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決断の時編

もう一人のアデル 後編

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ぬぐえない涙をこらえてアデル君を探す。
駅へ向かういつもの道。あぁ僕のバイト先。店長の姿が見える。懐かしい。ここー!ここだよー!

あっ、見つけた!僕だ!コンビニの前に僕が居る!はっ、これは!キャラTだっ ⁉がっつりうさ耳の女の子が描いてある。で、でも、ああ。

嬉しそうに笑ってる。楽しそうに歌ってる。なんか変な振り付けしてるけど。歌ってるのはアニフレのOPだけど。

内向的って聞いてたけどそんな風には見えないね…儚げな子って誰もが言ってたけど…ここに居るのは僕の顔した普通の子だよ。
どこにでもいる普通の、ちょっとオタクな男の子……
携帯で誰かと連絡とってる…集合時間の確認かな。すごいねっ、スマホまでもう使いこなしてるの?当たり前か、4年だもんね。
ちょ、まって、僕よりスワイプ早くない?何?何してんの?アプリで漫画描いてるの?すっっごい!

電車に乗って3回乗り換えてようやく着いたライブ会場。
えっ、大きな会場…誰のライブ?
…こ、これは…ミュージカル・アニマルフレンド…まじかーっ。


「皆さ~んおつで~す。昨日の放送見ました~?サイコー萌えキュンでしたね~」
「まさにまさにそのとおりですとも。いや~昨夜は神回でしたな」
「作監に作品への愛を感じましたぞ」

な、なんだか口調はバーガンディでなじみがあるけど…いや、中身が全く違うからぁ!

「新太君お待たせっ!遅くなってごめんね」
「あっ、三木君~///待ってないよ、大丈夫///」

そっ、そいつはっ!高校んときのクラスメイト、二次元同好会の三木じゃん。分厚い眼鏡の冴えないオタク。
だがしかし、時々ラノベやゲームの話で一緒に盛り上がったりしてたから僕はちゃぁんと知っている。
そう、僕のイケメンセンサーはちゃんと知っているのだ。そいつは眼鏡を外したらそこそこ整った顔してるって事。
アデル君、三木を今すぐコンタクトに変えてヘアーサロンへ連れてって!そうしたら多分、君の好きな王子様顔になるよ。
って、…きっとそんなの関係ないよね?だってアデル君さっきから顔が赤い。僕の顔でそれを見るのは、とても微妙ではあるけれど…
三木と趣味が合うのかな?随分話が弾んでる。あ~あ、嬉しそうな顔して。締まりがないよ僕の顔。
だけどほら、もう開場の時間だよ。



熱気に包まれたライブ会場。覚えのある空気感。あぁこれ、これだよ!テンションあがってくる。

あ、いや違った。違うわこれ。ノリが…違う。いや、すごく楽しそうだけれども!
なんと!みんなでオタ芸まで披露しちゃうの?おおシンクロすごい。あ、ああっ。さっき歌ってたOPだね。
ふ~ん。そっか。でも、ふふふ、サイリウム必死に振って声援送って、楽しそうだねアデル君。いやもう一人の新太。
ジュン君が好きだからアニフレが好きなのか、アニフレが好きだからジュン君が好きなのか。それとも…
……三木が好きなアニフレだからアニフレを好きになったのか……





なんにせよ、こんなに楽しめるコンテンツに巡り合えるなんて超絶ラッキーだったね。













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感想 102

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