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高等部2学年
118 愉快な春のバカンス
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繭玉になった僕は、怒りで顔を真っ赤にしたままレグルスの元に献上された。
涼しい顔しちゃって!僕は怒ってるんだからね!
「もうっ、もうっ!許さな」
「ほらテオドール、王都の新しいカフェに用意させた新作スイーツだ。」
「そんなんで騙されな」
「ああ、こっちはバターを練り込んだと言う新しいパンだよ」
「デニッシュだぁ~」
まさかっ、まさかここでデニッシュ食べられるなんて…っ!僕デニッシュとかパイ生地とかだ~い好き!
「モグモグ…それでね、考えたんだけど、ビニールハウスを作るなら、モグモグ…もっと安あがりで、それでもっと大きな素材が良いと思うの。モグモグ…」
「うん、それで?」
「お休みにヴェーバー領に行くんだけど、モグモグ…」
「南西部のヴェーバー伯のところだね。」
「リヒャルト君ち。でね、あそこ砂漠があるんだけど、たしかデザートマンティーって背中にお水が溜まって鳥さんが水飲み場にするって…。昔学校で習ったんだけど…」
そう。学校には一攫千金狙って冒険者やハンターになろうとする子がたくさんいた。
だから大怪我しないよう…、先生が魔物や魔獣のこと、いっぱい教えてくれていたんだ。
「確かに…。マンティーの皮は水を弾く…。ハウスの素材にはぴったりだが…、そもそも一般の冒険者に捕まえるのは難しいと聞いているよ?」
「ヴェーバー領には兵士さんが居るって。僕伯爵に頼んでみる。…おかわり!」
その晩ご飯が食べれずシェフからお叱りを受けたのは言うまでも無い…。
一緒にヴェーバー領に行けないことに、お兄様は血の涙を流したようだ。
「いいねテオドール、くれぐれもアリエスとアルタイルから離れてはいけないよ。」
「はーい」
「伯爵は夜会を開くそうだ。まったく余計な真似を…。だが仕方ない。歓迎の宴だ。楽しみなさい。」
「はーい」
「だが誰彼構わず踊ってはいけないよ。いくら外遊中とはいえ、お前は神獣の愛し子なのだ」
「はーい」
「踊るなら…アリエスにしなさい。アルタイル、は弟の婚約者だ、よしておきなさい。」
「はーい」
「リヒャルト……、は別によいか。踊りたいと言うのなら1曲ぐらい踊ってやりなさい。」
「えっ?」
隣で何故かアリエスが小刻みに震えていた。
ヴェーバー領に向かう今回の外遊、僕はリヒャルト君ちの馬車の中だ。
南西部の田舎とはいえ、ヴェーバーはれっきとした伯爵領。リヒャルト君にはちゃんと立派な馬車のお迎えがあった。
僕はアリエスに無理を言って、次の停泊地まではリヒャルト君ちの馬車に乗ったのだ。
ちなみに今回の外遊にはタウルスがついてきた。
デザートマンティーの話をしたら、レグルスが護衛につけてくれたのだ。
タウルスは土魔法の使い手だから。優秀なんだよ?攻略対象者だったしね。
「タウルス様と御一緒するのは初めてだなぁ。中等部のはじめの頃は少しうるさかったけど凄く立派になられたよね。騎士団長様もご安心だ。」
「そうだね。初めて会ったときは「なんだこいつ」って思ったけど、今ではとても頼もしいって思ってるよ」
「僕ね、テオ君にだけ話すんだけど…実は騎士団に初恋の人が居たんだ。内緒だよ。」
「えっ!だ、誰っ?」
「第三の…もういいよ。彼、この間の粛清で辞めちゃったし…。がっかりだよ、そんな人だったなんて。もっと男らしい人だと思ってたのに…」
「あー、騎士団員って見た目だけなら憧れちゃうよね。がっちりしてて頼りがいがありそうで。王族を守る近衛騎士なんかはお顔も良いし。」
でも僕は知ってる、ガタイのいい男は…甘えん坊だっていう事を…。なにせ前世のお姉ちゃん情報だ。「このギャップが良いんだよねぇ~」っていつも言っていたから間違いない。
「そっか、リヒャルト君は男らしい人が好きなんだ。意外~。リヒャルト君って可愛いものが好きだとばっかり。僕みたいな」
「可愛いものは大好きだよ。テオ君見てるとうずうずしちゃう。でもそれとこれとは別物だから」
「ああー、わかるー」
この馬車が放課後の女子クラスみたいになってることは、きっと神様だって気付かない。はずだ。
良かった、ここがBLゲーの世界で。
僕は久しぶりの腐男子モードを心いくまで堪能したのだ。
「お兄様、あちらの馬車は楽しかったですか?時々お兄様の可愛らしい笑い声が聞こえてきましたよ」
2台前の馬車まで届く笑い声なんて可愛くはないんじゃないかな?そうツッコミたいのをぐっとこらえてうなずいておいた。
「とっても楽しい!冬のルトガー君は一足先に帰郷してたし、今回は修学旅行感がある。」
「しゅうがく旅行…。第3学年で行う泊まり込みの野外演習とは別物ですか?」
「泊まり込みの野外演習…なにその物騒なワード。違うよ、学生が全員で、ためになる場所を見て回るという名目で、ネズミのいる遊園地に遊びに行ったりシカのいる聖地に服をかじられに行ったり、それで羽目を外しすぎて担任に叱られて反省文を書かされる…までがセットの旅行だよ。」
「わかったようなわからないような…でも、とてもいいお考えだと思います。一般教養を実地で学ぶための物見…。会長にお伝えしておきますね」
会長…レグルスか。来年の会長はアルタイルに決まってる。アリエスは書記になるようだ。僕は…今まで通りの帰宅組…。そんな面倒な事、頼まれたってお断りだ。頼まれないけど…。
そんなこんなでやって来た。ここは南西部のヴェーバー領。暖かくて明るくて乾燥してて、ナスヴェッターの対極だ。
ああ、だからリヒャルト君はどこかのんびり…というか、うっかりしてるんだな。
「これはこれは、神童テオドール様。いや、新しい二つ名は神獣の愛し子でしたかな?その節は家のバカ息子がとんでもない真似を…。あれほど人の意見に振り回されてはならないと…あいや、それはさておき、アサルトマウスの駆除装置、大変助かっておりますぞ。あれほどの数、領内の皆が喜んでおります。」
「ハインツ、…ハインリヒお兄様からのご厚意にございます、伯爵。テオドールお兄様へのリヒャルト様の好意、あれによってどれほど周りの印象が緩和したことか。事件の収まった後もどこか皆、テオドールお兄様に対してわだかまりをお持ちでした。リヒャルト様のお振舞にはとても助けられたのです。ハインリヒお兄様も大変お喜びなのですよ。」
「そう言っていただければ何よりでございます。責を負っても仕方のない立場だというに…。さあさあ、滞在の一週間はごゆるりとお過ごしください。このヴェーバーは春が一番過ごしやすいのですぞ」
ヴェーバー観光の始まりだっ!
涼しい顔しちゃって!僕は怒ってるんだからね!
「もうっ、もうっ!許さな」
「ほらテオドール、王都の新しいカフェに用意させた新作スイーツだ。」
「そんなんで騙されな」
「ああ、こっちはバターを練り込んだと言う新しいパンだよ」
「デニッシュだぁ~」
まさかっ、まさかここでデニッシュ食べられるなんて…っ!僕デニッシュとかパイ生地とかだ~い好き!
「モグモグ…それでね、考えたんだけど、ビニールハウスを作るなら、モグモグ…もっと安あがりで、それでもっと大きな素材が良いと思うの。モグモグ…」
「うん、それで?」
「お休みにヴェーバー領に行くんだけど、モグモグ…」
「南西部のヴェーバー伯のところだね。」
「リヒャルト君ち。でね、あそこ砂漠があるんだけど、たしかデザートマンティーって背中にお水が溜まって鳥さんが水飲み場にするって…。昔学校で習ったんだけど…」
そう。学校には一攫千金狙って冒険者やハンターになろうとする子がたくさんいた。
だから大怪我しないよう…、先生が魔物や魔獣のこと、いっぱい教えてくれていたんだ。
「確かに…。マンティーの皮は水を弾く…。ハウスの素材にはぴったりだが…、そもそも一般の冒険者に捕まえるのは難しいと聞いているよ?」
「ヴェーバー領には兵士さんが居るって。僕伯爵に頼んでみる。…おかわり!」
その晩ご飯が食べれずシェフからお叱りを受けたのは言うまでも無い…。
一緒にヴェーバー領に行けないことに、お兄様は血の涙を流したようだ。
「いいねテオドール、くれぐれもアリエスとアルタイルから離れてはいけないよ。」
「はーい」
「伯爵は夜会を開くそうだ。まったく余計な真似を…。だが仕方ない。歓迎の宴だ。楽しみなさい。」
「はーい」
「だが誰彼構わず踊ってはいけないよ。いくら外遊中とはいえ、お前は神獣の愛し子なのだ」
「はーい」
「踊るなら…アリエスにしなさい。アルタイル、は弟の婚約者だ、よしておきなさい。」
「はーい」
「リヒャルト……、は別によいか。踊りたいと言うのなら1曲ぐらい踊ってやりなさい。」
「えっ?」
隣で何故かアリエスが小刻みに震えていた。
ヴェーバー領に向かう今回の外遊、僕はリヒャルト君ちの馬車の中だ。
南西部の田舎とはいえ、ヴェーバーはれっきとした伯爵領。リヒャルト君にはちゃんと立派な馬車のお迎えがあった。
僕はアリエスに無理を言って、次の停泊地まではリヒャルト君ちの馬車に乗ったのだ。
ちなみに今回の外遊にはタウルスがついてきた。
デザートマンティーの話をしたら、レグルスが護衛につけてくれたのだ。
タウルスは土魔法の使い手だから。優秀なんだよ?攻略対象者だったしね。
「タウルス様と御一緒するのは初めてだなぁ。中等部のはじめの頃は少しうるさかったけど凄く立派になられたよね。騎士団長様もご安心だ。」
「そうだね。初めて会ったときは「なんだこいつ」って思ったけど、今ではとても頼もしいって思ってるよ」
「僕ね、テオ君にだけ話すんだけど…実は騎士団に初恋の人が居たんだ。内緒だよ。」
「えっ!だ、誰っ?」
「第三の…もういいよ。彼、この間の粛清で辞めちゃったし…。がっかりだよ、そんな人だったなんて。もっと男らしい人だと思ってたのに…」
「あー、騎士団員って見た目だけなら憧れちゃうよね。がっちりしてて頼りがいがありそうで。王族を守る近衛騎士なんかはお顔も良いし。」
でも僕は知ってる、ガタイのいい男は…甘えん坊だっていう事を…。なにせ前世のお姉ちゃん情報だ。「このギャップが良いんだよねぇ~」っていつも言っていたから間違いない。
「そっか、リヒャルト君は男らしい人が好きなんだ。意外~。リヒャルト君って可愛いものが好きだとばっかり。僕みたいな」
「可愛いものは大好きだよ。テオ君見てるとうずうずしちゃう。でもそれとこれとは別物だから」
「ああー、わかるー」
この馬車が放課後の女子クラスみたいになってることは、きっと神様だって気付かない。はずだ。
良かった、ここがBLゲーの世界で。
僕は久しぶりの腐男子モードを心いくまで堪能したのだ。
「お兄様、あちらの馬車は楽しかったですか?時々お兄様の可愛らしい笑い声が聞こえてきましたよ」
2台前の馬車まで届く笑い声なんて可愛くはないんじゃないかな?そうツッコミたいのをぐっとこらえてうなずいておいた。
「とっても楽しい!冬のルトガー君は一足先に帰郷してたし、今回は修学旅行感がある。」
「しゅうがく旅行…。第3学年で行う泊まり込みの野外演習とは別物ですか?」
「泊まり込みの野外演習…なにその物騒なワード。違うよ、学生が全員で、ためになる場所を見て回るという名目で、ネズミのいる遊園地に遊びに行ったりシカのいる聖地に服をかじられに行ったり、それで羽目を外しすぎて担任に叱られて反省文を書かされる…までがセットの旅行だよ。」
「わかったようなわからないような…でも、とてもいいお考えだと思います。一般教養を実地で学ぶための物見…。会長にお伝えしておきますね」
会長…レグルスか。来年の会長はアルタイルに決まってる。アリエスは書記になるようだ。僕は…今まで通りの帰宅組…。そんな面倒な事、頼まれたってお断りだ。頼まれないけど…。
そんなこんなでやって来た。ここは南西部のヴェーバー領。暖かくて明るくて乾燥してて、ナスヴェッターの対極だ。
ああ、だからリヒャルト君はどこかのんびり…というか、うっかりしてるんだな。
「これはこれは、神童テオドール様。いや、新しい二つ名は神獣の愛し子でしたかな?その節は家のバカ息子がとんでもない真似を…。あれほど人の意見に振り回されてはならないと…あいや、それはさておき、アサルトマウスの駆除装置、大変助かっておりますぞ。あれほどの数、領内の皆が喜んでおります。」
「ハインツ、…ハインリヒお兄様からのご厚意にございます、伯爵。テオドールお兄様へのリヒャルト様の好意、あれによってどれほど周りの印象が緩和したことか。事件の収まった後もどこか皆、テオドールお兄様に対してわだかまりをお持ちでした。リヒャルト様のお振舞にはとても助けられたのです。ハインリヒお兄様も大変お喜びなのですよ。」
「そう言っていただければ何よりでございます。責を負っても仕方のない立場だというに…。さあさあ、滞在の一週間はごゆるりとお過ごしください。このヴェーバーは春が一番過ごしやすいのですぞ」
ヴェーバー観光の始まりだっ!
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