愛しき魔王様はレベル1

あおい夜

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二章 魔王様はハイハイをする

魔王様の物はやっぱり黒いものが多い

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初めての外にテンションが高くなり喜んできゃっきゃ笑ってる可愛い魔王様を腕に抱きながら人の気配がする方にゆっくり歩いていると洗濯物が干してあった。
(、、、洗濯物が庭に干してあるのはまぁ、普通だけど、、、黒っ!洗濯物、黒っ!全部、真っ黒!灰色とかもねぇ!真っ黒だ!)

「え?黒くね?真っ黒じゃね?え?」
「きゃぅ、あ~?」
「あの洗濯物は全て魔王様の物だ」
「え?魔王様の物って全部?黒くないですか?」
「?魔王様の物は全て黒いに決まっているだろう?」
「え?そうなんですか?」
「、、、レーヤはこの世界の者ではないから知らないのも仕方ない。魔族の中で一番高貴な色といったら黒だ。黒系統の色はほとんどが高貴な色と言われている」
「なるほど、だから魔王様はオシメも黒かったんですね?」
「ああ、魔王様が身に付ける物だからな」

確かに魔王様の物はぬいぐるみを抜かすと黒い物がほとんどだ。
ぬいぐるみさえ黒い物が多い。
最初、魔王様のオシメを変える時もオシメが黒い色をしてびっくりした。
(なるほど、魔王様の物は黒系統が多いなって思ってたが、一番高貴な色だからか)

「ん?誰か来る?、、、え?」
「あう?レーヤぁ?」
「女の人の周りに籠がたくさん浮いてる?」
「、、、あれは魔法だ。この洗濯物を干しているのはあの者だからな」
「え?あの人が?もしかして全部やってるんですか?」
「ああ、ちゃんとやっているのはあの者だけだ」
「うわぁ、こんなたくさんを一人で?大変だろうな」

魔法だと分かったらなるほどと思ったけど、あの人が一人でこれをやってると聞いて凄いと思った。
その女の人はどんどんこっちに近づいてきてオレに気づいたようだ。
(あ、こっちに気づいた。挨拶しとこう)

「あ、どうも」
「はい、初めまして」
「初めまして、オレはレーヤでこの方のお世話をさせていただいてます」
「あ、はい。 (この赤ん坊は何処かの高貴な方のお子様なのでしょうか?)初めまして、私はメイド見習いの~?メーヤと申します」
「えっと、メーヤさん?」
「はい」
「その、オレと名前が似てますね?」
「え?、、、あ、本当です!似てますね!」

オレは女の人に挨拶をして少し喋るとあれ?っと思った。
(もしかして、普通に話してる?この人、オレの事を避けてない!)

「あの、この洗濯物は全てメーヤさんがしているんですか?」
「ええ、私の仕事ですので」
「一人で、ですか?」
「ええ、、、本当は数週間前に何人か私と同じ仕事をする人達が来たのですが、、、その方達は、その、ちょっと高貴な方達なので」
「ああ、サボってるんですか?」
「ええ、まぁ」
「あうあ~、う?」
「ああ、これは洗濯物っていって、汚れた物を洗濯してるんですよ。このメーヤさんが綺麗にしてくれてるんですよ」
「あ~う?レーヤ?」
「いえ、メーヤさんですよ」
「ん~?う?」
「あ~、ちょっとした違いですから分からないんですかね?」
「そうですね。まだ赤ん坊みたいですので似ていますと分からないのかも知れませんね?」

魔王様はオレとメーヤさんの名前を聞き間違えているが、一文字違いだと大人でも間違えることもあるから仕方ないと思って魔王様の頭を優しく撫でた。
(オレの名前を言う魔王様可愛い!天使かな?いや、魔王様だけどさ)

「あう?う~?」
“クイクイ”
「ん?あ、洗濯物を引っ張ったら駄目ですよ?それにまだ濡れてますから身に付けたら湿ってて気持ち悪いですよ?」
「う~?」
「やー、になりますよ?」
「やー?」
「そう、やーですよ」
「う、、や?、、、あい!」
「ああ、イイコですね!スッゴク良い子です!偉いですね!」
「まーちゃ、うーちょ!」
「はい、良い子です!」
「クスクス、可愛い子ですね」
「ええ、とても可愛くて賢い良い子なんですよ!」
「ふふ、レーヤ様はこの子が大好きなんですね」
「はい!」

そう返事をするとメーヤさんはますます笑ってしまった。
(本当の事を言っただけ、なんだけどな?ていうかメーヤさんオレにも様付けしなかった?気のせいかな?)

「あ、仕事の邪魔をしてすみません。オレはもう帰りますので」
「いえ、こちらはとても楽しかったのでお気になさらず」
「オレも楽しかったです!その、また来ても良いですか?」
「ええ、是非」
「ありがとうございます。それじゃあまた」
「ええ、また」

メーヤさんと別れてからゆっくり景色を見ながら部屋に帰った。
(久しぶりに人と話したな。いい人みたいで良かった。メーヤさんが近づいても魔王様が不機嫌にならなかったし、子供にも好かれる人なんだろうな)




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