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三章 嫌われ者達とぼく
ぼくのネックレスは凄い力を持ってるみたい
しおりを挟むルヴァの手作り朝食のメニューは、「永遠の死の国の森のきのこのキッシュ」に「ルヴァの気紛れクレーム・ブリュレ苦しみの炉風」と「恋人たちのブリオッシュ~三種のコフィチュールを添えて~」っていう、料理自体は旨そうだし罪はないが聞いただけで胸やけと胃もたれがしそうな名前のものだった。
言っとくけど名前付けたの俺じゃないからな、ルヴァが自分でそう説明したんだからな。
せめて名前くらい統一感が欲しかった。ブリオッシュもうちょっと頑張れよ。
正直、徹夜明けの早朝にルヴァのキャラはきついです。
俺とエリアスは徹夜でセックスして疲れてるんだよ。
ユリゼンじゃなくても君の理性が限界きそう。
そして何故か卵をふんだんに使っていて窯で焼く料理ばかりだ。
ゾアの世界図でロスは卵型で描かれているから卵料理ばかりでもおかしくないんだが、それらがルヴァの死体を焼いたのと同じ階下の炉で焼かれたのでないことを祈りつつ、どこで焼かれたのか訊くに訊けないでいる。
だって、硝子のドームの真ん中の六分儀の軸の部分が煙突になってたみたいで、今見たら煙が出てるんだよ。
夜は煙なんか出てなかったのに。
朝食はどれもすっごく旨いし、知らないままの方がいいかも知れない。
「ルヴァ、お前がナナセを呼びつけた目的は何だ」
朝食を食べながら早速エリアスが切り出した。
俺を呼んだのは正確にはルヴァじゃなくてルヴァの燃え滓の方で、ここにいるのは自分が焼かれた炉に固執している地縛霊みたいなもんなんじゃないのか。知らんけど。
でも時々宮廷吟遊詩人の出張サービスもしてるみたいだから地縛霊ともちょっと違うか。
「おっと。単刀直入だね。まあ隠すことでもないから教えてあげるよ。簡潔に言うと『この世界の均衡を取り戻すため』かな」
この世界の均衡を取り戻すって言うけど、「黎明と黄昏」がこの世界に具体的にどのように作用するのかはまだ分からない。
それにもしかして、俺に「魔導書を編纂せよ」って課題を出したあしながおじさんもグルだったってことか?
そういえばあの獣人領の舞踏会にはあしながおじさんも来ていたはずだし、ルヴァも宮廷吟遊詩人として参加していた。
「最初から俺に魔導書を編纂させるために呼んだってこと?」
「そうなるね。ヴェイラがその杖を渡してくれたから、君の心に直接話しかけられるようになったよ」
ていうか、この杖アンテナだったのかよ。
あの声が聞こえ始めたのって、そういえばこの杖貰ってからだったな。
「そんな遠回しなことをせずに舞踏会で会った時に直接言えばよかっただろう」
エリアスは最早食事どころではなく苛々しながら正しい突っ込みを入れる。
既に血管がブチギレそうだ。
「それでは駄目なんだよ。誰かに教えられて正解を書き写したような魔導書じゃ意味がないんだ。太古の昔、闇と契約を交わした一族の末裔たるナナセくんが自分自身の力で正解に辿り着いた末に編み上げた魔導書でなくちゃ意味がない。僕は君たちに付かず離れず見守りながら、最低限の手助けしか出来なかったのさ」
確かに「黎明と黄昏」は追い詰められた末の産物だ。
決して他の方法では編み出すことはできなかったし、ましてや教えられて出来るものでないだろう。
それは誰よりも俺が一番良く知っている。
訳知り顔でいいように誘導されていた事実は腹立たしいし悔しいが、説明されればいちいち納得してしまう理由がそこにあった。
だがルヴァの回答を受けて更にエリアスが問う。
「そもそもお前はゾアなのに世界の均衡くらい自分でどうにか出来なかったのか?」
「本当にそう思うよね。僕は良くも悪くも神でも悪魔でもない『愛の化身』だからね。役割を超越した力はないんだよ。ゾアは人ほど自由ではないってことさ」
言っとくけど名前付けたの俺じゃないからな、ルヴァが自分でそう説明したんだからな。
せめて名前くらい統一感が欲しかった。ブリオッシュもうちょっと頑張れよ。
正直、徹夜明けの早朝にルヴァのキャラはきついです。
俺とエリアスは徹夜でセックスして疲れてるんだよ。
ユリゼンじゃなくても君の理性が限界きそう。
そして何故か卵をふんだんに使っていて窯で焼く料理ばかりだ。
ゾアの世界図でロスは卵型で描かれているから卵料理ばかりでもおかしくないんだが、それらがルヴァの死体を焼いたのと同じ階下の炉で焼かれたのでないことを祈りつつ、どこで焼かれたのか訊くに訊けないでいる。
だって、硝子のドームの真ん中の六分儀の軸の部分が煙突になってたみたいで、今見たら煙が出てるんだよ。
夜は煙なんか出てなかったのに。
朝食はどれもすっごく旨いし、知らないままの方がいいかも知れない。
「ルヴァ、お前がナナセを呼びつけた目的は何だ」
朝食を食べながら早速エリアスが切り出した。
俺を呼んだのは正確にはルヴァじゃなくてルヴァの燃え滓の方で、ここにいるのは自分が焼かれた炉に固執している地縛霊みたいなもんなんじゃないのか。知らんけど。
でも時々宮廷吟遊詩人の出張サービスもしてるみたいだから地縛霊ともちょっと違うか。
「おっと。単刀直入だね。まあ隠すことでもないから教えてあげるよ。簡潔に言うと『この世界の均衡を取り戻すため』かな」
この世界の均衡を取り戻すって言うけど、「黎明と黄昏」がこの世界に具体的にどのように作用するのかはまだ分からない。
それにもしかして、俺に「魔導書を編纂せよ」って課題を出したあしながおじさんもグルだったってことか?
そういえばあの獣人領の舞踏会にはあしながおじさんも来ていたはずだし、ルヴァも宮廷吟遊詩人として参加していた。
「最初から俺に魔導書を編纂させるために呼んだってこと?」
「そうなるね。ヴェイラがその杖を渡してくれたから、君の心に直接話しかけられるようになったよ」
ていうか、この杖アンテナだったのかよ。
あの声が聞こえ始めたのって、そういえばこの杖貰ってからだったな。
「そんな遠回しなことをせずに舞踏会で会った時に直接言えばよかっただろう」
エリアスは最早食事どころではなく苛々しながら正しい突っ込みを入れる。
既に血管がブチギレそうだ。
「それでは駄目なんだよ。誰かに教えられて正解を書き写したような魔導書じゃ意味がないんだ。太古の昔、闇と契約を交わした一族の末裔たるナナセくんが自分自身の力で正解に辿り着いた末に編み上げた魔導書でなくちゃ意味がない。僕は君たちに付かず離れず見守りながら、最低限の手助けしか出来なかったのさ」
確かに「黎明と黄昏」は追い詰められた末の産物だ。
決して他の方法では編み出すことはできなかったし、ましてや教えられて出来るものでないだろう。
それは誰よりも俺が一番良く知っている。
訳知り顔でいいように誘導されていた事実は腹立たしいし悔しいが、説明されればいちいち納得してしまう理由がそこにあった。
だがルヴァの回答を受けて更にエリアスが問う。
「そもそもお前はゾアなのに世界の均衡くらい自分でどうにか出来なかったのか?」
「本当にそう思うよね。僕は良くも悪くも神でも悪魔でもない『愛の化身』だからね。役割を超越した力はないんだよ。ゾアは人ほど自由ではないってことさ」
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