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新たな家族編
二日酔いの朝 ②
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うう…イタタ…頭が痛い…ああ、昨日飲みすぎたから…
先輩たちと飲むといつもこうだ。それでもまだこの二人はましなほうだけど。
なんだろう、いつものマットより柔らかい気がするのは気のせいだろうか?
薄暗い部屋の中、少しずつ意識が覚醒していく…。
それに…なんだろう…体が重い…
二日酔いのせいじゃなく…なにかこう…実際的に…
開けたくても開かない重い瞼。もう少しだけ惰眠をむさぼる時間は残されているだろうか?
身じろぐと体にかかる重みに今度は力が加わった。
えっ?何?
びっくりして今度こそはっきり目が覚める。そうして俺が見たものは…
ト、トールキン様!
目と目が合って…お互いが固まる…。叫んだつもりが声が出ていない…。
…って、いや、この体勢は一体…?だ、抱きしめられて…えぇっ?
「…!、ああっ、すまないっ、いやその、これはっ!」
「は、あの、いえ、なん…、」
うろたえる俺とトールキン様。そういってる間もトールキン様は俺を放さない…。
「あ…あの、腕を…」
「ああっ、すまないっ!」
ドスン
首の下から腕を引き抜いた勢いで俺の身体がベッドから落下。
「あああっ!重ね重ね…すまないね…ローラン……向こうへ行くよ、私は…ゆっくり休むとぃぃ…」
消え入りそうな語尾を残してトールキン様は部屋を出ていく。
「休めったって、もう朝だし…」
そうつぶやく俺の顔はきっと閣下の炎で焼かれた魔獣よりも真っ赤だろう…。
自室へ戻り軽く湯を浴び着替えると先輩たちの部屋へ飛び込んだ。
「ちょっと!先輩ですよね、あれ!何するんですかっ!」
「あー、まぁ担いだのは俺たちだけど、言い出しっぺはアデル様だな」
「えっ?アデル様?」
「ああ、まぁ、な。」
「トールキン殿は、アデル様曰く相当の奥手らしいな。魔法使いがなんとか…」
「伯爵夫人も同じように言ってらしたな、放っておいたらカビが生えるってよ」
「カマーフィールドの腐葉土になって終いだとも言ってたな」
だからって俺が相手でいいわけない。相手は次期伯爵。たとえ小さくったってこのカマーフィールドの領主になるのだ。
「あのなぁ…アデル様だってトールキン殿に全くその気が無けりゃ、さすがにこんなことしねぇよ。」
「トールキン殿は常にお前を側にと望んでらしたろうが。あの閣下に頼み込んでまで。それが答えじゃないのか?」
「あれは…そういうんじゃ…ただ領地のために…」
「そうだとしても好意くらいはお持ちだと俺でも思うがな」
「俺は学もない田舎者だし…ただの平民で…」
「少なくとも身分を理由にお前をそでにはしない。お前が惹かれたのもそういう人柄じゃないのか」
「振られるとしたらそりゃ別の理由だろ。胸とか、色気が無いとか」ゲシッ「いてっ」
最後まで「お前からいけ」と言い続けながら先輩たちはこのカマーフィールドを後にした。
俺とトールキン様の、このカマーフィールドを。
先輩たちと飲むといつもこうだ。それでもまだこの二人はましなほうだけど。
なんだろう、いつものマットより柔らかい気がするのは気のせいだろうか?
薄暗い部屋の中、少しずつ意識が覚醒していく…。
それに…なんだろう…体が重い…
二日酔いのせいじゃなく…なにかこう…実際的に…
開けたくても開かない重い瞼。もう少しだけ惰眠をむさぼる時間は残されているだろうか?
身じろぐと体にかかる重みに今度は力が加わった。
えっ?何?
びっくりして今度こそはっきり目が覚める。そうして俺が見たものは…
ト、トールキン様!
目と目が合って…お互いが固まる…。叫んだつもりが声が出ていない…。
…って、いや、この体勢は一体…?だ、抱きしめられて…えぇっ?
「…!、ああっ、すまないっ、いやその、これはっ!」
「は、あの、いえ、なん…、」
うろたえる俺とトールキン様。そういってる間もトールキン様は俺を放さない…。
「あ…あの、腕を…」
「ああっ、すまないっ!」
ドスン
首の下から腕を引き抜いた勢いで俺の身体がベッドから落下。
「あああっ!重ね重ね…すまないね…ローラン……向こうへ行くよ、私は…ゆっくり休むとぃぃ…」
消え入りそうな語尾を残してトールキン様は部屋を出ていく。
「休めったって、もう朝だし…」
そうつぶやく俺の顔はきっと閣下の炎で焼かれた魔獣よりも真っ赤だろう…。
自室へ戻り軽く湯を浴び着替えると先輩たちの部屋へ飛び込んだ。
「ちょっと!先輩ですよね、あれ!何するんですかっ!」
「あー、まぁ担いだのは俺たちだけど、言い出しっぺはアデル様だな」
「えっ?アデル様?」
「ああ、まぁ、な。」
「トールキン殿は、アデル様曰く相当の奥手らしいな。魔法使いがなんとか…」
「伯爵夫人も同じように言ってらしたな、放っておいたらカビが生えるってよ」
「カマーフィールドの腐葉土になって終いだとも言ってたな」
だからって俺が相手でいいわけない。相手は次期伯爵。たとえ小さくったってこのカマーフィールドの領主になるのだ。
「あのなぁ…アデル様だってトールキン殿に全くその気が無けりゃ、さすがにこんなことしねぇよ。」
「トールキン殿は常にお前を側にと望んでらしたろうが。あの閣下に頼み込んでまで。それが答えじゃないのか?」
「あれは…そういうんじゃ…ただ領地のために…」
「そうだとしても好意くらいはお持ちだと俺でも思うがな」
「俺は学もない田舎者だし…ただの平民で…」
「少なくとも身分を理由にお前をそでにはしない。お前が惹かれたのもそういう人柄じゃないのか」
「振られるとしたらそりゃ別の理由だろ。胸とか、色気が無いとか」ゲシッ「いてっ」
最後まで「お前からいけ」と言い続けながら先輩たちはこのカマーフィールドを後にした。
俺とトールキン様の、このカマーフィールドを。
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