愛しき魔王様はレベル1

あおい夜

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四章 要らない勇者様

役立たずの勇者様

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「勇者様は、、、性別が女だな?」
「え?」
「うん、勇者は女の子だよ」
「え!?」

サージさんの質問にも驚いたが、瑠璃くんの返答で勇者様が本当に女の子だという事実に驚いた。
(え!?女の子?女の子!?勇者って言葉で普通に男の子だと思ってた!?)

「本当に女の子?」
「うん、僕もおしめ取り替えた時に気づいた。僕達の世界での漫画とか小説とかゲームとかではほとんど勇者って男だから僕は最初この子も男の子なのかなと思ってたよ」
「オレも!オレも男の子だと思った!女の子だったんだ、、、勘違いしてすみません、勇者様」
「あ~?うーちゃ?」
「ん、男の子でも女の子でも勇者は勇者だもんね?静かにしていてイイコだね」
「るー!きゃきゃ」
「るー!まーちゃ!まーちゃ!」
「ああ、魔王もイイコだね」

勇者様も魔王様も瑠璃くんに撫でられて嬉しそうだ。
(性別なんて些細な問題だよな!というか、瑠璃くん本当に魔王様に気に入られてるな。もう名前を覚えられてる)

「えっと、それで、サージさんは何で勇者様の性別を聞いたんですか?」
「、、、勇者様がアレらに要らないと言われた要因の1つだからだ」
「え?」
「役立たずの勇者として生まれたと、言われていたと言っていたな?」
「うん」
「それは勇者様が女の性別を持って生まれたからだ」
「えっと、瑠璃くんを召喚した奴らは女性蔑視(じょせいべっし)とか、男尊女卑(だんそんじょひ)とかなんですか?」

この城ではそんな事なかったのでそう聞いてみた。
ちなみに、この城では男とか女とかの前に強い者や賢い者などの能力が凄くある人が偉い!って感じだ。

「いや、この世界の国々はほとんどは男女差別はない。勇者様のいた国もそうだろう」
「なら、何で勇者様が女の子だったから要らないって言われたんですか?」
「、、、前例がある」
「前例?」
「対の勇者様や魔王様は99%男で生まれてくるが、1%というほとんど無い確率で女の性別を持って生まれる」
「99%、、、男」
「ああ、そうだ。古い資料を探ってみてやっと見つけても、魔王様と勇者様が過去に一回だけ女の性別を持って生まれたくらいしかない。それほどに女として生まれないのだ」

今の勇者様はとてもレアなのではと思ったが、サージさんの話の続きを聞くために言わなかった。

「その一回だけの女の勇者様に向こうの者達が役立たずや無能といったレッテルを貼ったのだ。その勇者様がした事は向こうにとってはとても許しがたい事だったのだろうが、それが後の女の勇者様と一緒くたにするのはバ、、、考え無しの狭量な奴らがしそうなことだ」

今絶対にバカと言いそうになっていたが、考え無しも似たような意味だと思うが、何となく胸くそ話になりそうなので勇者様と瑠璃くんを要らないと言った国の人達はバカなのだろうと思うことにした。

「その女勇者様は何をしたんですか?サージさんの話し方からすると、その女勇者様は役立たずでも無能でも無さそうですけど」
「そうだな、、、その女勇者様はエルフの出身らしく性別が女というだけではなく魔族と同じほどの寿命を持つ種族に生まれ落ちた」
「エルフは魔族と同じくらい生きるんですね?」
「ああ。その勇者様は仲間も連れず一人で当時の対の魔王様に会いに行ったらしい」
「それは、、、凄い行動力ですね」

オレなら無理だ。
しかもその時の勇者様は女の子だと思うと凄い勇気だとも思う。

「勇者様は神界の者達に魔王様を倒せと命じられていたらしいが、その勇者様はその命に疑問が湧いたらしい」
「疑問ですか?けど、神界の人達に命じられたからってその命令に従わないといけないんですか?」
「?、、、ああ、お前はこの世界の者ではなかったな。当時のこの世界では神界の者達の命令は絶対だった。今はほとんどそういう考えは無くなってきたが、当時は命を差し出せと言われたら疑問もなく差し出すくらいには絶対だったのだ」
「うわ、、、それは、、なんていうか、、」

気分が悪くなる話の類いだ。
農民だろうが、平民だろうが、頑張れば国のトップになれる世界の国で生まれ育ったオレからすると堪えられそうにない。

「えっと、それなら何で当時の勇者様は疑問に思ったんですか?」
「当時の魔王様も今と同じく特に何もしていなかったからだ。つまり、人に害を与えるような行為や世界を支配しようなどといった事はなに一つしていなかった」
「え?なら、何で神界の奴らは魔王様を倒すように言ったんですか?」
「アレらには魔王様が存在するのも許せない事だかららしい。意味も理由も考え方も思考も何も分からないが、要は魔王様が存在するのが嫌だというアレらの我が儘みたいなものだな。それは今現在も変わって無いみたいだがな、、、その証拠がここに向かわさせられたこの勇者様だ」
「は?」

あまりの事にドスが効いた声が出てしまった。
(つまり、現在のソイツらもこの魔王様 (ただいま赤ちゃん)が存在するってだけでも嫌だという我が儘で?要らないって言ってる勇者様 (ただいま赤ちゃん)を向かわせて?運が良ければどちらかが居なくなるウヒヒッて思って?瑠璃くんを勝手召喚して?一緒に魔王様の所に向かわせたって事か?)




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