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新生活順応編
強欲な王
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朝食を終えたら部屋を移りいつもの定例会を始める。
壊れた結界も修復が終わり森は日常を取り戻し始めているらしい。
いくつかの報告といくつかのの指示のあと、隊長のグレゴリーさんと魔術師副長のマーカスさんを残し皆任務へと戻っていった。
元々王家の専属術師だった魔術師団の副長さんと、王都の第一騎士団にいたグレゴリー隊長にも協力してもらうことになったのはグラナダ様からの提案だ。
それを聞いてたトマスさんが一瞬だけ目を見開いたのを僕は見逃さなかった…。
「我が兄の近衛を務めておったグレゴリー、そして専属術師であったマーカスよ、お前たちにも忌憚のない意見を聞かせて欲しい」
グラナダ様はお二人に今僕たちが抱える問題を簡潔に説明してくれた。
「そうでございましたか…陛下がそのような王命を…」
「…私が王家の専属として侍っていた時分より、あの方は大変に閣下のお力を切望しておられましたからね。」
「でもでも、それなら、兄弟で力を合わせて仲良くしていくわけにはいかなかったの?グラナダ様は別に王様になりたかったわけじゃないんでしょ?王様が国を治めてグラナダ様がその力で支えればそれでよかったんじゃないの」
この国どころかこの世界について僕には本物のアデルの残留記憶とメイドさんから聞けた話、そして書庫から持ち出した記録書や歴史書に記されていたことしかわからない。
グレゴリー隊長とマーカスさんは僕を世間知らずな箱入り息子と思ったのか、この国と王家の現状をかみ砕いて丁寧に教えてくれた。
この国の王位は直系の血を持って継承され、その血筋が絶える時のみ傍系への継承が許される。そう王室典範に記されているらしい。
第一王子であったドノヴァン様は前王の健康不安による退位にともない若年ながらすんなりと王位についた。
一回り以上も年の離れた弟であるグラナダ様が成人を待たずその膨大な魔力を開花させると、誰よりも強いグラナダ様を王の座へと望む者が現れた。
その当時後継のいなかったドノヴァン王は、グラナダ様が王位につく時イコール自分が排除される時と考えそこから徹底的にグラナダ様を危険視した。
だけど、当時異常な速さで拡大を続けていた魔獣の森、それを抑えられそうなのがグラナダ様しかいなかったため簡単に排斥は出来なかった。
すでに人間不信気味だったグラナダ様は渡りに船の申し出とばかりに魔獣討伐の任を引き受けバーガンディに引き籠った。
ほんとだったらここで収まる話だったのに…
「独裁的で強欲なドノヴァン王は自分の王位を盤石にするために、閣下のお力をなんとか我が物にしようと画策を続けておいででした」
「で、出来ないでしょ?そんなこと…」
「私はそのために王家に、陛下の専属術師にと拾われたのですよ。下法を用いてでも力を譲渡する方法を探せと…そのような方法、呪術にもございませんでしたが」
「此度、閣下の力の子を殿下のお子に望まれたということは…その治世を永らえさせるお考えですな」
「…殿下をそしてその赤子を傀儡になさるおつもりか…なんという欲深い…」
「え、つ、つまり?」
「兄はいずれくる退位後、我が甥クリフトを、そして我が力の子を王という名の駒、傀儡とし、摂政としてその地位に居座り続けるつもりであろう」
「…わ、わかってたの?グラナダ様。わかってて…そんな…」
「ふっ、王から差し向けられた婚姻相手と想い合えるなど考えてもみなかったからな…どうでもよかったのだよ…兄の治世も、力も、赤子も、何もかも…」
「ひどい…」
「だから言ったのだ一筋縄ではいかぬと。皇太子の後継問題など私の力の継ぐ赤子を手に入れるための方便にすぎぬのだ。王はあきらめまい。欲しいのは皇太子のお子ではない、私の魔力を注いだ子だ。」
壊れた結界も修復が終わり森は日常を取り戻し始めているらしい。
いくつかの報告といくつかのの指示のあと、隊長のグレゴリーさんと魔術師副長のマーカスさんを残し皆任務へと戻っていった。
元々王家の専属術師だった魔術師団の副長さんと、王都の第一騎士団にいたグレゴリー隊長にも協力してもらうことになったのはグラナダ様からの提案だ。
それを聞いてたトマスさんが一瞬だけ目を見開いたのを僕は見逃さなかった…。
「我が兄の近衛を務めておったグレゴリー、そして専属術師であったマーカスよ、お前たちにも忌憚のない意見を聞かせて欲しい」
グラナダ様はお二人に今僕たちが抱える問題を簡潔に説明してくれた。
「そうでございましたか…陛下がそのような王命を…」
「…私が王家の専属として侍っていた時分より、あの方は大変に閣下のお力を切望しておられましたからね。」
「でもでも、それなら、兄弟で力を合わせて仲良くしていくわけにはいかなかったの?グラナダ様は別に王様になりたかったわけじゃないんでしょ?王様が国を治めてグラナダ様がその力で支えればそれでよかったんじゃないの」
この国どころかこの世界について僕には本物のアデルの残留記憶とメイドさんから聞けた話、そして書庫から持ち出した記録書や歴史書に記されていたことしかわからない。
グレゴリー隊長とマーカスさんは僕を世間知らずな箱入り息子と思ったのか、この国と王家の現状をかみ砕いて丁寧に教えてくれた。
この国の王位は直系の血を持って継承され、その血筋が絶える時のみ傍系への継承が許される。そう王室典範に記されているらしい。
第一王子であったドノヴァン様は前王の健康不安による退位にともない若年ながらすんなりと王位についた。
一回り以上も年の離れた弟であるグラナダ様が成人を待たずその膨大な魔力を開花させると、誰よりも強いグラナダ様を王の座へと望む者が現れた。
その当時後継のいなかったドノヴァン王は、グラナダ様が王位につく時イコール自分が排除される時と考えそこから徹底的にグラナダ様を危険視した。
だけど、当時異常な速さで拡大を続けていた魔獣の森、それを抑えられそうなのがグラナダ様しかいなかったため簡単に排斥は出来なかった。
すでに人間不信気味だったグラナダ様は渡りに船の申し出とばかりに魔獣討伐の任を引き受けバーガンディに引き籠った。
ほんとだったらここで収まる話だったのに…
「独裁的で強欲なドノヴァン王は自分の王位を盤石にするために、閣下のお力をなんとか我が物にしようと画策を続けておいででした」
「で、出来ないでしょ?そんなこと…」
「私はそのために王家に、陛下の専属術師にと拾われたのですよ。下法を用いてでも力を譲渡する方法を探せと…そのような方法、呪術にもございませんでしたが」
「此度、閣下の力の子を殿下のお子に望まれたということは…その治世を永らえさせるお考えですな」
「…殿下をそしてその赤子を傀儡になさるおつもりか…なんという欲深い…」
「え、つ、つまり?」
「兄はいずれくる退位後、我が甥クリフトを、そして我が力の子を王という名の駒、傀儡とし、摂政としてその地位に居座り続けるつもりであろう」
「…わ、わかってたの?グラナダ様。わかってて…そんな…」
「ふっ、王から差し向けられた婚姻相手と想い合えるなど考えてもみなかったからな…どうでもよかったのだよ…兄の治世も、力も、赤子も、何もかも…」
「ひどい…」
「だから言ったのだ一筋縄ではいかぬと。皇太子の後継問題など私の力の継ぐ赤子を手に入れるための方便にすぎぬのだ。王はあきらめまい。欲しいのは皇太子のお子ではない、私の魔力を注いだ子だ。」
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