イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

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番外編 第二世代の恋模様

一番弟子ルミエ①

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この国、リーガル王国の頂点は銀の髪がキラキラと眩しいクリフト国王陛下。そしてその横にはカメオカラーが柔らかく揺れる微笑みの聖母ことワイアット王妃。
なんとこのお二人は僕、ルミエール・リーガル12歳の両親だ。そう僕はこの国の第一王子なのである。
今僕たちは一段高いその場所に弟の第二王子エスパールを含め4人で並び立っている。
今から始まる大勢の、祝いの挨拶という名の苦行を受けるために…




今では平和なこの国だけど僕が生まれるその前に、大きな乱があったと聞いた。それは僕の親友、従兄弟のアベニアが住むバーガンディの大叔父上たちが、父上の為に成し遂げられたとても大切な改革だったのだとカマーフィールドのおじい様から伺った。
そしてその改革の発起人は、なんとあの可愛らしいバーガンディのアデル様、大叔父上の奥方だったと聞いた時には開いた口が塞がらなかった。

だってなにしろアデル様は、柔らかなピンクベージュの髪が良く似合う向日葵のような方なのだ。
そして、そんなアデル様によく似ているのが次男のグレン…だけでなく、アベニアの従者であるフラッフィその人だ。
笑顔の可愛いフラッフィには悲しい過去があるという。
アデル様に懸想した倒錯者、その悪人がアデル様に似た子供を集め良からぬ事を企てた事があったらしい。その時に保護された子供の一人がフラッフィ。帰る家を持たずバーガンディに残った4人の子供、フラッフィ以外は合唱団に居る。いや、大人になり今は歌劇団にいるそうだ。
12歳になったら歌劇場に連れて行ってくれるとはアデル様との約束だ。

ともかくそんな可愛いフラッフィが僕は昔から大好きで…だけどフラッフィにはアベニアが居る。

アベニアは昔から独占欲が強く、フラッフィが誰かと話したり遊んだりするのをとにかく嫌がる。そんな姿を見た母上は、閣下にそっくりだって笑っていた。
それにしてもアデル様に似たフラッフィが好きだなんてアベニアは随分とママっ子だ。そう言ったらアベニアに「ラフはワイアット様にも似てるからルミエも同じくらいママっ子だ」って言い返された。

あ~あ、僕もアデル様やフラッフィみたいなふわふわの砂糖菓子みたいな人と一緒に居たいな。そうしたら勉強や剣の稽古ばかりでつまらない毎日がぱぁっと明るくなるに違いないのに。




そんな僕もアベニアに半年遅れてついに12歳の誕生日を迎えたんだ。
12歳の誕生日は特別な意味を持つ。今夜の夜会をもって僕は社交界へとデビューする。そしてこれから剣の稽古も騎士団と共に受けるのだ。

そう、大人になる準備が始まるのだ。



そうして始まった僕の誕生日を祝う夜会。そこにはバーガンディからアデル様に大叔父上に、そして仲良しのアベニアも、いつものようにフラッフィを伴いやって来た。

「おめでとうルミエ。これで大人に近づいたね。今日はお祝いいっぱい持って来たんだよ。あとでワイアットお兄様から受け取ってね。それからもう一つ。今日は特別なプレゼントもあるからね。えへへ、楽しみにしていて」

こうやってアデル様が笑う時はいつも何かを企んでいる。だけどその企みはいつでも刺激的で楽しいものなのだ。

「ルミエよ。アベニアは王都の騎士団でなくバーガンディで修業をつけることと相成った。お前はどうする?考えておくがいい」

えぇ~!アベニア~…フラッフィから離れないって言ってたけど実行するなんて…つまらないよ、これからいっぱい遊べるって思ったのに。

「ルミエっ!聞いた?父様に。僕領地で修業するよ。だってバーガンディの警備隊は王国一の強さを誇る精鋭だからね」
「うそばっか!そんな理由じゃないくせに!ひどいよ…楽しみにしてたのに…」
「じゃぁルミエがうちにおいでよ。陛下もワイアット様もダメとは言わないでしょ?だってバーガンディでの修行だよ?」
「そうだけど…」


その後も挨拶の列は続き、ようやくその列が途切れた時いきなり照明が暗くなった。
皆が驚いて騒めき始めたその時、中央に一筋の照明があたる。その中には一人の人が…ふわふわの髪をしたとても可愛らしい人が立っていた。

えっ…フラッフィに似てる…

照明を浴びながらその人が歌いだす。なんてキレイな声だろう…あ、あれなんか見覚えが…
ああっ!もしかして合唱団のキャンディ⁉僕がまだ小さい頃、何度か中央神殿で歌声を披露してくれたキャンディス君だ!
あの頃はまだ自分が幼すぎて…この歌声にこんなふうに聴き入るなんてこと出来なかった…
そう、それに、あの頃はとてもおごそかな合唱しか聴いたことなくて…こんな雰囲気のある曲を歌うとこ初めて見た…
すごい…とても…情感がこう…それに色気?可愛いのに色っぽい…何これ?あっこっち見た。ええっ!こっち来る!

そうしてキャンディスは僕の目の前までやってきて…僕の手を取り僕の目を見て切々と歌い上げたのだ、恋の歌を…



割れんばかりの拍手喝采。だけど今の僕にはキャンディスの声以外もうなにも聞こえなかった。

「どう?どうだったルミエ。歌劇に興味ありそうだったから一場面再現してもらったんだよ。素敵でしょっ…て、ルミエ?おーいルミエ~ル?」




アデル様のよく言う沼にハマる…その言葉の意味を僕は身をもって知ったのだった…



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