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12歳
23 巨大迷路
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「君がテオドール・レッドフォードか。レッドフォード侯爵家の次男だな。ハインリヒ殿とは面識があるが君に会うのは初めてだ。それもこれも君が貴族家にあるまじき振舞ばかりをするせいだ。」
会ったばかりで何言ってんの?初対面なら初対面らしく自己紹介からするんじゃないの?
失礼な奴。ああ、デルフィヌスか。
迷路から脱出することも出来ずウロウロしてると最後の攻略対象者に捕まった。
「貴方も僕の事悪い令息って思ってる人?だったらあっち行って。僕そんな人と話すことなんてなんにもないんだから」
「悪い令息…?ああ、あの噂の事か。そんな事はどうでもいい。君が我儘だろうが偏屈だろうがそれは君の問題だ。」
どうでもいいって言われてなんだかちょっと拍子抜け。デルフィヌスってこういう噂嫌がりそうな感じだったのに。
「だが、高位貴族としての君の振舞には一言言わなければ気が済まない。君の行いがどれほど品位に欠けたものか理解が及んでいないようだからね。」
そっちか‼
デルフィヌス…頭固いんだよね…めんどくさいな…どうやって逃げよう…
「君は何故社交の場に出てこない?普通貴族の子弟はそういった場で人脈を繋ぎ将来への布石とするものだろう。」
「普通じゃないといけないの?」
「爵位を継ぐのがハインリヒならば尚更備えは必要じゃないか。きみは何を考えてるんだ」
「備えって…年寄りくさい!えっ?デルフィヌスって13~4だよね?」
「年寄り!僕が年寄りくさいだと!」
思ってたより良い奴なのか。これは多分僕を心配してるのか?えっ?意外…
「年寄りとはなんだ!大体君は何を考えて学校なんかに入ったんだ。あそこは平民が行く所だろう。それも簡単な読み書きを覚えに。君は神童と呼ばれるほど明晰な頭脳を持っているはずだ!」
「僕がどこへ入ろうとデルフィヌスには関係ないじゃん!学校なんかって…あそこは良いところだよ。と、友達だって出来たし…」
「僕の名前を知っていたのか…なら話は早い。僕は公爵家をいずれ継ぐ者。宰相として殿下をお支えするのが僕に課せられた責務だ。君も筆頭侯爵家の者ならその才能をよりふさわしい場所で、よりふさわしい友人と共に育み、王国の為に役立てたらどうだ。」
良い奴?なのか?…?いや嫌な奴とも違うけど…なんかもやもやする感じ。
「デルフィヌスが殿下を支えたいならそうすればいいと思うけどー、僕には関係なくない?心配して言ってくれたのはちょっと意外で嬉しいなって思ったけど…なんかさぁ…ふさわしい場所とかふさわしい友人とか…」
「高位貴族には高位貴族としての義務がある。好き勝手が出来るなどと」「もうっ!貴族貴族うるさいなっ」
「僕は平民になって冒険者になるんだ!ちゃんとそのための準備もしてる!着替えだって一人で出来るし、お弁当だって作ってる。毎日1時間は敷地の中歩いて体力作りだってしてて、平民になるんだから好き勝手したっていいんだよ!義務と権利はペアなんだって習ってないの?僕は権利を捨てるから義務だって捨てていいんだ。それよりデルフィは決められた人生、疑問に思ったことは一度も無いの?なんかさっきから義務とか責務とか…ここ見なよ、こんな迷路の中だってたくさんの分岐があって、その数のぶんだけ選択肢があるんだよ?」
ゲームの中でさえいくつもの分岐があってそこから進むシナリオは変わっていくのに、目の前のデルフィヌスはシナリオもないのにガッチガチに凝り固まってる。
「ぼっ、僕は決められた道をイヤイヤ進んでいる訳じゃない。公爵家の嫡男であることを誇りに思っているし、殿下の元で政務につける立場であったことを名誉に思っている。」
「そうなの?なら良かった。嫌みじゃないよ。本当だよ。だけど僕はそんなのどうだっていいし!」
「どうだっていいだと?誰もが望む最高の栄誉だと言うのに!君はその気にさえなれば殿下の正妃の座だって狙える立場なんだ。筆頭侯爵家レッドフォードとはそういう家名だと分かっているのか?」
「正妃っ!じょ、冗談じゃない…ダメダメ!王子とそんな…それにいくら思ったより良い人だったからってデルフィとだって僕は恋愛も結婚もしないんだからね!」
「ぼっ、僕は関係ないだろう///なな、何を言っているんだ///」
ゲームでなら王子とだってデルフィとだって、アルタイルとだって、あのタウルスとだってたくさん恋愛したしいろんなパターンのエンディングも迎えて、そうだよ、その中には結婚エンドもあったけど…あの時僕はアリエスだったから…。テオドールでそんなこと…考えた瞬間に断罪フラグが工業地帯の煙突みたいに立ち並ぶ。
僕はイヤイヤと頭を振りながらデルフィヌスを置き去りにして迷路の出口を探す為走り回った。
なんて無駄に大きい迷路なんだ。何処へ行ったら出口があるのか。
僕の断罪回避のシナリオは…未だ混迷を極めたままだ…
会ったばかりで何言ってんの?初対面なら初対面らしく自己紹介からするんじゃないの?
失礼な奴。ああ、デルフィヌスか。
迷路から脱出することも出来ずウロウロしてると最後の攻略対象者に捕まった。
「貴方も僕の事悪い令息って思ってる人?だったらあっち行って。僕そんな人と話すことなんてなんにもないんだから」
「悪い令息…?ああ、あの噂の事か。そんな事はどうでもいい。君が我儘だろうが偏屈だろうがそれは君の問題だ。」
どうでもいいって言われてなんだかちょっと拍子抜け。デルフィヌスってこういう噂嫌がりそうな感じだったのに。
「だが、高位貴族としての君の振舞には一言言わなければ気が済まない。君の行いがどれほど品位に欠けたものか理解が及んでいないようだからね。」
そっちか‼
デルフィヌス…頭固いんだよね…めんどくさいな…どうやって逃げよう…
「君は何故社交の場に出てこない?普通貴族の子弟はそういった場で人脈を繋ぎ将来への布石とするものだろう。」
「普通じゃないといけないの?」
「爵位を継ぐのがハインリヒならば尚更備えは必要じゃないか。きみは何を考えてるんだ」
「備えって…年寄りくさい!えっ?デルフィヌスって13~4だよね?」
「年寄り!僕が年寄りくさいだと!」
思ってたより良い奴なのか。これは多分僕を心配してるのか?えっ?意外…
「年寄りとはなんだ!大体君は何を考えて学校なんかに入ったんだ。あそこは平民が行く所だろう。それも簡単な読み書きを覚えに。君は神童と呼ばれるほど明晰な頭脳を持っているはずだ!」
「僕がどこへ入ろうとデルフィヌスには関係ないじゃん!学校なんかって…あそこは良いところだよ。と、友達だって出来たし…」
「僕の名前を知っていたのか…なら話は早い。僕は公爵家をいずれ継ぐ者。宰相として殿下をお支えするのが僕に課せられた責務だ。君も筆頭侯爵家の者ならその才能をよりふさわしい場所で、よりふさわしい友人と共に育み、王国の為に役立てたらどうだ。」
良い奴?なのか?…?いや嫌な奴とも違うけど…なんかもやもやする感じ。
「デルフィヌスが殿下を支えたいならそうすればいいと思うけどー、僕には関係なくない?心配して言ってくれたのはちょっと意外で嬉しいなって思ったけど…なんかさぁ…ふさわしい場所とかふさわしい友人とか…」
「高位貴族には高位貴族としての義務がある。好き勝手が出来るなどと」「もうっ!貴族貴族うるさいなっ」
「僕は平民になって冒険者になるんだ!ちゃんとそのための準備もしてる!着替えだって一人で出来るし、お弁当だって作ってる。毎日1時間は敷地の中歩いて体力作りだってしてて、平民になるんだから好き勝手したっていいんだよ!義務と権利はペアなんだって習ってないの?僕は権利を捨てるから義務だって捨てていいんだ。それよりデルフィは決められた人生、疑問に思ったことは一度も無いの?なんかさっきから義務とか責務とか…ここ見なよ、こんな迷路の中だってたくさんの分岐があって、その数のぶんだけ選択肢があるんだよ?」
ゲームの中でさえいくつもの分岐があってそこから進むシナリオは変わっていくのに、目の前のデルフィヌスはシナリオもないのにガッチガチに凝り固まってる。
「ぼっ、僕は決められた道をイヤイヤ進んでいる訳じゃない。公爵家の嫡男であることを誇りに思っているし、殿下の元で政務につける立場であったことを名誉に思っている。」
「そうなの?なら良かった。嫌みじゃないよ。本当だよ。だけど僕はそんなのどうだっていいし!」
「どうだっていいだと?誰もが望む最高の栄誉だと言うのに!君はその気にさえなれば殿下の正妃の座だって狙える立場なんだ。筆頭侯爵家レッドフォードとはそういう家名だと分かっているのか?」
「正妃っ!じょ、冗談じゃない…ダメダメ!王子とそんな…それにいくら思ったより良い人だったからってデルフィとだって僕は恋愛も結婚もしないんだからね!」
「ぼっ、僕は関係ないだろう///なな、何を言っているんだ///」
ゲームでなら王子とだってデルフィとだって、アルタイルとだって、あのタウルスとだってたくさん恋愛したしいろんなパターンのエンディングも迎えて、そうだよ、その中には結婚エンドもあったけど…あの時僕はアリエスだったから…。テオドールでそんなこと…考えた瞬間に断罪フラグが工業地帯の煙突みたいに立ち並ぶ。
僕はイヤイヤと頭を振りながらデルフィヌスを置き去りにして迷路の出口を探す為走り回った。
なんて無駄に大きい迷路なんだ。何処へ行ったら出口があるのか。
僕の断罪回避のシナリオは…未だ混迷を極めたままだ…
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