149 / 247
新たな家族編
悪だくみ
しおりを挟む
ごねるグラナダ様を強引に引きはがしカマーフィールドへ戻ってきた僕は今夜の晩餐の為に厨房に居た。
お母様とお兄様は辺境伯夫人である僕が厨房に入ることをあまり良くは思わないようだったけど、貧しかったカマーフィールド邸では1昨年前まで多くの使用人は雇えずお母様が手伝いに入ることも少なくなかったと聞いた。
だからちょっと強引に言い張れば不承不承も許可してくれた。
「ふんふ~ん、何作ろうかな?バーガンディからもらってきたブラッディルースターのお肉ローストにして…」
「アデル様、俺も手伝います。お屋敷にいつ何があってもいいよう、少しずつ料理も覚えておこうかと思って」
「そっ……そうだね、ま、まぁ料理は出来るにこしたことないよね」
胃袋を掴むのは大事である。
「で、ここを縛って。うんそう。出来たら窯に入れてね。さ、次はソースをつくろうね。このナッツのソースはトールキンお兄様のお好きなソースだよ。」
「トールキン様の…」
目が真剣である。
「あの…他にもトールキン様の好物ってありますか?」
「……好き嫌い出来るほど豊かな食卓じゃなかったけど…チッカーバードのお肉はお好きだったみたいだよ」
「そ、そっか。それなら俺でも山で捕れますね。」
「………がんばってね…いろんな意味で…」「へっ?あ、はい。」
健気である。
もーやだ。健気すぎて放っておけない。もうさ、朴念仁のお兄様くらいならあげちゃっても別に…いいんじゃないかな?
「さーさー飲んでくださいお兄様。兄弟水入らずお話しできる最後の夜ですよ。転移陣だってしょっちゅう起動はさせられないんだから」
「ああ、そうだが私はもうこれくらいで…」
「ぐすん…2年ぶりに会ったお兄様にせっかくこうしてお酒を注げると思ったのに…ぐすんぐすん」
「アデルっ、ああ、じゃあもう一杯だけいただこうか」
「お兄様、これはバーガンディ秘蔵のワインで、それでねっ」
べろんべろんである。
「もうアデルたまってば、トールキンさまつぶれちゃったじゃないれすか~」
そういうローランさんもかなり酔っている。悪い先輩二人が今日もまた頑張ってくれたようだ。
今日の僕はぼったくりバーの店主になったつもりでひたすらお酒を勧め続けた。
ジョッシュさんとマカフィーさんがお兄様を寝室へと運ぶ。
今お兄様にはローランさん以外の従者が居ない。執事のハモンさんは高齢なのでどちらかというと労わられている側だ。
「今度はこっちね」
ジョッシュさんがローランさんを担いで…お兄様の寝室へと運ぶ。
そして泥酔状態のお兄様に添えるように、そっとローランさんを腕枕状態で横たえる。
「いいんですか?こんなことして知りませんよ」
「いーんだって、きっかけだよきっかけ。ちょっとしたハプニングを経てお兄様がローランさんを意識さえすればワンチャンあるかも」
「ぷぷ、おもしろいからいーんじゃないか?」「お前はまたそういう…」
すっかり僕らは主従と言うより悪乗りがすぎる悪友状態だ。
…うーん…すこし服をはだけさせておくか…これくらい…いやもう少し…あとちょっと……
「そこまでです」
マカフィーさんからストップが入った。
さぁ僕らも少し寝るか…程よい酔いと不思議な達成感に包まれ、今日はいい夢見れそうだ。
お母様とお兄様は辺境伯夫人である僕が厨房に入ることをあまり良くは思わないようだったけど、貧しかったカマーフィールド邸では1昨年前まで多くの使用人は雇えずお母様が手伝いに入ることも少なくなかったと聞いた。
だからちょっと強引に言い張れば不承不承も許可してくれた。
「ふんふ~ん、何作ろうかな?バーガンディからもらってきたブラッディルースターのお肉ローストにして…」
「アデル様、俺も手伝います。お屋敷にいつ何があってもいいよう、少しずつ料理も覚えておこうかと思って」
「そっ……そうだね、ま、まぁ料理は出来るにこしたことないよね」
胃袋を掴むのは大事である。
「で、ここを縛って。うんそう。出来たら窯に入れてね。さ、次はソースをつくろうね。このナッツのソースはトールキンお兄様のお好きなソースだよ。」
「トールキン様の…」
目が真剣である。
「あの…他にもトールキン様の好物ってありますか?」
「……好き嫌い出来るほど豊かな食卓じゃなかったけど…チッカーバードのお肉はお好きだったみたいだよ」
「そ、そっか。それなら俺でも山で捕れますね。」
「………がんばってね…いろんな意味で…」「へっ?あ、はい。」
健気である。
もーやだ。健気すぎて放っておけない。もうさ、朴念仁のお兄様くらいならあげちゃっても別に…いいんじゃないかな?
「さーさー飲んでくださいお兄様。兄弟水入らずお話しできる最後の夜ですよ。転移陣だってしょっちゅう起動はさせられないんだから」
「ああ、そうだが私はもうこれくらいで…」
「ぐすん…2年ぶりに会ったお兄様にせっかくこうしてお酒を注げると思ったのに…ぐすんぐすん」
「アデルっ、ああ、じゃあもう一杯だけいただこうか」
「お兄様、これはバーガンディ秘蔵のワインで、それでねっ」
べろんべろんである。
「もうアデルたまってば、トールキンさまつぶれちゃったじゃないれすか~」
そういうローランさんもかなり酔っている。悪い先輩二人が今日もまた頑張ってくれたようだ。
今日の僕はぼったくりバーの店主になったつもりでひたすらお酒を勧め続けた。
ジョッシュさんとマカフィーさんがお兄様を寝室へと運ぶ。
今お兄様にはローランさん以外の従者が居ない。執事のハモンさんは高齢なのでどちらかというと労わられている側だ。
「今度はこっちね」
ジョッシュさんがローランさんを担いで…お兄様の寝室へと運ぶ。
そして泥酔状態のお兄様に添えるように、そっとローランさんを腕枕状態で横たえる。
「いいんですか?こんなことして知りませんよ」
「いーんだって、きっかけだよきっかけ。ちょっとしたハプニングを経てお兄様がローランさんを意識さえすればワンチャンあるかも」
「ぷぷ、おもしろいからいーんじゃないか?」「お前はまたそういう…」
すっかり僕らは主従と言うより悪乗りがすぎる悪友状態だ。
…うーん…すこし服をはだけさせておくか…これくらい…いやもう少し…あとちょっと……
「そこまでです」
マカフィーさんからストップが入った。
さぁ僕らも少し寝るか…程よい酔いと不思議な達成感に包まれ、今日はいい夢見れそうだ。
応援ありがとうございます!
23
お気に入りに追加
2,974
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる