お月様のいるところ

あおい夜

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一章 お月様の毎日

4,お月様の日常~今日の月もキレイだよ~

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 ぼく達はラブシーンを見ている。
カッコいい系の上級騎士さん(女性で貴族)と可愛い系見習いのメイドさん(女性で一般人)のキスシーンを見ている。

 数分前に父の仕事部屋を出たぼく達は、お城の探索(散歩)をしていた。
ぼくは月の魔法でふわふわ飛んで移動しているので近くにあった茂みの上を飛んでいた時にキスをしていた二人に会ったのだ。
実はこういうシーンに会ったのは始てではない。
結構いるのである。
人目を避けて、イチャイチャ、ラブラブするカップルが。
たまに無理矢理迫って押し倒し襲っている人もいるけどその人は後ろからおもいっきり殴り気絶させる。
 目の前の二人はラブラブの方らしい。
ただ、見習いのメイドさんの方が押し倒す方みたいだ。
まぁ、こういうこともままある。
ただ、二人の所に別の(男女の)カップルがイチャイチャしに来たみたいだ。
目の前の二人は気付いていないので茂みを揺らして気付いてもらおう。
立場上、騎士さんが押し倒す方ならまだ少し恥ずかしい思いをするだけだが反対だと騎士さんのプライドに関わる。

“がさがさ”
「え、何?」
「誰かいる、、イヤ、誰か来たみたいだ。此方に向かって来る」
「こっちに?なら、早く違う所に行きましょう」

そう言って二人は違う場所に移動するみたいだ。

『良かったな、クーくん』
“こくこく”
『ぼく達もいつもの所に行こう』
“こっくん”

ぼく達もいつもの所に移動する。
 それと、ぼく達の会話が聞こえないのはぼくの月の魔法は音も聞こえないように出来るからだ。
クーくんと話しを出来ているのは月の魔法の中に居るから会話が出来る。
月の魔法の中っていうのは簡単に説明すると、ぼくが月の魔法を使うとぼくを中心に円が出来る。
簡単いえば満月のことでその中に入っていれば姿、音、気配、魔力を感じ取れない。
ただ、ぼくが許可したものは中に入ってこられ中に居ればぼくの声も聞こえるのだ。



 ここは第三王子の部下、側近クラスの住む所だ。
ぼく達はその中のにある、ある部屋の前(ベランダ側)に来ている。
目的の人は部屋に居るので様子を見てみる。
 どうやら武器の手入れをしているみたいなので姿を見せていつもみたいに窓を叩く。

“トン、トン、トコン”
“トコ、トン”

変な音が鳴っているが、、、まぁ、気にするな!いつも、、、、こんなんだ、、、、普通に叩いてるのに、、、何故だろう?

「変な音がしたと思ったらまたお前か」
「うん、ぼくだよ」
「なぜいつもお前はここに来るんだ?」
「好きだから、ここに、来る」
「いつもお前はそう言うな。だが、あまりここに来るのは良くないのだろう?」
「バレなければ、大丈夫。ぼくは、ここが、好きだから、来るだけ。君が、嫌ならもう、姿を見せないように、する」
「オレは別に嫌ではない!いい加減に部屋に入れ。お前はあまり体が丈夫そうではなさそうだからこの暑さに負けて倒れられては此方が困るからな」

そう言いながら部屋にあげてくれる。
 この人は第三王子の親友で側近の人だ。
名前は 白羽(しらわ) 空兎(くうと)という名前で名字に色が付いている最高位の貴族の家系だ。

「兎(うさぎ)さん。お手入れの続き、して、大丈夫だよ?ぼく、今日は、早く帰るから」
「早く帰るのなら手入れは後でも良い。クマ付き今日は暑いのだから水分補給をしていけ今から紅茶を入れる。飲んでいけ」
「兎さんの紅茶、飲む」

空兎くんだとクーくんと被ってしまうのでぼくは兎さんって呼んでいる。
兎さんはぼくの名前を知らない。
なのでクマの神様をいつも連れているのでクマ付きって呼ばれてる。
けど、兎さんはぼくが黒宮家の人間だと本当は知ってる。
というか、最高位の貴族の人達は黒宮家が癒し系の魔法を使って王族の怪我や病気を治している王族の緊急時の医者みたいな者だと知ってる。
 普通の貴族の人達と一般人には嫌われてる黒宮家は女だとほとんど身を守る魔法や攻撃魔法も使えないのですぐに殺される。
なので何代か前の王様に頼んで女として生まれても男と偽っても構わない 。
という取り決めが決まったのだ。
だからぼくは男として生まれたと偽っている。ぼくが女だと知ってるのは家族と王族(王様と王子だけ)とぼくが信頼している友達だけだ。

『兎さんにも知られても良いんだけど兎さん女嫌いだからな』
「紅茶が出来たんだが、、、何か言っていたか?」
「別に、何もない。ただ、兎さん、やっぱり、動物のウサギに、似てるって思っただけ」 
「前も言ったが色が似ているだけだ!」
「確かに、兎さんは、カッコいいから、可愛いウサギには、似てないけど、やっぱり、何処か、似てる。それに、兎さんの兎って動物のウサギから、付けられたんだろ?」
「確かに色が同じだったからな」

 兎さんは艶のある真っ白な髪に緋色の目をしている。
その色がこの世界の動物のウサギに似てる。
 この世界の動物は前世の世界の動物と少し違う。
まず、この世界の動物は魔力を持っている。
次に、この世界にしかいない動物がいる。
例えば、ドラゴンとかがいる。

最後に、見た目も同じでほとんど変わらない動物と見た目が少し違う動物と見た目は同じだがかなり変わった動物がいる。

ほとんど変わらないのは、代表として例を挙げるなら馬だ。
ただ、魔力を使って速さを何倍にも出来る。

見た目が少し違うのは、例として猫でしっぽが最低二尾あり胸元に目の色と同じ宝石が埋まっている。

かなり変わったのは、例としてウサギで見た目は真っ白で目の色が緋色をしている普通のウサギだ。

ちなみに、この世界の動物は例外を覗いて種類の同じ動物はみんな同じ色をしている。  
ウサギの変わったとこは耳を羽根に魔法で変えて空を飛ぶことが出来る。
他にも色々あるが変わった能力があるということを分かったら良い。

「そういえば、兎さんこの前の、交流会に行った時、いつもより、モテモテで、大変だった?」
「何故クマ付きが知っている!」
「いろんな所で、噂してた。それに、兎さんに触った人、特に、女の人が、兎さんに触ったって、嬉しそうに言ってた。兎さん、女嫌いなのに、触られて、大丈夫?」
「お前には知られないようにしたかった!しかも何故、女嫌いの方も知っている?」
「女嫌いも、噂で、知った。兎さん、今回は、側近の方じゃなくて、白羽家の正装して、出たからだって、噂してた」
「クソ、こ…知ら…ら、意味が…ないか!」
「兎さん?声小さくて聞こえない」
「何でもない、ただの独り言だ」
「?そうか。けど、兎さんカッコいいから、モテモテでも無理ない。その日は、いつもよりもっと、キラキラだったんだろうな」

兎さんはカッコいいんだ!
顔立ちは少し冷たさを感じる儚い系で目は切れ長だけど少し大きい。
肌も髪も全体的に白いので目の赤が目立っている。
目を開けている時はカッコいい人という感じだが目を閉じていると儚げで守ってあげたくなる顔をしている。
友人といる時は冷静だが笑ったり軽口を叩いたりするが他人には鉄仮面のように表情を一切変えない上に辛辣であまり喋らない。
兎さんは女嫌いが目立っているけど本当は人嫌いでもある。
 白羽家はほとんどが儚げだったり守ってあげたくなる顔立ちをしているがその外見を無視するみたいに強かったり豪快な性格だったりするので、見詐欺一族としても有名なのだ。

「兎さん、紅茶、ありがとう。ぼく、今日は、もう、帰るから」
「ああ、分かった。クマ付き、何かあったのか?少し機嫌が良さそうだが?」
「うん。もしかしたら、今日の夜、良いことあるかも、しれないんだ!」
「そうか。夜か」

次に兎さんが何を言うかぼくは知ってる。

「今日の月も、美しいのだろうな」

兎さんは、この世界の人はこの言葉の意味を知らない。
ぼくの名前もぼくが何て呼ばれてるかも何も知らない。
けど、ぼくは知ってる。
その言葉の意味もぼくの名前が夜月だって言うのも夜って呼ばれてるのも知ってる。
 兎さんは月が好きだ。
月を美しいって言うのも夜に月は浮かぶから夜って言うのも初めてじゃあ無い。
だけど、その言葉はぼくにとって嬉しいことだ。
だからぼくも言う。

「そうだね。今日の月もキレイだよ」
(ぼくは、今日も兎さんを愛してます)

ぼくは兎さんに恋をしてる。



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