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新たな家族編

兄二人

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今日のお昼にはここを発つ。これでまたしばらくはお母様にお会いできない。

「ああ、アビーちゃんもう行ってしまうのね。寂しいわ。おばあさまの事忘れないでね」
「お母様…覚えていろと言うのは無理じゃないかと…」


「アデル、もっと辺境伯夫人として威厳のある振舞をしなければならないよ。閣下に恥をかかせるような真似は控えなければ」
「閣下はアデル様にべた惚れですから大丈夫ですよ」

ガタタッ ガチャン

「おっ、お兄様?」

トールキンお兄様が下がれもしない後ろに下がろうとして古いチェストにぶつかり燭台を落とす。
ローランさんが入ってきたのか…。
そのローランさんは普通にしてる、してるけど、顔が赤い…。

マカフィーさんジョッシュさんと目くばせをしてほくそ笑む。
意識してる、意識してるよこれ。いいんじゃないのぉ?

今朝どうだったのか?どうなったのか?聞きたくて聞きたくてうずうずする…。
お母様、孫の心配はいらないかも知れませんよ?平民を嫁に迎える方法なんていくらでもある。ローランさん、その心配は杞憂だよ。本人たちの気持ちさえあれば!


めでたい報告を楽しみに僕らはカマーフィールドを後にした。






そこから2日程をかけて王都へ入る。馬上のマカジョシュに婦女子が群がる。

「隠匿でもかけようか?それともこの写真でもばらまいて散らす?」
「アデル様、今度その写真ばらまいたら俺にも考えがありますからね」
「な、何?」「このアデル様の姿絵を」
「そ、それはグラナダ様がだまってないやつ」「ならこっちの閣下の姿絵を」

ぐ、ぬぬ…おのれ…というか、グラナダ様の姿絵ばら撒くの不敬と思ってないのかマカフィーさん…うける。


ようやく王城へ着いた僕たちを迎えてくれたのは満面の笑みのお父様。

「おーよしよしアベニアや。おじいちゃまに可愛い顔を見せておくれ。これは何ともまた麗しい顔立ち」
「でしょう?でしょう?グラナダ様に似てほんっと整ってて。アビーおじいちゃまのとこ行っておいで」

ラフ君は初めてみる王宮に目が泳いじゃって大変。乳母さんもバーガンディの邸とはまた違う煌びやかさに目をまるくしてる。

グラナダ様用のいつもの棟に案内され一息ついてたらワイアットお兄様がやってきた。

「アデル、アベニア、よく来てくれたね。ふう…ふう…もう今日か明日かというところでアデルが来てくれて心強いよ。すまないね、カマーフィールドでもっとのんびりしたかったろう?」
「いーえ、むしろお兄様の顔をどれほど見たかったことか…4日前に…」
「4日前?…ま、まぁ、そう言ってくれて嬉しいよ。アベニアは…あぁ、なんてかわいい…本当に可愛い…」
「そうだろう…ワイアットお前の子もきっと陛下に似た美丈夫であろうな」

お兄様とお父様のダブル陽だまりコンビの中でアベニアが
「あぶぅ…ぶぅ…ぶぶぶ…」「話した!話したよアデル!」「おお、なんと流暢な。これは将来が楽しみだ」

あたたかい……なにが出てるんだろうこの二人…というか、この二人のいないカマーフィールドが不安で仕方ない。癒し成分が足りないでしょ。
これは何が何でもローランさんに…あの豆柴系ローランさんに癒しを振りまいてもらわねば!




気取った貴族子女なんてカマーフィールドにはいらないんだから!







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