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番外編 第二世代の恋模様
思春期アベニア大騒動②
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「父様、カマーフィールドに行くので転移陣に魔力供給してください」
「何故お前はそう言うところばかりアデルに似るのだ。報告は決定事項でなくその前にせぬか」
「はーい」
「返事がいいのもアデルと同じだな」
そう言いながらも母様のお願いが却下されることはほとんどない。同じように僕の願いもこの程度であれば聞いてくれるのが父様だ。ささっと転移陣に魔力を注ぐと「行き先はアデルに伝えておくように」と、それだけ言って執務に戻っていった。
転移陣の供給魔力は僕や母様では足りないほどには多いのに、ものともしないで注いでしまえる父様はなんてすごいんだろう。さすが王国一の魔力量を誇る父様だ。尊敬の気持ちを新たにしながら僕はカマーフィールドへと転移した。
「まあアベニアいらっしゃい。おばあさまの所においでなさい。とっておきのお菓子をあげましょうね。」
「おばあ様、僕はもうお菓子を喜ぶ子供では」
「要りませんか?」
「いえ、いただきます。…それよりミランはどこですか?この間約束したボニーのトレカ、おみやげに持って来たんですよ。」
「それはミランが喜ぶわ。あの子は今ローランと共に農具の劣化具合を確認しに村長の所に行っているわ。じきに戻るからお待ちなさい。トールキンにはもう会ったかしら」
「転移してすぐにお会いしました。おじいさまはどちらですか?ご挨拶しなければ」
「そうね、こちらに呼びましょうか。モーリス、旦那様をお呼びしてちょうだい。」
モーリスは数年前にバーガンディからカマーフィールドへ赴任したイケメン執事だ。前の執事ハモンさんは王都から戻ったおじいさまのチェスやお話の相手として今でもこのお屋敷の中で労われながら暮らしている。
こんな温かいカマーフィールドが僕は昔から好きだった。
「おじい様~」ボスンッ
「おおアベニアよく来たね。またすこし背が伸びたんじゃないか?将来が楽しみだ」
こうしておじい様おばあ様とお茶をしながらローラン兄さんの帰りを待ったのだ。
「ローラン兄さんお帰りなさい!ミラン、ほらこれ、ポニーのトレカ、お土産だよ」
「わぁ、ポニー!それよりグレンは?今日は一緒じゃないの?」
「今日は僕、ローラン兄さんに相談があってきたんだ、だから…」
「相談?アベニア様、俺で力になれる事?それじゃぁ昼食の後で話を聞こうか」
相談しようと勇んで来たものの…いざとなったら恥ずかしくてなかなか話をきりだせない…
「どうしたのアベニア様、そんなに深刻な話なの?ああ!アデル様か閣下に何かあったんじゃないだろうねっ!」
「そうじゃないよっ大丈夫。そうじゃなくて、その…僕最近おかしくて…」
「おかしい?具合でも悪いの?アデル様には相談したの?」
「ううん。母様には言いたくなくて…」
「大丈夫。誰にも言わないから安心して話してみて?」
ようやく僕はおずおずと話し始めたんだ…
「そのね…朝変な事になってて…」「朝…」
「それだけじゃなくて、時々やっぱり同じようにおかしくなっちゃって」
「それはどんな時に?」
「ラフと二人っっきりでいる時とか…」「あー…」
どうしよう…ローラン兄さんが困った顔してる。やっぱり話しちゃいけなかったのかな?でもいまさら取り消せない…
「あっ、アベニア様、そんな顔しなくて大丈夫!これは健康な証拠だからっ!」
「健康…?」
「そ、そうっ!男の子が健康に育ってたらみんな必ずそうなるんだよ」
「兄さんも?」
「そっ、そうだね、うんまぁ、今は毎朝とは言わないけど…」
「でも、ラフの顔みててもなっちゃうんだ…」
「うっ!そ、それは、えーと、アベニア様はラフが昔から大好きだったよね…そうなるか…う~ん、そうなるよね…」
「どういうこと?良いの?悪いの?どっちなの?」
「……アベニア様って顔は閣下寄りだけど中身はアデル様にそっくりだよね。そのせっかちなとこも押しの強いところも…話し方とかほんとにそっくりだ」
「そうかなぁ?」
そう、おばあ様にもトールキン伯父様にも話し方が似て来たって言われてる。そして落ち着きがないともいわれるのだ。
「そうだよ。だから愛情の深さや一途なところもアデル様に似たのかな?アデル様は閣下の事、おじいちゃんになっても大好きだっていつもそうおっしゃってるよ。アベニアさまも好きになったら決して気持ちは変わらないんだね」
「僕もきっとラフの事ならおじいちゃんになっても好きだと思う!」
「あのね、アベニア様。アベニア様のその身体の変化は…好きで好きでたまらないくらい大好きな人と一緒に居たら、当然なる普通のことだよ。あたりまえの事。だから心配しなくて大丈夫。いつかその時がきたらちゃんとその、…やり方というか…教えてあげるから…というか、お父様に教えてもらって…いや駄目だ!閣下はダメ!トールキン様におしえてもら…ばれる!ど、どうしたら…ジョッシュ先輩!そう、ジョッシュ先輩に聞いたらいいよ。」
どんどん顔を赤くしながら最後はジョッシュに丸投げしてに兄さんは強引に話を終わらせる。
とりあえず、普通の事だってわかっただけでも心が軽くなったから良しとしよう。
「何故お前はそう言うところばかりアデルに似るのだ。報告は決定事項でなくその前にせぬか」
「はーい」
「返事がいいのもアデルと同じだな」
そう言いながらも母様のお願いが却下されることはほとんどない。同じように僕の願いもこの程度であれば聞いてくれるのが父様だ。ささっと転移陣に魔力を注ぐと「行き先はアデルに伝えておくように」と、それだけ言って執務に戻っていった。
転移陣の供給魔力は僕や母様では足りないほどには多いのに、ものともしないで注いでしまえる父様はなんてすごいんだろう。さすが王国一の魔力量を誇る父様だ。尊敬の気持ちを新たにしながら僕はカマーフィールドへと転移した。
「まあアベニアいらっしゃい。おばあさまの所においでなさい。とっておきのお菓子をあげましょうね。」
「おばあ様、僕はもうお菓子を喜ぶ子供では」
「要りませんか?」
「いえ、いただきます。…それよりミランはどこですか?この間約束したボニーのトレカ、おみやげに持って来たんですよ。」
「それはミランが喜ぶわ。あの子は今ローランと共に農具の劣化具合を確認しに村長の所に行っているわ。じきに戻るからお待ちなさい。トールキンにはもう会ったかしら」
「転移してすぐにお会いしました。おじいさまはどちらですか?ご挨拶しなければ」
「そうね、こちらに呼びましょうか。モーリス、旦那様をお呼びしてちょうだい。」
モーリスは数年前にバーガンディからカマーフィールドへ赴任したイケメン執事だ。前の執事ハモンさんは王都から戻ったおじいさまのチェスやお話の相手として今でもこのお屋敷の中で労われながら暮らしている。
こんな温かいカマーフィールドが僕は昔から好きだった。
「おじい様~」ボスンッ
「おおアベニアよく来たね。またすこし背が伸びたんじゃないか?将来が楽しみだ」
こうしておじい様おばあ様とお茶をしながらローラン兄さんの帰りを待ったのだ。
「ローラン兄さんお帰りなさい!ミラン、ほらこれ、ポニーのトレカ、お土産だよ」
「わぁ、ポニー!それよりグレンは?今日は一緒じゃないの?」
「今日は僕、ローラン兄さんに相談があってきたんだ、だから…」
「相談?アベニア様、俺で力になれる事?それじゃぁ昼食の後で話を聞こうか」
相談しようと勇んで来たものの…いざとなったら恥ずかしくてなかなか話をきりだせない…
「どうしたのアベニア様、そんなに深刻な話なの?ああ!アデル様か閣下に何かあったんじゃないだろうねっ!」
「そうじゃないよっ大丈夫。そうじゃなくて、その…僕最近おかしくて…」
「おかしい?具合でも悪いの?アデル様には相談したの?」
「ううん。母様には言いたくなくて…」
「大丈夫。誰にも言わないから安心して話してみて?」
ようやく僕はおずおずと話し始めたんだ…
「そのね…朝変な事になってて…」「朝…」
「それだけじゃなくて、時々やっぱり同じようにおかしくなっちゃって」
「それはどんな時に?」
「ラフと二人っっきりでいる時とか…」「あー…」
どうしよう…ローラン兄さんが困った顔してる。やっぱり話しちゃいけなかったのかな?でもいまさら取り消せない…
「あっ、アベニア様、そんな顔しなくて大丈夫!これは健康な証拠だからっ!」
「健康…?」
「そ、そうっ!男の子が健康に育ってたらみんな必ずそうなるんだよ」
「兄さんも?」
「そっ、そうだね、うんまぁ、今は毎朝とは言わないけど…」
「でも、ラフの顔みててもなっちゃうんだ…」
「うっ!そ、それは、えーと、アベニア様はラフが昔から大好きだったよね…そうなるか…う~ん、そうなるよね…」
「どういうこと?良いの?悪いの?どっちなの?」
「……アベニア様って顔は閣下寄りだけど中身はアデル様にそっくりだよね。そのせっかちなとこも押しの強いところも…話し方とかほんとにそっくりだ」
「そうかなぁ?」
そう、おばあ様にもトールキン伯父様にも話し方が似て来たって言われてる。そして落ち着きがないともいわれるのだ。
「そうだよ。だから愛情の深さや一途なところもアデル様に似たのかな?アデル様は閣下の事、おじいちゃんになっても大好きだっていつもそうおっしゃってるよ。アベニアさまも好きになったら決して気持ちは変わらないんだね」
「僕もきっとラフの事ならおじいちゃんになっても好きだと思う!」
「あのね、アベニア様。アベニア様のその身体の変化は…好きで好きでたまらないくらい大好きな人と一緒に居たら、当然なる普通のことだよ。あたりまえの事。だから心配しなくて大丈夫。いつかその時がきたらちゃんとその、…やり方というか…教えてあげるから…というか、お父様に教えてもらって…いや駄目だ!閣下はダメ!トールキン様におしえてもら…ばれる!ど、どうしたら…ジョッシュ先輩!そう、ジョッシュ先輩に聞いたらいいよ。」
どんどん顔を赤くしながら最後はジョッシュに丸投げしてに兄さんは強引に話を終わらせる。
とりあえず、普通の事だってわかっただけでも心が軽くなったから良しとしよう。
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