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新たな家族編
水鏡
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「ふふ、昨日は帽子を脱いだらいきなりアデルで驚いたよ」
「いつの間にあんなこと出来るようになったんだい?領地で太鼓など見たこともなかったろう?」
トマスさんが陛下たちの棟に朝食を用意してくれたのでご一緒してるんだけど、お兄様の首筋から目が離せない…
「見るでない」
お兄様のお腹からも…
「だから見るでないと言うに」「いや、やっぱりかと思って」
「あっ、そのね、クリフにはまだ後継が居ないから、その」
「口さがない者を黙らすにはそれが一番早いであろう?」
「あっ、ほ、ほらアデルのお腹も随分育ってきているね」
今僕のお腹はマスクメロン(大)くらいにはなってきている…最終的にスイカになるらしい…
お兄様は…まだかぼちゃくらい…?
「2日程逗留されたらお帰りになる。義兄上に十分甘えるが良い。お前たちが共にいると…兵がまた騒がしくなりそうだ…まったく」
「本当に見目の麗しいご兄弟であらせられますからね。伯爵夫人もお美しい方でしたが」
「おかあ、ごほん、母上にお会いできず残念でした。ですが、普段父上を独り占めしていますからね。母はアデルに。そうだっ!アデル!全く無茶をして!」
話がなんだかヤバいほうに…軌道修正だ!
「あー、でもほら、それがなかったらパレード出来なかったことですし結果オーライってことでここはひとつ」
グラナダ様にポコリとげんこつ貰っちゃった…そしたらお兄様からもデコピン貰っちゃっ…ぅ痛った⁉
そしたら陛下がよしよししてくれた。うはっ!
「む…触るでない…」
演奏をいたく気に入った陛下が僕のマーチングバンドを招聘したいと言い出したのでバンさん率いる隊員は大喜びだ。といってもすぐの話でなく、…後継誕生の祝宴でと…ふむふむ…ならばまだ数か月の猶予がある。
それまでに新曲を用意せねば。キラリ☆
「アデルはあとひと月ほどだろう?安静にするんだよ。そうだ、父上から本を預かってきたんだ。」
「本ですか?魔法書とか?」
「いや、アデルの大切にしていた本だよ。輿入れの際、領地に忘れて行っただろう?それを父上が持ってきてくださったんだよ」
渡されたのは1冊の絵本。何度も何度も読み返した跡のある…多分アデルの宝物…。
「あ、ありがとう。良かった、見つかって。」
2日間なんてあっという間でお兄様たちがお帰りになる時間がやってきた。
「アデル、慌てて来たね?髪がはねてる。しょうのない子だね。ほら」
お兄様がお皿を水で満たす。陛下がそこに光を当てるとキラキラと反射して水鏡になった。
「ほら整えて。」
「あ、ありがとう。へぇ…鏡になるんだ…きれい…」
「よほど静かな水面じゃないと出来ないけどね。神殿にも水鏡はあるみたいだよ。吉凶を占う水見に使うらしい」
「ふうん…」
従者の方が呼びに来てお兄様たちとお別れのご挨拶。
次に会う時はお互い子持ちなのか…感慨深い…な…
「いつの間にあんなこと出来るようになったんだい?領地で太鼓など見たこともなかったろう?」
トマスさんが陛下たちの棟に朝食を用意してくれたのでご一緒してるんだけど、お兄様の首筋から目が離せない…
「見るでない」
お兄様のお腹からも…
「だから見るでないと言うに」「いや、やっぱりかと思って」
「あっ、そのね、クリフにはまだ後継が居ないから、その」
「口さがない者を黙らすにはそれが一番早いであろう?」
「あっ、ほ、ほらアデルのお腹も随分育ってきているね」
今僕のお腹はマスクメロン(大)くらいにはなってきている…最終的にスイカになるらしい…
お兄様は…まだかぼちゃくらい…?
「2日程逗留されたらお帰りになる。義兄上に十分甘えるが良い。お前たちが共にいると…兵がまた騒がしくなりそうだ…まったく」
「本当に見目の麗しいご兄弟であらせられますからね。伯爵夫人もお美しい方でしたが」
「おかあ、ごほん、母上にお会いできず残念でした。ですが、普段父上を独り占めしていますからね。母はアデルに。そうだっ!アデル!全く無茶をして!」
話がなんだかヤバいほうに…軌道修正だ!
「あー、でもほら、それがなかったらパレード出来なかったことですし結果オーライってことでここはひとつ」
グラナダ様にポコリとげんこつ貰っちゃった…そしたらお兄様からもデコピン貰っちゃっ…ぅ痛った⁉
そしたら陛下がよしよししてくれた。うはっ!
「む…触るでない…」
演奏をいたく気に入った陛下が僕のマーチングバンドを招聘したいと言い出したのでバンさん率いる隊員は大喜びだ。といってもすぐの話でなく、…後継誕生の祝宴でと…ふむふむ…ならばまだ数か月の猶予がある。
それまでに新曲を用意せねば。キラリ☆
「アデルはあとひと月ほどだろう?安静にするんだよ。そうだ、父上から本を預かってきたんだ。」
「本ですか?魔法書とか?」
「いや、アデルの大切にしていた本だよ。輿入れの際、領地に忘れて行っただろう?それを父上が持ってきてくださったんだよ」
渡されたのは1冊の絵本。何度も何度も読み返した跡のある…多分アデルの宝物…。
「あ、ありがとう。良かった、見つかって。」
2日間なんてあっという間でお兄様たちがお帰りになる時間がやってきた。
「アデル、慌てて来たね?髪がはねてる。しょうのない子だね。ほら」
お兄様がお皿を水で満たす。陛下がそこに光を当てるとキラキラと反射して水鏡になった。
「ほら整えて。」
「あ、ありがとう。へぇ…鏡になるんだ…きれい…」
「よほど静かな水面じゃないと出来ないけどね。神殿にも水鏡はあるみたいだよ。吉凶を占う水見に使うらしい」
「ふうん…」
従者の方が呼びに来てお兄様たちとお別れのご挨拶。
次に会う時はお互い子持ちなのか…感慨深い…な…
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