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決断の時編

そしてじっくり考えた

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それにしても…僕を元気づけようとしてくれたグラナダ様の気持ちがとても嬉しい。
…いつまでもうだうだ考えてたらいけないな。そろそろほんとに切り替えていかないと。


アベニアと一緒にデッキチェアーでお昼寝をする。
ラフ君、次はお勉強の時間。りっぱな従者になるため頑張って!
アベニアの寝息を聞きながら目をつむり、これでおしまいっと考える。


アデルの最後の望み、多分これが最終結論。もちろん推測だけどほとんどあってるんじゃないかな。


違う人になりたかった。そして、そんなアデルが思い描いたことはきっと…
上手く生きられなかった自分と違って、自分に与えられた全部を享受して幸せに生きられる人生。

アデルに与えられてて、アデルが受け入れられなかったもの…

…王に恭順するのが当たり前の世界、…家名の為に生きる事が美徳とされる高位貴族家としての立場、…時に災いを呼ぶ人の心を惑わす容姿、…強ければ強いほど利用されるだけの魔力、それから…ドノヴァン王に与えられた…魔獣との戦いに明け暮れる、顔も知らないまだ見ぬ夫…。

顔以外の全ての元凶は前王なんんじゃないの?そうか…今のリーガル王国なら…少しは暮らしやすかったかな?






ふぅ…

瘴気が減り少しは明るくなったバーガンディの空を見上げて一人納得する。

王様の為だけの国なんて壊しちゃったし、貴族としての義務も多少仕方ないって思ってる。それでもどうしても受け入れられないことは妥協点を模索するくらいのこと僕はする。〝ただしイケメンに限る”が暗黙のルールだった日本に生きて来た僕は、この顔は最大の武器だと思ってるし、はじめて可愛い可愛い言われて舞い上がったのも事実だ。それに魔法なんて強ければ強いにこしたことは無い。魔法は無限の可能性を秘めている。

そしてグラナダ様。
顔も知らない不穏な噂しかない夫。初めて会った瞬間にあの威圧を受けて怯えも見せず恋に落ちれる人間なんてそうそういるわけない。
そう、坂下クンおしに決して、何があろうと推し変はしないっ、最後までついてゆくって心に誓っていたガチオタの僕以外は‼


アデルは優しい子だな。あんな時でもちゃんとまだ見ぬ夫の幸せを望んだのか。
それにしても…アデルのタイプがクリフト陛下なら、血縁とはいえグラナダ様は正反対。クリフト陛下は亡くなられた先の王妃に瓜二つだ。

ここに来ていてもグラナダ様を愛せたかどうか…そうしたら逃げ帰ってたかな?ううん、心の弱いアデルならやっぱりきっと…

ぶるぶるぶる…



もういい。僕がアデルに無意識とはいえ選ばれた理由はわかったし、納得もした。
アデルにはむしろよくやったと褒めてあげたい。グラナダ様を幸せに出来たのは…自信を持って言うけど僕しか居ない!大事な事だから2回言う。僕しか居ない!




僕は心の奥の小さな小さな決して消えない心残りには蓋をしておこうと決めたんだ。そう今は。












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