イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

決断の時編

鏡よ鏡 ②

グラナダ様が聞いて来た水見の鏡の仕組みはこうだ。

必要なのは4属性の魔力、これは時空間転移の魔法と同じ。だけど魂をとばす時空間転移と違い覗き見るだけの先見の魔法それほど多くの属性魔力は必要としない。
それよりも初耳なのが聖杯と聖水の事。過去の聖人さまによって作られたこの聖杯には莫大な聖魔力が込められているらしい。そして毎日変えられる聖水。今の聖人様が毎朝聖魔力を込めて聖杯を満たすんだって。
そしてこの聖魔力こそが属性魔力を制御して時空の狭間を覗き見る鍵なんだって。
生誕珠といい、先見といい、……聖魔法って奇跡を司る魔法なんだ…。
今さらだけど、聖人様に畏敬の念を抱かずにはいられない。なんてすごい人なんだろうって言ったら、今さら気づいたのかって笑われた。


そして水鏡に映し出す未来には本人の強い想いが影響する。時空を飛ぶときに明確なイメージが必要なのと同じで、未来への強い想いが座標代わりになるんだって。

「未来とはその者が今から構築する時間であるからな。こうでありたいと言う思いが大きく影響するのであろう」
「あー、だから良くない未来を見ちゃう人もいるんですね。思いが弱かったり曖昧だったり…」
「うむ。だが、水見の鏡でお前の願うその者たちに会わせてやることは出来なんだ。すまぬ…」
「いいえ、すごくいいお話きかせてもらいました。ありがとうグラナダ様。やっぱりグラナダ様に相談して良かった…」
「私はお前の力になれただろうか」
「とっても！んちゅっ！」


僕ときたら、自分でなんとかしなきゃってずっと思ってて、鏡さんに頼むなんて事考えてもみなかったよ。でもそのおかげですごく参考になった…。

アベニアの為におもちゃを選ぶグラナダ様。僕の為にわざわざ神殿まで出向いてくれたグラナダ様。
どうしよう。僕の旦那様がすごく頼もしい。僕の好きだったクールで孤高なグラナダ様じゃなくなったけど、今のグラナダ様のほうがずっと好き！好きが溢れて止まらない！
明日に備えて今夜は大人しく眠るけれど…あ～んもうっ！生誕珠の事が無ければ…すっごく…ｱﾚだったのに！
ちょっとムラムラする気分をこらえて、その熱量は明日のお楽しみにした。




10日間も留守にしていたものだからグラナダ様はやることがいっぱい溜まってる。僕とアベニアから離れたくないと、渋る姿も無視されて朝からグレゴリー隊長に連行されていっちゃった。仕事しかしてなかった昔を思うと別人みたい…
だけど僕だって暇じゃないからね。
明日は動けないんだから今日のうちにいろいろ済ませておかなくちゃ。
演芸場のこけら落としの件や、合唱団の事、急遽決まった馬場の設営。あっそうだ、バーガンディ愛好会の会長とも会わなくちゃ。新しく売り出すドリル隊員トレカの件で。

そうして二人、あれやこれやと仕事をかたずけ、ディナーを済ませ、寝ぐずりをするアベニアをあやして寝かしつけたなら…




待ちに待った大人の時間だよ♡