イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

明るい家族計画編

家族の団らん

本日の晩餐は…実にわざとらしいほどの和やかさだった…

じー

「な、なにかなアデル？」「いえ、その」

じー

「どうかしたかい？アデル」「う、う～ん」

「なんだアデル。気になることがあるなら言ってみよ」
「殿下とお兄様…すでにそういう、ムグッ」
「いや何でもない、二人は気にしないでよい。食事を続けよ…場所を考えぬか馬鹿者」

気になるのに…それにしても、む、難しいなこの二人…背格好も近いし…どっちが…あ、いやいや、身内のそういう事想像しちゃだめだ…いやでも…じー

「そ、それにしても、本当に辺境伯様は弟を大切にされているのですね。兄として喜ばしい限りです」
「無論だとも、アデルも相当私を愛しておるからな、負けてはおられぬ」
「叔父上、それは勝負なのですか？」
「アデルが勝負にするのだ」「ふふ、ワイアットも負けず嫌いなのですよ」

お兄様と顔を見合わせる。へー、そうなんだ。お父様は逃げるが勝ち派なのに。

「長兄のトールキンよりも年が近い分ワイアットのほうが良く世話をしておりましたので、似てくるところもあったのでございましょう」

一周回ってすべてを受け入れた（あきらめた）お父様が殿下とグラナダ様に乞われ思い出話を話して聞かせる。
僕とお兄様が似てるなら、この二人だってさすが血筋って感じだよ。キラキラが過ぎて目が痛い…
しかし、和やかだ…とても和やかだ…あ、この感じ…日本じっかを少し思い出す…





「あの、お父様…、戴冠式の後、広間でちょっとしたレセプ、祝賀があるって聞いたんですけどちょっとお披露目したいことがあって…」
「ふむ、どのようなだ」

実はグラナダ様が宮廷の平定をしている間、森の後始末も終わって時間があったのでジョッシュさんとマカフィーさんにちょっとした踊りを仕込んだのだ。踊りと言っても僕の知ってるヒップホップ系じゃなく、町でハンターさんに教えてもらった剣を使った円舞だよ。踊りとは言えないかもしれないけど…カッコいいのだ。

「そんなことをしていたのか！」「だって、グラナダ様が帰ってこなくて寂しくて…」
「うっ、そ、そうか…それで気は紛れたのか？ん？」
「少しだけ…えへへ、グラナダ様の代わりになんて誰もなりませんよ…大好き…」
「あーアデル、お義父上に早く孫を抱かせてやらねばな」
「ふふ、卿よ、一度に孫沢山になってしまうがよいかな？」



ぶっふぉ！親子で噴き出した…気が合うねお父様…日増しに親子の絆が育ってきたよ。