぼくも気持ちが良い。
だから兄が居る朝はぼくが髪を結ぶ。
ちなみにクーくんも一緒にお風呂に入っていたりする。(ぬいぐるみだけど、神様なので水などに入っても大丈夫な上、傷まない)
クーくんはふわふわしている。
気持ちいい。
「雪兄、ケガしてたから、ぼくが、治しておいた」
「ケガまだあったか。ありがとう、夜」
「深い傷?お昼に、ぼくを抱っこしても、治ってなかった?」
「これは夜が帰った後に出来た傷だからね」
ぼくはかなり黒宮家の力が強い。
黒宮家の力は知っての通り癒し系の力で傷を治したり病気を治したり(軽い風邪などは直ぐ治る)精神的なことを癒すことができる。
一応、黒宮家の歴代の人達はすべて出来るが得意なもの以外の二つの力はかなり弱かった。
母は病気を治すことが得意で主にぼくがお世話になった。
病気を治すとは簡単に言うと体の異常を治す事だ。
例えば、毒に侵された人を解毒するなどの魔法だ。
母の病気を治す力は歴代の黒宮家でも類をみないくらい強いのでぼくが死ぬ寸前の高い熱を出した時、母が魔法を使って微熱くらいまで下がった。
病気を治すのが得意でも普通は何回か魔法を掛けて熱を下げるが母は一回で微熱くらいまで下げたのだ。
ただ母は他の二つが全く駄目だった。
傷はかすり傷くらいしか治す事が出来ない。
精神的な方は少し落ち着かせる事くらいしか出来なかった。
兄は母と同じで病気を治す事が得意だ。
母よりも力は弱いが母が強すぎただけで兄の病気を治す力は普通だ。
傷を治す力は縫わないと駄目な傷くらいなら治す事が出来る。
ただ、精神的な方を治す力は母と同じくらいだった。
そしてぼくは母と正反対だった。
つまり、傷を治す力と精神的な方を癒す力が類をみないくらい強かった。
傷を治す力は腕を無くした人の腕を直す事が出来る。
ただし、時間が断ちすぎると直せない。
精神的な方は末期の鬱の人を少し暗い人くらいに成るよう癒す事が出来る。
あと、この二つの力を一緒に使うとある一定の範囲でだが人を生き返らせられる。
それと二つの力が強すぎるのかぼくに触っていれば軽い傷や精神的な疲れが治る。(これも、ぼくが抱っこを好きな理由である)
だが、病気を治す力は全くないのだ。
「?雪兄、今日は、依頼、無さそうだった。けど、戦った?」
「うん、そうだよ。依頼は、無かったけど気配も無くいきなり魔物が出て来たから驚いて怪我をしたんだよ。心配かけてごめんね夜」
「雪兄、強いのぼく知ってる。怪我しても、ぼくが、治すから大丈夫。けど雪兄が、痛そうなの、ぼくが、好きじゃない、から、怪我、したら、ぼくに言って?」
「うん、分かってるよ。それに怪我をしても夜には直ぐにバレてしまうからね 」
「ん。雪兄や父さんが、痛そうなの、ぼくが、嫌なんだ」
「夜も気分が悪くなったら直ぐに言う事。病気を治す力はいまボクしか使えないんだからね?」
兄も父も怪我をする仕事が多いから心配でぼくは内緒でいつも二人の様子を見に行くのだ。
ぼくは体があまり強くないけど大事な人達を治す事が出来る黒宮家に生まれて良かったと思う。
「夜、もう寝るからベッドに行こう」
「ん。眠い」
ぼくはクーくんを抱き上げてベッドに向かった。
ぼくの家のベッドはデカイのだ。
キングベッドに近い大きさなので男の人二人、少し小さい女一人、ぬいぐるみ一個くらいは余裕で眠れる。
「雪兄、この頃、あんまり家に帰って、来れないくらい、お仕事、忙しい?疲れてない?」
「いや、仕事事態はいつも通りだったんだけどね。さっき言った気配も無くいきなり出てくる魔物やモンスターの事を調べていたんだ」
「ぼくと同じ、月の魔法?」
「それはないね。かなり集中したらなんとなく分かるし魔力は感じるからね」
「魔物は、国の中に出てくるの?」
「ああ、何故かね。だから夜、今日みたいに家の外に出てくる時はクーくんを連れて月の魔法を使って誰にも分からない様にしてね?」
「うん、分かった。お休みなさい、雪兄」
「ああ、お休み、夜」
雪兄はぼくがほとんど毎日家の外に出ているのを知らないからあまり心配をしていない。
多分いつも家の庭を散歩するか隣の城(黒宮家は王族の緊急時の医者みたいな人なので城の近くに建てられている)に父に会いに行く事くらいしかしていないと思っているからだ。
(ぼくはね、とっても我が儘なんだ)
ぼくはぼくをクーくんごと抱きしめて眠る兄を見る。
(ぼくの大事な人達が痛いのも苦しいのも、それを隠して笑いながら泣いているのも、ぼくが嫌なんだよ)
ぼくは兄の頭を撫でる。
(だから、何があってもぼくは味方でいるし側に居るんだよ?ぼくがそうしたいから。だから、悲しかったら泣いて傷ついたらぼくが勝手に治すから)
ぼくはぼくの大事な人達に我慢をして欲しくないのだ。だからそう思いながら眠った。
「雪兄、熱くない?」
「大丈夫、気持ちいいよ、夜」
ぼくは兄の髪を乾かしている。
兄の髪はサラサラしていて触っているぼくも気持ちが良い。
だから兄が居る朝はぼくが髪を結ぶ。
ちなみにクーくんも一緒にお風呂に入っていたりする。(ぬいぐるみだけど、神様なので水などに入っても大丈夫な上、傷まない)
クーくんはふわふわしている。
気持ちいい。
「雪兄、ケガしてたから、ぼくが、治しておいた」
「ケガまだあったか。ありがとう、夜」
「深い傷?お昼に、ぼくを抱っこしても、治ってなかった?」
「これは夜が帰った後に出来た傷だからね」
ぼくはかなり黒宮家の力が強い。
黒宮家の力は知っての通り癒し系の力で傷を治したり病気を治したり(軽い風邪などは直ぐ治る)精神的なことを癒すことができる。
一応、黒宮家の歴代の人達はすべて出来るが得意なもの以外の二つの力はかなり弱かった。
母は病気を治すことが得意で主にぼくがお世話になった。
病気を治すとは簡単に言うと体の異常を治す事だ。
例えば、毒に侵された人を解毒するなどの魔法だ。
母の病気を治す力は歴代の黒宮家でも類をみないくらい強いのでぼくが死ぬ寸前の高い熱を出した時、母が魔法を使って微熱くらいまで下がった。
病気を治すのが得意でも普通は何回か魔法を掛けて熱を下げるが母は一回で微熱くらいまで下げたのだ。
ただ母は他の二つが全く駄目だった。
傷はかすり傷くらいしか治す事が出来ない。
精神的な方は少し落ち着かせる事くらいしか出来なかった。
兄は母と同じで病気を治す事が得意だ。
母よりも力は弱いが母が強すぎただけで兄の病気を治す力は普通だ。
傷を治す力は縫わないと駄目な傷くらいなら治す事が出来る。
ただ、精神的な方を治す力は母と同じくらいだった。
そしてぼくは母と正反対だった。
つまり、傷を治す力と精神的な方を癒す力が類をみないくらい強かった。
傷を治す力は腕を無くした人の腕を直す事が出来る。
ただし、時間が断ちすぎると直せない。
精神的な方は末期の鬱の人を少し暗い人くらいに成るよう癒す事が出来る。
あと、この二つの力を一緒に使うとある一定の範囲でだが人を生き返らせられる。
それと二つの力が強すぎるのかぼくに触っていれば軽い傷や精神的な疲れが治る。(これも、ぼくが抱っこを好きな理由である)
だが、病気を治す力は全くないのだ。
「?雪兄、今日は、依頼、無さそうだった。けど、戦った?」
「うん、そうだよ。依頼は、無かったけど気配も無くいきなり魔物が出て来たから驚いて怪我をしたんだよ。心配かけてごめんね夜」
「雪兄、強いのぼく知ってる。怪我しても、ぼくが、治すから大丈夫。けど雪兄が、痛そうなの、ぼくが、好きじゃない、から、怪我、したら、ぼくに言って?」
「うん、分かってるよ。それに怪我をしても夜には直ぐにバレてしまうからね 」
「ん。雪兄や父さんが、痛そうなの、ぼくが、嫌なんだ」
「夜も気分が悪くなったら直ぐに言う事。病気を治す力はいまボクしか使えないんだからね?」
兄も父も怪我をする仕事が多いから心配でぼくは内緒でいつも二人の様子を見に行くのだ。
ぼくは体があまり強くないけど大事な人達を治す事が出来る黒宮家に生まれて良かったと思う。
「夜、もう寝るからベッドに行こう」
「ん。眠い」
ぼくはクーくんを抱き上げてベッドに向かった。
ぼくの家のベッドはデカイのだ。
キングベッドに近い大きさなので男の人二人、少し小さい女一人、ぬいぐるみ一個くらいは余裕で眠れる。
「雪兄、この頃、あんまり家に帰って、来れないくらい、お仕事、忙しい?疲れてない?」
「いや、仕事事態はいつも通りだったんだけどね。さっき言った気配も無くいきなり出てくる魔物やモンスターの事を調べていたんだ」
「ぼくと同じ、月の魔法?」
「それはないね。かなり集中したらなんとなく分かるし魔力は感じるからね」
「魔物は、国の中に出てくるの?」
「ああ、何故かね。だから夜、今日みたいに家の外に出てくる時はクーくんを連れて月の魔法を使って誰にも分からない様にしてね?」
「うん、分かった。お休みなさい、雪兄」
「ああ、お休み、夜」
雪兄はぼくがほとんど毎日家の外に出ているのを知らないからあまり心配をしていない。
多分いつも家の庭を散歩するか隣の城(黒宮家は王族の緊急時の医者みたいな人なので城の近くに建てられている)に父に会いに行く事くらいしかしていないと思っているからだ。
(ぼくはね、とっても我が儘なんだ)
ぼくはぼくをクーくんごと抱きしめて眠る兄を見る。
(ぼくの大事な人達が痛いのも苦しいのも、それを隠して笑いながら泣いているのも、ぼくが嫌なんだよ)
ぼくは兄の頭を撫でる。
(だから、何があってもぼくは味方でいるし側に居るんだよ?ぼくがそうしたいから。だから、悲しかったら泣いて傷ついたらぼくが勝手に治すから)
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