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番外編 バーガンディの日常
意外なところで争い勃発
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「すみません、アデル様。ちょっとお話が。」
んん?ナイジェルさんが僕に何の用だろう?
ナイジェルさんは何を思ったか、味を占めたか、その後もそのまま芸能部の責任者に留まっている。本人からの強い希望で…
なんでも、一人で好きに考えて一人で勝手に動けるのが気が楽でいいらしい。
「どうかしました?何かありましたか?」
「いえ、新しい企画なんですが、競馬場でリスボンの奴に乗馬指導させてはどうかと、有料で、婦女子を集めて」
「えっ⁉」
…ナイジェルさんは…推し活した事あるんだろうか…発想が割と的を得ている…
「えー、でもそれリスボンさんはなんて言ってるの?あんまり変な事強要しちゃダメだよ。」
「問題ないです」
「問題ないの?」
「問題ないです」
「……」
絶対本人に確認とってないな、これ…
ナイジェルさんは見た目だけならニューヨークのオフィス街を颯爽と歩いているようにみえる、このバーガンディには珍しいインテリ系。
なのにその中身ときたら…実に残念だ…。
どこででも地味に炎上させていくナイジェルさんは、頭は良いのに周囲となじめず、このバーガンディへと引きこもるようにやってきた。
癖の強いここのメンバーとは比較的うまくやってはいるが…仲良しこよしと言う訳ではない。
「あのさぁ…リスボンさんは広報部隊の人じゃないからそういう事はあんまり」
「このバーガンディをより豊かにするための大切な文化事業じゃないですか。隊員なら快く引き受けてしかるべきかと思いますが?」
「あー…」
「他にも、第4部隊の顔の良い新人集めて〝第4部隊とともに行くバーガンディ見どころ見学”とか。」
それもうFCバスツアーじゃん…だからなんでそういう発想が…はっ!
ああっ…仲良しこよしじゃないからこそ思いつくんだな、これ。隊員たちを…金の生る木と思って…ゾゾッ…
そうか、ナイジェルさんはウォール街のエリートではなく、芸プロ敏腕マネージャーか悪徳芸能プロデューサーだったか……
「アデル様のエンタメ事業を飛躍させるための一つですよ?」
「…必ず僕に確認とってね…必ずだよ?」
まぁ、楽しみではある。
「っていう訳でね…ナイジェルさんがやってくると思うから…ごめんね、嫌なら断って」
「アデル様…ははっ、ナイジェルに振り回されてるんですか?しょうのない奴だな全く。構いませんよ。乗馬指導くらい。それで馬の素晴らしさに目覚める婦女子がいないとも限らないし。」
馬好きのリスボンさんは巡回が終わり兵舎に戻ると大抵この厩舎にやってきて自主的に馬の世話を引き受けている。
馬好きに悪い奴は居ないと言うかなりの馬オタで、その毛艶をみれば体調なんかも一発で言い当てる。
いつか愛馬と結婚すると言いだしそうな人でもある。
僕がサーモグラフィでラグーンの不調を見つけ出しては治していたことを知ってから、とてもなんか、そう、仲間だと思われているようだ。
「ごめんね。特別手当はずむように言っておくからね。」
「いえ、アデル様それよりも」「うん?」
「閣下に再戦の申し込みを。手当はそれで充分です。」
リスボンさんが燃えていた。
僕がうっかり産気づいたあの時の勝負、グラナダ様はゴール手前で焦るマカフィーさんの姿に気づき、コースからそれて入場口へと馬を向けたらしい。
ちなみに僕の出産を記念してグラナダ様は来場のすべての人に無制限でお酒をふるまったようで、大量の酔っ払いを生み出した史上最低の、いや最高の記念式典になったとか…
と、ともかく、そのことが今も引っかかっているようで…
「あのままだったら鼻の差で俺が勝ってたと思うんですよ。やっぱりはっきりさせときたくて。」
「ふぅん?何言ってるの?グラナダ様が勝ってたよ?きっと。」
「いいえ!」
言い切った!言い切りよった!なにをー!
「へ、へぇ~…ずいぶんと自信がおありで……。いいよっ!僕からグラナダ様に言っておく!日にちはあとから連絡するけど…グラナダ様は負けませんからねっ!!」
「俺だって負けませんよ。閣下の乗るのはラグーンですか?俺の愛馬、フリートはラグーンにだって負けてない!」
こうしてバーガンディの競馬場では第一回アデル杯が開催されることになった…
んん?ナイジェルさんが僕に何の用だろう?
ナイジェルさんは何を思ったか、味を占めたか、その後もそのまま芸能部の責任者に留まっている。本人からの強い希望で…
なんでも、一人で好きに考えて一人で勝手に動けるのが気が楽でいいらしい。
「どうかしました?何かありましたか?」
「いえ、新しい企画なんですが、競馬場でリスボンの奴に乗馬指導させてはどうかと、有料で、婦女子を集めて」
「えっ⁉」
…ナイジェルさんは…推し活した事あるんだろうか…発想が割と的を得ている…
「えー、でもそれリスボンさんはなんて言ってるの?あんまり変な事強要しちゃダメだよ。」
「問題ないです」
「問題ないの?」
「問題ないです」
「……」
絶対本人に確認とってないな、これ…
ナイジェルさんは見た目だけならニューヨークのオフィス街を颯爽と歩いているようにみえる、このバーガンディには珍しいインテリ系。
なのにその中身ときたら…実に残念だ…。
どこででも地味に炎上させていくナイジェルさんは、頭は良いのに周囲となじめず、このバーガンディへと引きこもるようにやってきた。
癖の強いここのメンバーとは比較的うまくやってはいるが…仲良しこよしと言う訳ではない。
「あのさぁ…リスボンさんは広報部隊の人じゃないからそういう事はあんまり」
「このバーガンディをより豊かにするための大切な文化事業じゃないですか。隊員なら快く引き受けてしかるべきかと思いますが?」
「あー…」
「他にも、第4部隊の顔の良い新人集めて〝第4部隊とともに行くバーガンディ見どころ見学”とか。」
それもうFCバスツアーじゃん…だからなんでそういう発想が…はっ!
ああっ…仲良しこよしじゃないからこそ思いつくんだな、これ。隊員たちを…金の生る木と思って…ゾゾッ…
そうか、ナイジェルさんはウォール街のエリートではなく、芸プロ敏腕マネージャーか悪徳芸能プロデューサーだったか……
「アデル様のエンタメ事業を飛躍させるための一つですよ?」
「…必ず僕に確認とってね…必ずだよ?」
まぁ、楽しみではある。
「っていう訳でね…ナイジェルさんがやってくると思うから…ごめんね、嫌なら断って」
「アデル様…ははっ、ナイジェルに振り回されてるんですか?しょうのない奴だな全く。構いませんよ。乗馬指導くらい。それで馬の素晴らしさに目覚める婦女子がいないとも限らないし。」
馬好きのリスボンさんは巡回が終わり兵舎に戻ると大抵この厩舎にやってきて自主的に馬の世話を引き受けている。
馬好きに悪い奴は居ないと言うかなりの馬オタで、その毛艶をみれば体調なんかも一発で言い当てる。
いつか愛馬と結婚すると言いだしそうな人でもある。
僕がサーモグラフィでラグーンの不調を見つけ出しては治していたことを知ってから、とてもなんか、そう、仲間だと思われているようだ。
「ごめんね。特別手当はずむように言っておくからね。」
「いえ、アデル様それよりも」「うん?」
「閣下に再戦の申し込みを。手当はそれで充分です。」
リスボンさんが燃えていた。
僕がうっかり産気づいたあの時の勝負、グラナダ様はゴール手前で焦るマカフィーさんの姿に気づき、コースからそれて入場口へと馬を向けたらしい。
ちなみに僕の出産を記念してグラナダ様は来場のすべての人に無制限でお酒をふるまったようで、大量の酔っ払いを生み出した史上最低の、いや最高の記念式典になったとか…
と、ともかく、そのことが今も引っかかっているようで…
「あのままだったら鼻の差で俺が勝ってたと思うんですよ。やっぱりはっきりさせときたくて。」
「ふぅん?何言ってるの?グラナダ様が勝ってたよ?きっと。」
「いいえ!」
言い切った!言い切りよった!なにをー!
「へ、へぇ~…ずいぶんと自信がおありで……。いいよっ!僕からグラナダ様に言っておく!日にちはあとから連絡するけど…グラナダ様は負けませんからねっ!!」
「俺だって負けませんよ。閣下の乗るのはラグーンですか?俺の愛馬、フリートはラグーンにだって負けてない!」
こうしてバーガンディの競馬場では第一回アデル杯が開催されることになった…
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