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明るい家族計画編

殿下とお兄様 ②

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「そうか、アデルと変わらないのですね。アデルはもうじき19になるだろうか?アデルが歳より幼く見えるため殿下を私と変わらないなどと思っておりました。これは失敬を」
「ふふ、そんなに老けて見えるかな」
「い、いえ、そうではなく。しっかりして見えるのですよ」
「ワイアットは24だったね。君の弟だけじゃない、君も幼く見えるよ」

魔法と国の統括についての学びの合間、なんでもない話をしながらの休息中。
私の軽口に憮然とするワイアットがとてもかわいいなどと思っていれば

「殿下も…その、随分とお可愛らしいですよ。その、浮世離れしていると言いますか…」

負けじと言い返されてしまった。ワイアットはこう見えてけっこう負けず嫌いなようだ。
粗野な人柄ではないし好戦的なわけでもないが、ただただ穏やかな父カマーフィールド卿とは少し違うようだ。

見た目は温和でそれでいてとても整った顔立ちをしている。…アラタの本当の姿を私はまだ見てはいないがここの3兄弟はとても見目が良いと社交界では度々話題に上る…背は私とそれほど変わらない程度だろうか?筋肉質な訳ではないが華奢なわけでもない。伸びやかでしなやかな身体をしている。

「アラタ…いやアデルは随分と小柄なようだったが長兄殿はどうなんだい?」
「トールキン兄上は父上に似て細身の長身です。アデルの身長は母に似たのでしょう。私はいつでも中庸なのですよ。」
「中庸…」
「卑下しているのではありません。父上もよく「普通が一番平凡が何より」と言いますからね。カマーフィールドの家訓みたいなものです」

そういって笑ってみせるワイアット。本当にこの家族といるといつも暖かい気分になる。
カマーフィールドの領地では貧しいながらもこうしていつも笑いあい、慈しみあって過ごしていたのだろうな。

「君のような兄が…家族が…私も欲しかった…」
「私で良ければいつだって…兄のようにお思いください殿下。」
「兄弟だというのなら…殿下ではなくクリフト、いやクリフと…そう呼んで?」
「え、あ、いやそんな、不敬ではありませんか?」

うろたえて真っ赤になるワイアット。ふふ、いつかみたアラタのようだ。兄弟なんだと感心してしまう。

「呼んで。ワイアット」
「あ…く、クリフ…」
「嬉しいな。でもやっぱりそう…二人きりの時だけにしよう、二人きりの時だけは名前で呼んで。ね、決まりだ。」
「あー、あ、はい、お茶を、お茶をお淹れしますね」

私の私室には護衛にでさえ入室を許しては居ない。そうか、ここではいつでも敬称でなく名前で呼んでもらえるのだな。あのモルダバイトのような深い緑の瞳で私を見つめながら

クリフ…と。

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