愛しき魔王様はレベル１

四章 要らない勇者様

魔王様の対の勇者様

イライラを少し落ち着けてからサージさんの話を聞こうと少し深呼吸した。
(赤ちゃんに酷いことした奴等が居るってのが苛つくが、ちゃんとサージさんの話を聞かねぇとな)

｢まず、この世界では魔王様と勇者様は対で生まれてくる｣
｢対(つい)？｣
｢そうだな、、、魔王様が生まれると同じ時の同じ日に魔王様の対となる勇者様が生まれる。逆も然りだ｣
｢えーと、つまり？二人で一組みたいな感じですか？えっと、双子みたいな？｣
｢それに似た感じだ。魂の双子とも１つの魂が二つに解かれたとも云われているからな｣

つまり一卵性双生児が別の両親から産まれるみたいな感じか？とオレが考えている間にサージさんの話は進んでいく。

｢対の勇者様は人間である事が多くてな。魔王様がまだ幼子から子供と言ってもよい位の年頃に、勇者様は大人になっている者がほとんどだ。勇者様は見た目は人間の種族にしか生まれないからな｣
｢種族？そういえば、この世界には人間と魔族と、あと、し、神界の者？っていうのしか種族を知らないんですが、他にもいるんですか？｣
｢そういえば説明してなかったな。それと神界の者は見た目はほとんど人間だが天族(てんぞく)と呼ばれている。たまに羽根が生えている者もいるがな｣
｢羽根、、、天使みてぇ｣
｢あ、そういえば、僕を召喚？した人達の中に天使みたいな羽根が生えてる人もいたよ。あと、動物の耳や尻尾が生えた、、、あれは僕達の世界では漫画とか小説で獣人とか呼ばれてるよね？｣
｢あ～、、、漫画とかによくいる動物の特徴をもつ人間の事ですね？この世界にもいるのかぁ｣
｢？、、、じゅうじん？お前達の世界ではそう呼ぶのか？この世界では動物の特徴を持った者は獣騎(じゅうき)族と呼ばれるぞ｣
｢獣騎族、、、カッコいいですね｣

この世界だと天使や獣人などは天族とか獣騎族などと呼ばれてるらしい。
(他の種族も違う呼び方なのか？いや、けど、魔族や人間はまんまだからたまたまか？)

｢他にも色々な種族はあるが、他に有名な種族というとあとは、、、エルフと天聖(てんせい)族くらいか｣
｢エルフもいる、、、え？てんせい族？｣
｢ああ、天族に似た神聖性からきた呼び名だと言われている。その呼び名が付く前は確か、、、精霊族という呼び名だったな。自然を司る力を持つが、幽霊のように肉体が無い者達がほとんどだ。それとエルフは天聖族に似た種族だが、肉体を持っていて人間寄りの者達の事だ｣
｢ああ、精霊の事か、、、エルフは何となく分かります｣

どうやら精霊族も違う呼び名で呼ばれてるらしい。

｢まぁ、種族の説明はまた今度だ。今は勇者様の事で分かった事がある｣
｢分かったこと？ですか？｣
｢ああ、対の勇者様だというのに何故アレらに要らぬと言われたのか？ということだ｣
｢え！？サージさん、あの話だけで何か分かったんですか？｣
｢ああ。だが、その前に確認したい。勇者様は、、、｣

サージさんは瑠璃くんに勇者様の事で何か確認したいらしく瑠璃くんに聞いた、、、ある驚くことを。