236 / 247
番外編 第二世代の恋模様
~解説員 ミラン~
しおりを挟む
バーガンディから驚きの報告が来た。僕の同い年の従兄、グレンに婚約者(予定)が出来たって。
ええー!驚き!あのバーガンディの叔父様がご許可なさっただなんて。
グラナダ叔父様はグレンをとってもとっても可愛がってて、誰にも嫁には出さぬ!っていつも言ってらしたのに。
「ねぇおばあさま、グレンのお相手ってどんな方?僕も会ってみたいな。」
「今バーガンディにはルミエール殿下が滞在中です。あまり不用心な事は出来ないでしょう。転移陣もあるのです。いずれこちらへもくるでしょうしお利口にしてお待ちなさいな。」
「はぁ~い」
「ミラン、そのように間延びした返事をしてはいけませんよ」
「は~い」
おばあさまのお説教が始まる前に大急ぎで避難しなくちゃ。
僕はこのカマーフィールドの長男ミランで1個下に妹のトリッシュ、そのまた一個下に弟のオーラがいる。
僕のお父様とお母さまは僕を産んだ後、一人は女の子が欲しいって言って、お隣の領にある小神殿で聖女様の生誕珠を賜っていらしたんだって。
だからトリッシュには魔法が使えない。聖女様の生誕珠には魔力を遺伝させる力がないから。
女の子が欲しかったのは本当だけど、実は魔力の無い子が欲しかったんだってこっそり母さまが教えてくれた。
なにしろ僕は魔力が強すぎて、制御できない子供の頃は何度も部屋を水浸しにして、掃除も修繕も大変だったって…
立て直した後のバーガンディで良かったって、胸をなでおろしたって母さまが言ってらした。えへへ、でも僕のせいじゃないからね。そんなわけで普通の子を普通に育てて見たかったって。なんかごめんね。
この国、リーガル王国で魔力を持つ子を産む方法はたったの2つ。
魔力を持つ男女が普通に子供を生す方法か、魔力を持つ男男が中央神殿の聖人様から直接生誕珠を賜るか。その場合は男の子しか生まれない。魔力はその人の魂みたいなものだから、本人と違う性別にはならないんだって。
魔力を持つ子の人数とその魔力の高さはその家の繁栄を約束する。
…うん、まぁ、…
昔のカマーフィールドみたいなわずかな例外もあるみたい…おじいいさまったら。
ともかく、僕の両親は女の子を産むために小神殿へ、そしてその後領地の繁栄を考えて(というか、カマーフィールドのおばあさまや、デューリーのおばあさまに強く強く言い聞かされて)二つ目の生誕珠を中央神殿へ賜りに出向いたのだって。
トリッシュはこのカマーフィールドではじめての魔力の無い子。おじいさまはそれはそれはもう可愛がられて目の中に入れても痛くないっていつもおっしゃる。
今日もそのトリッシュを連れて、数年前から軌道に乗った山間の畜産農家へ羊を見に出かけて行った。
この緑多き田園の広がるカマーフィールド。王都にほど近いこの土地は、おじいさまの引退に伴って少しばかり領地が増えた。その増えた領地を開拓して今では保養地としても栄えてる。貴族や大店の商会主がこぞって別荘をこの地に持って、それを目当てにたくさんの商会が出店をだして。このカマーフィールドが何もない貧しい領地だったなんて…とても信じられないよ。
「ちぇ、行くなら声をかけてくれれば…僕だって行きたかったのに。」
「いいじゃんミラン、俺と遊ぼうよ。村長んとこのロビンとチッカバード狩りに行こうって話してたんだ。」
「オーラ!山は危ないからダメって母さまが言ってたでしょ。また叱られたって知らないよ」
「大丈夫だって!さくっと狩ってすぐに帰って来るから。チッカバードは父さまの好物だし母さまだってそんなには怒んないよ」
父様の水属性を受け継いだ僕は性格もなんとなく父様に似てる。お父様ほどじゃないけど、どちらかというと冒険のできない小心者。
母様の土属性を受け継いだオーラはやっぱり母様によく似ていて、バーガンディのアデル様から弾丸ぼーいって呼ばれてる。
グレンからも、大きく成ったらバーガンディの衛兵隊に入ればいいよって言われてた。
そう、僕とオーラとグレンの三人は年も近いし仲が良いのだ。オーラより一つ下の王都の従兄弟エスパールを含めると4人かな。
夏になってグレンとエスパールがやってくるのが待ち遠しい。
早く夏にならないかな?グレンの恋話根掘り葉掘り聞かなくっちゃね。
それまでにちゃんと魔力の制御上達させておかなくちゃ。
前の夏みたいにみんなとはしゃいで興奮して、うっかり貯水池の水、爆散させたりしないように…
ええー!驚き!あのバーガンディの叔父様がご許可なさっただなんて。
グラナダ叔父様はグレンをとってもとっても可愛がってて、誰にも嫁には出さぬ!っていつも言ってらしたのに。
「ねぇおばあさま、グレンのお相手ってどんな方?僕も会ってみたいな。」
「今バーガンディにはルミエール殿下が滞在中です。あまり不用心な事は出来ないでしょう。転移陣もあるのです。いずれこちらへもくるでしょうしお利口にしてお待ちなさいな。」
「はぁ~い」
「ミラン、そのように間延びした返事をしてはいけませんよ」
「は~い」
おばあさまのお説教が始まる前に大急ぎで避難しなくちゃ。
僕はこのカマーフィールドの長男ミランで1個下に妹のトリッシュ、そのまた一個下に弟のオーラがいる。
僕のお父様とお母さまは僕を産んだ後、一人は女の子が欲しいって言って、お隣の領にある小神殿で聖女様の生誕珠を賜っていらしたんだって。
だからトリッシュには魔法が使えない。聖女様の生誕珠には魔力を遺伝させる力がないから。
女の子が欲しかったのは本当だけど、実は魔力の無い子が欲しかったんだってこっそり母さまが教えてくれた。
なにしろ僕は魔力が強すぎて、制御できない子供の頃は何度も部屋を水浸しにして、掃除も修繕も大変だったって…
立て直した後のバーガンディで良かったって、胸をなでおろしたって母さまが言ってらした。えへへ、でも僕のせいじゃないからね。そんなわけで普通の子を普通に育てて見たかったって。なんかごめんね。
この国、リーガル王国で魔力を持つ子を産む方法はたったの2つ。
魔力を持つ男女が普通に子供を生す方法か、魔力を持つ男男が中央神殿の聖人様から直接生誕珠を賜るか。その場合は男の子しか生まれない。魔力はその人の魂みたいなものだから、本人と違う性別にはならないんだって。
魔力を持つ子の人数とその魔力の高さはその家の繁栄を約束する。
…うん、まぁ、…
昔のカマーフィールドみたいなわずかな例外もあるみたい…おじいいさまったら。
ともかく、僕の両親は女の子を産むために小神殿へ、そしてその後領地の繁栄を考えて(というか、カマーフィールドのおばあさまや、デューリーのおばあさまに強く強く言い聞かされて)二つ目の生誕珠を中央神殿へ賜りに出向いたのだって。
トリッシュはこのカマーフィールドではじめての魔力の無い子。おじいさまはそれはそれはもう可愛がられて目の中に入れても痛くないっていつもおっしゃる。
今日もそのトリッシュを連れて、数年前から軌道に乗った山間の畜産農家へ羊を見に出かけて行った。
この緑多き田園の広がるカマーフィールド。王都にほど近いこの土地は、おじいさまの引退に伴って少しばかり領地が増えた。その増えた領地を開拓して今では保養地としても栄えてる。貴族や大店の商会主がこぞって別荘をこの地に持って、それを目当てにたくさんの商会が出店をだして。このカマーフィールドが何もない貧しい領地だったなんて…とても信じられないよ。
「ちぇ、行くなら声をかけてくれれば…僕だって行きたかったのに。」
「いいじゃんミラン、俺と遊ぼうよ。村長んとこのロビンとチッカバード狩りに行こうって話してたんだ。」
「オーラ!山は危ないからダメって母さまが言ってたでしょ。また叱られたって知らないよ」
「大丈夫だって!さくっと狩ってすぐに帰って来るから。チッカバードは父さまの好物だし母さまだってそんなには怒んないよ」
父様の水属性を受け継いだ僕は性格もなんとなく父様に似てる。お父様ほどじゃないけど、どちらかというと冒険のできない小心者。
母様の土属性を受け継いだオーラはやっぱり母様によく似ていて、バーガンディのアデル様から弾丸ぼーいって呼ばれてる。
グレンからも、大きく成ったらバーガンディの衛兵隊に入ればいいよって言われてた。
そう、僕とオーラとグレンの三人は年も近いし仲が良いのだ。オーラより一つ下の王都の従兄弟エスパールを含めると4人かな。
夏になってグレンとエスパールがやってくるのが待ち遠しい。
早く夏にならないかな?グレンの恋話根掘り葉掘り聞かなくっちゃね。
それまでにちゃんと魔力の制御上達させておかなくちゃ。
前の夏みたいにみんなとはしゃいで興奮して、うっかり貯水池の水、爆散させたりしないように…
188
お気に入りに追加
3,333
あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「本当に可愛い。」
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」

婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。



愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる