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明るい家族計画編

殿下とお兄様 ①

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西の領地でアラタと会ってから私は本格的に王位交代をかけた計画に加担することとなった。
正直言って今でも陛下に対峙することには恐怖を感じるがこれ以上意味のない人生を送り続けるのは嫌だった。
王族として…次代の王として立太子した以上、私なりに国をより良き末々に向け治めたい。後の世に誇れぬ国になどしたくはないのだ…
陛下は…父王は…決して善政をひいているとは思えぬ…。甚大な国力を嵩にかけ領地貴族を民衆を、そして周辺の国々に対してもひどく横暴であると感じるのだ…。そう、私を抑えつけ私のすべてを無意味にして見せたように。

「ふふ、失くしたって困らない…か。本当に…父も、妃も…何故必要だと思っていたのか…まことそのように感じたことなど…本当は一度だってなかったな…」

正妃であるエネミアとはすでに2年近く関りがない。公式の場で顔を合わせることぐらいはあるが会話を交わすことすら既にない。

「男としての機能を持たぬ私を馬鹿にしているのであろうな…」
父王からも正妃からも蔑まれそれでも構わぬと思い過ごしてきたが…

「アラタとカマーフィールド卿の想いにくらいは報いたいものだ…」
決して私を見捨てない優しい陽だまりのような人達の顔を思い浮かべながら伯爵から手渡された今後必要になるであろう真の貴族名鑑に目を通した。



伯爵はこのところ頓にとみに忙しく動いており、有力な地方領地、特にグリーンバルトへは直接出向くことも増えているようだ。
そこで自分の代わりにと、ある日カマーフィールド伯爵家の次男であるワイアット殿を引き連れてきた。
表向きは私の側使え兼魔法の師として、実際は身の回りに陛下の手の者しかおらぬ私のために警護を引き受けてくれたのだ。

彼はカマーフィールドの者すべてが持つ個性なのか、やはり穏やかな雰囲気をまとった青年でとても好感がもてた。

「ワイアット殿、面倒をかける。至らぬ王子ではあるがこれでも次代の王だ。ふふ、守ってくれるか?」
「ワイアットと呼び捨ててくだされば十分です殿下。年もたいして離れてはおりませぬ、雑事であろうと気軽にお申し付けください。そして、私は些か体格には恵まれておりませんがこうみえても強力な魔力を持っているんですよ。殿下の御身、必ずや守って見せましょう」





透けるような深い緑の瞳。その瞳に見つめられているだけで不思議と力が湧き出る気がした。











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