金獅子とドSメイド物語

彩田和花

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5話 毒と香りとドSメイドの涙

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※このお話の後半にはHな挿絵が入りますのでご注意ください。
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買い物を終えた二人は15時前には宮廷に戻って来た。
レオンは15時から鍛錬があると言って5階のトレーニングルームへと行ったので、モニカはまずニーナから買ってきた花を、主人のものと自分と部屋のものと別々の花瓶に活けた。
続けて先程買ってきた鍋や調理器具や食器、ネグリジェやカーディガン、そして旅行鞄の中身を全て出してきて、備え付けの家具にそれぞれ片付けた。
ついでにグリントの血がついたハンカチも買ってきた小瓶の中に入れて、ラベルに”第一公子 血液”とジャポネ語にて記し、目につかないよう旅行鞄の中に入れて鞄ごと鍵をかけておいた。
その旅行鞄から先程出した荷物の中に、ジャポネからアデルバートに来る道のりで洗濯出来なかった下着類を入れた巾着袋があったので、モニカはそれらを一気に洗濯してしまおうと、洗濯器(※魔石の力で洗濯を手助けしてくれる魔道具)の置いてあった脱衣所へと向かった。
すると洗濯器の中には既にレオンが昨日使用したと思われる下着やバスタオル等が入れられており、昨日まではオリガがそれを洗濯してくれていたのだろうが、今日から自分が専属メイドとなったためにそのままとなっていたのだろうと気がついた。
(今日の朝専属メイドとして採用していただいたばかりで慌ただしくすっかり忘れておりましたが、レオン様の身の回りのお世話は全て今日から私の仕事なのです。
レオン様に不自由があってはなりませんし、すぐにこちらも洗濯してしまいましょう。
軽く乾燥器にかけてから目立たない所に干しておけば、明日には綺麗に乾くでしょう。
本来であればメイドのものは主人のものとは別に洗うべきなのですが、今日は時間もないことですし、私のものを軽く手洗いしてから一緒に洗わせていただきましょう。
レオン様にもし一緒に洗ったことを知られたとしても、それを咎めるどころか逆に遠慮して別々に洗ったほうがしゅん・・・と肩を落とされそうですしね!
あ、でも他に洗濯すべきものがあるかどうか、一通り部屋を確認してからのほうが良さそうですね・・・)
モニカはそう思ってレオンのベッドのシーツを確認するが、ピシッと美しく整えられたシーツは新品同様であり、交換の必要など全くなさそうだった。
(ずっとメイド部屋の方で寝られていたというのは本当のようですね・・・。
ならばあちらのベッドのシーツを洗ってしまいましょうか・・・)
そう思って自分の部屋に行きベッドのシーツを剥がそうとしたが、そのシーツからほのかにレオンからする爽やかなポメロ(※柑橘類の一種で、和名は文旦、またはザボン)のような香りが立ち昇ったので、ハッとして手を止めた。
(・・・・・もう15時過ぎています。
今からシーツを洗っても乾燥が間に合いませんし、あまり大型のものを部屋干しするのは美観を損ねてしまいますから、今夜はそのままのベッドを使わせて貰いましょう・・・)
そう思ってシーツを剥がさずに軽く整えるだけにしたモニカだったが、その顔は明らかに赤く染まっていた。

モニカは洗濯器を回しながら風呂とトイレの掃除を行った。
そうしているうちにレオンの鍛錬が終わって部屋に帰ってきたので、モニカは「おかえりなさいませ!」と笑顔で出迎えてから主人に風呂を勧めた。
するとレオンは目を丸く見開いて驚き、
「洗濯や掃除までしてくれたのか!
今日は君、自分の部屋を整えたりするので忙しいと思ったから、僕のことは明日に纏めてくれても良かったんだぞ?
でも、汗をかいて帰ってきてすぐに風呂を勧めてくれるのは正直嬉しいな・・・。
オリガには他の者の仕事もあったし、夕方で上がりだからそこまで頼めないし、かといって他の信用できないメイドを部屋に上げたくもなかったから、シャワーで済ませることが多かったんだよ。
ありがとう。
有り難く入らせてもらうよ。」
と最後には柔らかく微笑んで、バスルームへと入って行った。
バスルームから聞こえてくる彼のしっかりと音程の取れた鼻歌を聴きながら、洗濯と軽い乾燥が済んだ彼の洗濯物を干し、それが終わると今度は自分の下着を部屋に持って行き、一緒に洗ったタオルで軽く隠してハンガーに干した。
乾燥器のお蔭で一部の下着は既に殆ど乾いており、明日朝には完全に乾いているだろうとモニカは微笑んだ。
日が沈み始めて窓から差し込む光が薄くなったことに気が付いたモニカが自分部屋、続けて主人の部屋のカーテンを閉めていると、レオンがふんわりとポメロの香りを立ち昇らせながらバスルームから出てきた。
「はー・・・いい湯だった。」
水滴が滴るしなやかな金の濡れ髪に、細身に見えてきちんと筋肉がつき均整の取れた美しい上半身、下半身には黒のブリーフだけを履き、少年と大人の男の中間の何とも魅惑的な裸を惜しげもなく晒す彼に、モニカはドキン!と強く鼓動が跳ね上がるのを感じてしまうが、それを気取られないようになるべく平静を装いながらこう声をかけた。
「レオン様、ご用意していたお召し物をきちんとお召になって、髪も乾かしてから出て来てくださいな。」
「あぁ、ごめん。
僕風呂上がりはいつもこうだからついさ・・・。
髪が乾くまでこの格好でフラフラしてたら駄目かな?」
と自分の裸を見下ろすレオン。
「駄目です。
私だって一応は年頃の娘なんですから・・・。
その様なお姿は夜伽の方やお妃様の前だけになさって下さい。」
モニカはどうしても意識して赤く染まってしまう顔を主人から逸らしたままでそう言った。
「・・・僕にとってはそのどちらも未来の君なんだが・・・」
と真剣な顔で呟くレオン。
「・・・私が夜伽に呼ばれるかどうかはレオン様次第と言わざるを得ませんけど、私がお妃様になることはありえないでしょう?」
何を非現実的な…と言わんばかりの呆れ顔でモニカは主人に向けてそう言った。
「そんなことはないぞ。
公子が男の証を立てた相手は身分に関係無く妃候補として名を挙げることができる。
まぁラスター・ナイトの血を濃く保つためになるべく血縁の近しい者を第1妃にしろと父や兄にはうるさく言われるだろうが、母が平民の僕だからこそそのハードルも下がるだろうし、跡継ぎに選ばれる可能性の低い第3公子の僕ならば、どうしても君じゃないと結婚しないと強く押し切れば、君を第1妃にすることは可能だと思う。
まぁそうなった場合世間からの君への風当たりはそれなりに強いのだろうが、僕が君を守るし、君ならその風を跳ね除けるだけの強さと内面を持ち合わせていると思う。」
モニカは今レオンが言ったことは彼にとっては極めて真剣な願望であり、決して軽んじてはいけないことなのだろうが、今の自分にはまだそれをきちんと受け止めた上でなおかつ誠実な答えを返す事はできないと思ったので、一先ずこの場は軽く流すが、それを逆手に取って彼に言うことを訊かせてしまおうと思いついた。
「私を買い被り過ぎですわよ?レオン様。
それよりも早くお召し物をお願いします。
レオン様が幾ら素敵なお身体をなされていても、私が見慣れてしまえば、肝心な時にその効力が発揮されなくなってしまいますわよ?
それでも宜しいのですか?」
その声がけはまさしくこの主人には効果テキメンだったようで、彼は困ったように眉を寄せてこう返した。
「うっ・・・それは困るな。
わかった、服を着よう。
だが髪は君が乾かしてくれないかな?
実は僕、この髪を乾かす魔道具は苦手なんだよ・・・」
そう言って温風器という髪を乾かすために用いられる魔道具を指差すレオン。
「もう・・・温風器で髪を乾かすくらい梅次うめつぐでも出来ましたよ?
仕方がありませんね・・・」
─ブオオオオ─
温風器を起動させて、レオンの細く美しい髪を優しく梳かしながら温風を丁寧に当てていくモニカ。
「あぁ・・・君にこうして髪を乾かしてもらうのはなんか幸せだ・・・。
毎日お願いしようかな・・・。」
「もう・・・レオン様ったら甘えん坊なんですから・・・」
そんな話をしながらレオンの髪をあらかた乾かし終えたところで、部屋のドアをノックする音がした。
「はい。」
モニカが温風器を止めてドアを開け応対に出ると、そこにはオリガとアンジェリカが立っていた。
「モニカさん、先程鍛錬の終わったレオンハルト様とお会いして、今晩の食事をアンジェリカ様とご一緒になさりたいとお訊きしましたので、少し早いですけど私が上がる前にお連れしました。」
「まぁ!ありがとうございますオリガさん。
アンジェリカ様、どうぞお入りになって!
今お茶をお淹れしますから!」

そうしてアンジェリカとレオンに紅茶を淹れ、ジャポネから持ってきていたとっておきの干菓子”和三盆”をお茶菓子として出すモニカ。
(和三盆を持って来ていて良かったですわ。
シンプルな干菓子だからお紅茶にも合いますし、見た目も花の形をしていて綺麗ですから。
ですが、宮廷メイドとしてこれからもこうしてお茶を淹れる機会は多いのでしょうから、お茶菓子は常に準備しておいたほうが宜しいですわね。)
そんなことを思っているとすぐに夕食の配膳の時間になったため、モニカは二人には部屋で待っていて貰い、夕食を取りに調理場へと向かうことにした。
モニカはオリガから言われた時間通りに調理場へと到着したが、今日の夕食は予定より早く仕上がったようで、既に配膳を終えて食事を乗せたワゴンを運び始めている白髪ショートヘアのメイドとすれ違った。
だが彼女はモニカの姿を目にするとハッとして振り返り、こう言ったのだ。
「あ・・・栗色の髪と瞳の・・・。
もしかして貴方が今日からレオンハルト様の専属となられたお方ですか?」 
「えぇ、私モニカ・アイジャーと申します。
よろしくお願いしますわ。」
とモニカは彼女に対してにこやかに挨拶をした。
「ご丁寧にありがとうございます!
私はフリーメイドのリディアといいます。
実は今日から貴方がレオンハルト様の専属になられたとは知らずに、今日の配膳当番達がレオンハルト様のぶんの配膳まで済ませてしまったようで、こちらのワゴンにこの通りレオンハルト様のぶんが・・・。
勿体無いですので、こちらのレオンハルト様のお食事をそのまま持って行っていただけると有り難いのですが・・・。」
「あら、そうなのですね?
わかりました。
ではそちらを預かりますわ。
あの、レオンハルト様は今日はアンジェリカ様と一緒にお夕食を召し上がりになられるそうなのですが、アンジェリカ様の分の配膳はお済みですか?」
「えぇ!
アンジェリカ様のものもこちらにございますので、こちらも合わせてお持ちください!
行き違いにならずに済んで良かったです!」
「えぇ、そうですね!」
モニカは彼女からレオンハルト様、そしてアンジェリカ様と書かれたトレーをそれぞれ受け取って自分のワゴンに乗せると、リディアと一緒にエレベーターで4階までそれを運んだ。
リディアとは4階の廊下で別れ、レオンの部屋をノックする。
するとすぐにレオンが扉を開けてくれたので、モニカはワゴンを室内に入れて、
「お待たせしました、レオン様、アンジェリカ様。
今お夕食をテーブルに並べますので・・・」
と言って微笑んだ。
「いや、全然待ってないよ!
とても早くてびっくりした。
ねぇ母様!」
「えぇ!
流石はモニカさん、仕事が早いのね!」
と息子に同意するアンジェリカ。
「いいえ、違うんです!
確かに今日はいつもよりも早くお夕食が出来たようなのですが、フリーのメイドさん達の方で手違いがあったそうで、私が調理場に着いた時には私が専属に着いたことを知らなかったメイドさん達によって既にアンジェリカ様とレオン様のお食事の配膳が終わっておりまして。
私はそれをそのまま受け取って運んで来ただけですから。」
それを訊いたアンジェリカとレオンはたちまち険しい顔になると、互いに顔を見合わせた。
そしてアンジェリカがモニカに対してこう言った。
「モニカさん、貴方には私達親子のことで知っておいてもらいたいことがあります。」

アンジェリカは持ってきていたポーチから幅3センチ、長さ15センチ程の細長い木箱を取り出すと、その蓋を開けて中から硝子のような材質で出来た透明のスプーンを取り出した。
そしてレオン用のトレーに盛られたスープをそれで一匙掬ってみせた。
そしてそれを取り皿に乗せて少し置くと、スプーンが黒く変色してしまった!
「これは・・・毒・・・!?」
モニカはその驚愕の事実に青褪めた。
「えぇ・・・。
このスプーンはあらゆる毒を感知する魔石で作られたもので、ダズルから贈られたもので唯一役に立っているものなの。
これで掬えば毒があるかどうか判別することが出来るわ。
でも毒が含まれているのはレオンハルトのものだけじゃない筈よ。
私のものも同様に・・・」
アンジェリカはそう言うとそのスプーンを水差しから注いだ水に浸した。
するとスプーンが再び透明に戻ったので、それをナプキンで軽く拭き取ると、今度は自分のスープを掬った。
するとやはり同様にスプーンが黒ずんだ。
「やはりそうね。
この様に私達の食事には毒が混入されて運ばれてくることが殆どなのです。
ですが、この子がお昼に1階の食堂で食べたものや、オリガが運んでくれる私の昼食は大丈夫だから、料理自体に最初から毒が含まれているのではなく、配膳係の中に対象となる者の料理にだけ毒を盛っている者がいるようなのです。」
「配膳係の中に・・・?
・・・私にこの食事を渡してくださったフリーメイドのリディアさんは、何もご存知ないようでしたが・・・」
とモニカは真っ青な顔のまま呟いた。
「えぇ、きっとその子は無関係なのでしょう。
ですが、仮に私達が毒を口にしていたのなら、貴方とその子に疑いがかけられていたと思うわ。
そうやって本当の犯人は目立たない位置に潜み、毒を盛り続けているの・・・。
・・・貴方は私が平民の出であることをこの子から聞きましたね?」
とアンジェリカ。
「はい・・・。」
モニカは頷いた。
「それを目障りだと思う誰かがメイドにやらせているのでしょう。
もうずっと、この子が生まれる以前の、私が宮廷に来た当初からそれはありました。
私も宮廷に入ってすぐの頃や、この子も小さい頃には知らずに食べてしまったことがあります。
幸いにも私達は先祖からの遺伝の影響で毒には比較的強いので、死に至ることはありませんでしたが・・・それでも何日も熱にうなされ、生死の淵を彷徨う危険な毒なのです・・・。
常人が口にすれば即死でしょう・・・。
そして犯人は私達が毒を警戒して食事を摂らなくなったことに相当しびれを切らしていた筈です。
そこに貴方という専属メイドが入ってきた。
今このタイミングで毒を盛り、貴方の配膳と思わせて食事を出せば、確実に私達親子が毒を口にする・・・そう思ったに違いないわ。」
アンジェリカのその言葉で、モニカはふと昼間の食堂でレオンの後ろの席に着いてこちらの話を訊いていたであろう濃灰髪のおさげのメイドの姿を思い浮かべた。
そのヒントがあったのにも関わらず、毒を盛られた可能性に気付けなかった能天気な自分を呪い、モニカはその栗色の瞳にじわりと涙を滲ませた。
それを察したアンジェリカがモニカを傷付けないように慌てて頭を振った。
「勿論貴方は悪くないの!
この子は貴方が配膳するのなら今日から毒の心配は要らないと思い、その可能性を貴方に伝えなかった。
それを知らなかった貴方は、既に配膳してもらったものを捨てるのは勿体無いと思い、ここまで運んだだけなのですから・・・。」
「ですが・・・それなら・・・お二人は今までずっとお夕食は・・・」
モニカが震える声でそう尋ねた。
「えぇ・・・。
夕食だけでなく、朝食もオリガが出勤してくる前には配られるので、その2回の食事は毒が盛られていれば誰の目にもすぐにわかるパン、そしてフルーツにのみに手を付けていました。
スープや肉料理のソース、フルーツカクテルやムースやヨーグルト等の宮廷で作られているデザート・・・これらの液体ベースのものは、ほぼ毒が含まれていると思って間違いないでしょう・・・」
「そうだったのですね・・・。
お二人は今までずっと、温かく安心できる食事をお昼にしか口にできなかったのですね・・・」
そこでモニカの堪えていた涙が一気に溢れ、ポロポロと涙が頬を伝った。
「モニカ・・・!
君のせいじゃない!
君が泣くことなんて無いんだ・・・!」
レオンは堪らずにモニカを胸元に抱き寄せた!
そして嗚咽が止まらなくなってしまったモニカの背中を何度も優しく撫でた。
「そう・・・決して貴方のせいじゃないわ!
貴方は食事が自分によって配膳されたものではないことをきちんと話してくれたわ。
事前に誰かが配膳していたことを言わずに自分の功績にするメイドもいるでしょうに、貴方はそうしなかった。
それがなければ私もレオンハルトもこの食事を調べることもなく口にしていたでしょう。
今回の件を通して、貴方が誠実で信頼のおける・・・そしてとても優しい子だということがわかったわ・・・。
貴方にレオンハルトのお世話をしてもらえることになって本当に良かった・・・」
と言いながら、アンジェリカもモニカの頭をずっと撫でてくれた。
モニカは少しの間レオンの胸を借りて泣いていたが、やがて何かを決意しその顔を上げると、涙を自らの手で拭ってからしっかりとした表情でこう言った。
「レオン様、アンジェリカ様。
もう一度だけお時間をいただけますか?
今度こそ安心して召し上がっていただける物をご用意致します!」
「・・・ありがとうモニカ。
だけどもう配膳の時間はとっくに終わっているし、調理場には私達の食事は残っていないと思うからもういいのよ?
このパンとフルーツは食べられるのだし。」
そう言ってアンジェリカは白パンとフルーツを指差した。
「食堂には使用人たちの賄があるだろうが、あれは料理人見習い達が交代で作っていてその安全性が不確かだから、僕たちに出すわけにはいかないものらしいし・・・。」
と説明するレオン。
「そうですか・・・。
でもお昼がビーフストロガノフだったのですから、きっとあれが残っている筈ですわ・・・。
とにかく私、調理場まで行って参ります!」
そう言い残してレオンの部屋から出ていくモニカをレオンは慌てて追おうとしたが、アンジェリカがそれを引き止めた。
「モニカさんの気の済むようにやらせてあげなさい、レオンハルト。
いつも手を貸してあげるばかりが愛情の示し方ではありませんよ?
あの子はプロのメイドとして、自分がしてしまった失敗・・・私達はそれを失敗とは思っていなくても、あの子がそう思っているのでしょうからその言葉を敢えて使いますが、その失敗を取り返そうと今行動しています。
それを貴方が助ければ、それはあの子にとって全て貴方のお陰になってしまうのです。
あの子は自分だけの行動においてそれを取り返したいと思っている。
だから貴方はここでそれを信じて待っていてあげるべきですよ?」
「母様・・・」
レオンは母の向かいの席に座ると、モニカの涙で出来た服のシミを愛おしそうに指でそっとなぞるのだった。

調理場に急いで降りたモニカだったが、アンジェリカが言ったように既に貴族たちへの配膳は終わっており、後は手の空いた使用人達から順番に食堂のほうで賄いを食べていた。
モニカが調理場に誰かいないかと顔を出すと、明日の仕込みを行っていた料理長らしき小太りの中年男性がコック帽を脱いで愛想良く挨拶をしてくれた。
「おっ!
あんた、レオンハルト様の専属メイドになった姉ちゃんだろ?!
うちのカミさん・・・マルファが昼間会ったって自慢してたぜ!
俺はここの料理長をしているドミトリーってんだ。
賄いを食いに来たんだろ?
今日は黒パンと岩鳥のカツレツオリヴィエサラダ添え、それにサーモンとじゃが芋のスープだぜ?
みんなうちの見習いが作ったが、まぁまぁの出来だから、食堂の方へ行って食ってきな?」
モニカは彼に頭を下げてこう返した。
「料理長のドミトリーさん、始めまして。
今日からレオンハルト様の専属メイドとなりましたモニカですわ。
ですが私、ここに賄いを食べに来たのではなく、食材を分けていただきに来ましたの。」
「食材?
どういうことだ?
もう貴族様達への夕食はお出ししたろ?」
と首を傾げるドミトリー。
「えぇ、ですが折角のそのお夕食を私ったらうっかりひっくり返してしまいまして、食べられなくなってしまったのです。
ですので代わりにお出しできるものを今から私が作ろうと思ったのですが、今日は食材を買いに出る時間がありませんでしたので、こちらで余っている食材を分けてもらえればと思ったのです・・・。
もちろんその分のお代は支払いますので、分けてもらえそうな食材はありませんか?」
モニカは毒が盛られていた件は大事にしないために伏せつつ、ドミトリーに要件を伝えた。
「ほぉ!
主人の食事をひっくり返しちまうだなんて、あんたみたいな仕事の出来そうなメイドさんでもそんなことあるんだな!
それで主人のためにあんた自ら食事を作ろうってか!
いいぜいいぜ!
そういうことなら昼間のビーフストロガノフで余った冷めたライスが沢山あるから持っていきな!
後はサーモンの切り身、じゃが芋人参玉ねぎ、青葱、卵、オリーブオイルも分けてやる!
それで何か作れそうか?」
「えぇ!
それだけあれば充分ですわ!
ありがとうございます!」

モニカはそれらの食材を持って4階へと上がり、レオンに部屋へと通してもらった。
「おかえりモニカ!
ライスにサーモン、青葱に卵、じゃが芋人参玉葱・・・?
これで一体何を作るんだ?」
という彼の問いに対してモニカは笑顔でこう答えた。
「うふふっ、それがですねレオン様!
これらの食材を調理場で分けていただけたおかげで、明日お出ししようと思っていたジャポネ料理が本日振る舞えそうなんです!
最もそんなに手をかけたお料理は今からでは難しいのですけど、私の部屋ですぐに調理しますので、30分ほどお待ちいただけますか?」

それから30分後─。
レオンとアンジェリカの眼の前には、見たことのない珍しい料理達がとても良い香りを放ちながら並べられていた。
「大変お待たせ致しました。
こちらが本日のお夕食のジャポネ料理、お茶漬けとサーモンの塩焼き、卵焼きにお味噌汁で御座います。」
「まぁ・・・!
これがジャポネ料理なのね・・・!」
「このお茶漬けというのはライス料理か?」
と目を輝かせるレオンとアンジェリカ。
「えぇ。
これは冷めたライスの上に昆布という海藻を細く切って山椒の実と砂糖とソイソースで煮詰めた佃煮、梅の実の塩漬け、煎餅というライスの粉から作られたしょっぱいクッキーのようなお菓子、それから海苔という海藻を干して板状に固めたものを細かくして、上からジャポネの昆布茶をかけたものですわ。
冷めたライスで簡単に作れるので庶民の間でお夜食などに食べられることの多い、本来高貴な方にお出しするようなものではないのですけど、お二人には少しでも温かくホッと出来る物を召し上がっていただきたかったので、お茶漬けにしましたの。
後サーモンはジャポネでもこの季節に良く扱われる食材ですので、ジャポネでポピュラーな塩焼きに、卵は薄く伸ばして焼きながらくるくると何重にも巻いたものです。
そしてこちらはお味噌汁といって、ジャポネの人が一日一回は口にする程馴染みの深いスープですわ。
中に入れる具材は本当に様々で、今回はじゃが芋、人参、玉葱をベースに薬味として青葱を散らしました。
毒見も済ましてありますので、お口に合うかはわかりませんが、どうぞ冷めないうちにお召し上がり下さい。」
そう言ってまばゆい笑顔で料理を指し示すモニカに対し、レオンがアンジェリカと顔を見合わせながらこう言った。
「ありがとうモニカ・・・。
とても美味しそうだ・・・!
だけどこの食卓にはひとつだけ足りない大切なものがあるんだ。
ね?母様。」
「えぇそうね、レオンハルト。
正しくは物ではなく人ですけど!
モニカさん、貴方の食事はまだでしょう?
それなら貴方も一緒にここで召し上がって下さいな。」
「えっ!?
ですがメイドが主人と主人のお母様と同じテーブルで食事を取るわけには・・・。
ご厚意は大変ありがたいのですが、私は後で部屋で頂きますから・・・!」
とモニカは汗を飛ばしながら遠慮した。
「・・・いいから君も一緒に食べよう。
ここにはメイドが同じ席に着いたからといって、それを咎める者はいないんだから。
僕も母様も、君も一緒のほうが君の作ってくれたジャポネ料理をきっともっと美味しく感じられると思うんだ。
だから・・・ね?」
そう言って優しく微笑むレオンとアンジェリカを見て、モニカはジャポネにいる父桜雅おうがと弟の梅次うめつぐ、そしてファルガー・ニゲルの笑顔を思い出し、異国の地に来て緊張していた心が一気にほぐれ、胸の奥がほわほわと暖かくなるのを感じた。
そして、また栗色の瞳に暖かい涙を滲ませつつ、モニカは頷いた。
「はい・・・。
それではお言葉に甘えさせて頂きます・・・!」
そうしてモニカがアデルバート宮廷に来て初めての晩餐は、美しく優しく暖かなこの親子と共に、穏やかで楽しい時間としてあっという間に過ぎていくのだった。

レオンもアンジェリカもジャポネ料理をとても気に入って、全部残さずに食べてくれた。
モニカはそれらの食器と毒の入った料理の皿を綺麗に洗い、生ゴミは全て浄化の魔石(※有機物を全て水に分解してくれる便利な魔石)で分解すると、宮廷の食器を調理場へと返しに行った。
すると昼間食堂で見かけた濃灰髪のおさげのメイドが賄の皿を片付けに来ていて、平然とした顔で食器を返しに来たモニカを怪訝そうな顔で見ていた。
モニカは彼女に黒さを含んだ笑顔を向けるとこう言った。
「始めまして。
私、今日よりレオンハルト様の専属メイドとなりましたモニカです。
この度は私の主人と主人のお母様のお食事に大変をいただきましてありがとうございます。
お陰様で私の手料理をお二人に振る舞うことが出来ましたわ。
レオンハルト様とアンジェリカ様のお二人のお朝食とお夕食は、私が責任を持って配膳を行いますので、今後一切なさらなくて結構です。
その事をどうか、他の配膳担当の方々にもお伝え下さい。
もしそれが他の配膳担当の方に伝わっていなかった場合でも、今後配膳して頂いたものは全て私の判断で処分させていただきますので、何卒ご了承下さい。
それでは、失礼致します。」
彼女はモニカの言ったことに心当たりがあるのか、非常に真っ青な顔をしたままその場に立ち尽くしていた。
(あの顔色・・・やはり彼女が黒でしたか・・・。
まぁこちらから事を荒立てずとも、ああ言っておけばある程度の知恵が働く者なら勝手に退職なさるでしょう。
最もその場合はまた別のメイドが毒を盛るお役目を遣わされるのでしょうけど、私が他のメイドから配膳されたものを信用しなければ済む話です。
あのお優しいお二人に、今後一切毒物を口にさせてたまるものですか・・・。)
モニカは静かな怒りをその瞳に宿らせて、強く心にそう誓うのだった。

モニカが食堂から戻ると、アンジェリカはもう自分の部屋に戻っていた為にいなかった。
「あぁ・・・。
母様は父のお気に入りだから今でも毎晩のように部屋に来るんだよ。
そのため今から入浴して化粧して迎え入れる準備をしなければいけないから、夕食後はいつも忙しいんだ。
それで弟や妹ができないことは不思議だが・・・。」
とレオンは説明した。
(成る程・・・。
当主様は頻繁にアンジェリカ様と夜を共になさると・・・。
それでしたら当主様の精液は、私が当主様と直接関わらずともアンジェリカ様のお部屋で手に入れられるかもしれません・・・。
アンジェリカ様は今夜の晩餐を通して私に心を開いてくださいました。
きっと近々お部屋に入れていただける機会も巡ってくるでしょう。)
モニカがそんな事を考えていると、レオンが21時丁度を指している壁掛け時計を指差し言った。
「モニカ。
そろそろ入浴の時間じゃないのか?」
「まぁ!本当ですわ!
教えてくださりありがとうございます!
急いで支度をして大浴場の方へと行ってまいりますので、レオン様は先にお休みになっていて下さい。」
「まだ21時だし流石に寝れないよ。
君が大浴場から戻って来るのを待ってるから、それから良ければ少し話をしようよ。
僕は君のことがもっと沢山知りたい。」
「うふふっ、かしこまりました!
それでは支度をして参りますわね!」
モニカはそう言って部屋に戻ると、籠にタオルと今日買ってばかりのネグリジェと換えの下着、そしてジャポネから持ってきた石鹸やスキンケア用品を用意した。
その際、今履いている黒いストッキングも脱いでしまう。
(実はさっき何処かで引っ掛けたのか伝線してしまったのですよね・・・。
後はお風呂に入るだけですし、素足でも別に構わないでしょう。)
モニカは伝線したストッキングを丸めてゴミ箱に入れてから部屋を出た。
「あ、準備が出来たんだな。」
レオンはベッドに腰掛けて何かの本を読んでいたが、モニカが部屋から出てきたので顔を上げてそう声をかけた。
そこで彼はモニカが素足になったことに気が付いたようで、頬を染めてチラチラとその足を見てきた。
(あら・・・素足だと気付かれてしまいました・・・?
ネグリジェでも素足を晒すことになりますが、制服に素足なのは何だかやけに恥ずかしいですね・・・)
とモニカは少し頬を染めてから、
「それでは私、浴場に行って参りますね。」
と頭を下げ、足早にレオンの部屋を後にした。

22時10分前─。
大浴場で入浴を済ませ、スキンケアをして髪を乾かしたモニカがレオンの部屋へと戻って来た。
レオンはモニカのネグリジェ姿と降ろした髪を見て頬を染め、
「可愛い・・・」
と言った後、何だかやけにそわそわしてベットの方ばかりを見ていた。
「・・・・・?
レオン様、もしかして眠くなられましたか?」
とモニカが言った。
「えっ!?
いや、まだ全然だが!?」
と声を裏返しながら返すレオン。
「だってさっきからベットの方ばかりを見ておられますから・・・。」
それに対してレオンは真っ赤になって口元を手で抑え、モニカから目を逸らしながらこう反論した。
「そ・・・れは・・・・意識もするさ!
ここに僕のベットがあって、君は風呂上がりで髪をおろしていて凄く可愛くて、桃みたいないい匂いがするし・・・」
「桃・・・石鹸の匂いでしょうか?
レオン様もポメロみたいな甘くてスッキリした良い香りがしますよ?」
そう言ってモニカは主人をからかうかのようにくすくすと笑った。 
「あれは僕のお気に入りの石鹸の香りで・・・って僕の言いたいことはそうじゃない!
・・・その二つの香りを今からそのベットの上で混ぜ合わせたいって言ったら・・・君はどうするんだよ・・・」
とレオンは赤い顔のまま最後の方は消えそうな掠れた声でそう尋ねた。
「うふふっ!
ポメロと桃ですか。
混ざり合うととても美味しそうですわね!」
と更に楽しそうに笑うモニカ。
それに対してレオンは少し怒ったかのように眉を釣り上げて、低い声でこう言った。
「・・・・・そう言って茶化さないで欲しいとエレベーターの中で言ったろ?
勿論僕だって君を専属メイドにした初日にどうにかなれるなんて思ってないよ。
でもそのチャンスがあればいつだって口説く。
僕には8ヶ月しか時間がないのだから・・・。」
モニカはそう言って険しい顔をして俯いてしまった彼の手をそっと握ると、モニカの手のぬくもりに反応して顔を上げ、切なげに泳ぐそのあおい瞳をじっと見つめて、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「・・・・・レオン様。
8ヶ月あるのです。
今は焦らずお互いのことを沢山話していきましょう・・・。
勿論私にも簡単にお話できない事柄が幾つかございます。
ですが、話せることであれば全てお話します。
私がどの様な趣味趣向を持ち、どの様な人生を歩んで来たのか・・・。
そして貴方のことも可能な範囲でいいので私に教えてください。
貴方が何故ポメロの香りを気に入られたのか、ビーフストロガノフ以外の好きな食べ物についてや、好きな紅茶、好きなお茶菓子、どんな本を好まれるのか、良く行かれる場所など何でも良いのです。
私は今日一日貴方とご一緒しただけで、レオン様のことをとても好きになりました。
貴方はとてもお美しくお優しくて頑張り屋さんで、笑顔がなんとも愛らしくて割と甘えん坊で・・・でもそのお身体は筋肉がついていてとても逞しく、確実に男の人のものへと変わっていかれていて・・・そして何よりグリント様に私を渡すまいと戦ってくださったときには、あんなに見事な剣を振るってくださいました・・・。
それを見て私は大変ドキドキさせられて・・・貴方の戦う姿が暫く目に焼き付いて離れませんでした・・・・・。
今日一日だけでもそうなのです。
このペースなら、あっという間に貴方を世界で一番好きになってしまうのかもしれません・・・。
ですが・・・貴方が私に求めていらっしゃるのは、ただ男の証を立てるための最初の夜の相手としてではなく、将来共に寄り添うパートナーとして・・・ですわよね?」
レオンはそのモニカの問いかけに対して真剣な表情でしっかりと頷いた。
「それでしたら貴方と身体を重ね合わせるということは、ただお互いに好きという気持ちだけで成り立つことではありません・・・。
例え貴方が跡を継がれる確率が低くその責任がお兄様方よりも少なくとも、お互いの身分や立場の違いはそれなりに考えなくてはならない事柄です・・・。
だからこそ慎重に相手を見極める期間が必要となってくると思います・・・。
貴方は本当に私を生涯のパートナーに選んで後悔はしないのか・・・?
私は本当にジャポネくにと家族を捨ててレオン様の人生に寄り添えるのか?
そういったことを含めてです・・・。
そのために8ヶ月の間、なるべくお互いのことを話しましょう。
そして沢山の時間を共有しましょう。
そうしてお互いをよく知っていけば、おのずとその答えが見えてくると思うのです・・・。」
(そして貴方が真剣に私を求めて来たそのときには、私が処女ではないことをいよいよお話しなければなりません・・・。
それを知った貴方がどんな顔をするのか・・・それを知るのは正直とても怖いですが・・・。
でもそれが、レオン様にとって最も波乱の少ない最適な選択をなされるきっかけになるのかもしれません・・・・・。
そうなってしまったとき、私はきっと今よりもっとレオン様を好きになっているのでしょうから、レオン様に妃には出来ないと言われて距離を置かれてしまう現実に耐えられる自信はとてもありませんが・・・その時にファルガー様のお役目が無事に終わっていれば、レオン様の専属メイドを辞めてジャポネに帰ってしまえばいいのです・・・。
でも秘密を打ち明けても尚私を求めてくださったら・・・?
・・・私もまだその答えを持ってはいません・・・・・。
だからこれからこの方を良く知っていきながら、私自身もその答えを見つけていかなければならないのです・・・・・。)
モニカがそんな事を考えていると、レオンが顎に手を当て、真剣な表情で呟いた。
「うん・・・。
確かに君の言う通り、焦りは禁物なのかもしれないな・・・。
剣の道にだって近道なんて無いし、今はゆっくりでも確実に前に進んでいくとしよう。
でもきっと僕は君のことを深く知れば知るほど好きになって、君の将来ごと全部欲しくてたまらなくなる・・・それだけだと思うけどね・・・!
というわけで早速話をしようか。」
レオンはそう言うと少しドギマギしながらもポンポンとベットを叩き、自分の隣に座るようにモニカに勧めた。
モニカは口元に手を当て、戸惑いがちに主人を見た。
「・・・大丈夫。
立ち話もなんだから、椅子の代わりに勧めただけだよ。
ここはあっちにある椅子よりも暖房が効いて暖かいしね。
勿論君が隙を見せれば遠慮なく押し倒すけど・・・」
と言って真っ赤な汗ばむ顔を逸らすレオン。
モニカは、
「うふふっ、わかりました。
隙を見せたと取られないよう、重々気をつけさせていただきますわね!」
と笑いながら彼の隣に座った。
それを見てレオンは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう、モニカ・・・。
それじゃまず、僕が何故ポメロの香りの石鹸を使っているのか、それについてでも話そうかな?
といってもたいして面白いエピソードでもないんだけど、母様の友達に石鹸作りを生業にしている人がいてね・・・」
そうして二人は1時間ほどお互いのことについて色々と話をするのだった。

23時─。
「レオン様とお話できて楽しかったですわ!
おやすみなさい。」
「うん・・・僕も楽しかった。
話の続きはまた明日にでも。
おやすみ・・・」 
モニカは主人に頭を下げると部屋に戻った。
すると、レオンが自分が浴場に降りている間に置いていた本を取りに入ったのだろう。
棚に置いてあった彼の本がなくなっていた。
それと同時に、ゴミ箱に捨てた筈の伝線したストッキングがゴミ箱からなくなっていることにも気が付いた。
(おかしいですね・・・
確かにここに捨てたはずですが・・・。
レオン様が持っていかれたのでしょうか?
でもだとしたら何の目的で?
先程までレオン様とお話をしていましたが、布団に少しだけ使用感があったので、中にストッキングを隠していたとしても不思議ではないのですが・・・証拠も無いのに疑うのは良くありませんね。
明日の朝、それとなく訊いてみましょうか・・・。
私も勤務初日で疲れましたし、明日も早いです。
ファルガー様に色々と報告もしなければなりませんし・・・。
早くお布団に入って寝てしまいましょう・・・。)
そう思って布団に入るが、布団から香る彼のポメロの香りがモニカに良からぬ妄想を掻き立てさせる。
(・・・狭いベッドにレオン様の香り・・・。
まるでレオン様にギュッと背後から抱きしめられているかのようで・・・。)

─・・・その二つの香りを今からそのベットの上で混ぜ合わせたいって言ったら・・・君はどうするんだよ・・・─

真っ赤な顔でそう言った彼のあの時のセリフがやけに鮮明に思い出されて、モニカはショーツをじわっと濡らした。
(私ったらいけませんわ・・・!
御主人様でよからぬ妄想なんかして・・・。
でも本当にレオン様と私の香りが混ぜ合わさるようなことをしたなら、どうなっていたのでしょう・・・。
この胸にレオン様の手が伸びてきて・・・)
そう思ってネグリジェの中に手を入れて自分の胸を揉んでみるモニカ。
そう・・・ファルガー様の大きくて骨張ったゴツい手ではなく、レオン様の歳の割に大きくて、まだそこまで骨張っていないけれど頑張り屋さんの証の剣だこだらけの手・・・この手がその手だと思うと酷く興奮する・・・。
レオン様の指が私の乳首を摘んで、赤ちゃんみたいに口に含んで・・・
駄目・・・駄目・・・レオン様でこんな想像したりしては・・・!
でもああっ!レオン様・・・可愛くてカッコいい私のレオン様・・・!)
モニカが自分の手をレオンのものに見立てて身体を弄り息を乱し始めると、隣の部屋からうなされているような、切なげに自分の名前を呼ぶ声が聴こえた気がした。
ハッとして息を潜め、その声に集中してみる。
「くっ・・・モニカ・・・・
モニ・・・カ・・・・・!」
(レオン様・・・!?)
モニカは夕食に出したサーモンの焼き加減が甘かったのか、それとも毒入りの料理のほうを口にしてしまったのかと不安になり、ベッドから起き上がった。
そして椅子にかけておいたカーディガンを肩に羽織ると、もし主人が寝ていてただの寝言だったときに起こさないようにとそっと足音を忍ばせて部屋の扉を開け、主人の様子を見に行った。
すると、レオンは真っ暗な部屋で、モニカの捨てたはずの黒いストッキングを勃起した股間のものに巻き付け、それをシュッシュッと上下させ、自身を慰めていた。
モニカはあまりの衝撃に脚の力が抜けて、そのまま天蓋のカーテンの影へとへたり込んでしまった。
「はっ、はっ、はっ・・・モニカ・・・モニカっ・・・・」
更に彼はモニカが先程まで座っていたあたりの掛け布団を手繰り寄せると、それを鼻に当ててその匂いを嗅いだ。
「んっ・・・モニカの匂いがする気がする・・・♥
桃みたいに甘くて瑞々しくて爽やかで・・・・・はっ、はっ、はっ・・・あっ・・・モニカ・・・気持ちいい・・・気持ちいい・・・!
昨日も君を想ってあのベッドでシたんだよ・・・!?
最もあの日はこんなに君を感じられるものなんて何もなかったけど・・・初めてだったよ・・・。
特定の誰かを想って一人でスるなんて・・・。
君はあのベッドで昨日行われていたことなんて何も知らずに今頃寝ているんだろうね・・・。
僕は君に信頼して貰える騎士であるように努める等と言っておきながら、君を妄想の中で穢して犯して・・・全く悪い主人だな・・・
でもああっ・・・モニカ・・・!」
モニカは真っ赤になると、レオンが既に男として機能しているということを改めて強く実感した。
自分は今、あんなにも美しい彼の妄想の中でどんな風に犯されているのだろうか?
そして今、ここで自分が姿を現し、貴方様の恥ずかしい秘密を握っていることを明かせばどんな顔が見られるのだろうか?
そして焦る彼を翻弄し、無責任に彼のいきり勃った肉のつるぎを自分の熱く濡れたさやへといざなって、彼を言葉で煽りながら自分のナカから得られる快楽をとことん教え込んで乱れさせてみたい・・・。
そうしたらどんなに気持ちが良いのだろう・・・。
そんなふうに考えては下半身がじんじんと熱くなり、下着がどんどん濡れていくの感じた。
「モニカ・・・もうイくよ・・・モニカ・・・!モニカ・・・!!
っ・・・・・・・・・・・くっ!」


そうしてとても気持ち良さそうに何度もモニカのストッキングに包まれた股間を脈打たせて射精したレオンは、そのままベッドに身を投げて動かなくなり、やがてすーっ、すーっと寝息を立て始めた。
モニカはその白濁液まみれのストッキングをそっと回収すると、彼に布団をかけてやった。
そして物音を立てないようにして部屋に戻ると、カーテンの隙間から差し込む月明かりを頼りに旅行鞄を開け、男特有の青い匂いのする、だが彼が自分を想って出したものだと思うと全く嫌悪感を感じない白くてどろっとしたものの付着した部分をハサミで切り取って、町に降りた際に買っておいた小瓶に詰めた。
(レオン様・・・ごめんなさい。
ですがこの小瓶の中身から得たことが、きっと貴方の役に立つ日が来る筈なのです。
だからこの行いを許して下さい・・・)
モニカはその瓶のラベルに”第三公子 精液”とジャポネ語で書き記すと、鍵付きの鞄に仕舞い込んだ。
そして彼の匂いのするベッドに再び潜り込むと、ショーツに手を差し込み、先程の彼を思い出しながら衝動の赴くままに自分を激しく慰めたくなった。
だが何も知らない彼の精液を採取した罪悪感がその衝動を押さえ込んでしまった・・・。
モニカはショーツから手を抜くと目を閉じ、そのまま眠りについた。

その翌朝早く─。
モニカは身支度を整えた後にある仕事を済ませ、庭園の中にある礼拝堂の御神像前で跪き、ファルガーに宛てて祈りを捧げていた。

─ファルガー様へ。
無事レオンハルト様・・・レオン様の専属メイドとして宮廷に入り込む事が出来ました。
宮廷では現段階でレオン様の他に、当主様と第一公子グリント様、第二公子ジェイド様、レオン様の母君様であらせる第三公妃アンジェリカ様、そして執事長のリチャードさん、メイド頭のオリガさん、その他多数の下働きの方々にお会いしましたが、第一、第二公妃様、また第一、第二公子妃様、そして第一公女様もいらっしゃるようなのですが、その方々にはまだお会いできておりません。
現在お会いした中で一番怪しく見えたのは第二公子のジェイド様で、もしかしたらこの方が神避けを用いられているのかもしれないと感じました。
ですがこの方は非常に頭が良く、付け入る隙のない懐柔し難い人物と感じましたので、疑わしくとも慎重に調査を進める必要があるかと思います。
そしてファルガー様が第一に気になさっていた当主様と第一、第二公子様の見た目についてですが、皆様レオン様と違ってラスター様には全く似てらっしゃいませんでした。
そのためファルガー様の仰られていた調査が必要になると判断し、第一公子グリント様、そしてレオン様に関しましては丁度機会がありましたために血液・または精液の採取を完了しました。
ですが、公妃であらせるはずのレオン様のお母様のアンジェリカ様が、直系であらせる当主様や第一、第二公子様よりもラスター様に似てらしたので、そのことに違和感を感じてなりませんでした。
アンジェリカ様は平民のご出身なのだそうで、そのために宮廷内での扱いはあまり良いとは言えず、その御子息であらせるレオン様も当主様や他の公子様から安い扱いを受け、梅次の年齢の頃より既に代理として魔獣討伐に向かわされていたりしていたようです。
ですが当主様はそれなりに彼女を愛されているようで、私の面接の際に当主様がレオン様ではなくご自分の専属へと申されました際には、それを制止されるだけの発言力が彼女にはありました。
あとレオン様とアンジェリカ様のお二人は頻繁に宮廷内で出される食事に毒を盛られているようです。
その犯人と思われるメイドにこちらが毒に気が付いたことをそれとなく伝えましたので、暫くの間は毒を盛る者はいなくなるでしょうが、きっとまたすぐに変わりのメイドが毒を盛り始めるのでしょうし、レオン様とアンジェリカ様にはもう二度と毒を口にされることのないよう、徹底的に私が注意を払っていくつもりです。
引き続き、調査対象となる方々の血液、もしくは唾液、精液の採取を続けて参ります。
相澤桃花─

祈りを済ませたモニカがレオンの部屋に戻ってくると、彼はまだ彼等貴族が起きてくる時間には早いというのに起きており、寝台の布団をひっくり返し、一生懸命に何かを探していた。
「あ、あれ?
確かベッドにあるはずなんだが・・・
おかしいな・・・
モニカに見つかる前に証拠隠滅しておかないとマズイぞ・・・」
「おはようございます、レオン様。
早くから何をお探しでしょうか?」
モニカはいつもどおりの笑顔でそう声をかけた。
レオンはその声にギクッ!と反応し、冷や汗を垂らしながらモニカを振り返った。
「モ、モニカ・・・おはよう。
い、いや・・・ベッドで失くしものをしたかと思ったんだが、きっと気の所為だから君は気にしなくていいよ・・・。」
それに対してモニカは変わらぬ笑顔を浮かべたままでこう返した。
「もしかして、私の黒いストッキングをお探しでしょうか?
それでしたら今朝レオン様の寝台よりがつけられた状態で出てきましたが、もともと伝線したものでしたので捨てておきましたよ。」
「えっ!?
・・・・・・・・・・・・!!!!!
み、見られた・・・!!!
よりにもよって一番見られてはいけない相手に・・・!!
ま、待て!!
君はその白くてカピカピになったものが何なのか気づいているのか!?!?」
ファルガーとの一夜を経験済みのモニカは、当然彼の言うカピカピの正体を知っていたが、今はまだ彼にを言わなければならない時ではないし、何だか勝手に絶望している彼が気の毒でもあったので、助け舟を出してあげようと思ってこう言った。
「いいえ。
何だか栗の花のような匂いもしましたけど・・・あれは一体何なのです?」
「そうか・・・知らないのか・・・良かった・・・じゃない!
・・・えっと、あのストッキングはだな・・・。
君が昨晩大浴場に行っている間、君の部屋に僕が置いたままにしていた本を取りに入った際にゴミ箱の中でみつけて・・・。
代わりに捨ててあげようかと思って取り出したんだが、その・・・まだ綺麗だったし、洗えば使えるんじゃないかと思って石鹸を付けたんだ・・・。
そう!石鹸だよあの白いのは・・・!
ちょっと特別な香りのする石鹸を使ったからな・・・。
それで昨夜はその石鹸を付けたあとそのまま眠くなって寝てしまったから、朝洗い直そうと思ったんだが・・・」
必死に誤魔化そうとする彼が可笑しくて、モニカはぷるぷると震えながら笑いを堪えた。
「・・・ストッキングなら新しいのを買ってやるから、許してくれないか?」
そう言って叱られた子犬のように最後にはしゅん・・・としてしまった彼が愛おしくなり、モニカは優しく微笑みこう答えた。
「もともと伝線していたのですし、ストッキングの替えならまだ何枚かありますから、レオン様が気になさる必要は全くないのですよ?
ですが、今後は私の部屋に御用がある時には一言お声をおかけになってくださいね。
女の部屋には下着などの殿方に見られると恥ずかしいものもありますから・・・。」
「・・・わかった。
勝手に部屋に入ったりしてすまなかった・・・。」
レオンはそう言って頭を下げた。
(まぁ、あまり彼にとってとなり得るものを奪いすぎてもその対象が何処へ向くのかわかりませんし、それがもしも私以外の女性に向けられるようなことになれば、彼へ惹かれ始めていることを既に自覚してしまった私にとっては、面白くありません・・・。
ならば多少のことは見過ごしてあげるべきでしょうけど・・・旅行鞄の中の採取した小瓶・・・一応鞄ごと鍵をかけてはありますが、万が一鍵をかけ忘れていて見つけられると困りますから、やはりお部屋へは気軽に入れないように申し上げておくべきでしょう。
その代わりに今後はレオン様と同じお風呂を使わせていただき、そこで適度な代用品を提供することに致しましょうか・・・。)
「わかっていただければ宜しいんです。
ですが、やはり共同の浴場はせわしなくて落ち着きませんね。
今日からはレオン様と同じ浴室を使わせていただこうかと思いますが、よろしいですか?」
「あ、あぁ!勿論だ!
・・・だが何故突然風呂の話になった?」
と怪訝そうな顔をするレオン。
「うふふっ、今突然思い出しまして!
それよりもレオン様。
今朝の朝食ですが、料理長から分けてもらったライスと食材がまだ少しありましたので、おむすびとお味噌汁にしてみたんです!
今さっき私の部屋で作ったものですし、私は毒見も兼ねて自分の分は先に食べてしまったので、毒の心配もありませんよ?
召し上がっていただけますか?」
「君が僕のためにわざわざ朝食を・・・?
ありがたく頂くよ・・・!
そうだ、母様のぶんもあるかな?」
「ええ、勿論アンジェリカ様のぶんもご用意してあります!
アンジェリカ様をお部屋にお招きしてご一緒に召し上がられますか?」
「あぁ!
そうしたい!」
「それでしたらその前にお顔を洗って寝癖を直し、騎士服を着ていただかないといけませんわね?
出来ますか?」
「・・・出来るさそれくらい!
だが僕の専属メイドなら、着替えを手伝ってくれたっていいんじゃないのか?」
と眉を寄せ抗議するレオン。
それに対してモニカは澄ました顔で答えた。
「私は確かにレオン様の専属メイドとなりましたけど、これからも極力ご自身で出来ることはなさっていただきますわよ?
でないと貴方のためになりません。」
「うっ・・・君は案外意地悪なんだな・・・。
もっと優しく甘やかしてくれてもいいのに・・・。」
とレオンは不満気に唇を尖らせた。
「あら。
私、昨日は勤務初日でしたので少し猫を被っておりましたけど、本来はこういう性格なのですよ?
ご期待に添えなかったのでしたら専属メイドを解雇なさいます?
そうなりますと、グリント様は若禿と申してしまいましたからもう無理でしょうけど、ジェイド様なら拾ってくださるかしら・・・?」
とモニカは首を傾げてみせた。
「冗談でもやめてくれ!
君が他の誰かのものになるだなんて、僕はとても耐えられない・・・」
レオンはモニカの頬に手を添え、耳の形を指で確かめながら、そっと形の良い唇を近付けようとした。
モニカは頬を赤く染め、このまま流されてファルガーがしてくれなかった初めての口づけを、今彼と交わしてしまってもいい・・・そう思ってしまうが、例えこの国ではメイドと主である騎士が性的関係を持つことをタブーとされていなくとも、彼の専属メイドとなったばかりの今、性的関係の入口とも言える口づけを許してしまうことは、やはり良くない・・・。
もし今そんな関係になれば、きっとすぐにを打ち明けなければならなくなってしまう・・・。
今はまだこのメイド以上恋人未満の関係を楽しんでいたい・・・。
そう思い、彼をとがめるように右手を優しく突き出すと、少しだけ眉を釣り上げてからこう言った。
「・・・レオン様。
ゆっくりと朝食を食べる時間がなくなってしまいますよ?
お急ぎになって下さい。」
「むぅ・・・もう少し甘い雰囲気に持ち込ませてくれたっていいのに・・・
わかった、身支度をすればいいんだな?」
モニカは悔しそうに顔を歪めながらもモニカの言うことに従って洗面台のほうへ向かっていくレオンをクスクスと微笑みながら見送ると、味噌汁の入った鍋を火にかけた。
(今のうちにお味噌汁を温めておきましょう。
お二人には少しでも暖かい朝ご飯を召し上がっていただきたいですから・・・。)
「モニカ!身支度が出来たぞ!」
「うふふっ、今日も素敵ですわよ?レオン様。
それではアンジェリカ様を呼んできて下さいますか?
私はその間にテーブルをセッティングしておきますので。」
「わかった!」
そうして愛らしい主人と美しい母の朝食の時間を見届け、彼を朝の鍛錬へと送り出す。
そのあとはアンジェリカを部屋へと送り届け、また部屋に戻って来て彼が昨日着ていた衣類とシーツを洗濯し、部屋の掃除を行う。
そうやって彼のために働くことで、メイドとしての充実感に満たされていくモニカなのだった。
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