一人じゃないぼく達

あおい夜

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一章 家族は一緒が良い

ぼくと空と空の家族 前編

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 今日は朝から家に空が居なかった。
何処に行ったのかと家の中を探していると、いつもご飯を食べるテーブルに置き手紙があった。

“青天へ
この山の結界を破りオレの許可なくこの山に入って来たアヤカシが居るので探して来る。
危ないので家から出ないでオレの帰りを待って居てくれ。
空より”

この家には一番強い空の結界が張ってあるので家から出ないでって書いたんだろう。
無断で侵入したアヤカシが捕まるまで一人で家の外に行かない方が良いみたいだ。

「空、、、帰って来るの遅くなるのかな?、、、早く帰って来て欲しいな」

この一年、空とずっと一緒に居たので一人になるのが寂しくて仕方ないんだ。
ぼくはテーブルに置いてある朝ごはんのサンドイッチ (空は今、洋食にハマってる)を食べてから空の部屋に入った。
ちなみに、ぼくと空はいつも一緒に眠ってるけど一応それぞれの部屋がある。

「んっしょっと。コレで良いかな」

ぼくは空の部屋のタンスを開けて空の着物の帯を取り出した。
その帯をぬいぐるみみたいに抱きしめた。
着物は大き過ぎて持つのが大変だけど、帯ならそんなに大変じゃないから抱きしめられる。

「空の物を抱きしめてるとやっぱり落ち着くな」

空の帯を抱きしめて寂しさを紛らわしていた時に玄関の方から声が聞こえた。
ぼくは海達が来たのかと思って玄関に向かったけど、声の主は絶対に海達ではなかった。
(誰?数人居るみたいだけど聞いた事が無い声だ)

「本当にここに住んで居るのか?」
「確かな情報だ」
「くそ、山に結界なんぞ張りおって」
「破るのが難しかったな」
「それより、、、さっさと出て来い!犯罪者!」
“ガンガンガン”
「この家に住んで居るのは分かってるんだ!」

ドア (引き戸)を激しく叩いてくるけど、家の中には入って来れないみたいだ。
(、、、犯罪者って空の事?誰なんだろう?)

「ちっ、出て来ないな」
「我らに気づいて逃げたか?」
「いや、家の中に誰か居る気配がするぞ」
「何!家の中に居る奴!出て来い!」

どうやらぼくが家に居るのに気づいたみたいだ。
外の奴らがドアに近づいて来たのでそいつらの影が曇りガラス越しに写った。
(羽根?空の羽根に似て、、、まさか、烏天狗?)

「くそ!家の結界が強くてなかなか破れん!」
「コレを使うか?」
「ソレはなんだ?札か?」
「大天狗様のかなり強力な力が籠った札だ。コレを使えばこの家の結界も破れるのではないか?」
「おお!さっそく使おう!」
「よし、使うぞ!」

烏天狗達は結界を壊すみたいだ。
(どうしよう?何処かに隠れないと!けど、何処に?)

“ドンッ!ガンッ!”
“ビシビシビシ”
“パリ―ン”

凄い光ったと思ったら次の瞬間に凄い音がなり空の結界が壊れた。
その時、ぼくは庭に向かう為に走っていた。
(あいつらが家に入って来るならぼくが外に出て山の中に隠れて空が帰って来るのを待てば大丈夫だよね?)

ぼくが庭に出た時、烏天狗達がぼくの気配を探っていた。
(ヤバい、烏天狗達に居場所がバレる)

「おい!庭に気配があるぞ!」
「逃がすな!」
「捕まえるぞ!」

ぼくの居場所がバレて追いかけて来た。
ぼくは必死に走ったけど逃げきれるわけがなく捕まった。

「っ、はぁはぁ」
「子供?」
「あの噂は本当だったか」
「噂?」
「ああ。あの犯罪者に子供が出来たという噂だ」
「なら、この子供は」
「ああ、アレの子供だろう」

一人がぼくを地面に押さえつけて捕まえている。
ぼくは体が震えて動けなくなっていた。
(この視線覚えがある。物を見る目だ、、、怖い)

「本当にアレのガキか?羽根が無いぞ?」
「烏天狗じゃない奴と番になったんだろうよ」
「顔はどうだ?」
「おら、ガキ!顔をこっちに見せろ!」
「うっ」

ぼくは烏天狗達に無理矢理、顔を持ち上げられた。
(鋳たい、苦しい、怖い、、怖い怖い)

「おい!見ろよ、こいつの目の色!」
「アレと同じ色だな、、、胸くそ悪い色しやがって」
「アレは居なかったがコレでも良いよな?」
「ああ」
「みんな異存はないぞ」
「邪魔が入る前に連れてくぞ!」

烏天狗達はぼくを抱えて何処かに飛んだ。
(あ、あ、怖い怖い怖い怖い、、、こわ、、、助けて怖いよ、空!)



空視点


今日の朝に山の結界を無理矢理に破り山に入って来たアヤカシを探していたが見つから無かったので一旦家に帰る事にした。
(ん?なんだ?、、、!)

「何故、家の結界が壊れてる?、、、っ!青天!青天!何処に居る!青天!」

オレは結界の壊れた家の中を走り回り青天を探した。
(何故、居ない!後は庭だけか!)

「青天!居ないのか?青て、、黒い、は、、ね?何故ここに烏天狗の羽が落ちて、、、まさか」

最悪な事を思いつき血が引いた感覚がした。
(まさか、あいつらが?)

「あ、あ、そんな、、青、天、何処に」
「空?どうしたんだよ?家の結界が無かったけど何かあったのか?」

その声を聞いた瞬間、オレの中にあった何かが崩れ去った。



海視点 


今日は久しぶりに兄弟みんなで空の所に行く事になった。
今年は忙し過ぎてあまり空の家に行けなかったけどそれも昨日までだ。
(今日からは忙しく無いからいっぱい空と青天の所に行けるな)

「海兄さん!今日は凄く機嫌が良いね?」
「おう、わかるか?今日から忙しく無いからな。いっぱい空と青天の所に行けるぞ!」
「本当?空兄さんと天の家にいっぱい行けるの!」
「陽、少し落ち着いて。空達の家が見えてきたよ?」
「陽兄さん、早く行こう?」
「、、、烏?」
「陽?」
「ううん!何でも無い!早く行こう?」

空達の家に着くと何故か家に結界が張って無かった。
(ん?どうかしたのか?空は、、、庭か)

「―、~何処に」

空が庭に立って何か喋っていたので声をかけた。
すると空が振り返って俺を見たが俺は空の表情に驚いた。
泣きそうな顔をしていたのだ。
空は俺を見た瞬間、俺に抱きついて泣きながら言った。

「ひっく、烏天狗達に、ふっ、青天が、うぅっ、拐われた!どうしよう?オレのせいだぁ!ひぅ」
「青天が烏天狗達に拐われた?何処のだ?何があった?空、言ってくれ」
「オレ達が、んっ、前に住んで居た所の、ひっく、烏天狗達だと思う」
「あいつらか!」
「朝、はっ、山の結界が破られて、うぇっ、勝手に山に入って来たアヤカシを探して帰って来たら、ひゅっ、青天は、ひっく、居なかった。ふっ、合ったのは烏天狗の羽だけだ」

空は手に持っていた黒い羽を見せた。
陽は羽の匂いを嗅ぐと頷いた。

「確かに前に住んでた所に居た烏天狗の匂いだよ」
「ふぇっ、やっぱり!オレのせいで、ひっく、青天が!」
「お前のせいじゃねぇっての。大丈夫だから落ち着け」
「けど、青天が、、、うぅっ、オレのせいで、ひっく、ふぇっ、どうしよう?、、、ふぅっ、ひゅっ」

空は俺の着物を掴んで小さな声で言った。

「、、て」
「空?どうした?」
「ひっく、、助けて、、、兄さん」
「っ!あ、当たり前だろ!大丈夫、兄さんに任せろ!な?」
「ふっ、うっ、うん」

俺の胸で本格的に泣いてしまった空の頭をかなり久しぶりに撫でた。
(俺の弟を泣かしたうえ、空が大事に思ってる自分の子供の青天を拐ったんだ覚悟して待ってろよ?)



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