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番外編 バーガンディの日常
海水浴…
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「グラナダ様、これ履いて、で、こっち着て。あっ、あっ、胸元はちょっと開いて」
水に入れるよう膝上の丈のハーフパンツに上は…タンクトップじゃワイルドすぎて…嫌いじゃないけど…王族のグラナダ様にはもうひとつ品が欲しい。それでやっぱり麻のシャツにした。
普段なら絶対履かないグラディエーターサンダルを履いてもらって。
「んっはぁー!カッコいい!普段とのギャップが…ハァハァ…」
「裸なら見慣れているでしょうに。何そんなに喜んでるんですか。まったく、相変わらずですね。」
「裸よりエロい。分かんないかなぁ…朴念仁のマカフィーさんには分からないか。ふぅやれやれ」
「俺は分かりますよ。こう、衣服からのぞく素肌がいーんじゃねえか。ねえ、アデル様。」
さすがジョッシュさん。良く分かってる。
そう、チラリズムは男女兼用なのである。
同じく僕もハーフパンツの水着に着替えようと思ったらグラナダ様から物言いがついた。
「まさかと思うが上には何も着ないつもりか?」
「海岸までは羽織って行くけど海に入る時には脱ぎますよ?普通脱ぎませんか?」
「駄目に決まっているだろうが!お前は素肌を私以外に晒すつもりかっ!」
だからと言って…なにこのウェットスーツみたいな水着…
「グラナダ様は、本当にこんな姿の僕が見たいんですか?ホントに良いんですね?これで。」
何かのCMでみたポパイみたいな格好になった。うん、まぁこれならなんとか。ちょっと下履きの丈が長いけど。
「いつの間にこんなの用意したんですか?」
「フローアミの船員の服だ。良かろう?なかなか似合っておる。」
こうしてようやく海へ出た。
可愛いアベニアは赤と白のボーダーに腰布と頭巾を巻いて小っちゃな海賊に仕上げてみたよ。んきゃー!可愛い!
ミラン君には僕のプレゼントしたカニの着ぐるみ風水着をローランさんが着せてくれた。
そうしてここでしか似合わないコスプレを満喫しながら僕らは波打ち際で思う存分しぶきを浴びてたんだよ。
僕には湖で溺れた…と、言う事になっている前科があるから、グラナダ様は沖に連れて行ってはくれなかった。
まぁいいや。僕がしたいのは水遊びであって、遠泳じゃない訳だし。さっきから競争してるマカフィーさんとジョッシュさんを見ているだけでお腹いっぱいだ。
「良くやるよね?みんな」
「ははっ、俺も参加したいのはやまやまなんですけどね。ミランの側を離れたくなくて。可愛いですね。子供って。」
おおうっ、ローランさんが母になってる。
ジョッシュさんに作ってもらった生け簀のような水たまりで泥んこ遊びをするグレンとミランのちびっ子たち。
ローランさんはずっとミラン君のそばについて何くれと世話をする。そうか、平民育ちのローランさんには乳母の手を借りると言う発想があまりないのか。
「僕もラフも居るんだし、少しくらいは息抜きしておいでよ。せっかくここまで来たんだし。ね?いってらっしゃ~い」
そんな風にして真夏のバカンスを過ごしていた時だった。
沖に停泊していた漁船から、驚愕に震える大きな叫びが響き渡った。
「クラーケンだっ!クラーケンがでたぞっ!」
魔獣は普通、瘴気を好む。高位の魔獣ほどそれは顕著で。海洋型の魔獣は普通だったら黒海の中心から出てこない。
黒海はバーガンディの森にも似た瘴気溢れる暗い海で、でもその周囲には天然の封印、赤潮がぐるりと囲って出ては来れないはずなのに。
「アベニア!グラナダ様!」
沖に出て行った二人は無事?
グラナダ様がいるから大丈夫だと思うけど、ここは勝手の違う海だから。それにグラナダ様の片手はアベニアで塞がっている。
「ああっ!アベニア危ないっ!」
炎を操り善戦するグラナダ様の死角からクラーケンのあしがアベニアを狙う。
「マカフィーさん!受け取って!」
瞬間転移でアベニアをひっつかみマカフィーさんへと放り投げる。
「あぁっ!」
「アデルー!」
ぐっ!これではまるで………、触手プレイ!しょ、触手だと…それなんてエロゲー…。
グラナダ様たすけ……グラナダ様⁉
「いやぁぁぁぁん、助けてグラナダ様!ちょ、何見てんの!見てないで早く助けて‼」
ぷんぷんを通り越しておこである。
「もうっ!信じられない!愛妻の危機に!」
「すまんすまん、だがお前は転移で逃れられるだろう?なかなか色っぽ」
「馬鹿言ってないで早く倒しちゃってくださいよ、閣下!何やってんですか、こんな時に。」
「ふん。たかがクラーケンごとき、アベニアさえ居なければ私の敵ではないわ」
一刀両断と言う言葉が良く似合う。だけどその足は10本もあるからさっきから切られて落ちた足が半端ない。
ん?イカの足…ゲソ…
「グラナダ様ー。ちょっと炎で炙って下さい。あ、焦がさないよう気をつけてね。」
ここに醤油が無いのが悔やまれる…だが美味い!
「ほらアベニアも食べてごらん?美味しいよ。」
「俺も一本いいですか?俺は山側の田舎育ちだから海の魔獣は食べたことなくて」
「イカ焼き美味しいんだよ?ローランさん食べたことなかったの?えー、ほらほらいっぱい食べて」
「なかなか酒に合いますね。というか、酒のつまみでしかない。」
この日フローアミの領民には、バーガンディの領主より大量のイカ焼きが振舞われた。
水に入れるよう膝上の丈のハーフパンツに上は…タンクトップじゃワイルドすぎて…嫌いじゃないけど…王族のグラナダ様にはもうひとつ品が欲しい。それでやっぱり麻のシャツにした。
普段なら絶対履かないグラディエーターサンダルを履いてもらって。
「んっはぁー!カッコいい!普段とのギャップが…ハァハァ…」
「裸なら見慣れているでしょうに。何そんなに喜んでるんですか。まったく、相変わらずですね。」
「裸よりエロい。分かんないかなぁ…朴念仁のマカフィーさんには分からないか。ふぅやれやれ」
「俺は分かりますよ。こう、衣服からのぞく素肌がいーんじゃねえか。ねえ、アデル様。」
さすがジョッシュさん。良く分かってる。
そう、チラリズムは男女兼用なのである。
同じく僕もハーフパンツの水着に着替えようと思ったらグラナダ様から物言いがついた。
「まさかと思うが上には何も着ないつもりか?」
「海岸までは羽織って行くけど海に入る時には脱ぎますよ?普通脱ぎませんか?」
「駄目に決まっているだろうが!お前は素肌を私以外に晒すつもりかっ!」
だからと言って…なにこのウェットスーツみたいな水着…
「グラナダ様は、本当にこんな姿の僕が見たいんですか?ホントに良いんですね?これで。」
何かのCMでみたポパイみたいな格好になった。うん、まぁこれならなんとか。ちょっと下履きの丈が長いけど。
「いつの間にこんなの用意したんですか?」
「フローアミの船員の服だ。良かろう?なかなか似合っておる。」
こうしてようやく海へ出た。
可愛いアベニアは赤と白のボーダーに腰布と頭巾を巻いて小っちゃな海賊に仕上げてみたよ。んきゃー!可愛い!
ミラン君には僕のプレゼントしたカニの着ぐるみ風水着をローランさんが着せてくれた。
そうしてここでしか似合わないコスプレを満喫しながら僕らは波打ち際で思う存分しぶきを浴びてたんだよ。
僕には湖で溺れた…と、言う事になっている前科があるから、グラナダ様は沖に連れて行ってはくれなかった。
まぁいいや。僕がしたいのは水遊びであって、遠泳じゃない訳だし。さっきから競争してるマカフィーさんとジョッシュさんを見ているだけでお腹いっぱいだ。
「良くやるよね?みんな」
「ははっ、俺も参加したいのはやまやまなんですけどね。ミランの側を離れたくなくて。可愛いですね。子供って。」
おおうっ、ローランさんが母になってる。
ジョッシュさんに作ってもらった生け簀のような水たまりで泥んこ遊びをするグレンとミランのちびっ子たち。
ローランさんはずっとミラン君のそばについて何くれと世話をする。そうか、平民育ちのローランさんには乳母の手を借りると言う発想があまりないのか。
「僕もラフも居るんだし、少しくらいは息抜きしておいでよ。せっかくここまで来たんだし。ね?いってらっしゃ~い」
そんな風にして真夏のバカンスを過ごしていた時だった。
沖に停泊していた漁船から、驚愕に震える大きな叫びが響き渡った。
「クラーケンだっ!クラーケンがでたぞっ!」
魔獣は普通、瘴気を好む。高位の魔獣ほどそれは顕著で。海洋型の魔獣は普通だったら黒海の中心から出てこない。
黒海はバーガンディの森にも似た瘴気溢れる暗い海で、でもその周囲には天然の封印、赤潮がぐるりと囲って出ては来れないはずなのに。
「アベニア!グラナダ様!」
沖に出て行った二人は無事?
グラナダ様がいるから大丈夫だと思うけど、ここは勝手の違う海だから。それにグラナダ様の片手はアベニアで塞がっている。
「ああっ!アベニア危ないっ!」
炎を操り善戦するグラナダ様の死角からクラーケンのあしがアベニアを狙う。
「マカフィーさん!受け取って!」
瞬間転移でアベニアをひっつかみマカフィーさんへと放り投げる。
「あぁっ!」
「アデルー!」
ぐっ!これではまるで………、触手プレイ!しょ、触手だと…それなんてエロゲー…。
グラナダ様たすけ……グラナダ様⁉
「いやぁぁぁぁん、助けてグラナダ様!ちょ、何見てんの!見てないで早く助けて‼」
ぷんぷんを通り越しておこである。
「もうっ!信じられない!愛妻の危機に!」
「すまんすまん、だがお前は転移で逃れられるだろう?なかなか色っぽ」
「馬鹿言ってないで早く倒しちゃってくださいよ、閣下!何やってんですか、こんな時に。」
「ふん。たかがクラーケンごとき、アベニアさえ居なければ私の敵ではないわ」
一刀両断と言う言葉が良く似合う。だけどその足は10本もあるからさっきから切られて落ちた足が半端ない。
ん?イカの足…ゲソ…
「グラナダ様ー。ちょっと炎で炙って下さい。あ、焦がさないよう気をつけてね。」
ここに醤油が無いのが悔やまれる…だが美味い!
「ほらアベニアも食べてごらん?美味しいよ。」
「俺も一本いいですか?俺は山側の田舎育ちだから海の魔獣は食べたことなくて」
「イカ焼き美味しいんだよ?ローランさん食べたことなかったの?えー、ほらほらいっぱい食べて」
「なかなか酒に合いますね。というか、酒のつまみでしかない。」
この日フローアミの領民には、バーガンディの領主より大量のイカ焼きが振舞われた。
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