150 / 247
新たな家族編
兄二人
しおりを挟む
今日のお昼にはここを発つ。これでまたしばらくはお母様にお会いできない。
「ああ、アビーちゃんもう行ってしまうのね。寂しいわ。おばあさまの事忘れないでね」
「お母様…覚えていろと言うのは無理じゃないかと…」
「アデル、もっと辺境伯夫人として威厳のある振舞をしなければならないよ。閣下に恥をかかせるような真似は控えなければ」
「閣下はアデル様にべた惚れですから大丈夫ですよ」
ガタタッ ガチャン
「おっ、お兄様?」
トールキンお兄様が下がれもしない後ろに下がろうとして古いチェストにぶつかり燭台を落とす。
ローランさんが入ってきたのか…。
そのローランさんは普通にしてる、してるけど、顔が赤い…。
マカフィーさんジョッシュさんと目くばせをしてほくそ笑む。
意識してる、意識してるよこれ。いいんじゃないのぉ?
今朝どうだったのか?どうなったのか?聞きたくて聞きたくてうずうずする…。
お母様、孫の心配はいらないかも知れませんよ?平民を嫁に迎える方法なんていくらでもある。ローランさん、その心配は杞憂だよ。本人たちの気持ちさえあれば!
めでたい報告を楽しみに僕らはカマーフィールドを後にした。
そこから2日程をかけて王都へ入る。馬上のマカジョシュに婦女子が群がる。
「隠匿でもかけようか?それともこの写真でもばらまいて散らす?」
「アデル様、今度その写真ばらまいたら俺にも考えがありますからね」
「な、何?」「このアデル様の姿絵を」
「そ、それはグラナダ様がだまってないやつ」「ならこっちの閣下の姿絵を」
ぐ、ぬぬ…おのれ…というか、グラナダ様の姿絵ばら撒くの不敬と思ってないのかマカフィーさん…うける。
ようやく王城へ着いた僕たちを迎えてくれたのは満面の笑みのお父様。
「おーよしよしアベニアや。おじいちゃまに可愛い顔を見せておくれ。これは何ともまた麗しい顔立ち」
「でしょう?でしょう?グラナダ様に似てほんっと整ってて。アビーおじいちゃまのとこ行っておいで」
ラフ君は初めてみる王宮に目が泳いじゃって大変。乳母さんもバーガンディの邸とはまた違う煌びやかさに目をまるくしてる。
グラナダ様用のいつもの棟に案内され一息ついてたらワイアットお兄様がやってきた。
「アデル、アベニア、よく来てくれたね。ふう…ふう…もう今日か明日かというところでアデルが来てくれて心強いよ。すまないね、カマーフィールドでもっとのんびりしたかったろう?」
「いーえ、むしろお兄様の顔をどれほど見たかったことか…4日前に…」
「4日前?…ま、まぁ、そう言ってくれて嬉しいよ。アベニアは…あぁ、なんてかわいい…本当に可愛い…」
「そうだろう…ワイアットお前の子もきっと陛下に似た美丈夫であろうな」
お兄様とお父様のダブル陽だまりコンビの中でアベニアが
「あぶぅ…ぶぅ…ぶぶぶ…」「話した!話したよアデル!」「おお、なんと流暢な。これは将来が楽しみだ」
あたたかい……なにが出てるんだろうこの二人…というか、この二人のいないカマーフィールドが不安で仕方ない。癒し成分が足りないでしょ。
これは何が何でもローランさんに…あの豆柴系ローランさんに癒しを振りまいてもらわねば!
気取った貴族子女なんてカマーフィールドにはいらないんだから!
「ああ、アビーちゃんもう行ってしまうのね。寂しいわ。おばあさまの事忘れないでね」
「お母様…覚えていろと言うのは無理じゃないかと…」
「アデル、もっと辺境伯夫人として威厳のある振舞をしなければならないよ。閣下に恥をかかせるような真似は控えなければ」
「閣下はアデル様にべた惚れですから大丈夫ですよ」
ガタタッ ガチャン
「おっ、お兄様?」
トールキンお兄様が下がれもしない後ろに下がろうとして古いチェストにぶつかり燭台を落とす。
ローランさんが入ってきたのか…。
そのローランさんは普通にしてる、してるけど、顔が赤い…。
マカフィーさんジョッシュさんと目くばせをしてほくそ笑む。
意識してる、意識してるよこれ。いいんじゃないのぉ?
今朝どうだったのか?どうなったのか?聞きたくて聞きたくてうずうずする…。
お母様、孫の心配はいらないかも知れませんよ?平民を嫁に迎える方法なんていくらでもある。ローランさん、その心配は杞憂だよ。本人たちの気持ちさえあれば!
めでたい報告を楽しみに僕らはカマーフィールドを後にした。
そこから2日程をかけて王都へ入る。馬上のマカジョシュに婦女子が群がる。
「隠匿でもかけようか?それともこの写真でもばらまいて散らす?」
「アデル様、今度その写真ばらまいたら俺にも考えがありますからね」
「な、何?」「このアデル様の姿絵を」
「そ、それはグラナダ様がだまってないやつ」「ならこっちの閣下の姿絵を」
ぐ、ぬぬ…おのれ…というか、グラナダ様の姿絵ばら撒くの不敬と思ってないのかマカフィーさん…うける。
ようやく王城へ着いた僕たちを迎えてくれたのは満面の笑みのお父様。
「おーよしよしアベニアや。おじいちゃまに可愛い顔を見せておくれ。これは何ともまた麗しい顔立ち」
「でしょう?でしょう?グラナダ様に似てほんっと整ってて。アビーおじいちゃまのとこ行っておいで」
ラフ君は初めてみる王宮に目が泳いじゃって大変。乳母さんもバーガンディの邸とはまた違う煌びやかさに目をまるくしてる。
グラナダ様用のいつもの棟に案内され一息ついてたらワイアットお兄様がやってきた。
「アデル、アベニア、よく来てくれたね。ふう…ふう…もう今日か明日かというところでアデルが来てくれて心強いよ。すまないね、カマーフィールドでもっとのんびりしたかったろう?」
「いーえ、むしろお兄様の顔をどれほど見たかったことか…4日前に…」
「4日前?…ま、まぁ、そう言ってくれて嬉しいよ。アベニアは…あぁ、なんてかわいい…本当に可愛い…」
「そうだろう…ワイアットお前の子もきっと陛下に似た美丈夫であろうな」
お兄様とお父様のダブル陽だまりコンビの中でアベニアが
「あぶぅ…ぶぅ…ぶぶぶ…」「話した!話したよアデル!」「おお、なんと流暢な。これは将来が楽しみだ」
あたたかい……なにが出てるんだろうこの二人…というか、この二人のいないカマーフィールドが不安で仕方ない。癒し成分が足りないでしょ。
これは何が何でもローランさんに…あの豆柴系ローランさんに癒しを振りまいてもらわねば!
気取った貴族子女なんてカマーフィールドにはいらないんだから!
218
お気に入りに追加
3,297
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
腐男子(攻め)主人公の息子に転生した様なので夢の推しカプをサポートしたいと思います
たむたむみったむ
BL
前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか?
そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。
ほのぼのまったり進行です。
他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる