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推し活満喫編

討伐の舞台②

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ひたすら奥へ向かって行くと、倒れそうなほどすごい威圧を感じる場所にやってきた。
恐る恐る進むと大勢の魔術師が魔獣の漏れを止めるべく死に物狂いで魔法を展開してた。
ここだ!きっとこの中層をぬけた先だ!

中層を超えた先の中は兵の人が見当たらない。

じゃぁ、じゃぁ、グラナダ様たった一人で戦ってるの?イヤだ!ダメだよ!そんなのダメ!待ってて!今すぐ僕が助けに行くよ!

魔獣の咆哮と剣撃の音に向かってわき目も降らずつき進む。

9つの首を持つ大蛇ヒュドラの姿が見えた時、持ち上げた首の陰から鬼人のように勇ましいグラナダ様の姿が現れた!


「ーーーーー」
あまりの神々しさに声も出ない。
グラナダ様が剣を振るう。荒ぶるヒュドラの攻撃を躱し、その胴体をしなやかに駆け上がる。稲妻のように一の首を落とすと反撃に出る二の首三の首を舞うように避け態勢を整える。
ヘラク〇スのワンシーンみたいだ!

チッ!一の首がもう再生した!

どれほど首を落としても次々再生するから決着がつかない。
五の首が口から液体を飛ばした!酸だ!

避けきれずグラナダ様が顔の片側に酸を浴びた!

ダメーーーーーー!

瞬時に鞄の中の形状記憶ポーションを探るがさっき使ってしまったことを思い出した。
まさかっ!こんなっ!
グラナダ様の戦いは止まらない。
躊躇する理由なんてない!身バレしたって構わない!

僕はインビジブルを解除して即座に全力のヒールをグラナダ様に向かって飛ばした。

僕の想いの丈を込めた全力ヒールは火柱ならぬピンクベージュの光柱となってグラナダ様の周囲にドーンと立ち上った。

び、びびった…けど、目くらましになったことに安堵してあわててメタモル魔法でアラタに変身する。
不審者には違いないけどアデルの姿じゃなければなんでもいいよ。

光が収まると…僕を惑わすいつもの美しい両目のレッドジルコンが…大きく大きく見開かれていた。

グラナダ様はさすがだ。すぐに戦いに集中する。18個の眼球で光を直視したヒュドラはまだ視力が戻っていない。その隙を見逃さない。
こうなったからには僕も全力でいかせてもらう。
身体強化!跳躍強化!速度上昇!
興奮しすぎてドーパミンが過剰分泌気味。ファイターズ・ハイって言えばいいの?
この日のために血涙を流しながら(嘘)取得特訓に明け暮れた戦闘特化のあらゆる付与。
ここぞとばかりにグラナダ様をバフりまくった。
そこだっ!あっ危ないっ!よし!行け行け行け!あー、後ろー!がんばれー!

グラナダ様が9本の首を縛り上げ一刀両断にしようとしてる。
ぐっ!だけどその剣じゃ多分威力が足りない…よし!剣の力を底上げだ!

振り下ろされた剣がヒュドラの首にかかる寸前、僕はグラナダ様に一番ぴったりな光雷いかづちのバフをその剣先に全力でかけた。


森全体に響き渡るような轟音とともに恐ろしいほどの雷撃が落ちた。
…ヒュドラは?えっ?姿見えないんだけど?どこ?…
真っ黒焦げになって影しか残っていない…
周囲一帯が山火事のあとみたいになってる…
…………全力…全力はダメだ…全力は自重しよう…この次は………

んっ?なんか視線を感じる?

ふぁっ⁉…グ、グラナダ様と目が合ったー⁉


「お前…何者だ!どうやってここに⁉」


えっ?こっち向かってくる。マズイ!マズイマズイマズイ!

僕は転移でその場を離れた。
だいぶ使いまくって枯渇しそうな魔力を残してあったMPポーションで補充しながら小刻みに短い転移を繰り返す。

んあー!こんな時完全転移ができたらっ!

中層防衛ラインの出入り口、ここまできたらあと少しっと思ったところで拠点近くに負傷者が集められているのが視界に入ってしまった。

あぅぅ…あーもう!

「エリアヒール!!!」

拠点一帯にピンクベージュの星が降り注いだ…




聞こえてくる僕を追いかける兵士達の声。
僕は最後のポーションを勢いよくかっこんでおお慌てでその場から逃げた。












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