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番外編 第二世代の恋模様
グレンの初恋は…⑦
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あれからしばらくたって、モデーロはとっくに復帰している。ルミエや兄さまと共に剣の稽古をし魔法の鍛錬に励む。魔法の鍛錬には僕も参加して、…あの時みたいになにも出来ないまま泣くしかないなんて…そんな事二度とごめんだって思って頑張っている。
頑張っているんだけど…
「と、父様…午後の執務は?執務は今日は無いの?」
「グレン、お前に悪い虫がつかぬよう見守る事こそが今一番の重要任務だと思ってな」
悪い虫って…向こうの方でモデーロが苦笑いしてる。
もう、やだ、父様ったら…
あれ以来父様はこうして僕から離れない。特にモデーロと二人きりになんて絶対しないと息巻いて…僕の側で微動だにしない。
「あー、居たいた。もうっ、グラナダ様、こんなところで何してるんですか!セイラムさんが血相変えて探してましたよ。」
「魔道具の事であろう?アデルよ、その件は任せた。適当になんとか…」
「はぁぁーー!何言ってるのグラナダ様!トマスさんに言いつけますよ!だいたい息子の恋路に親が口挟むなんて!ゴロツキ連れてきたわけでもあるまいし!行きますよ、グラナダ様。こんなとこでにらみを利かせてたらみんなの迷惑です!ほらっ、早く!」
僕にかるく片目をつむって合図して母様がお邪魔虫を連れていく。ごめんね父様。だけど僕はモデーロと一緒に居たいんだ。
「父様の気持ちも少し分かるけどね。まさかグレンがモデーロと…。」
「モデーロとって何!別にまだなんにもないよ!」
「父様が取り乱してた。『僕のモデーロを助けて』だっけ?いつの間に…」
「ち、ちがっ、ちがうの、それはその、」
「可愛いグレン、この世には吊り橋効果っていうのがあってね、気のせいと言うこともあるから良く考えるんだよ」
「ルミエまでやめてよ!もうっ…うう…」
「お二人とも、グレン様をからかうのはお止めください。マーカス様がお呼びですよ、休憩するにはまだ早いと。私は許可をいただきましたのでしばらくここでグレン様のお世話をします。さあどうぞ私たちに構わず鍛錬にお励み下さい。」
二人がかりで冷やかされて言い返せない僕を助けてくれる。それに今私たちって言った。私たちだって…ふふ。
「あ、そう言えば…」
「何でしょう?」
「あの時…僕の事グレンって呼び捨てにした。口調も乱暴で」
「あんな時に丁寧になんて話してられませんよ。それに呼び名は…」
「うん…」
「二人っきりの時ぐらい許してもらえませんか?ねぇグレン…」
ぽぽぽぽぽ…
「そっ、それぐらい、いっ、イイケド…ふたっ、二人っきりって…その、べ、べつに僕はみ、みんなの前でも…あの」
「そういうわけにはいきませんよ。グレン様は俺を死なせたいんですか?閣下の怒りにこれ以上触れたら」
「と、父様は母様に抑えてもらうから…」
「…いや、やっぱりこのままで。…二人っきりのときだけ呼び名が変わるからいいんじゃありませんか。ねぇグレン様、ちょっと俺の事デリィって呼んでみてください」
「で、デリィ…」
「そう。それがグレン様だけの俺の呼び名ですよ」
ポンッ
デリィ…デリィ…僕だけの呼び名。僕だけのデリィ。どうしよう…嬉しい…嬉しくってたまんない。
「ああーー‼モデーロ!逃げてー!」
母様の叫び声に何事かと思って振りかえればそこには怒りに目を真っ赤にした父様がワナワナと震えていて…
僕たちは手をつないだまま逃げ出した。
もうっ母様ってばちゃんと捕まえててよっ!
裏の雑木林の中にある、何年か前に母様が作った小さな池。そこに置かれた座るための大きくて平たい岩に並んで腰掛ける。
「授業さぼっちゃった。叱られないかな?」
「後で俺が叱られときます。でも半分は閣下のせいですよ。」
「ご、ごめんね父様が…」
「いいえ、リーガル卿がお怒りになるほど、グレンが俺の事好きって話なら甘んじて我慢します。」
「ばか…」
どうしよう…。この間まで何ともなかった事まで今は気になって。その汗の匂いも、少しだけ触れる肘も、その膝も。って言うかわざとだよね?わざと近づいて、その、触れてる…のカナ?
「ねぇグレン。時魔法の練習しましょうか?今から10秒後の俺を視て?」
何を思ったかそんなことを言い出したモデーロに戸惑いながらも言われた通りに発動させる。
「あ…。あ、その、ぼ、僕も…」
「なんて言ってました?ちゃんと視えました?俺が好きだって言ったの。」
「う、うん…視えた…」
まさに今このセリフをそのまんま言ってるモデーロが居た。恥ずかしい…だけど嬉しい…。
「じゃぁもう一回」
「…ひぁっ!あうぅ…」
僕が視たもの、それは…
ほら今こうしてモデーロの顔が近づいてくる。鼻先が触れた瞬間「好きだよ」ってそう言って僕の視界は奪われた…
そんな光景だったんだ…
頑張っているんだけど…
「と、父様…午後の執務は?執務は今日は無いの?」
「グレン、お前に悪い虫がつかぬよう見守る事こそが今一番の重要任務だと思ってな」
悪い虫って…向こうの方でモデーロが苦笑いしてる。
もう、やだ、父様ったら…
あれ以来父様はこうして僕から離れない。特にモデーロと二人きりになんて絶対しないと息巻いて…僕の側で微動だにしない。
「あー、居たいた。もうっ、グラナダ様、こんなところで何してるんですか!セイラムさんが血相変えて探してましたよ。」
「魔道具の事であろう?アデルよ、その件は任せた。適当になんとか…」
「はぁぁーー!何言ってるのグラナダ様!トマスさんに言いつけますよ!だいたい息子の恋路に親が口挟むなんて!ゴロツキ連れてきたわけでもあるまいし!行きますよ、グラナダ様。こんなとこでにらみを利かせてたらみんなの迷惑です!ほらっ、早く!」
僕にかるく片目をつむって合図して母様がお邪魔虫を連れていく。ごめんね父様。だけど僕はモデーロと一緒に居たいんだ。
「父様の気持ちも少し分かるけどね。まさかグレンがモデーロと…。」
「モデーロとって何!別にまだなんにもないよ!」
「父様が取り乱してた。『僕のモデーロを助けて』だっけ?いつの間に…」
「ち、ちがっ、ちがうの、それはその、」
「可愛いグレン、この世には吊り橋効果っていうのがあってね、気のせいと言うこともあるから良く考えるんだよ」
「ルミエまでやめてよ!もうっ…うう…」
「お二人とも、グレン様をからかうのはお止めください。マーカス様がお呼びですよ、休憩するにはまだ早いと。私は許可をいただきましたのでしばらくここでグレン様のお世話をします。さあどうぞ私たちに構わず鍛錬にお励み下さい。」
二人がかりで冷やかされて言い返せない僕を助けてくれる。それに今私たちって言った。私たちだって…ふふ。
「あ、そう言えば…」
「何でしょう?」
「あの時…僕の事グレンって呼び捨てにした。口調も乱暴で」
「あんな時に丁寧になんて話してられませんよ。それに呼び名は…」
「うん…」
「二人っきりの時ぐらい許してもらえませんか?ねぇグレン…」
ぽぽぽぽぽ…
「そっ、それぐらい、いっ、イイケド…ふたっ、二人っきりって…その、べ、べつに僕はみ、みんなの前でも…あの」
「そういうわけにはいきませんよ。グレン様は俺を死なせたいんですか?閣下の怒りにこれ以上触れたら」
「と、父様は母様に抑えてもらうから…」
「…いや、やっぱりこのままで。…二人っきりのときだけ呼び名が変わるからいいんじゃありませんか。ねぇグレン様、ちょっと俺の事デリィって呼んでみてください」
「で、デリィ…」
「そう。それがグレン様だけの俺の呼び名ですよ」
ポンッ
デリィ…デリィ…僕だけの呼び名。僕だけのデリィ。どうしよう…嬉しい…嬉しくってたまんない。
「ああーー‼モデーロ!逃げてー!」
母様の叫び声に何事かと思って振りかえればそこには怒りに目を真っ赤にした父様がワナワナと震えていて…
僕たちは手をつないだまま逃げ出した。
もうっ母様ってばちゃんと捕まえててよっ!
裏の雑木林の中にある、何年か前に母様が作った小さな池。そこに置かれた座るための大きくて平たい岩に並んで腰掛ける。
「授業さぼっちゃった。叱られないかな?」
「後で俺が叱られときます。でも半分は閣下のせいですよ。」
「ご、ごめんね父様が…」
「いいえ、リーガル卿がお怒りになるほど、グレンが俺の事好きって話なら甘んじて我慢します。」
「ばか…」
どうしよう…。この間まで何ともなかった事まで今は気になって。その汗の匂いも、少しだけ触れる肘も、その膝も。って言うかわざとだよね?わざと近づいて、その、触れてる…のカナ?
「ねぇグレン。時魔法の練習しましょうか?今から10秒後の俺を視て?」
何を思ったかそんなことを言い出したモデーロに戸惑いながらも言われた通りに発動させる。
「あ…。あ、その、ぼ、僕も…」
「なんて言ってました?ちゃんと視えました?俺が好きだって言ったの。」
「う、うん…視えた…」
まさに今このセリフをそのまんま言ってるモデーロが居た。恥ずかしい…だけど嬉しい…。
「じゃぁもう一回」
「…ひぁっ!あうぅ…」
僕が視たもの、それは…
ほら今こうしてモデーロの顔が近づいてくる。鼻先が触れた瞬間「好きだよ」ってそう言って僕の視界は奪われた…
そんな光景だったんだ…
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