武姫と漆黒の風

彩田和花

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旧版

冒険の書3 武姫と漆黒の風、始まりの夜

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※このお話にはHな挿絵が入りますのでご注意ください。
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漆黒の風が銀色に輝く移動の魔石を握りしめたその直後、2人はアリアの知らない部屋に辿り着いていた。
「ここは俺が間借りしている部屋だ。」
漆黒の風はそう言うとアリアをベッドにそっとおろした。
アリアは彼の部屋に興味があり、荒い息を付きながらも周囲を見渡した。
彼の部屋の壁はリスベルに多い石造りで、備え付けられた木の棚には予備の剣や鎧、それらの手入れに使われる道具等が置かれ、他には衣類とタオル、変えのシーツなどが綺麗に畳まれた状態で棚板の上に置かれてあった。
窓際には愛らしく花や実をつけた植物の鉢がいくつか並べられており、飾り気が無く粗野に見える彼の意外な一面に思わず頬が緩んだ。
奥に見える小さなキッチンの壁には、フライパンや鍋やフライ返しや泡だて器、レードル等の様々な調理器具がかけられてあり、植物の蔓で編まれた籠には市場で売っている野菜や果物が数種類盛り合わせてあった。
流し台の横には小さいが食品を保存する為の魔石付きの冷蔵庫も置かれてあり、キッチンの棚には小麦粉や砂糖、塩、各種スパイスなどが入った瓶が綺麗に整列し、彼が普段から料理をすると言っていたのは本当なのだと思った。
予想外に居心地の良い空間に、アリアは催淫状態にありながらもほっとするのを感じた。
すると、
「人の部屋をキョロキョロ観察する程度には余裕があるのか?」
と笑いながら、漆黒の風がカチャカチャと音を立てて自分の装備を外し始めた。
胸部プレートが外され、その下に着ていた黒の帷子も脱ぎ捨てられ、彼の鍛え抜かれた美しい上半身が露わになった。
アリアは体中の血が沸騰しそうな程に身体の芯が火照るのを感じて、慌てて彼から目を逸らした。
「ふふっ・・・やはりそうでもないか。」
彼はそう言って微笑むと、続けて下半身を覆う装備も黒いボクサーブリーフのような形の下着一枚を残して全て外し脱ぎ捨てた。
そしてベットに肩肘をついてアリアの横に寝そべると、その赤く染まった頬を撫で、そっと口づけをした。
最初は優しく唇を擦り合わせ、それが徐々に激しく深くなり、舌を絡め取られる。
だが商人から買った薬を飲ませた後の口づけでアリアが目を回しそうになったことを漆黒の風なりに反省しているようで、舌を優しく絡め取られはしたが、適度に加減されて程々の所で開放された。
唇が離れると、アリアがトロンととろけた表情で息を乱しながら彼を呼んだ。
「はあっ、はあっ、漆黒の風・・・漆黒の風ぇ・・・しっこくの・・・」
「スヴァルトだ。
ヴァルと呼んでくれ。
アリア・・・」
と漆黒の風ことヴァルが優しくアリアの髪を指で掬った。
「ヴァル・・・ヴァル・・・」
切なそうなアリアから念願だった呼び方て呼ばれ、更にはキスをせがむように震えながら目を閉じられたヴァルは、胸が締め付けられて堪らなくなり、もう一度彼女に唇を重ねて舌を絡め取った。
彼はそうして短い口付けを何度も繰り返しながらアリアの胸当ての金具に手をかけ、小さく呟いた。
「0526」
するとカチッと音がして、胸当てが緩んだ。
胸当てと肌との間に空気が入り、締めつけ感から開放された感覚にハッとしたアリアは、息を乱しながらもヴァルに尋ねた。
「・・・鎧のパスワード・・・なんで知ってるの・・・?」
「あぁ・・・。
お前がその鎧を購入したとき、店主がプロテクト代をまけると言ったろ?
あれ・・・実はプロテクト代だけ事前に俺が支払っておいたからなんだ。
それでお前が鎧を購入した時に、店主からお前が設定したパスワードを俺にもこっそりと知らされたってわけだ・・・。
あの数字はお前がソロになった日・・・5月26日だろう?」
とヴァルは少し気まずそうに笑いながらそう打ち明け、日付について尋ねた。
「えぇ・・・その日は私にとって・・・本当の自由を手に入れた・・・記念日・・だったから・・・
でもなんで・・・プロテクト代を負担なんて・・・?」
と首を傾げるアリア。
「そんなの、他の男にお前を触らせたくなかったからに決まっているだろう?
ソロの女冒険者には腕っぷしの強さだけでは回避できない性絡みの危険も多いと聞くし、俺からのパーティへの誘いを断ってソロでやっていくと言ったお前に、本当は鎧ごとプレゼントするつもりだったんだ。
だがお前は俺にそれ以上恩を重ねたくないと言っていたから、プレゼントという形では受け取ってくれないと思った。
そこでお前に自分で買って貰えるように店主に分割払いを承諾させたんだが、自分の貞操に危機感を持っていないお前は、安価のプロテクト付きではない鎧を選ぶと思ったし、プロテクト付きをどうにか購入させたとしても、お前を口説き落としていざ抱けるって時に、俺まで脱がせられないようでは困るだろ?
それでプロテクト代だけ俺が先に支払うことにしたんだ。
そして、お前が俺の忠告を無視して下の鎧を装着していないであろうこともわかっていたから、今日お前の跡を追うように出て行ったあの下衆3人を見て、マズいと思って急いで追いかけて来たんだ・・・。
本当に間に合って良かった・・・」
漆黒の風はそう言って微笑み、アリアの胸当てをそっと外した。
アリアの控えめだが白く美しい胸が露わになり、先端の薄紅色の蕾がふるふると小さく揺れた。
「アリアの胸・・・想像してたよりもずっと綺麗だ・・・・・」
と漆黒の風は気恥ずかしそうに微笑みながら、素直な感想を彼女に伝えた。
いつものアリアであればそこで、
「やっ・・・見ないでよ・・・」
等と言って恥じらって、胸を手で隠していただろう。
だが今のアリアは既に恥じらいよりも催淫毒による身体の疼きのほうが勝っており、自分の疼きの中枢にある熱くて言いようもないまだ形のない何かを、誰でもない彼の手により、優しく甘く、だが時には荒く激しく、かたどられてみたかった。
「はあっ、はあっ、熱い・・・
・・・熱にうなされてるのとはまた違って・・・身体の奥が熱くて苦しいの・・・
変になりそうで・・・こわい・・・」
「大丈夫・・・俺が楽にしてやる。
最も俺が相手ではアリアは不満かもしれないが・・・。
それでもあの3人にされるよりは遥かにマシだろう?」
と首を傾げる漆黒の風。
「・・・・・ううん・・・・・。
他の誰でもない・・・漆黒の風・・・が、いいの・・・・・」
アリアはそう言って彼に手を伸ばした。
ヴァルはそんな彼女の手を優しく取り、自らの指を絡めると、
「ヴァルと呼べって言ったろ?
俺がいい・・・か・・・
嬉しすぎてニヤけてしまうな・・・
よし・・・任せされた。」
とはにかみながらもう一度アリアに口づけを落とし、マジックバックから小さな小瓶を取り出した。
そしてそれを一気に煽った。
「な・・・に?
さっきの・・・」
とアリア。
「避妊薬だ。
今から子供が出来るようなことを沢山するんだ。
こいつは効き目が出るまで10分ほどかかるから、今のうちに飲んでおこうと思ってな。
こいつが効けば俺の子種は数時間の間意味をなさなくなる。
アリアを孕ませて父親になるのも悪くないが、まだその時じゃないだろう?」
と言って優しくアリアの頭を撫でるヴァル。
「やっ・・・やだ!
あんたの子種・・殺さないで・・・全部注いでほしかった・・・!
じゃ・・ないと・・・私の身体の奥の疼きがっ・・・治まらない気が・・するのにっ・・・!」
と泣きながら力の入らない拳でぽかぽかヴァルの胸を叩くアリア。
「・・・ったく、あのアリアにそんなことを言わせるとは恐ろしい催淫毒だよ・・・。
いいか?
毒が抜ければお前は絶対に後悔するからこれで良いんだ・・・。
大丈夫・・・得られる快楽は変わらないし、アリアの気の済むまで何度でもシてやる・・・。
だが、その前に身体に触れてもいいか?
お前に恋をしてからずっとずっと・・・俺はそれを望んでいたんだ・・・」
アリアは真っ赤な顔でコクン、と小さく頷いた。
そしてヴァルはアリアの露出した白く美しい胸に手を伸ばし、優しく触れ始めた。
「あっ・・・ヴァ、ヴァル・・・あっ・・・んっ・・・あっ♡」
アリアは力の入らない手できゅっとシーツを掴みながら彼の名を呼び、甘い声を上げた。
「アリア・・・あぁ、アリア・・・・・」
ヴァルはうわ言のように彼女の名を呼び、その柔らかな胸の感触を何度も確かめ、顔を近付けて頬ずりし、ツン…と物欲しげに硬く尖った愛らしい花の蕾のようなそれを指先で摘んだ。
「あっ・・・はあっ・・・♥
あっ・・・んっ・・・♡
ヴァル・・・ヴァルぅ・・・♥」
「くっそ・・・可愛い・・・アリア・・・アリア・・・」
続けてヴァルはアリアの白い胸を舌で味わいながら這い登り、頂きにあるピンク色の蕾を舌で絡め取りながら口に含んだ。
そしてそれをちゅうぅ…と音を立てて吸った。
「ああっ♥乳首吸っちゃやだぁ・・・♥
あっあっひあっ♡あっあっあっ♥」
アリアはヴァルの頭を抱えて一際甘く高い声で喘ぎながら、太ももを何度も擦り合わせた。
その動きを見逃さなかったヴァルは、胸への愛撫を続けながら、アリアの残りの装備を徐々に脱がせていった。
そして最後に残った中途半端に脱がされたままだったショーツに手を掛け、白く滑らかな脚から一気に抜き取った。

「ヴァル・・・やっ・・・恥ずかしい・・から・・・そこ・・・はっ・・・み、見ないで・・・・・」
アリアが真っ赤な顔を両手で隠し、その指の隙間から、自分の両脚を広げてアリアの今まで誰にも見せたことのなかった秘密の場所を愛おしそうに見つめるヴァルを覗き見て、蚊の鳴くようなか細い声で抗議した。
「・・・フフッ。
この状態でもここを見られるのは恥じらうんだな。
大丈夫・・・。
淡いピンク色で凄く綺麗だ・・・。
恥ずかしがることなんて何一つ無い・・・。」
そう言いながら、ヴァルはアリアの蜜に濡れて光るスリットに指をくぐらせた。
「っ・・・凄いな・・・。
ぬるぬるのぐしょぐしょで、触るたびに奥からどんどん蜜が溢れて来る・・・。
クソッ・・・。
本当は毒じゃなく、俺の愛撫でここまで濡らしたかったが仕方が無いな・・・。
今回はこの毒に便乗して、いっぱい気持ちよくしてやるとしようか・・・。」
ヴァルはそう言って妖艶に微笑んでからまつ毛を伏せ、アリアの濡れた花弁に唇を寄せた。
「ああっ!ヴァル・・・
そんな所舐めちゃきたなっ・・・・・・ひやぁあぁあっ♥」
アリアはヴァルの漆黒の髪を指に絡ませながら身を仰け反らせ、更に甘い声を上げた。
「・・・あっ・・・あっあっ♥
ひあっ♥・・・っ・・・あん♡
あっあっあっ・・・♥
やっ・・・やあっ・・・♡
な、なんか変な感じ・・・
身体がぞわぞわして・・・何かがっ・・こみ上げてくるような・・・
こ、怖い・・・怖いからそれ・・・待って・・・・・!」
”大丈夫だからそのまま身を任せてみな?”とヴァルは目で優しくアリアに語りかけながら、彼女の愛らしい小さな蕾を舌先で転がし続けた。
「ふあっ・・・♡あっあっらめっ・・・♥
もうおかしくなっちゃう・・・・・っ♡♥
あっあっああっ・・・
あぁああああぁあーーーーーーー…♡♥♡♥」
ヴァルはアリアが太ももにぐぐっと力を込めて自分の頭を挟み込みながら、全身をビクンビクン!と何度も痙攣させて達し終えるのを待った後、ゆっくりと顔を上げてこう言った。
「ふふっ・・・イクのもこれが初めてか・・・。
本当に可愛いな・・・。
自分で弄ったりは・・・まぁお前はしないか・・・。
俺を追い抜こうといつも必死で頑張っていたしな・・・。
どうだ・・・?
イッて少しは楽になったか?」
アリアはヴァルの問いかけに対して快楽の余韻からかはぁ、はぁと荒く息をついたまま頭を横に振った。
「やはりナカから刺激を得られないと、その毒に冒された身体は満たされないようだな・・・。
大丈夫だ・・・。
お前の欲しい刺激をこれから沢山与えてやる。
だが怖がらなくてもいい。
いきなり俺のをれたりはしないから。
まずは指を1本入れ、大丈夫そうなら次は2本と徐々に慣らしていって・・・」
アリアはそんなヴァルのセリフを途中で遮って、涙目で頭を振った。
「な・・・慣らし・・なんていらない・・・!
身体の奥が疼いて・・・もう堪らないの・・・!
は・・・やく・・・ヴァルに目茶苦茶にして・・欲しい・・・・・!」
「っ・・・本当にとんでもない催淫毒だな・・・。
だが俺のを見ても本当にそんな事が言えるのか?」
とヴァルは苦笑すると、下着を下ろして勃起したペニスをブルルン!と取り出した。
アリアは目の前にそびえ立つそれを、真っ赤に火照った顔で凝視した。
「嘘・・・ヴァルの・・・そんなに大きいの・・・・・?!
そ・・そんなの・・・入る気がしない・・・」
「・・・だから言ったろ?
大丈夫・・・。
もっとデカい奴はなかなか受け入れられる相手がいないらしいが、俺のは過去に入らなかった女はいないから・・・。
まぁ俺は処女とするのはお前が初めてだからはっきりとしたことは言えないが・・・処女が慣らしも無しにいきなりこいつをれるのは、キツいと思うぞ?」
アリアはそんな説明をしながら自らの下着を足から抜き取り、ベットの下に捨てるヴァルをジト目で睨んでこう言った。
「ふぅん・・・・・
過去に入らなかったひと・・・は、いないんだ・・・・・」
「・・・そこ、引っかかるか・・・?
はぁ・・・。
アリアを安心させようと思って言ったことだったが、失敗したか・・・」
そう言ってヴァルは頭を抱えて大きなため息をついた。
「・・・今まで・・・何人の人と・・そういうこと・・したの?」
アリアは不貞腐れたままで彼にそう尋ねた。
「・・・言いたくない・・・。
アリアに出会う前のこととはいえ、言ったら絶対に怒るだろう?」
と眉を寄せて髪を掻き上げながら返すヴァル。
「う、うん・・・・・。
私もやっぱり・・知りたくない・・・。
でももう私以外の人と・・・こういうことしないって・・・約束して欲しい・・・・・」
と頬を真っ赤に染めて不安気に碧い瞳を揺らすアリア。
ヴァルはそんなアリアに優しく口づけすると、
「ん・・・約束する・・・。」
と柔らかく微笑んだ。

「・・・それじゃ、指を入れるぞ?」
ヴァルはアリアの脚を左手で押さえて大きく開かせると、右手の指先でアリアの秘部を割り開き、そっと中指を沈めていった。
クププププ・・・と水音を立ててヴァルの中指が飲み込まれていく。
アリアのナカは催淫毒の為か異様な程熱く、ヴァルの中指を待っていましたと言わんばかりに招き入れて、キュウキュウと何度もキツく締め付けてきた。
だがやはり処女というだけあり、ヴァルの知っている女達のナカよりはずっと狭くキツく、ヌルヌルの肉襞も硬い感触だった。
「・・・痛くないか?
アリア・・・」
と心配そうに彼女に尋ねるヴァル。
だがアリアはそんなヴァルの心配を他所に、顔を真っ赤に染めて碧い瞳を潤ませ下半身をモジモジさせながら、
「んっ・・・♡
痛くない・・・♥
それどころか・・・っ・・・こ、こんなこと言うの恥ずかしいけど・・・ゴツゴツしたヴァルの指が擦れて・・・気持ちいいの・・・・・
・・・だからもっといっぱいシて・・・・・?」
と甘くおねだりしてきた。
ヴァルは、
「っ・・・今のおねだりはヤバすぎだアリア・・・。」
と言いながら顔を真っ赤に染めて、空いている方の手で自分の股間を押さえた。
「・・・?
ど、どうしたの・・・?
ヴァル・・・」
と首を傾げるアリア。
ヴァルは髪を掻き上げ苦笑しながら、
「いや・・・さっきのお前が俺の性癖に刺さり過ぎて、少し先走った・・・・・。」
と白状した。
「さきばし・・・何・・・?」
と再び首を傾げるアリア。
ヴァルはクツクツと笑うと、
「・・・それも知らないか・・・。
本当に可愛いなアリアは・・・。
おいおい教えてやるから今は気にするな。
それじゃ、指を動かしてみるぞ?」
と言った。
 
それからヴァルは、指を1本、2本と増やしながらアリアのナカをゆっくり抜き差ししてほぐしていった。
アリアはそんなヴァルの指をキュンキュン♡と締め付けては身をよじらせ、
「あっ・・・んっ・・・
ヴァル・・・♡ヴァル・・・・・♥」
と何度も彼の名を呼び甘い声を上げた。
そうして何度か往復しているうちに、最初はギチギチだったアリアのナカが少しだけ柔らかくなった。
それに気がついたヴァルはアリアのナカから指を抜き、切羽詰まった表情をアリアに向けて熱い吐息をつきながらこう伝えてきた。
「・・・少しはナカがほぐれたようだし、避妊薬も効いてくる頃合いだから、そろそろれても良いか・・・?
本当はもう少し慣らしてからのほうがアリアは痛まないのかもしれないが、もうアリアが欲しくて欲しくて、我慢の限界なんだ・・・・・」
アリアは今までは何処か余裕がある様に見えたヴァルが初めて見せる切羽詰まった表情に、キュン…♥と胸が締め付けられる思いがした。
そして彼が愛おしくて溜まらなくなり、潤んだ瞳でヴァルに手を伸ばし、きゅっと腕を掴むとこう答えた。
「うん・・・。
私も・・・ヴァルが私の為に・・してくれることだと思って我慢・・・してたけど、本当はもう指じゃ・・・足りないって思ってた・・・
ヴァルが欲しくて欲しくて・・・我慢の限界・・・だったの・・・
痛くてもいい・・・
優しくなくても・・・うんと激しく乱暴にされたっていいの・・・
特別なヴァルを私に・・・感じさせてくれる・・だけで、凄く満たされる・・・から・・・
だから・・・もっと指じゃ届かない奥まで・・・ヴァルで満たして・・・・・・?」
ヴァルはそんなアリアに感無量になったのか、顔を真っ赤に染めてはにかみ笑いをし、
「っ・・・・了解・・・♥」
とだけ答えると、アリアの脚を自分の両肩に乗せて、限界までそそり勃っている自分の竿を右手で支え、アリアの入口へ”つぷっ”と充てがった。
そして、
れるぞ・・・?
力を抜け・・・」
と言うと、ぐっ・・・!と腰を沈めた。
事前に指で慣らしてはいても、ヴァルのペニスは指2本分よりはずっと太く長いため、アリアは苦悶の表情を浮かべながら喘ぎとは違う苦しそうな声を上げた。
「ひっ・・・うっ・・・い゛っ・・・あ゛っ・・・っ・・・」
「アリア・・・辛そうだな・・・。
もう半分くらいは入っているが・・・無理をせず一旦休もうか・・・?」
ヴァルは本音を言えば今すぐ自分の全部をアリアのナカに沈めてしまいたかったが、その気持ちをぐっと堪え、今残っている理性を総動員させてアリアを気遣った。
だがアリアは、
「やだっ・・・!
痛くてもいい・・・優しくしなくてもいいって私言った・・・!
だからやめないでよっ・・・・・!
私のナカを、は・・やくヴァルでっ・・・一杯に満たしてったら・・・!!」
と言って涙を散らし、ヴァルの腰を力の入らない脚で精一杯に押さえつけてきた。
「くっ・・・!
俺を追い抜こうといつも食らいついてくるだけあって、本当に負けん気の強い女だなお前は・・・!
わかった・・・
もう手加減は一切しないぞ・・・!?」
そう言ってヴァルは少しだけ腰を引くと、勢いをつけてアリアのナカを一気に貫いた!
「ひあああああっ・・・!!」
純血の証である赤い筋が2人の結合部から滲み出し、白いシーツにぽたっ、ぽたっと零れ落ちて赤い染みを作った。
「はあっ・・・はあっ・・・全部入った・・・・・♥
アリアのナカ、熱くてキツくて食いちぎられそうだ・・・
どうだ・・・?
俺のがギチギチにアリアのナカを満たしてるのがわかるか?」
そう言ってヴァルは自分のモノを脈打たせてみせた。
「っ・・・うん・・・わ、わかる・・・
あっ・・・やあっ♡
ヴァルのがナカでっ・・・脈が打ってるっ・・・♥」
とアリアは顔を真っ赤に染めて喘ぎ混じりにそう答えた。
「ははっ、催淫毒の所為か、初めて男を受け入れた癖に感度良好だな・・・。
それなら・・・」
そう言って挑発的に微笑みながら、今度はグリグリとアリアの最奥を突付いてみせるヴァル。
「あっ・・・まっ・・・奥・・・グリグリするの、やあぁっ♡♥」
と甘い声を上げて身動みじろぎするアリア。
「ふふっ、アリアは奥が好きか。
こっちはどうだ・・・?」
と今度はペニスを半分程抜いて、丁度クリトリスのある付近の壁をナカから突き上げてみせるヴァル。
「ひああぁん♡♥♡」
「Gスポットはもっと好きなようだな♡
了解・・・♥
どっちもいっぱい突いてやるから覚悟しろよ?」
ヴァルはそう言って舌なめずりをすると、アリアの返事も待たずに腰をゆっくりと抽挿ちゅうそうし始めた。
「ひあっ♥
あっあっあっ・・・♡
ああんっあっあっんっ・・・♥
何これ・・・あっ♥・・・やだぁ何これっ・・・ああっ♥
こっ、こんなの続けてたらっ・・・へ、変になっちゃう・・・!
あっひっあぁあん・・・♥」
アリアは生まれて初めて与えられる衝撃的で鮮烈な快楽に、戸惑いながらも甘く忙しなく喘いだ。
ヴァルはそんなアリアに配慮してか、最初は彼なりに優しくゆっくりと腰を使っていたが、そうやって腰を動かしているうちに、挿入前に指で慣らしていてもまだ未熟な果実のように青く硬い感触だったアリアのナカが、次第に食べ頃の果実のように柔らかくトロトロになって、ヴァルのカリ首の隙間までピッタリと包み込み、動く度に無数の襞で良い所を絡め取るようになってきた。
それだけでも堪らないのに、更には非常に良いタイミングでキュンキュン♥とヴァルの半身を締め付けてくるのだ。
その気の遠くなりそうな快楽に堪らずヴァルは、
「はあっ・・・♥アリア・・・・・♥♡♥」
と熱い吐息を漏らすと、さらなるアリアとの快楽を求めて腰の動きを早めていった。
ぱちゅんぱちゅん!という水音と肉のぶつかる音が混ざったものと、ギッギッギッ!というベッドが軋む音、そしてはあっ、はあっという2人分の吐息が段々と早く激しくなっていく。


「アリア・・・好き・・・大好きだ・・・アリア・・・・・」
「あっ♥
私もっ・・・大好きっ・・・ヴァル・・・ヴァルぅ・・・・・♥」
「あぁアリア・・・
くっ♡・・・気持ちいい・・・!
・・・アリア・・・・俺のアリアッ・・・・・!!」
「あっはっあっあっ♡
んっあっああっあっ・・・♥
やあっ♡・・・なにこの感じっ・・・♥
ヴァルにあそこを舐められた時よりも・・・もっと強くて大きな波がっ・・・すっ・・・すぐそこまで来てる気がするっ・・・・・♥
あっあっやっああっ♡♥♡」
「はっ、はっ、はあっ♡
イきそうなんだな?アリア・・・
あっ♡・・・っくっ♥
アリアのナカが気持ち良すぎて俺ももう・・・・
大丈夫だ・・・怖くない・・・
俺も一緒にイくから・・・・・
アリアッ・・・・!アリアッ・・・・・!!アリアッ・・・・・・・!!!」
ヴァルは更に激しく早く腰を動かした。
ぱちゅん!ぱちゅん!ぱちゅん!ギッギッギッギッ!はあっはあっはあっ!と淫らな音がより一際激しくなり、そして─。
「・・・・・・・・くっ・・・・・・・・!!」
「ひぁあぁああーーーーーーーーー♡♥♡♥」
2人は深く繋がったままキツく抱きしめ合い、共に快楽の頂点へと昇り詰めたのだった。

その後も2人は体位を変え、数え切れないくらい交わった。
ヴァルは今まで経験した女とは一発出せば終わりで、自分の半身が再び首をもたげることなど無かったが、アリアが相手であれば射精して萎えても少し彼女に触れればまたすぐに勃ち上がった。
そして彼女のナカは今まで知ったどの女よりも気持ちが良く、彼女と繋がっていると泣きたくなるくらいに幸せな気持ちで満たされていった。
アリアは2回目以降はセックスというものを理解したのか、ヴァルから与えられる快楽を素直に受け入れて、今まで胸の奥にしまっていた”好き”という言葉を何度も口にしながら幾度となく昇り詰めた。
そうして身も心も裸になって大好きな彼と快楽を共有することに、この上ない幸せを感じた。
昇り詰める度にアリアの毒は抜けていき、夜が明ける頃には完全に毒が抜け去っていた。
アリアはカーテン越しに薄く差し込む朝日が眩しくて目を閉じると、小鳥の囀りを聞きながらヴァルと共に布団に包まり、深い眠りについた─。

5時間後─。
目覚めた2人はシャワーを浴びて装備を整え、ヴァルの部屋で彼が作った朝食兼昼食を一緒に食べていた。
メニューは厚切りトーストに溶かしバターをたっぷりと塗ったもの、大きなプレートにはスクランブルエッグにウインナーソーセージ、レタスとルッコラとプチトマトとチーズのサラダが盛り合わせてあり、スープマグには刻みパセリとカリカリのクルトンを乗せたコーンポタージュがホカホカと湯気を立てていた。
「今回は本当に助かったわ。
ありがとうヴァル・・・。」
と頭を下げてから、トーストをはむっと口にするアリア。
「いや。
俺もたっぷりといい思いをさせてもらったから気にするな。
それより身体は大丈夫か?
初めてで朝までぶっ通しで抱かれるのは、催淫状態にあったとはいえキツかったんじゃないのか?」
とソーセージを口にしながら少し誂いを含めて微笑むヴァル。
「あ、あれくらい平気よ・・・!
それよりあんた・・・避妊薬を常備してるなんて、やっぱりプレイボーイなんじゃないの?
まぁ赤ちゃんが出来たら冒険者を続けられなくなるから、使ってくれたのは今思うとありがたかったけど・・・」
とアリアはまだヒリヒリと痛む股間の痛みを強がりで隠しながら、いつもの調子で彼に返した。
「だろ?
だから後で後悔すると言ったんだ。
だが別に俺はプレイボーイじゃないぞ?
避妊薬を持っていたのは、あの小娘商人に催淫毒にも効くというインチキ解毒薬を売りつけられた際、本当に効くのか疑わしかったから、念の為に避妊薬もつけろと交渉したからだ。
もし本当にあの解毒薬が効いたなら、避妊薬のぶんの代金も後で追加で支払ってやるつもりだったが、その必要はなくなったというわけだ。
解毒薬はインチキだったが、避妊薬は一般的に普及してるごくありふれたものだし、ちゃんと効いたはずだから安心しろ。
まぁ万が一お前が妊娠していたら、好きな女と結婚してレストランを開くのが俺の夢だから、冒険者を引退してお前を嫁に貰い、長閑のどかな田舎に今の貯蓄で買えそうな小さな家でも買って、レストランを開くかな?
それで二人で店を盛り立てながら子供を育てていくんだ。
本当はもっと金を貯めてからこのリスベルに店を持つつもりだったが、田舎の小さな店も悪くないよな?」
そう言ってフフッと微笑むヴァル。
アリアはそんな未来を想像し、
(父と義母と義妹を見返してやった後なら、それも悪くないかもね・・・。)
と口元を緩めた。
「ところでアリア。
今度こそ俺とパーティを組まないか?
俺とお前がパーティを組めばこなせない依頼なんてないし、今まで潜れなかったダンジョンの奥深くを探検したり、見たこともない景色を見たり・・・毎日が冒険で楽しいぞ?
身体の相性だって抜群だしな?」 
と意味深に含み笑いをするヴァル。
「か、身体の相性のことは・・・私はあんたしか知らないから良くわからないけど・・・あんなに盛り上がったのは、きっと催淫毒が効いていたからよ・・・。」
とアリアは頬を赤く染め、照れ隠しでヴァルから視線を逸らしながらそう返した。
「俺はお前相手ならすぐに勃起するし、お前のナカは何度貫いても良く締まって最高だった。
お前の良い所だってしっかりと把握したし、催淫毒がなくともお互いに気持ち良くなれる自信があるけどな?
何なら今から1ラウンド試してみるか?」
「いいっ!
もう昨夜ので充分だってば!」
と更に顔を赤く染めて手をブンブンと振り拒むアリア。
そして小さな声でこう付け足した。
『まだあそこがヒリヒリするのに、これ以上シたら本当に擦り切れちゃうわよ・・・』
それを聞き逃さなかったヴァルは、愉快そうにクツクツと笑うと、
「なんだ・・・!
やっぱりキツかったんじゃないか。
娼婦の必需品、デリケートな箇所に塗れる即効性のある炎症止めを後で買って塗ってやるよ。
そしたらすぐにセックス出来るぞ?」
と言った。
「あ、あんた、今の聞こえて・・・!
い、いいわよそんなの買わなくても・・・。
暫く放っておけばきっと治るもの・・・。
それよりあんた、なんでそんな娼婦の必需品とか知ってるのよ・・・。
やっぱりプレイボーイなんじゃないの?」
とヴァルを軽く睨みながら唇を尖らすアリア。
「違うと言ったろ?
母親が娼婦だったから、ガキの頃良くそれを買いに行かされたんだよ。
まぁそんな母親も8年前・・・俺が12の頃に死んでしまったがな。
その後は同じ娼婦の子で俺の世話を良く焼いてくれた兄貴みたいな男に誘われて冒険者になったが、お前も知っての通り、そいつに妬まれてパーティ内で奴隷扱いされるようになったから奴等と決別してソロになり、今に至るわけだ。」
さらっとそんな過去を打ち明けるヴァル。
アリアは以前ヴァルからソロ冒険者になった切っ掛けについては聞いていたが、母親の話を訊くのは初めてだったので、その意外な真実に眉を寄せてこんなことを思った。
(ヴァルのお母さん、娼婦だったんだ・・・。
ヴァルって冒険者にしては言葉遣いもきちんとしているし所作も綺麗で、でもこの国では珍しい髪色をしているから、異国の良家の産まれなのかと勝手に思っていた・・・。
きっとヴァルのお母さんは娼婦をしていても、品格のある人だったのね。
私もそうだけど、そんなに早くに母親を亡くして冒険者になって、お兄さんみたいな人にも裏切られて一人になって・・・。
本当に私達、良く似てるのね・・・・・)
するとヴァルはアリアが自分の重い過去に対して返す言葉が見つからないでいると思ったのか、いつもの調子であっけらかんと微笑んでこう言った。
「重く受け取る必要はないぞ?
冒険者をやっている奴には娼婦の子や孤児の物乞い上がりなんてよくある話だ。
それよりどうなんだ?
俺とパーティを組むって話・・・。
お前は俺と上手くいかなかった時のことを怖れていると言ったが、俺の方からお前を手放す事は絶対にないと誓う。
それにさっきも言ったが、きっと今までよりももっと楽しい冒険が沢山待っている。
どうだ?
今日こそお前の本当の返事を聞かせて欲しい・・・。」
アリアはそう言って真剣に自分を見つめてくるヴァルを暫くの間真っ直ぐに見つめ返すと、少し照れくさそうにはにかんで、こう答えた。
「いいわよ・・・?
あんたのご飯とても美味しいから、これが毎日食べられるのならパーティを組んであげる。」
そんなアリアの言葉を聞いて、ヴァルはぱあっと表情を輝かせて目を見開くと、アリアの手を取った。
「本当か!!
やったっ!!やったぞ!!!
それじゃあ飯を食い終わったらすぐギルドにパーティ登録手続きに行くとしよう!」
「うふふっ、ヴァルったら子供みたいにはしゃいで・・・。
でもパーティネームはどうするの?
何々団とか何とかチーム何々とか、そういうのが登録に必要なんでしょ?」
と言いながらクスクスと笑うアリア。
「俺とお前の2人パーティだし、”武姫と漆黒の風”でいいんじゃないか?」
「安直ね。
でもわかりやすくて嫌いじゃないわ。」
と笑うアリア。
「だろ?
・・・ギルドに行ったついでにお前を強姦しようとしたあの3人組のことも報告しておこう。
アリアに対しては未遂に終わったが、あの分なら相当な余罪がある筈だ。
それらが洗われればきっと冒険者登録を抹消・・・もしくはリスベルへ出入り禁止になるだろう。」
アリアは同意し頷いた。
「そうね・・・。
あんな奴等を野放しにしては、また違う人が被害に遭うかもしれないものね・・・。
それならエストゥラスビースト退治の報告もしておくわ。
この依頼の成功報酬とポイントは私が貰っても良いのよね?」 
「当然だ。
アリアが一人で達成したのだから。
お前をあの3人組から助けた礼なら、昨夜に今までの諸々を含めてたっぷりと頂いたしな?」
とウインクをしてみせるヴァル。
アリアは再び昨夜の交わりの事を思い出し、顔を真っ赤に染めた。
そこでヴァルはふと何かに気がつき、顔を上げてこう言った。
「・・・となるとアリアお前、ついに俺を抜いてソロランク1位になるんじゃないのか?
昨日の朝の地点で俺とお前のポイント差は僅差だったし、俺は貴族からの要人警護の依頼を断り、お前はエストゥラスビースト退治の依頼を達成させたわけだからな。
良かったじゃないか。
ずっとそれを目指して来たんだろう?」
と頬杖をついて優しくアリアを見つめるヴァル。
「そうだけど・・・
ヴァルは悔しくないの?
私に抜かれて・・・」
アリアは不安気にヴァルに尋ねた。
「別に?
俺はもうソロランク1位である必要は無くなったからな。」
とヴァルは平然とした顔で答えた。
「えっ?
それって一体どういう・・・?」
と小首を傾げるアリア。
「アリアと出会う前はただソロで活動していくうちに勝手にランキングが上がっていっただけだったが、アリアと出会ってから初めてランキング1位であることに意味が生じたんだ。
アリアは過去の経験上、自分より弱い相手とは絶対にパーティを組むことはないだろう?
たから俺はいつかお前とパーティを組むために、1位であり続ける必要があったんだ。
上のランクである俺から根気よくパーティに誘われれば、冒険者の仕事において高みを目指しているお前なら、いつかはパーティを組んでくれる・・・そう確信していたからな。
まぁお前の反応からしてまだまだ時間がかかるだろうとは予測していたが、今回の一件のお蔭でアリアと急接近してパーティを組めることになったから、ソロランクの結果にこだわる必要がなくなったというわけだ。
ただこれからはアリアと共に行動するようになるから、任務内で俺のほうが活躍すればまたソロランクを追い抜いてしまうことにはなるだろうが、お前がランキング1位でありたい理由次第では、ポイントを調整してお前を1位にし続けてやってもいい。
お前は俺にポイントを譲られたと不服に思うかもしれないが・・・。」
とヴァル。
「・・・ソロランク2位に落ちたら、王族貴族からの指名の仕事が来なくなるわ。
あんた、それでも構わないの?」
アリアは怪訝な顔で彼に尋ねた。
「あぁ、構わない。
寧ろ奴等と関わらなくて済む方が気楽でいい。
その口ぶりからして、どうやらアリアは奴等と関わりになりたい側のようだな?
爵位を賜わって、貴族の仲間入りでもしたいのか?」
と少し冗談めかしてヴァルは尋ねた。
「・・・違うの。
爵位が欲しいわけじゃない。
だけど・・・・・」
アリアはそれ以上は言いにくくて黙り込んでしまった。
ヴァルはそんなアリアを真剣な表情で見つめながらこう言った。
「・・・言いづらい事のようだが、2人でパーティを組む以上、お前が冒険者として果たしたい目的についてはちゃんと知っておきたい。
俺の目的はさっきも言った通り、金を貯めて好きな女と結婚してレストランを開くことだが・・・お前の目的も話してくれないか?
勿論口外はしないと約束する・・・。」 
アリアは暫くの間無言で考え込んでいたが、やがて決意を固めたのか、顔を上げてこう言った。
「・・・わかったわ。
実は私の出自に関係することなんだけど・・・・・」

アリアは自分が伯爵家の産まれで、父親と義母、義妹により酷い生活を強いられた挙げ句、借金のカタに変態侯爵の愛妾にされそうだった所を盗賊に襲われ、そこから人買いに売られそうな所を元いた冒険者パーティに助けられてそのまま冒険者となる道を選んだことを彼に話した。
「成程・・・。
容姿の美しさだけでなく、物腰に品があるから育ちが良いのだろうとは思っていたが、本物の令嬢だったってわけか・・・。
それでお前は自分を冒険者になるしかない状況へと追い込んだ父親と義母と義妹に、冒険者のトップに君臨した自分の存在を知らしめたいと・・・。
だが知らしめてそこから先はどうするつもりだ?」
とヴァル。
「どうするって、それは・・・」
アリアはその事について具体的な答えをまだ持ってはいなかったが、その気持ちが後ろ向きな事であるとは自覚しており、ヴァルになんと返せば良いのかわからずに黙り込んだ。
ヴァルはそれを見透かしてか、厳しめの表情でアリアを見つめてこう言った。
「復讐ならやめておけ。
復讐を果たした所でお前は幸せにはなれないし、奴等を後悔させることも出来ない。
本当に奴等を見返したいなら、お前は誰よりも幸せになるべきだ。
お前が幸せであればあるほど奴等はお前を安く扱ったことを後悔するだろう。
・・・・・納得が出来ないって顔だな?」
「・・・・・。」
アリアは膝の上に乗せた手を握り締めてコクンと小さく頷いた。
ヴァルは小さくため息をつくと、
「・・・お前の姓はラスフィールだったな?
わかった。
知り合いに貴族に顔が効く奴がいるから、そんな名の伯爵家に心当たりが無いか聞いて、どうにか会う機会を作れないか相談してみる。」
と言った。
アリアはそれに対してすぐに頭を振った。
「いいえ!
ラスフィールは亡き母の旧姓なの・・・。
その姓のほうが、私の名が世間に知れ渡った時に、奴等に響くと思ったからそう名乗ってたけれど・・・。
・・・私の本当の姓はリンドシークよ・・・。
私が12の地点でかなり傾きかけていたから、もしかしたら私が復讐するまでもなく、お家取り潰しになっているかもしれないけれど・・・」
ヴァルはリンドシークの名が出た所でハッとして顔を上げ、アリアのセリフを最後まで聞き終えてからこう言った。
「リンドシークだと?
それは昨日ギルドで話を持ち出された要人警護の相手の名だ。
確か、14になる娘が隣国王太子の婚約者と決定し、暫くの間花嫁修業に入るから、その道中の警護をしろとかそんな話だった筈だ・・・。」
「14になる娘・・・。
義妹のイザベルと年齢が一致するわ・・・。
でもあの子が隣国王太子様の婚約者に選ばれるなんて明らかに変よ。
あの子、父と義母の再婚で表向きは伯爵令嬢になったけれど、貴族の血は引いていないの。
それに他のもっと身分の高いご令嬢達を差し置いて、何故あの子が選ばれたのかしら・・・?
もしかしたらあの義母が何か卑怯な手を使い、父をけしかけて手に入れた座なのかもしれないわ・・・・・」 
とアリアは険しい顔をして呟いた。
そんなアリアを見てヴァルは真剣な顔のままでこう提案をした。
「・・・その依頼、まだ返事が間に合うようなら、パーティ”武姫と漆黒の風”として依頼を引き受けるという形で話を進めてみるか?
そうすればお前が依頼主一家に会う機会もあるだろう。
取り敢えず奴等と会ってみてから、お前がどうしたいのかを考えてみるのが良いと思う。
そのほうが悔いのない結論が出せるだろうしな・・・。
もしもそれでお前が良くない方向に結論を出すようなら、俺が止めてやる。
アリアは復讐に生きるより、この世界をパートナーと一緒に存分に冒険してから結婚し、何人か子供を産んで旦那と一緒にレストランをやりながら子供を育てていく・・・そんな未来のほうが似合っていると思うからな。」
ヴァルはそう言って優しく微笑み、アリアの頭をポンポンと叩いた。
「ヴァル・・・・・。
うん・・・。
・・・ありがとう・・・。」
アリアはそんな彼の笑顔でささくれかけていた気持ちが穏やかに鎮まり、ふわりと柔らかく微笑んだ。
「うん・・・。
やっぱりお前は笑ってるほうがいいよ・・・。
お前の義妹の警護任務が受けられたとして、任務開始までにはまだ一ヶ月程時間があったから、その期間は二人でリスベル近郊の未踏破ダンジョンにでも潜ってみるか?
そのための申請手続きもギルドで行える筈だ。
今日のギルドでの用事はそんなものだな。
後は今日のうちに引っ越しを済ませてしまおうか。」
とヴァル。
「引っ越し?」
「あぁ。
同じパーティなんだしもう深い仲になったんだ。
同じ部屋で良いだろう?
どちらかの部屋を引き払って2人で暮らせば宿賃が節約できる。
引き払う方は宿に言えば既に払っている宿賃を日割りで返却して貰える。」
アリアはぱあっと表情を輝かせてこう返した。
「それなら私がこの部屋に来てもいい?」
私の部屋は生活に必要な最低限のものしか置いてなくて殺風景だし、ここ・・・日当たりもいいし、生活感があって何だか落ち着くから・・・。」
ヴァルはそんなアリアに嬉しそうに微笑むと、
「ふふっ、わかった。
それならお前の部屋を引き払うのに付き合うよ。
俺のマジックバックなら、お前の荷物が全て入るだろう。
2人で暮らすのに足りないものがあれば、夕食の材料を買いに行くついでに市場で買っておこう。
夕食は何がいい?
冒険者パーティ”武姫と漆黒の風”成立記念だ。
アリアの食べたいものを何でも作ってやるぞ?」
と言い、アリアに笑いかけた。
「本当?
それなら鶏肉のクリームシチューがいいわ!」
アリアは嬉しそうに答えた。
「ふふっ、了解。
アリアの好物はクリームシチューか・・・。
可愛いな・・・。
他には?
スイーツは食わないのか?」
「甘い物も好きよ。
でも太っちゃうから普段はあまり食べないようにしているの・・・」
と頬を染め口元を波打たせて俯くアリア。
「記念日なんだし食いたいものを食いたいだけ食えばいい。
何、取り過ぎたカロリーなら、夜にベッドの上で消費に協力してやるから心配要らない♥」
と美しいサックスブルーの瞳を細めて妖艶に微笑むヴァル。
「えっ!?
こ、今夜もまたあんなことをするつもりなの!?」
とまるで火がついたようにボボッと顔を赤く染めるアリア。
「当然だ。
やっとお前を抱けるようになったんだし、毎日求めるぞ?俺は。
まぁこれからは翌日に響かないよう3発程度に留めるつもりだがな?
というわけだから、やはりお前のあそこの炎症止めと、避妊薬もどっさり買い込んでおくとしようか♪
それで、スイーツのリクエストは?」
というヴァルの問いかけに、
「そ、それじゃあ苺が沢山のタルトがいい・・・。
お母様が良く作ってくれた、私の一番好きなお菓子なの・・・」
とモジモジしながら答えるアリア。
「了解!」
そうして後に冒険者史上最強の冒険者パーティと謳われることになる”武姫と漆黒の風”が誕生することになったのだった。
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