一人じゃないぼく達

あおい夜

文字の大きさ
上 下
29 / 31
三章 嫌われ者達とぼく

遊んで?遊ぼう?捕まえてあげる!

しおりを挟む
 拓己達は走って走ってあの階段の所まで来ていた。
階段の主であるだろう女子高生が見えないはずのぼく達の気配を感じてこっちをじっと見ていた。
けれどやはりぼく達の事は見えないのだろう。その証拠に目線がぼく達から少し外れていた。
拓巳達は自分達が見えていると思ったのか固まっていた。
(迂闊に音を出したり声を出したりしないだけ良いんだろうけど、、、だんだん近づいて来てる。けど向こうに行くのはここを進むより危ない、、、どうしよう?)

『あは、アハハは、、、こっちに来タ?ミエナイけど気配がする。近くに居るヨネ?どこ?何処?ドコ?こっちから人間の匂いが、ガガ、するー、は、アハ?、、、』

女子高生は手で動かない足を引きずりながらぼく達の所に近づいて来る。
女子高生が手を伸ばせば届くくらい近くに来ると固まっていた拓巳はぼくを守る様に抱き抱え、兼太は雪夜を守る様に雪夜の前に立ち、一華は水希を守る様に抱き締めた。
女子高生は一番近くに居た兼太に気配だけを頼りにして手を伸ばしたが、途中で手を止めて狂った様に笑っていた声も止んだ。
(どうしたんだろう?兼太に何もなくて良かったけど)

『、、、い、イヤー!イヤいや嫌ぁー!』

女子高生は恐怖が滲んでいる叫び声を出しながら手だけで体を引きずりながら凄い速さで何かから逃げ出した。
(何かに酷く怯えてたみたいだけど何が、、ッ!)

「は、はぁ、ヤバかった!」
「しかし何かに怯えて逃げたようだが?」
「まぁ、どうでもいいから今のうちに早く階段を登って女子トイレに行って花子さんを呼びましょう」
「、、、。」
「せ、先輩達」
「ん?どうした?」
「あの、その、、、、守ってくれてありがとうございます」
「僕も助かりました。ありがとうございます」
「お前らはオレ達より年下だろ?」
「しかも俺達の大事な可愛い後輩でもある」
「守ってあげるのは当然でしょ?」

雪夜と水希は他の三人に頭を撫でられて顔を真っ赤にしていた。
ぼくもいつもなら守って貰ったお礼をしている所だろうけど、今のぼくにその余裕はなかった。
(みんなにはあの声が聞こえなかったのかな?あの、、小さな女の子の笑い声が)

『ふふっ、キャハハハ!お姉ちゃんとお兄ちゃんたち見ぃ~つけた!早く逃げないと捕まえちゃうよ?』
「ッ!」
「なっ!」
「えっ!?」
「あ、あ、、」
「くそ、忘れてた!みんな早く!」
『もう少しだけ待っててあげるから、もっと私と遊んでね?』

そしてまた数を数え始めた女の子をそこに残して拓巳達は全力で走って階段を登った。
(やっぱり、あの子は拓巳達の姿が見えてるんだ。だけどぼくの姿は見えてないみたいだった。多分このネックレスはぼくの事を一番守る対象に成ってるからあんなに強い幽霊にもぼくの姿ともしかしたら気配さえ感じ取れないんだろうな)

『は~ち、きゅ~う、じゅ~う!次は捕まえるからね?』

その声が階段の下から聞こえてきたけど、ぼく達の目の前には最初に会った関節が反対になったオジサンが女子トイレの前に居た。
ゆっくりと階段を上がって来る幼い女の子の足音がして来るがオジサンが目の前に居て何処にも行けない。
女の子がぼく達の後ろまで来たのが分かるが金縛りにあったかの様に拓巳達はピクリとも動かなかった。
(まさか本当に金縛りにあってる?どっちにしても捕まるのは駄目だ。どうすれば、、、空、海、陸、陽、陰、、、助けて)

”リィン、リィ~ン、リィ~“

そう強く願うと鈴が鳴りネックレスが緑と青の強い光を放った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

みちのく銀山温泉

沖田弥子
キャラ文芸
高校生の花野優香は山形の銀山温泉へやってきた。親戚の営む温泉宿「花湯屋」でお手伝いをしながら地元の高校へ通うため。ところが駅に現れた圭史郎に花湯屋へ連れて行ってもらうと、子鬼たちを発見。花野家当主の直系である優香は、あやかし使いの末裔であると聞かされる。さらに若女将を任されて、神使の圭史郎と共に花湯屋であやかしのお客様を迎えることになった。高校生若女将があやかしたちと出会い、成長する物語。◆後半に優香が前の彼氏について語るエピソードがありますが、私の実体験を交えています。◆第2回キャラ文芸大賞にて、大賞を受賞いたしました。応援ありがとうございました! 2019年7月11日、書籍化されました。

ひきこもり瑞祥妃は黒龍帝の寵愛を受ける

緋村燐
キャラ文芸
天に御座す黄龍帝が創りし中つ国には、白、黒、赤、青の四龍が治める国がある。 中でも特に広く豊かな大地を持つ龍湖国は、白黒対の龍が治める国だ。 龍帝と婚姻し地上に恵みをもたらす瑞祥の娘として生まれた李紅玉は、その力を抑えるためまじないを掛けた状態で入宮する。 だが事情を知らぬ白龍帝は呪われていると言い紅玉を下級妃とした。 それから二年が経ちまじないが消えたが、すっかり白龍帝の皇后になる気を無くしてしまった紅玉は他の方法で使命を果たそうと行動を起こす。 そう、この国には白龍帝の対となる黒龍帝もいるのだ。 黒龍帝の皇后となるため、位を上げるよう奮闘する中で紅玉は自身にまじないを掛けた道士の名を聞く。 道士と龍帝、瑞祥の娘の因果が絡み合う!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

処理中です...